ガールズ&パンツァー 宮舞高校戦車整備科   作:キングコングマン

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派遣先決定

 

 模擬戦から翌日、宮舞高校戦車整備科では今日とて戦車の整備に勤しんでいた。昨日の模擬戦で損傷した戦車を直している者、それがすでに終わり、他の戦車の整備をしていたりする者など様々である。

 

 「あ゛ークソ、こんなにしよってからに、ここまでせんでも良かったじゃろうが、のぅ八潮」

 

 久我は悪態をつきながら自身の戦車の履帯を交換していた。

 

 「たまたま当たったとこが悪かっただけですよ、こっちは二発しか当てて無いんですから。……うわっ、ラジエーターまでイカレちゃってるよ……」

 

 久我車の隣で自身の戦車の修理をしていた八潮がそう答える。

 

 「その二発が致命的なんよ、しっかり履帯と燃料タンクにぶち込みよって」

 

 「褒め言葉として受け取っておきますよ」

 

 「はっ、なんじゃ、可愛く無いやっちゃのう」

 

 そう言って両者とも自身の整備に戻って行く。

 

 

 

 「……車輪はまだしも土砂を擦った右履帯が大分キてるな、交換するか?」

 

 「うん、そうだね右だけの交換にしよっか、他は大丈夫そうだね」

 

 一方こちらは浅井車。浅井と柴原は自車の損傷を再度確認しながら相談している。

 

 「これなら午前中に終わりそうだな。浅井、これが終わったらチリの動作チェックに付き合ってくれないか?」

 

 「うん、良いよ。ならさっさとと終わらせちゃおうか」

 

 そう言って両者も整備に戻って行く。

 

 

 

 「あー、終わらない!やりすぎなんすよ誠さん!」

 

 一方こちらは前山車。頭を抱えながら悪態をつくのは当事者の前山だ。

 

 「しょうがないですよ、観念して全部交換しましょう」

 

 そう言って黙々と壊れたパーツを取り除いて行くのは前山車の装填手を務めていた1年だった。

 

 「いや、ほんと全部交換した方がいいんじゃないかな……ってゆうか廃棄して新しいの買った方がいいんじゃないか?これ」

 

 諦めるかの様に前山がそう言うと、そこに後ろから一つの影が現れる。

 

 「何言ってんの前やん、ウチの高校にそんな許可下りるわけないっしょ」

 

 そう言って前山の肩をポンと叩いたのは古葉だった。

 

 「うわ!隊長、いきなり現れないでくださいよ!」

 

 前山はびっくりして古葉の方に振り返る。

 

 「まえやんが自前で戦車買うなら話が別だけど」

 「個人で買えるわけ無いじゃ無いっすか!……はぁ、そうっすよねぇ……全交換かぁ……」

 

 新しい戦車が来ないと知り、ガックシと項垂れる前山。

 そう、宮舞高校では【戦車整備】を主としているので戦車の備品などは発注すれば直ぐに来るが、戦車自体がここに来る事は滅多に無いのだ。前山は言葉を続ける。

 

 「分かってはいるっすけど、これを全部やるとなったら誰だってゲンナリするっすよ……」

 

 前山が下を向き目に見えて落ち込む。

 

 「まあ、そう言わないで、今日の整備が終わったら派遣研修先を発表するからそれまで頑張ってよ」

 

 古葉からそれを聞いた前山は落ち込んだ表情から一転、勢いよく顔を上げ目を輝かせる。

 

 「ホントっすか!?いやー、やっとっすね!!最近はこれが楽しみで気が気でなかったんすよ!!因みに俺の第一希望は通ったっすか!?」

 

 前山が興奮しながら古葉にそう聞く。

 

 「まぁまぁ、それはその時になってのお楽しみって事で、今回はなるべく期待に沿えるようにしたからね」

 

 「マジっすか!?おっしゃー!!みんな!この戦車の整備3日で終わらせるっすよ!!!」

 

 そう言って勢いよくレンチを回す前山であった。

 

 

 ____________

 

 

 時刻は午後7時過ぎ、ミーティング室にはすでに片付けを終えた、整備科のメンバーが全員集まっていた。皆してどこか忙しない。

 

 「よお、やっつん、やっとだな」

 

 そう言って小声で八潮に声をかけたのは待ちきれんと言わんばかりにウズウズしている前山だった。

 

 「……お前は相変わらずだな、そんなに楽しみか?」

 

 「そりゃもちろん、なんたって今年は憧れの聖グロに行けるんだぜ」

 

 前山は下心満載のデレデレとした顔を浮かべながらそう言った。

 

 「そりゃお前の第一希望でしょ、通ったかどうか分かんないじゃん」

 

 「ばっかお前、俺はさっき隊長に直々に『期待しておいて』って言われたんだぜ、聖グロに決まったようなもんだろ」

 

 「...そっか、まあ頑張れ」

 

 八潮は隊長が前山にはっきりとした校名を言わなかった事に違和感を覚えながらも短くそう返す。

 

 その時、ミーティング室のドアが開かれ全員の注目を集める。入ってきたのは古葉と片手に紙の入ったファイルを持った柴原だった。

 二人が教壇に向かっていくにつれて緊張感が増してゆく。そして書類を整理した後、喋り出したのは柴原の方だった。

 

 「これから派遣研修先の人員の振り分けを発表する。今回の高校数は9校、マジノ、継続、知波単、アンツィオ、プラウダ、聖グロ、サンダース、大洗、黒森峰だ。人員は各校に5、もしくは6名、呼ばれたら返事をする様に」

 

「「「「はい!!!!」」」」

 

 一斉に返事をしたのを確認すると柴原はファイルから紙を取り出し、言葉を続ける。

 

 「それでは早速発表する。呼ばれたらプリントを渡すのでこちらに来るように。まずはマジノ女学院、1年、大山!」

 

 「はい!」

 

 「同じく1年、宮坂!」

 

 「はい!」

 

 

 

 それぞれの名前が次々と呼び出され整備科の面々は様々な反応をする。第一希望が通って喜ぶ者、通らなくて落ち込む者、微妙な顔をする者、反応は色々だ。

 そんな中、八潮は呆然としていた。大洗への発表になっても彼の名は呼ばれなかったのである。

 そして、人員の発表を終えると、柴原が一息ついて再び声を発する。

 

 「以上のように決定だ。文句のある者は隊長に申し出るように。そしてこれから隊長から各高校の整備班長の名を呼ぶ!班長は派遣研修のリーダーだ、各員は班長の指示に従い行動する様に!」

 

 「「「「はい!!!!」」」」

 

 八潮は『まさか...』と心の中で呟いた。2年生である自分が班長な訳が無い、そう自分に言い聞かせながら祈るようにして古葉の言葉を待つ。

 柴原からプリントを渡された古葉は不敵な笑みを浮かべ、すぅっと息を吸うと班長になった者の名を呼び始める。

 

 

 「それでは整備班長の発表をする!まずはマジノ女学院、3年、飯島拓哉!」

 

 「はい!」

 

 

 

 「継続高校、3年、井森陽太!」

 

 「はい!」

 

 

 

 「知波単学園、3年、福井健剛!」

 

 「はい!」

 

 

 

 「アンツィオ高校、2年、前山翔吾!」

 

 「え!?」

 

 

 

 「プラウダ高校、3年、久我龍平!」

 

 「おう!」

 

 

 

 「聖グロリアーナ女学院、3年、浅井誠!」

 

 「はい!」

 

 

 

 「サンダース大学付属高校、3年、柴原樹!」

 

 「はいよ」

 

 

 

 「大洗女子学園、2年、八潮学!」

 

 「は、はい!」

 

 

 

 「そして最後の黒森峰女学園には自分、古葉が班長だ。これにて整備科全47名の派遣研修先を決定、発表を終了とする!」

 

 

 いつもとは違う威厳のあるハキハキとした声で古葉はそう言い終えた。約二名、納得していない顔をしている者がいるが、それに構わず古葉の隣にいた柴原が再び声を上げる。

 

 

 「総員、敬礼っ!!!」

 

 「「「「はっ!!!」」」」

 

 

 

 

 これにて派遣研修の行先発表が終了した。

 

 

 

 




今回は短め
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