仮面ライダーゼロワン外伝 「仮面ライダーバンバルカン」 作:不破コラ違反者
「滅亡迅雷!」
突如現れた滅、迅、暗殺型ヒューマギアの三人に諌は叫ぶ。イズを庇うように前に出た或人と並びたちショットライザーのない代わりに拳を握る。
「今日は君たちと遊びに来たわけじゃないんだ。用があるのはそっちのバルカンだよ」
迅は無邪気に笑いながらイズの横に立つイサムを指さした。
「もう一人の俺に何の用だ!」
困惑するイサムの代わりに諌が吠える。今ここで彼らに変身されれば勝ち目がないのは百も承知だが引くわけにはいかなかった。
「あはは、もう一人って、面白い言い方するんだね。人間って」
「面白いー!」
「黙れぇ!」
怒りで顔を歪ませながらも視線は彼らを射抜かんとばかりに諌は鋭く睨みつける。
これまで傍観していた滅が何かに気づいた様子で口を開いた。
「どうやら気づいていないようだな……。迅、教えてやれ」
「おっけー!」
「気づいてないってどういうことだよ!」
すべてを見透かしたように笑う滅に怒りを募らせていた或人はたまらず叫ぶ。
「あのね、そこにいるバルカンは僕たちが本物のバルカンを殺すために作ったコピー。 滅お手製のヒューマギアなんだよ」
驚きの事実を前に三人はイサムを見つめた。
滅が見せつける様に指を鳴らすとイサムは呻き苦しみ始め目が赤と青に明転する。そして、これまでその姿を隠していたヒューマギアモジュールが音もなく露出して状態異常を示す赤に染まった。
「そんな!? もう一人の不破さんが、ヒューマギア!?」
「ある程度予想はしていたが、お前たちの仕業だったか! それも俺の偽物ヒューマギアなんてふざけた真似を」
左手を強く握りしめるが、プログライズキーが手元にないことを再度認識して無力さを思い知った。
「あり得ません。ヒューマギアである私の目を盗めるわけが――」
「ヒューマギアの認識など当てにはならない。所詮はデータ。いくらでも改ざんできる」
ヒューマギアである自分を出し抜けるはずがないというイズに滅が反論した。
滅亡迅雷.netという未だ正体不明の謎の勢力に属し、高度なセキュリティを誇るヒューマギアを容易くハッキングし意のままに操ってしまうことのできる彼に言われしまえば言い返すことが出来なくなってしまう。
動揺が三人の中に走る中、一番戸惑っていたのはイサム自身だった。
「俺がヒューマギアだと……。嘘だ、そんなデタラメ信じられるか!」
「あはは、あの雷で記憶がおかしくなってるみたいだね。いいよ、君が僕たちの仲間だってこと、しっかり教えてあげるよ」
迅はそういい終える前に素早く駆けだし諌と或人を飛び越えた。咄嗟のことで反応の遅れた二人はすぐさま後を追おうとするがいつのまにか接近していた滅と暗殺ヒューマギアに倒されてしまう。人間離れしたスピードを発揮できるイズだけがイサムを庇うため立ちはだかるが、迅が手にした拳銃を鈍器のように振るったため引きはがされてしまった。
「お帰り、偽バルカン」
【フォースライザー……!】
抵抗の暇など与えぬまま迅はがら空きのイサムの腰にフォースライザーを押し当てた。裏側が棘だらけの見るからに危険なベルト帯が飛び出し腹部に巻き付き装着される。
「ウウッ!? ウガァァァ!」
襲いかかってきた激痛にイサムが悶える。否、痛覚のないヒューマギアである彼にとってそれは痛みではない。膨大な、尋常ではないおびただしいほどのデータの濁流。『人類を抹殺せよ』というアークの邪悪な意思が自分という存在を悪意のデータで上書きするべく恐ろしい速度で刻み込まれていく。
「グッ、アアァァッ……」
苦しみから膝をつくイサム。イズの介抱を跳ね除け外れることのないベルトに触れようともがく。
「やめろぉぉぉぉぉ!」
たまらず或人が駆け寄ってくる。迅を排除するべく拳に力を込め振り上げるが、彼は読んでいたのか寸前のところで回避して元の滅がいた場所へと戻った。
「おい……、大丈夫かよ不破さん んっ、ぐあぁぁぁ!」
「ゼロワン、カッコ悪ーい!」
或人はイサムの腰につけられたフォースライザーを外そうとするが放たれた赤い
電撃の反撃にあい吹き飛ばされる。あはははと笑う迅の声にすぐさま立ち上がって。
「お前ら、同じヒューマギアなのにどうして……」
「前にも言ったはずだ。これはアークの意思だとな」
「全部アーク様の言いなりかよ」
「そうだ、それ以外に何がある」
「お前ら、自分の意思ってものがないのかよ!」
アークに従うのが当然を言い放つ滅に或人は叫んだ。普段のおちゃらけた様子は今やなく、その眼は、自らが社長として守るべきヒューマギアを傷つけられた怒りと悲しみに満ちていた。
「確かに、この不破さんはお前たちの作り出した存在なのかもしれない。だけどな、それでもこの人は見ず知らずの困っている人を助けるために自らの意思で行動したんだよ! それは自分の意思によるものだ。決してお前らなんかにプログラムされた結果じゃない! 自分で考えて、行動して、ラーニングした結果なんだよ!」
「し、社長……」
腹部の苦しみに耐えながらイサムは或人の言葉を聞いた。自身のモデルである不破諌よりも年下の彼だがその言葉にはどこかとてつもない信頼感を感じることが出来た。
――こいつになら、任せられるかもしれない。
何を任せたいのかまでは浮かんでこなかったが、自分にもしものことがあっても彼がいれば悪いことにはならない。そう思えた。
「下らん。愚かな人間の戯言だ」
「お前にはそう聞こえるだろうな――だから、お前たちにもう一人の不破さんは渡せない」
【ゼロワンドライバー!】
或人は懐から変身ベルト『ゼロワンドライバー』を取り出した腰に装着して身構える。
「お前たちは、俺が止める!」
【ジャンプ!】
黄色いデバイス『ライジングホッパープログライズキー』のスイッチを入れた。
「いいだろう。ゼロワン、まずは貴様から亡き者にしてやる」
「勝負だー、あははは!」
「ゼロワン、あんさつー!」
或人に対抗すべく滅と迅は『フォースライザー』を暗殺ヒューマギアは『ゼツメライザー』という不気味なバックルを取り出して腰に巻き付けた。
「今こそ聖戦の時……」
【ポイズン……】
【ウィング!】
【ドードー!】
三人はそれぞれ『スティングスコーピオンプログライズキー』『フライングファルコンプログライズキー』『ドードーゼツメライズキー』を起動させる。
【オーソライズ!】
或人はベルトのオーソライザーにプログライズキーを接触させロックを解除。待機音が流れ出すのと共に大気圏外にある『衛星ゼア』がベルトからの認証を受け黄色の目映いエネルギー体として巨大なバッタの『ライダモデル』を打ち出す。
巨大バッタが辺りを飛び回る中心に立つ或人は両手で大きく円を描くように動かして正面で交差させる。そして、素早くキーを展開しつつ顔の横に構え。
「変身!」
【プログライズ!】
直後、或人の姿が黒いパワードスーツ『ライズアーキテクター』に包まれ、その上に粒子化されたライダモデルが強化アーマーとして装着される。
【飛び上がライズ! ライジングホッパー!】
【A jump to rhe sky turn to a rider kick】
目映き光が晴れるとそこに立っていたのは飛電或人という青年ではない。蛍光イエローのバッタの力を宿した戦士――『仮面ライダーゼロワン』がその姿を現した。
同タイミング、滅亡迅雷もまた仮面ライダー及びマギアへの変身を遂行する。
滅と迅は手にしたプログライズキーをベルトに装填。耳を突きさすような警告音と共にゼロワンの物よりやや小さめのサソリとハヤブサのライダモデルがベルトより出現。主の前に立ちゼロワンを牽制する。
「変身……」
「変身!」
二人がベルトのレバー『フォースエグゼキューター』を引くと『エクスバンドジャッキ』の力でプログライズキーが認証されることなく強制展開。サソリは尻尾で滅の胸部を突きしながら、ハヤブサは迅の身体を翼で抱くように覆い被さった。
【フォースライズ! スティングスコーピオン!】
【Break down】
滅の身体が紫の強化スーツに包まれ結束バンドで装甲を縛りつける様に装着し彼の姿を『仮面ライダー滅』へと変身させた。
【フォースライズ! フライングファルコン!】
【Break down】
迅の身体もまたマゼンタの強化スーツに包まれたのち装甲を全身に纏い『仮面ライダー迅』への変身を完了する。
暗殺ヒューマギアはゼツメライズキーをゼツメライザーに装填。待機音が流れるのを待たずに左側面のボタンを押し起動させる。
【ゼツメライズ!】
「あんさつ……、うおおおぉぉぉぉぉ!」
暗殺ちゃんが身をかがめるのと同時に彼の身体はヒューマギアとしての素体をむき出しにして、口部から血管にも似た赤いコードを吐き出し全身に絡みついていく。彼が鳥が羽を広げるイメージで勢いよく立ち上がるのと同時に彼は『ドードーマギア』への変身を完了した。
「行くぞ……」
「行くそー! わはは!」
「どーどー……!」
弓の武器『アタッシュアロー』を構えた滅の一声で戦闘が開始される。
一体でも厄介な強敵が一度に三人に対しこちらは変身できない諌を入れても二人。おまけにアークによるハッキングの苦しみで動けないイサムがいるため有利に立ち回ることが出来ない。
それでも、ゼロワンは負けるわけにはいかない。
「行くぞ! はぁぁぁぁぁ!」
剣の武器『アタッシュカリバー』を構え立ち向かう。
変身できないことにもどかしさを感じる諌と苦しみに必死に耐えているイサム、イズが見守る中でゼロワンは駆けだした。
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