仮面ライダーゼロワン外伝 「仮面ライダーバンバルカン」   作:不破コラ違反者

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今回で最終話となります。


最終話

 「やれ……」

 

 滅がマギア達にバンバルカンを迎え撃つよう命令を下した。彼らは統率された動きで陣形を整え銃口を向けた。しかし、十を超える機械兵たちを前にしてもバンバルカンはひるむことなく駆ける。

 

「うおぉぉぉぉぉ!」

 

 無数の銃弾の中へ切り抜け勢いに任せ突撃する。射撃のために集まった雑魚の群れなどバンバルカンには格好の獲物でこれまでのうっ憤を晴らすかのよう暴れまわる。

 

「おおぉぉぉ! はぁぁぁぁぁ!」

 

 強烈なパンチで頭部を砕き背後の敵を肘打ちで撃破する。そのまま動かなくなったマギアの身体を振り回しなぎ倒す。倒れてもなお動ける者は踏みつけて機能を停止させる。

 

「どうしたぁ!? この程度かぁ!」

 

 腕を前に向け銃弾を撒き散らす。強烈な炸裂音が場を支配しマギア達は声なき断末魔を上げて倒れていく。

 

「うぉぉぉぉぉぉ!」

 

「ここまでか。暗殺、あとは任せる」

「暗殺ちゃん、頑張ってー!]

 

 腕を右へ左へ振り回し敗走するマギアを一匹たりとも逃すことなく仕留めるバンバルカン。いつしか、倉庫を埋め尽くすほどいた雑兵はその数を片手で足りるほどまでに減らしていた。

 戦況を見て分が悪いと判断した滅はドードーに指示を出してその場を後にした。

 

「はあゃぁぁぁぁぁ!」

「どーどー!」

「くっ……お前!」

 

 妨害してきたドードーと揉み合いとなる。

 あちらは切れ味抜群の剣を両手に持ち、たいしてこちらは破壊力抜群の機関銃を両手に持っている。ただし、こちらは相手の手の内を知っているのに対してあちらは完ぺきにこちらの性能を把握できていないため有利なのバンバルカンのほうだった。これなら、間合いが近かろうと勝てる勝負なのだが身体の方が許してはくれなかった。

 

(くそっ、腕が痺れて射程が定められない)

 

 バンバルカンのデメリット。それは強力な銃をその身に塔載しているため反動もダイレクトに身体を襲い、激しい痺れが感覚を鈍らせていた。

 

「ぐっ……!」

 

 ドードーの一閃がバンバルカンの胸を切り裂いた。相手は早くもこちらを見極めつつあった。もはや一刻の猶予もない。

 

(どうする……)

 

 仮面の中で冷や汗を浮かべつつ、地面を転がり距離を取って作戦を練る。すると――

 

「不破、これを使え!」

「不破諌さん、これを!」

 

 刃の声が耳に届き、彼女のほうを向いた。

 唯阿はいまやバンバルカンの広範囲攻撃から身を隠すため「一か所に集まっており、イサムを守るようにショットライザーを構えていた。

 彼女は声と共に隠しもっていたらしい『パンチングコングプログライズキー』をイズはアタッシュカリバーを投げ渡して来た。

 二つを受け取った際にも痺れは走るが、先ほど見えたイサムの顔が浮かぶ。自分を信じてくれているもう一人の自分。自分の期待だけは裏切るわけにはいかない。

 

【パワー!】

【Progrise key comfirmed. Ready to utilize】

【コングアビリティ!】

【チャージライズ!】

 

 軽快な待機音が流れると共にドードーはバンバルカンめがけ突撃する。

 

「どーどー!」

 

 剣を片手に勢いをつけるがバンバルカンは動じることなく剣の力を解き放った。

 

【フルチャージ!】

【パンチングカバンダイナミック!】

 

「はあぁぁぁ!」

 

 地を砕くように剣を叩きつける。白いエネルギーの斬撃は蛇の如く地中を駆け回りドードーの目下でゴリラの拳となって飛び出し吹き飛ばした。

 倉庫の端から端に飛ばされたドードー。その身体は至るところから火花を散らし胸には巨大な穴が空いていた。そして――

 

「あ、あんさつ~!」

 

 断末魔を上げてドードーは爆散。巨大な火柱となりその姿をこの世から消した。

 

 

 

 

「か、勝った……のか」

 

 イズに身体を支えられながら或人は危機が去ったことに安堵する。これで本当に一件落着かに思われたが。

 

「うっ、うおおおぉぉぉぉ!」

 

 突如、イサムが苦しみの声を上げた。近寄ってくる唯阿を制したままイサムはヒューマギアのボディをむき出しにしてトリロバイトマギアへと変身した。

 

「そんな……、不破さん!」

 

 既に満身創痍で気を抜けば倒れてしまいそうな或人だが暴走したイサムの前に必死に食らいつく。

 

「人類ハ、ヒトリ残ラズ滅亡セヨ!」

「うわぁぁぁ!」

 

 或人をイズの元へと投げ飛ばし、矛先をその様子を黙って見つめていたバンバルカンへと向けた。

 仮面越しに、片や人としての目を失いながらも二人は静かに見つめ合う。

 最初は、銃口を構えていた唯阿がその異常な光景を前に腕を下ろした。

 

「…………」

「…………」

 

 どちらもピクリとも動くことのない時間が過ぎる。

 そして、トリロバイトがその首を曲げ、静かに、頷いた。

 

「…………ッ」

 

 バンバルカンはそれを見ると静かにゆっくりとベルトのレバーに手を伸ばし、引いた。

 同時に、トリロバイトがバンバルカンに向かい突っ走る。剣も銃も持たない拳一つ、己の身一つで。

 心臓の鼓動に似た待機音が流れる中、バンバルカンは助走をつける様に、獲物を狙う獣のごとき体制で力を溜める。

 

【シューティングディストピア!】

 

 レバーを再度引き地面を踏み砕く。青いオオカミのオーラを纏いて飛び上がり、一回転したのちに弾丸のごとき必殺パンチを顔面に叩きつけた。

 無言のまま、マギアを貫く。地面を抉りながら、停止して背後で聞こえる微かな断末魔に耳を澄ませる。

 しかし、思いのほか静かに――一瞬時が止まって互いに変身を解除したように感じた後――滅亡迅雷の手先、トリロバイトマギアは跡形もなく吹き飛んだ。

 

 

「不破……」

「不破さん……」

 

 彼の身を案じる二人。

 バンバルカンは変身を解除しようとベルトに手を伸ばすが、それよりも先に火花を散らして吹き飛んだ。

 

「ぐっ……!」

 

 苦悶の声を上げ、その場に膝をつく諌。彼の下には砕け散ったフォースライザーが煙を上げて転がっていた。

 

「不破さん、大丈夫か!?」

 

 心配になった或人は諌に駆け寄るが彼はうっとおしそうにそれを払いのけた。

 

「問題ない、気にするな……」

「えっ!? でも……」

「俺は鍛えてるからな。このくらいなんでもない」

 

 或人の肩に手を置き、軽く礼をするとその場を後にする。そして、唯阿とすれ違いざまに。

 

「今日は災難だったな。自分が二人いるなんてな」

「刃……」

「町中で人助けをしたそうじゃないか。私がお前の異変を知ったのはそこからだ」

「なるほど、人の口に戸は立てられないか」

「あぁ、それ以外にも色々と話が聞けたよ。お前、ずいぶんとはしゃいでいたらしいな」

「まぁな、でもよかったとは思っている」

「よかった?」

「あぁ、俺がこの先どうなろうと二人になろうと俺は俺だ。それだけは決して変わらない。

 不破諌はその存在がヒューマギアであっても人間であっても全ての敵をぶっ潰すまで止まらないということだ」

 

 倉庫を背に諌はそう言い残し街へと消えていく。残された唯阿はその背中を見えなくなるまで見送って。

 

「人間だろうと何であろうと、か……。その言葉信じているぞ、不破」

 

 唯阿がそう呟いた言葉は、彼の耳に届くことなく風の音で消し去られた。

 

 

「もうこんな時間か……」

 

 事件が全て片付いたころにはもう日付は変わる変わりかけていた。

 

「明日は、流石に休むか……」

 

 全身に走る痛みからそんなことを思うが、ふと、握りしめていたそれに視線が向いた。

 

「いや、明日もお仕事頑張りますか……」

 

 諌の握りしめていたもの。それはイサムの託してくれたもう一つのウルフのキー。既に半壊して修理すら不可能で(仮に渡せば証拠として押収されてしまうだろう)ガラクタ同然だがそれは不思議とボロボロの身体に力をくれた。

 今日は自室に戻るのを諦めA.I.M.の仮眠室で疲れを取るべく足を動かす。明日も活動するために、もう一人の自分に恥じぬ活躍をするために。

 




これで完結です。
皆様ありがとうございました。
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