艦coreってあるじゃない。
面白いよね。
うん。
日本国、首都東京
いわゆる日本の心臓である。
ここを深海棲艦の襲撃から守るため、海上自衛隊と海上保安庁との共同組織『大本営』が作られた。
この組織は政府直属であり、高い権限を持っている。
これ程までに深海棲艦による被害は大きく、経済は大きく崩落した。
そして、いくつかの廃墟を潰す形で港区に大本営の施設が作られた。
この国では、近々、首都を京都に戻すべきかの会合さえ行なっている。
安全な内陸部は地価が大きく上昇し、反対に海周辺は大きく下がっている。
そして、首都東京も例外では無かった。
その結果、治安は悪化の一途を辿る。
そんな暗い街に一人の男が訪れた。
ーーーーー
「分かった分かった。ノーカウントだノーカウント。な?な?」
「しらばっくれるんじゃねぇ!」
「おっと、おいたはよしてくれよ」
だが男の拳は顔面に当たる。クリーンヒットだ。
「あんた正気か?」
「ああ?もういっぺん殴ってやる」
だが、男の拳が当たる前に、さっき殴られた男が腕を上に上げて弾く。
弾かれた隙に思いっきりお腹を殴る。
「ぐぇぇぇえ」
「な、おいたはよしてくれって言っただろ?」
スキンヘッドの男はそういうと、路地裏に消えてった。
腹パンされた男はただ闇に消える彼を見る事しか出来なかった。
ーーーーー
「はぁ、あっちにもコッチにも放棄されたビルがあってまぁ!」
道端にポイ捨てされたジュースの空き缶を蹴りながらしみじみと言う。
さっき殴られた顔面がズキズキするが、そんな事は毎日だ。
「いつの時代も人の欲とは変わらないものだな」
さっきも道端に仕掛けを仕込んだ財布を置き、拾った人に自分の物だと声をかけ、返してくれたら何もしない。返さなかったらスイッチを押して電流を流したり、水浸しにしたりという子供騙しな悪戯だ。
「無欲な俺にはとんとわからぬ話だがな。よっ、」
ははははっと笑い声を上げる。蹴り上げた缶が自販機のゴミ箱に入る。
「ストライク」
彼の話はもはや一部の界隈で有名だ。
ボロ屋を借りて暮らし、金銭はその日限りのバイトをしたり、拾ったもの釣ったものを売って稼ぎ、暇さえあれば先程の子供騙しな悪戯をする。
そんな彼に親しみを持ってこう呼ぶのだ。『鉄板のパッチ』と。
ーーーー
「ニヒヒ、今日はこれだけか…。ええと、1、2、3、4。五千円…まぁ、8時間でこれじゃあ妥当だな」
「それは、正当に稼いだ奴ですか?」
目の前にちんまい子供がいる。
彼から見れば頭三つも背が小さい。
この治安の悪い地域の薄暗い路地裏に居るとなれば何か裏があるだろ。
「なんだ?ガキンチョ。お前にはやる分は無い。とっとと帰るんだな」
「お金なんて要らないよ。なんせたんまりある」
そういうと持っているバッグから財布を取り出し、諭吉様を3枚も見せびらかした。
「おうおう、悪い事は言わない。早くしまえ、ここは治安が悪いんだ」
「それよりも、そのお金の出所が気になります。本当に稼いだのですか?」
「ああ?だから、そうだって」
「これを見た後でも?」
「ん?なんだ?」
タブレット端末を渡され、とある動画を見せられた。
ツルッパゲの男が相手に殴られた後に、2回目のパンチを弾いて腹パンする動画だ。
「って、こりゃ、さっきの奴じゃ無いか」
「だからです。貴方、ああやってお金をすって稼いだ訳でしょう」
「んな、お前、警察か?まさか…取り立てじゃ無いよな。俺のなけなしのお金の」
「今のご時世に取り立てなんてあり得ないでしょ、おまけに臭いも酷いし、まぁ慣れてはいるんです。臭いには」
「はぁ。で?バイトっても、その日限りの草むしりとか、荷物運びだとか、色々だけどな」
「やっぱり盗んだんですね」
「盗んで無いだろ。どう見ても、この顔が盗む顔か?」
「ええ、財布を道端に置いて、何をするのかと思いきや持ち帰ろうとした相手を冷やかして殴る。貴方の常套手段です」
「常套手段ってそりぁないぜ。盗んでないと何度言わせれば良いんだ。俺は無欲なんだ!」
にしし、と少女が笑う。
「冗談ですよ冗談。貴方、あんな事してる割に純粋ね。何か目的があるの?」
「…は?」
ツルツルの顔を真っ赤にして言い返す。
「まさか、今日一日中、尾行してたって訳じゃ無いよな」
「…今日一日中じゃなくて、1週間前からです」
「はぁ?マ、マジですか?あんな事やこんな事を…見たんですか?」
「ええ」
目の前の少女はタブレットを見ながら淡々と話す。
ここ1週間の仕事の内容。
朝昼晩の食べた物。
立ち寄ったお店、買った物。
言い終わる頃には彼の顔は意気消沈していた。弱々しい声で質問する。
「……で、何か用事でもあるのか?わざわざ尾行していた相手に出会うとはよ」
「はい、とある件で、貴方に来てもらいたいんです『鉄板のパッチ』さん」
「そこまで知ってるのな」
「有名ですよ。バイトでやった金を気持ちいい具合にばらまくんですって」
「そりゃ、良いじゃ無い。こんなご時世にヒーローが現れるんだからよ」
「ふふ、ヒーローですか」
「なんだ?おかしいのか?」
「いいや、いいなぁって思って」
「?」
「まぁ、ともかく、貴方に目星を付けてたんです。ヒーローさん」
「お前!大人を揶揄うのは大概にしろよ!」
「残念、私は大人です」
「嘘だろ」
「本当です」
「う…」
「本当です」
「…」
「本当です」
「何も言ってねえよ」
「まぁ、とにかく貴方に用があります。問答無用で来てもらいます」
少女はパッチの腕を掴み、引っ張っていった。
ーーーーー
「はぁ、政府のお偉いさんだとはね」
黒塗りの高級車に乗りながら呟く。
もちろん、運転席には先程少女が座っている。
「まぁ、そこそこの立場ですよ」
「はぁ、そんな位の人がなんで俺なんかに」
「貴方だからです」
「ふーん、って、この先は行き止まりだぞ」
「言ったでしょう。そこそこ地位だって」
「……!。完全に、政府の機密組織じゃ無いか!」
「ええ、ここに来たからには、タダでは逃がさないですよ」
「…え、ちょっと。そりゃないでしょ」
「うーん、機密性の高い組織だからなぁ〜、どうだろうなぁ〜」
「おいおい、よしてくれよ。俺は無欲なんだ。金はいらない。帰してくれ」
「残念。もう敷地内です」
「…マジか…、お前、すごい自由気ままだな。はぁ」
「にひひ、絶対に逃がさないですよ」
「はぁ、どうなってるんだ。俺みたいな奴がいるってなんだか」
車は地下に入り、複雑な道を登り降りする。
彼のため息はもう地上に届かないだろう。
ーーーーー
「では、ここで待っていて下さい。逃げたら、って逃れるはずは無いんですけど」
案内された客間は非常に豪華だ。
さらに、屈強な男の警備員が二人、腰には拳銃。
ガチガチの警備だ。
「おい、はぁ」
頭を抱えて悩む。どうするべきか。ここはどんな組織なのか。
「なぁ、警備員さんよ。ここは何処だ?なんなんだ?」
「私にそれを言う権利は有りません。とりあえず、ドアから向こう側の席に座っていて下さい」
「チッ、つれないぜ。俺みたいな薄汚い男の何が良いんだか?」
悪態をつきながら渋々座る。
「なんで俺なんだ?」
「私達に多くは知らされていないので」
「…はぁ」
「まぁ、貴方の悪名というかなんというかは聞いていましたが」
「……終わったな」
そういうと、天井の模様を数え始めた。
ーーーーー
「お待たせしました」
「…!………!」
「どうしました?」
口をパクパクするだけで声が出ない。
何を言おうと目の前にはセーラー服を着た少女がいる。
どう見ても犯罪的である。
そんな彼女は向かいの席に座った。
「私の名前は春雨。ここで最前線で戦っています」
「…成る程…。ここは吉原だな。知ってるぞ」
「殴りますよ」
「じゃあその格好はなんだよ」
「制服です。セーラー服。海兵隊の衣装ですよ」
「それは知ってる。その格好はなんだ?」
「だから、私は海兵隊です!艦娘!聞いたことあるでしょ」
「…艦娘⁈…」
「そうです。最近タレントだとか色々活動していて有名でしょう。あの『暴食王赤城が行く海の幸山の幸』とか『吹雪の毎日日記』だとか」
「艦娘…」
ツルツルの頭をコンコンと叩きながら悩む。
「?」
「分からん。知らん。聞いた事ない!」
「え⁈今や国民的人気を獲得し、テレビ番組に引っ張りだこですよ」
「そもそも、俺の家を覗いた割に気付かないのか…。うちにはTVもラジオも、ケータイも無い!貧乏だから」
「あっ…」
すごい憐みの目で見つめている。
春雨は、懐から20枚の諭吉様を取り出す。
「これで、どうか」
「要らん。人にそんな物をやるな」
「そう言わずに」
「俺は帰る!ここにいるとやたらと惨めな思いになっちまう。豪華な部屋に、屈強な警備員、おまけに金持ちの可愛い子娘ときた、なんだよこんな事をやってる奴は!欲深いな」
席から立ち上がりドアの前に行こうとする。
空かさず二人の警備員がドアの前に立つ。
「どけ」
「ダメだ」
「どいてください」
「ダメです」
「どいていただけませんか?」
「ダメです」
ぐぎぎぎ。と歯軋りをする。
渋々と元の席に戻った。
それをニコニコと春雨が見ていた。
「やっぱり調べた通りですね」
「このストーカーめ」
「何とでも。貴方はもうここからただでは、出られないんですよ」
「…」
「よろしい。さて、紆余曲折ありましたが、貴方が落ち着いた所で本題に入ります。パッチさん。貴方には提督、即ち私たちの司令官になって貰います」
オリ設定
東京大鎮守府
東京湾に沿う形で基地が9つ配置されている。東京湾の奥地にある基地は、防衛面で見てもとても立地が良いため、大本営の本部が置かれている。
総司令官は港区に作られた基地に暮らしており、休暇になると別荘で過ごす。
極秘施設が多くある為、入るためには複雑な形状をしたトンネルを通らなければならない。
まぁ、上から入れたりするが。
ボロ屋
漁師に拾われたパッチがその元漁師から借りている家。海に近い川沿い。
電気ガス水道は完備してあるが、水道以外、契約していないため、止まっている。
調理や湯沸かしはカセットコンロか焚き火。
風呂は週に3回、遠くの銭湯に行く。
艦娘タレント
一部の個性的な艦娘をタレントとして起用。
艦娘や鎮守府といった軍事的な物に対しての嫌悪感を減らす為の作戦。
タレントとして出ている彼女たちは熟練であり、ロケ中に出撃し番組が中止することもある。
それでも根強い人気があるため、引っ張りだこである。
『暴食王赤城が行く海の幸山の幸』
空母赤城が実際にその地域の人達と海に潜ったり、山で狩りをして食材を調達し、赤城自ら調理する番組。
調理指導は鳳翔さん。
赤城が居ない時には謎の弓の達人『Ms.ミサキ』が登場し、海だろうと山だろうと矢を放って、食材を調達する。謎である。
『吹雪の毎日日記』
形式はバラエティ番組に近い。司会は吹雪。吹雪型の誰かとゲストで地方を歩いたり、大食いにチャレンジしたり、創作料理チャレンジなど、比較的にのんびりとした番組。
しかし、三ヶ月に一度、ゲストで謎の『ながもん』と呼ばれる人物が登場すると、状況は一転、捕まったら罰ゲームをクリアしないと逃げられない戦場と化す。