ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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ACが無いじゃ無いかって?
いや、魂が戦場に引かれてるじゃ無いか。
戦場こそがこの場所が彼女たちの魂の場所よ


第二話

黒い点が近づいてくる。

「魚か?いや…違う」

魚にしては大きすぎる。

何処か機械的な…ゴーレムの様な雰囲気を離れていても感じ取れる。

直感的に何か危ない事を感じ取った。

ここにはあの少女と自分しかいない。

ならば行くのは自分だ。

慌てて鎧を着て駆け出した。

手には上質の直剣と太陽が書かれた盾を握っている。

 

波止場の前にはあの魚…イ級がいた。

イ級はソラールを見つけるや否や砲撃を始めた。

だが彼にとって避けるのは容易い。

 

彼の鎧は非常に軽く、そして弱い。

しっかりと手入れはされて来たが、弱い。

しかしそれは彼には関係ない。

彼は強靭な肉体を持ち、それゆえに弱くても構わないのだ。

決して強いとは言えない装備。

しかし己の強さでカバーする。

彼の強さは、そこにあった。

彼はそうして、あの地を駆けたのだ。

 

数メートルのところまで近づくと腰にぶら下げてあるタリスマンを取り出し、牽制の雷の槍を投げる。

イ級に向かって飛び、落下攻撃を仕掛ける。

そして、怯んだところにタメ攻撃。

イ級は火花を散らして沈んでいく。

 

ーーーーーーーーーー

 

「な!なんですか!隊長!」

慌てて外を覗くとあの鎧がイ級が向かっているのを見つけた。

「あわわわ。なんであそこにいるの?」

慌てて艤装に着替える。

その間にも砲撃の音が何度もしてくる。

本来、深海棲艦には既存の兵器は殆ど効かない。

ましてや、有り得ないのだ。

‘人間’が海に浮かぶなど。

さすがまるゆ。前後ろを間違えたりしなければもう少しカッコ良かったかもしれない。

 

ーーーーーーーーーー

 

まるゆはポカーンとしている。

あの鎧が水の上に立っているのだ。

ましてや、自分に向かって手を振っている。

既存の兵器…否、過去の武器である直剣を携えて。

「魚ゴーレムはこちらで倒したぞ。ハハハ。貴公何か奇妙な格好をしているな」

まるゆの顔が赤くなる。

「あれが深海棲艦です!普通なら貴方は死にかけたのですよ!」

何と涙を流しながら叫んだ。

ソラールは慌てて謝る。

「貴公、私は太陽の戦士ソラール。この魚ゴーレムから嫌な雰囲気を感じてしまってな。貴公のような少女は護らねばと……すまない」

少女と呼ばれたのが嬉しいのか先程怒鳴った事さえ忘れたかの様な表情になる。

「でも無事で良かったです。でもなんで海の上に立てているのでしょう?」

「ふむ…何故だろう?」

「まるゆも分からないです」

 

ーーーーーーーーーー

 

「ソラールさんが日本語が読めると分かったところでここについて説明するよ。ここは日本っていう島国の本土から南西に20海里ほど離れた孤島にある鎮守府です」

「ふむ…書き慣れない単語がいくつかあるな。貴公、日本や鎮守府とは何だろうか」

目の前のホワイトボードには世界地図といくつかの文字が書いてある。

「日本っていうのは国で、世界地図のここにある国です」

「ふむ、たしかに島国だな」

「鎮守府についてですが、深海棲艦について絡めて説明するよ。

昔、まだこの国が帝国だった頃、大国との戦争で幾つもの軍艦が造られました。

ソラールさんに説明しにくいのですが、大砲をたくさん載せた船って考えていいと思います。ソラールさんって中世のひとですよね?」

「中世……?」

「まぁ、その…気にしないでいいですよ。知らない単語があるのは仕方ないので…」

「ああ、貴公…」

「それでですね。

 

ーーーーーーーーーー

8日後

 

ソラールは外に出るとお馴染みの伸びをした。

この8日で彼は国語辞典を読み漁り、人並みの知識を得た。

まるゆと近づいて来たイ級の退治をしながら、かつての記憶が湧いて来た。

太陽に憧れたこと、太陽のホーリーシンボルを自作したこと。故郷のアストラの直剣を太陽の直剣、この円盾を太陽の盾、タリスマンは太陽のタリスマンと呼んでいたこと。

太陽を目指す為に沢山の事を学び、沢山の修行を行なって来たこと。

そして太陽の様に大きく熱くなる事を目指して、旅に出た事。

あの太陽の地ロードランに。

自ら不死になって。

あの未知の地へ行く為に足掻いた日々

それと比べればこの日本の事はわかりやすかった。

それに‘日’本である。

やる気が出るというものだ。

 

ーーーーーーーーーー

 

「なぁ貴公、このカレー以外に作れる物は無いのか?」

「まるゆはカレーしか作れないです」

「ううむ、材料はこれだけしか無いのか」

「ソラールさんは料理出来るのですか?」

「一応出来るが、数えられない程前だからなぁ。分からないが試してみよう」

「ソラールさんって不思議です。私達みたいなのに私達よりも長くを古い時代を生きてきたみたいです」

「ああ、きっと古い時代を生きたのだろう。記憶がまだ途中までしか思い出せない。それでも永く瞬く間を生きていた事を感じ取れる」

「ソラールさんさんはきっと自分の目指した太陽になれたと思います。隊ちょ……優しいですから」

何かを言いかけた事が気になった様子だが、聞くのは野暮用だろう。

そう思ったソラールはおもむろに肉を切り出し、豪快にフライパンで焼き始めた。

 

焼いた肉に、付け合わせに蒸した芋と人参、玉ねぎ、そして御茶碗に乗せた白い米。

味付けは塩コショウで簡素な出来では有るが、カレーしか食べて来ていないので、とてもうまく感じる。

「ううむ、やはり、久々の料理は難しい」

「そうだ!ソラールさん。魚ならば海で釣れば採れますよ。まるゆはボーってしててなかなか捕まえられないですけど」

「成る程、魚か」

会話をしている間にも箸は進む。ソラールはナイフとフォークだが。

不意にまるゆが話を変えた。

「明日、本土に行きます。お米とか、必要な物を買い溜めします!ソラールさんもきませんか?」

「うむ。日本の物を見ればこの時代が、私がどのくらいの時代の人間かわかるかも知れない。あと剣の手入れをしたい。鈍ではあいつらに刃が通らないだろう」

あの上質の直剣は質こそそこそこの性能だが、手入れをしなければ鈍になってしまう。ただ、流石に工廠にあるよくわからない機材を愛刀に使うのも気が引ける。

 

ーーーーーーーーーー

 

まるゆは自分の机。

提督机に着くと今日のことを報告する。

ソラールの成長具合、記憶の回復具合。

何があったか、何をしようとしているか。

笑顔と哀しみに満ちた顔を交互に見せながら、、

あの写真に別れを告げた。

「隊長。まるゆは本土に行く事にしました。きっと、まるゆは帰れなくなると思います。でも、まるゆは護ります。隊長がまるゆを守ってくれたように」

拳を握りしめ、決意したように天を見た。

きっとあそこにいる憧れのあの人のように、きっとあそこに自分も辿り着けるように。

そして、艦としての役目を、三式潜航輸送艇としての役目を果たせるように。

 

ーーーーーーーーーー

 

きっとその想いは届いただろう。

天国にいる隊長《提督》に、扉の外で聞き耳を立てていた彼に。

彼は苦悩するだろう。

彼女の決意に対して、そして湧き上がった己の記憶に。




オリ設定

世界観
現代(2020年)から少し未来
微妙に地形や国家などの組織が違うがだいたい現実の地球。

艦娘、深海棲艦について
艦の記憶を持って海から産まれる。艦が多く沈んだ海に多く、強い個体が出現する。
普通の記憶を持って産まれると艦娘、膨れ上がった怨念の記憶を持って産まれると深海棲艦。(普通の記憶には沈没時などの負の面も含まれる)
どちらも既存の兵器は効かない。これには彼女らがこの世界の物理と違う力を持っているため。しかし、効かないとは言えダメージは負う。ただし、核兵器などの超高火力ならば一撃だが汚染地域には深海棲艦が大量に発生する可能性がある。艦娘や人型の深海棲艦に対して発見順に番号が振られるが、これらはあくまでも識別の為である。
また、特徴的な個性を持つ個体も多く見られる。


小さい島
まるゆのいる鎮守府のある島、本土から37Kmほど離れたところにある。山の上に本館、海岸沿いに入渠設備と工廠を兼ねた赤煉瓦の建物がある。山には木の実やきのこがある。ちなみに隊長は食べてお腹を下した。

まるゆのいる鎮守府
首都への大規模襲撃に備える為の監視、もしくは若手の艦娘の育成の育成を目的とした設備がある。その目的のため他の鎮守府から独立して設けられていた。本格的な防衛をするわけでも一から育成するわけでもない。
そのため鎮守府としてはとても小さく、小さい島にあった。

鎮守府本館
まるゆのいる鎮守府の本館。山の上にある。海岸から歩いて10分。地下に緊急時用のリフトにあり、そこから裏の脱出路(洞窟)に繋がっている。
執務室や客室だけでなく食堂、風呂などの宿泊施設も兼ねている。
監視用の高い塔がくっ付いている。
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