ソラール提督がいく(改修中)   作:タータ/タンタル

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騙して悪いが
「唐突の過去編」
なんでな
ここで死んでもらう。


第三話

「辺境の鎮守府ですか⁈」

男の素っ頓狂な声が聞こえる。

‘長い黒髪の背の高い’彼女はその男の隣に立っていた。

「つまり文字通り、島流しと」

「あっ長門!上官に失礼だろう」

「いいや、気になさるな。それにその通りだ」

白髪の老翁が大きく笑う。隣には暁が正しくレディーの様に紅茶を飲んでいる。もちろん砂糖とミルクをたっぷり入れたロイヤルミルクティーだ。

「君の長門の言う通り、これは島流しだ。恐らく私への当て付けだろう。仕方ない、我々は軍であるが政治家ではない。よほど君のその戦績に裏があると睨んでいるのだろう。この世の中さ、皆がピリピリしてるだろう」

「理由はそれだけか?」

「うーむ。これから君に着いてもらう鎮守府はちょっと特殊でな、鎮守府と言うよりはなんだろうか…監視塔みたいな施設でな。そこで養成学校を卒業したばかりの艦娘の指導を頼みたい。君にならそれが出来るはずだ」

「分かりました。つまり、その血気盛んなお嬢様方のご指導を頼まれたわけですか」

「ああ、証明して見せろ。お前とあいつらの可能性を」

「ふう、そう言う事なら私も付いていこう。派手にやろうじゃないか」

腕組みをしながら長門が納得したと頷いた。

「皆さんこそ血気盛んですね。全く」

服にこぼした紅茶のシミをハンカチでトントンしながら暁が呆れる。

せっかく昨日クリーニングに出したのに、と。

 

ーーーーーーーーーー

 

「遅いなぁ。島風の方が速いよ!」

「いいですカ?この船は輸送を目的としてるネー。速さを求めてる訳では無いデース」

「魚!魚です」

「……」

輸送船に乗って鎮守府を目指して海の上を進んでいる。

「あれがそうか。意外と大きいな」

港のそこそこ大きな赤煉瓦の建物と山の上にある本館を見て思う。6人で過ごす場所でも無いな。

そんな冷めた目と違い、新人の4人は目を輝かせている

 

輸送船を港に着けて上陸する。

この鎮守府についてある程度資料を読んだ。

設備としてはまあまあ。

ただここが流刑地だとするとまぁそれらしいと言えばそれらしいのだが。

「本土からこの距離で流刑地…か」

 

「各自上陸の準備を済ましておけ」

「「「はい」デース」」

「…」

 

 

ーーーーーーーーーー

 

「完全に山だな」

「十分はかかるな」

「島風に追いつけないって!」

島風が走り出し、自分たちの十段ほど前を走っている。

「さっそくお天端のお出ましですか。提督」

「島風!走ると転ぶぞ。先に行き過ぎると迷子になるぞ」

「おそーい!」

やはり島風、速さ以外に微塵も興味がない様だ。

すると足を踏み外し、前に転んでしまった。

「いったーい!」

「言わんこっちゃ無い」

「全くだ」

長門と提督は呆れ返ってしまう。

そんな姿を見たのか島風が泣き出した。

「うぇーん、うぇーん」

「はぁ。泣いても提督と私は知らないぞ」

「だな、自業自得だ」

気にも留めない様に泣いている島風の隣を歩いていく。

「hayテートク、流石に女の子にそれは無いんじゃない?」

「ああ、普通の女の子ならな。お前たちは兵器だ。そこを忘れないでおけ」

「テートク私達は兵器じゃないネ、人と同じように食事もするし、寝るし、遊んだりするネ」

「二度同じ事を言わせるな。お前たちは兵器だ。そして司令官は私だ。司令官の話を聞かないようではただの道具さ。取っ替えが効くようなね」

「了解した…ネ」

「あわわ、スパルタのしれぇです!ブラックです!」

「……」

 

「さて、本館の前に来たが、アイツ以外全員いるな。ここから5時間自由にする。各自の部屋を掃除するなり整えるなり生活の準備をしろ」

「了解したネ」

「了解しました!」

「…」

「長門が執務室か私か彼女の自室もしくは食堂辺りにいる。何か用があればそこ辺りを探して来るように。解散」

 

ーーーーーーーーーー

 

自分の部屋へ荷物を置くとポーチを肩にかけて窓から外に出る。

鎮守府から見えなくなった所で急いで下へ転ばないギリギリの速さで降りていく。

泣き声が未だに聞こえる。

さっきとちっとも変わらない場所に少女はずっと泣いていた。

おもむろにポーチからガーゼと消毒液を出してすりむいた膝に手当てをする。

膝に大きめの絆創膏を貼り付けると笑顔で手を差し伸べた。

そのまま島風を背中に乗せた。

小さな身体には島風の身体は大きすぎる。

それでも一段一段と着実に登っていく。

背中の少女は泣き止んだのか

「グスッ、グスッ」

と声がする。

 

ーーーーーーーーーー

 

「え…」

目の前にはあの司令官が立っていた。

階段を上り切った先、本館の前の広場に立っていた。

「ふむ…さて、どうしたものか」

目は爛々と光っており、見るものが見れば気絶しそうである。

「お前は、陸の船だったなぁ。ふむ…」

まるで品定めをする様にこちらを睨んでいる。

一歩後退りをしそうになるが、精一杯の勇気を出して前に出た

「まるゆ。負傷した島風を救助してきました」

「まぁいい、そのまま自室にでも送ってやれ」

ほっと撫で下ろし、ピリピリした空気を感じながら司令官の隣を歩いていく。

不意に後ろから声が聞こえて来た。

「後で二人とも私の部屋に来たまえ」

その声がひどく重く心にのしかかって来た。

 

ーーーーーーーーーー

 

「島風です。失礼します」

「遅い。まるゆはすぐに来た」

遅いと言われて苦虫を噛んだ顔になる。

しかしそんな様子さえ吟味するように司令官が見てくる。

反抗の言葉も出ない。グッと堪えた。

「さて、島風。そこに座れ。まるゆの向かいだ」

「はい」

司令官のが座っている提督机の前にテーブルが一つ置いてある。

まるゆは自身から右手に座っていた。

恐る恐る左手に座る。

二人ともビクビクとただでさえ低い背がさらに小さくなっている。

「さて島風。まずまるゆに言う事があるのでは?礼はしっかりと言え」

「……助けてくれてありがとう」

「…どういたしまして」

さて、どういったものかと提督が帽子の中を掻く。

「よし、先ずは助けて貰ったらお礼は言わなければ。人間なんだろう?」

「…た、司令官、先程私たちは兵器だとおっしゃっていましたよね」

「ああ、そうだが?」

「司令官は私たちはどっちで観てるんですか?兵器ですか人間ですか?」

「ふむ…」

島風の顔は先程から恐怖で青くなっている。

しかし返答は意外なものだった。

「両方…だろう。線引きが難しい所ではあるからな」

「両方ですか?」

「ああ両方だ。兵器は自立して色々考えたり考えなかったりするか?」

「…しないです」

「だろう。でも君たちは人以上の力を持っている。それは兵器と呼んで良いのではないかな?兵器の体に人の心。それでいいだろ」

「はい」

「まぁ。そんなことを言えば私も兵器に入ってしまうだろうが。いわゆる兵器を操るスーパーコンピュータって所だしな。ただし、正しい命令…忠告を聞かないようではただの道具だ。いう事を聞かない解放者(リベレーター)ってところさ」

ハハハっと笑い声が執務室に広がる

「うーむ。今の笑う所じゃない?まぁいい、島風の件だ。私の忠告を聞かなかっただろう。走ると転ぶって言っただろ。さっきも言ったが身体は兵器なんだ、もし一般人に当たったら大怪我だぞ。私の忠告はしっかりと聞くべきだったな」

青い顔の島風はこくこくとうなずいた。

「なんだよ。俺が怖いのか。ふふふ、怖いか?」

司令官が目を手で塞いで某軽巡の真似をし始める。

明らか違うのだがどこかしら似ている。

「天龍様のお通りだ!」

そんな妙に微妙な物真似を見ていると島風が笑い出し、まるゆも笑顔になった。

「入るぞ」

そこに長門が入って来てしまった。

冷めた目で「フフ怖」とか言っている司令官を見る。見た目はいい年したおじさんである。

「お前、それはないだろ」

「あっ。やべ」

提督の顔が青ざめる。ついでに冷や汗が出る。

「お前、島風の忠告無視を注意してまるゆの救助を褒めるって急いでここの掃除をさせたんじゃないか。それがなんだ。妙に微妙な物真似をしてるなぁ」

一歩づつゆっくりと進み。目の前に来ると片目だけ大きく広げ、ゆっくりと手を伸ばし襟を掴んだ。

「あっ、いや、長門さん。これは深い訳が」

「どうせあらかたたまたま言ったセリフが艦娘のセリフに似てる!って調子乗ってたんだろう。なぁ提督」

「あっ、そうです。ハイ」

「食堂の掃除に行くぞ。二人は自室の整理が終わったら廊下でも掃除しておいてくれ。夕飯にゼリーを一個おまけしてやる」

そう言うと長門は提督の首根っこをぶら下げて執務室から出ていった。

残された二人は顔を見合わせると廊下掃除に取り掛かった。

 

ーーーーーーーーーー

 

「はっやーい!ビューン」

怪我を物ともしないで廊下を雑巾掛けしている。ただのかすり傷だ。対して痛くもなかったのだろう。

「あわわ、危ない!」

窓を拭いていたまるゆに直撃!

汚れた雑巾が頭に乗っかる。

「うへぇ」

「あわわ、どうしよう」

まるゆは困った顔をするが、そんな事は気にしない島風。

「へいきへいき。シャワー浴びるついでにお風呂も洗おう」

「…うん」

 

「「お風呂!お風呂!」」

ガラガラと鳴るガラス戸を開ける。

とても広い浴室だ。シャワーが5つに八畳ほどの浴槽がある。

「誰デス?って…何するつもりネ」

「あわわ!金剛さん⁈なんでここに」

「なんでって、ここの掃除を長門さんに頼まれてネ。…暇だったら掃除をするのを手伝うデース…島風は水仕事はよした方がいいんじゃなない?脱衣所を掃除するネ」

「えー、頭が臭いまま?」

「what's?どう言うことネ?」

「実は

 

ーーーーーーーーーー

 

「廊下は走らない。これは鉄則ネ」

「はーい」

「少しはお灸が効いたようネ」

人の注意を聞くようになって感心していると、質問が来た。

「金剛さん。お灸ってなぁに?」

「雪風。お灸というのは…what's?お灸を添えるって注意するって意味ネ。でも、お灸そのものは分からないデース」

 

「あれれ?浮かんじゃうよう」

「あれ?まるゆちゃん。艤装を付けてないのに浮かぶの⁈」

「なんでだろーなー?まるゆぷかぷか」

「島風が抑えれば肩まで浸かるかなぁ」

グイッと肩を押さえるとゆっくりと沈み、肩まで浸かった。

「ありがとう島風さん」

 

『えーえーマイクテスト、マイクテスト。聞こえているならば速やかに食堂へ来るように』

「わぁ、ブラックしれぇの声です!急がないと雪風達が怒られるです」

「そんな事ないデース。多分夕飯が出来たネ」

「それならもっと急がなければ!」

「島風みたいに転びたいデースカ?」

「雪風は走りません!」

「よし、いい子デース」

 

ーーーーーーーーーー

 

「四人共、さっぱりしたか?」

「ええ、お願いを聞いてくれてthank youネ」

「ああ、別に掃除をしてもらったんだ、一番風呂でも入れさせてやるさ」

「くんくん。この匂いは!」

「そうだ。今日のメニューはカレーだ!」

腕を組み私が作ったと言わんばかりにドヤ顔をかます。掃除しかしていないのに。

「長門…作ったのは私だぞ。何ドヤ顔してるんだ」

 

10リットルはあるカレーが瞬く間に消えていった。

戦犯は戦艦の二人と提督である。この3人で5分の4ほど食べた。

それでも、2リットルは食べたのだから小柄といえど艦娘である。

 

「ふんふんふふーん。雪風は〜皿〜を〜洗う。ふんふふふーん。ふんふふふーん」

雪風はおまけのゼリーをもらう為司令官の後片付けを手伝っている。仕方ない、ほかの皆にあげて雪風にあげないという訳にはいかないのだ。

「なぁ、長門、雪風って幾つだ?」

「6歳ぐらいじゃ無いか?」

「それだとして

 

ーーーーーーーーーー

 

「さて、草木も眠るウシミツアワーだが、長門。全員寝静まったか?」

「ああ、提督。それで、なんだ?ただごとじゃ無いのだろう。その目を見ればわかる」

「お見通しか。流石秘書艦なだけはある。なぁ長門、この鎮守府の目的は判るか?」

「それは、新人艦娘の育成と敵の大規模艦隊が来ないかの監視と総司令官が…」

「ああ、お前にだけは言っておく。それは嘘だ。俺たちを騙す…いや、初めからその目的に気付かせておく為のな。総司令官は言ってただろう」

「……まさか。島流しって」

「本土に帰るなって話だろう。おまけにコレ読んでみろ」

黒いファイルを机の上に投げる。

表紙には『project dark』とだけ書かれている。

「ふむ、暗黒計画ですか」

「まあ、直訳すればそうなるかもしれない。ただ、俺は腹黒計画って訳すね。まさにその通りさ」

 




オリ設定

提督
本名 六 虫追(むい むそう)
総司令官の息子。血は繋がっていないが、公表されていない。見た目は三十代前半ぐらい。
幾度の騙し討ちさえ跳ね返すほどの実力者。彼にはあらゆる工作が効かないという。
彼の指揮する艦隊は決して沈まないが最大限の成果を挙げることで有名。チートスペック。自らなろう出身や僕の考えた最強のヒーローと名乗るが、果たして。

総司令官
本名 六 天地(むい あまつち)
生きる伝説とさえ言われる。不死身の老兵。
深海棲艦相手に囮になって仲間たちを逃し、ただ一人海に残ったが無事生還する。たった一人深海棲艦に対抗できる人間。ただし近接戦闘に限る。知略もかなり優れている。
彼の元には肌の白い艦娘が居るとか居ないとか。

長門
提督の秘書艦。No.9
この提督にこの秘書艦あり。命中率は驚異の8割。さらに専用に追加装甲を作っており、大破は愚か中破すらした事がない。ながもん化の能力もある。できる秘書艦オーラを出す事も出来る。
ロリコンでは無い。可愛いものに目が無いだけである。
ボケとツッコミ両方できる。


総司令官の秘書艦。No.1
自分の司令官と違いお淑やかで優雅なレディーを体得している。ちなみに司令官の無茶については諦めている。
現場での指揮は随一。総司令官からやはり絶大な信頼を受けている。
レディーだが、所々で失敗する。だがそれをレディーにカバーする。
何故ならそれがレディーだから。
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