ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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フルハベルに月光大剣を積んだ時にふと脳裏に浮かんだ。
『不明なユニットが接続されました』
『システムに深刻な障害が発生しています』
『直ちに使用を停止して下さい』
もちろんドッスンローリングである。
あっ、でもOWは連続ヒットするんだっけ?

光波を出しつつぶん殴る。



相手はミリ残る。


第十八話

正義など、とうに

 

深い海に降りていく。

 

「チッ、コザカシイ」

酷く重々しい高い声が響く。

「生憎だが、私は守るべきものがあるんだ。最速の力、見せてやる」

砲撃を掻い潜り、確実に当てていく。

「やはり、速さもロマンだな」

単艦出撃などと言う無謀なこと。

だからこそ楽しい。

思い出は全てここに。

 

ーーーーー

 

「私が、新人提督の秘書艦にですか?」

総司令官が資料を渡す。

「ああ。だが、面白いやつだ。きっとお前も気にいる」

長門は不服そうに顔を歪めた。

「はい。まぁ、了解しました」

 

「貴方が私の提督か?」

長門が執務室の提督机に座っている男に話しかける。

「…どうも。提督だ。よろしく」

だが、男はお世辞にも海の男とは言えない体つきだった。

「私は長門No.9。随分と貧弱そうだが、大丈夫か?」

 

「おい、待ってくれ、速いよ!」

長門が追いかける。

「島風に、追いつけないって」

提督が走り抜ける。その速さ、まさに島風の如く。

「提督!お前が言うな!気持ち悪い」

 

「…お前が噂の」

暗い執務室に人影がある。その相手はニヤリと笑った。

「どうやら、そうらしい。ああ、正式な名前を言ってなかったな」

その名前を聞き、驚愕する。そして慌てて土下座する。

「今までの失態。失礼しました!」

 

ーーーーー

 

「オロカナニンゲンドモニ、シズメラレタ。コノゼツボウハ、ハカリシレハ、シナイ。ワタシモタタカイタカッタ」

戦艦水鬼が変化する。背後の艤装が溶けて形を変える。『戦艦水鬼改-壊』である。

「ワタシハ、ズットコノセンジョウニヒカレテイタ」

その声は正しく、相対する物に対する恨み言のようだ。

「何だ?その姿は。聞いてないぞ…。お前は、No.1か。ははっ。新たな深海棲艦の前か…胸が熱くなるな」

ニッと不敵な笑みを浮かべる。

額を拭い、改めて砲身を相手に向ける。

「この私を倒してみろ。貴様にそれができるのならな」

 

ーーーーー

 

「くそっ、なんで負けるんだ」

タブレットを床に置きクッションを叩く。

「そのマップ…ギミックがあるのを知らないのか?」

覗き込んだ六がアドバイスをする。

「ギミック⁉︎なんだって!」

 

「提督。それはまさか」

箱が机の上に置いてある。中身はなんとプラモデルだ。

「こいつが欲しいかな。良い子にしているならやらない事も無いが…」

直ぐ様、姿勢を正して綺麗にお行儀良く座る。

「欲しいです!下さい!」

 

「おまっ、提督。それは無い」

不服そうな顔をして提督の顔を見る。

「なんでだ?カレーにちくわ。入れないのか?」

そう、カレーにちくわである。何と恐ろしい。

「ちくわを入れるのはよしてくれ、コーンもだ。甘口にするのにコーンはいらない。せめて、甘口のルーだけにしてくれ」

 

「なぁ、私を実戦に出してくれ」

廊下で提督の裾を掴んだ

「お前は出撃するにも、修理するにも資材が多く必要なんだ。諦めてくれ」

わかっていた回答だ。‘前’もそうだった。

「…そうか。また…か。時間を潰すものはいくらでもある」

 

ーーーーー

 

「オマエハ、シッテイル。ワタシタチノヒゲキヲ」

長門は右肩に被弾する。

「…悲劇。終わりを悲劇と呼ぶのなら。そうなのだろう」

しかし直ぐに動き、次の砲撃を掻い潜る。

「イヤ、オマエモワタシトオナジ。アノヒカリニキエタ」

「…そうか。成る程」

長門は目の前の彼女『戦艦水鬼改-壊』をじっと見つめる。

「だが、私はお前とは違う」

獣の如く姿勢を低くして駆け出し、手を海面に突っ込んで無理やり旋回する。

そして戦艦水鬼改-壊の後ろに回り込む。

 

ーーーーー

 

「な、私が、旗艦?」

思わず手に持っていたタブレットを落とす。約五万円のか賠償だ。

「この海域には姫級が既に数体見つかっている。旗艦に大和型か長門型にしておきたいのだが」

生憎、その内、三名はいないと言おうとするも長門の声が遮る。

「提督!ありがとう!」

 

「…どうだ?私もなかなかやるだろう」

長門がドヤ顔を決める。MVPを取ったのだ。

「いや、褒めるべきは資材集めをしてくれた駆逐艦た…」

ポロポロと大粒の涙を溢して走り出す。提督は弾き飛ばされた。

「提督のバカー」

 

「…グスっ」

工廠の裏でひっそりと泣いている。

「…こんなに殴らなくても良いのに、分かってるさ。よく頑張った」

後ろから現れた提督に飛びついた。

「うん」

 

ーーーーー

 

砲撃が頭に直撃した。

額から血が流れる。

既に満身創痍、否、瞳は輝いている。

「背負うべきものがある。それが志だろう。なぁ、私…いや、長門。私は長門No.9。もう一度言おう。例え、お前が長門だろうと、お前とは違う」

精一杯叫んだ後、目の前の標的に向かって走り出す。

「ナガト…、ア」

「いくら装甲が高かろうと、攻撃力が高かろうと、私は、お前よりも強い」

拳を大きく構えた。

 

ーーーーー

 

「あれ?提督…この書類」

長門が一枚の書類を見つけた。

「ん?ああ、改二の手続きをね」

確かにコレはそうなのだが、艦名の欄に…

「…提督。ありがとうございます」

 

「改装されたこの長門。まだまだ新入りには負けないさ。行くぞっ!」

改二になった長門が誇らしげに腕組みをする。

「…相変わらずピーキーなんだがなぁ」

変わらず、六は野暮な話をふる。

「ああ。ピーキーだな」

しかし、長門の顔には笑みが浮かんでいた。

 

「…とうとう達したか」

念願のレベル99である。艦娘として、到達すべきところまで来た。

「ああ、遂にカンストしたな。おめでとう。ほら、コイツをやろう」

渡された包みを開ける。

「コレは…今はもう限定品になったあのプラモデルじゃ無いか!」

 

「提督?なんだ?話って、…暗いな」

何故か暗い執務室。提督が、満月の薄明かりの中、提督机についているのが見える。

「いや、そうだな。ちょっとロマンチックになるか試しただけだ」

そう言うと机の中から何かを取り出した。

「まさか…それは」

 

「長門。お前に一つ聞きたい」

目の前には指輪が一つ。小さなケースに入っている。

「コレはまぁ、俺と硬い絆を結ぶ事で、補給時の消費が減ったり、レベル最大値が大幅に上がる代物なんだが」

少し困った顔を見せる。

「出来てはいたのだが、前例が余りにも少なくてな」

そう。レベル99という境地に辿り着けるのはほんの一部。

「副作用が無いとは限らない。受け取るか受け取らないか。決めて欲しい」

長門はじっと、目の前の輪っかを見つめる。

「お前に心配されるほど、柔な身体ではない。やる」

そう言うと、指輪を掴んだ。

「なんだろう? 記憶の彼方にある、あの光景は? 敵味方の艦たち、そしてあの巨大な光…。疲れているのか…な、提督」

「…そうか。ハッキリと思い出したか」

「…夢、じゃ無いのか?」

ポロポロと溢れていく。

「成る程、硬い絆を…か」

六は提督帽を深めに被った。

 

ーーーーー

 

「怨みだけが私では無い」

海上に、最後まで立っていたのは長門である。

「誇りが、艦としての、誇りを持ってこそ私だ」

海の上で沈みかけている彼女を見つめる。

「ヒカリ…アフレル…ミナモニ…ワタシモ……そう…っ⁉︎」

消えていく彼女に、敬礼をする。

暁の水平線に、青い海が戻る。

長門は勝った。

しかし、戦いに負けた。

もう水に浮く力も無い長門に一隻のイ級が近づく。

「戦いの中で沈むのだ…あの光ではなく…本望だな…」

だが、イ級はただ遠くから眺めているようだ。

 

ーーーーー

 

決意した視線が飛び交う。

言葉はいらない。

ただ、相手が無事である。

そう、するべきだと。

背負うべきだと。

 

ーーーーー

 

「はは、終わってたまるか。あの光。だからこそ、私は誇りを掴んだ。第二の私の人生は…終わらせない。長門である誇りを失って、沈んでたまるか」

流れ出る真紅の体液が、オレンジ色に燃え出す。

「私は沈まない。アイツの顔に、泥は塗らせない」

遠くから眺めていたイ級が砲撃する。

だが、避けるのは容易い。

そのままイ級を蹴散らし、彼を探し始めた

 




オリ設定(完全なる妄想)

長門No.9について

あの光
言わずと知れたクロスロード作戦の事だろうと思う。コレをもとに著者は、戦いの中で沈めなかったのが、長門のコンプレックスであると察した。
ただ、著者的には、あの光に呑まれたことを誇りにして欲しいと思う。少なくとも、それが長門であり、最期にいうセリフが、「あの光で死ななくてよかった」と誇りと長門である事を捨ててしまっている事が、結構胸に刺さった。

なんでプラモデルが好きなのか?
暇潰し。消費燃料・弾薬が余りにも大きくて中々出撃出来ないのはよくある話。あと、やっぱり子供たちの憧れの長門には少年少女の心を持っていて欲しい。


著者は絶対に沈めない覚悟の元、一隻も沈めずに頑張ってます。
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