即ち超⭐︎展⭐︎開
「今こそ、決戦の時」
周りより高い舞台のさらに高い台に、一人の女性が立つ。
背後には黒い二つ頭の怪物が。
顔は凛々しく、流れるような髪が、周りの白と黒の人々…深海棲艦の少女達を撫でる。
空には大きな鯨のような艤装が浮かんでいる。やはり、彼女の器は余りにも大きい。
「私たちはその先に何を望む?」
見る人が見れば幻想的とも思える光景が目の前に現れる。
「新たな戦いか?抹殺か?それとも名誉か?」
背後の怪物のような艤装が金色に輝き、彼女の周りに着いた。
まるで船のような形。恐ろしい怪物があるべき姿に戻った。
「考えられた奴だけ付いてこい」
そう言うと彼女は後ろを振り向き、台から降りた。
そのまま、進むようだ。
三十人全ての人影は彼女に付いていく。
連合艦隊旗艦を務めた後姿は圧巻だった。
ーーーーー
まさにこの世の終わりだろうか?
ああ、そうだろう。
この世のものではない存在達が陸に上がり、闊歩する。
送り出された『phantasma』達も、陸の人々も。
きっと知る由もないだろう。
まるで夢のように、彼女達の歩く様を見るのだ。
ある者は二度と帰れなかった故郷を踏み締め。
ある者は激戦を広げ散った敵の国に立ち。
ある者は人としての体に歓喜の声を上げる。
彼女達の喜びは、声にはならない。
ーーーーー
こうして、日本は大勢の深海棲艦を受け入れる事となる。
『第一要塞鎮守府』の本土進軍と‘偶然’重なったそれは、決定的な致命であった。
海上防衛に徹した国の政策により、陸上自衛隊は機能を失っていた。いや、その事は関係ないだろう。何せ、彼女達に兵器は効かないのだから。それ故に、海上防衛に徹したのだから。
抵抗は虚しく、国会が占拠され、彼女達の意思を表明させられる事となる。
結果、脱艦娘の風潮は、消え去り。ただ、人々の生活により一層、彼女達の存在が溶け込む事となる。
果たしてこれからどうなるのだろうか
それを語るのは私の役目では無い。
ーーーーー
無数の『phantasma』が無残に散った。
目の間には亡霊達が立っている。
「…さて、観念しな」
その内の一人が槍を私の顔の目の前まで突いた。
冷や汗が出る。
「残念だが、スパイと言うのはあるものでな。へへっ。こっちには居るんだ。欲しい情報は…」
私は何を言っても無駄だと気付く。
研究結果などが入ったメモリが時折消えていた事を思い出した。
そう言う事だ。
酷く狼狽し、目の前の槍の刃を見つめながらジリジリと後ろへ下がる。
「お前の意思だ。何故?こんな気持ち悪い事をした?」
私は呆気に取られた。
もしかしたら殺されないかもと言う淡い希望にしがみつき、事の発端を話した。
オリ設定
友好な深海棲艦
争う事など初めから望んでいない。ただ、戦争という恐怖を。その忘却という更なる恐怖を。
恐れていただけである。
新時代の幕開け
世界で初めて、深海棲艦という恐怖に耐え、味方にした国はないだろう。これを機に、内地で籠もっている人々が広い海に出るだろうか?
だからこそ、今はただ、‘世界’の海の平和を願うだけである。