白い鷺は理系擬きの幼馴染みを想う   作:ネム狼

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今作の千聖はロシア語喋りますのでご注意下さい
地の文のロシア語とかはスルーしても大丈夫です


本編
理系擬きと女優アイドルの密会


 教壇に立ち、教鞭を振るう。教師になって1年になる。担当教科は現代文、俺はこう見えて文系だ。しかし、俺はあるものを着ている。それは……白衣だ。

 

「二ノ宮先生、質問なのですが……何故白衣を?」

「質問……。何故白衣を着ているかだと?それはだな、気に入っているからだ。これは自分で買ったものだ」

 

 俺に質問をしたのは白鷺千聖という生徒だ。そして質問に答えたのは……この俺、二ノ宮千秋だ。白衣を着ているのはいいが、俺は何故か理系が得意そうと言われる。それが原因で生物や科学を教えて下さい、と言われることが多い。

 

 しかし、その頼みは全て断っている。そのせいか、俺はこの花咲川女子学園に赴任して3ヶ月でこう呼ばれた。

 

 

――理系擬きの二ノ宮、と。

 

 

 今では教師や生徒から理系擬きさんだのサイエンティスト二ノ宮と呼ばれている。大抵理系擬きと呼ばれることが多いがな……。

 

「先生、誰もそこまで聞いてませんよ?」

「一応言っておいただけだ。学校の白衣着ているんですか、と言われたら厄介だから言ったのだ」

 

 ここまで言っておかないと後が面倒になる。そもそもこの白衣は安物だ。毎回クリーニングに出さないといけないから二着以上は家にある。そんなことを心の中で言っていると、理系擬き、と言われた。だから俺は文系だ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 二ノ宮先生の授業を終え、昼休みに入った。花音と昼食、というのはいいけれど、あの人……二ノ宮先生はどうしているのかしら。

 

「千聖ちゃん、また二ノ宮先生のこと考えてるの?」

「え!?何でわかるの花音」

「だって千聖ちゃん、わかりやすいから。顔に出てたよ?」

 

 花音にここまで言われるなんて……。そう、私と二ノ宮先生は年の離れた幼馴染みだ。というか私ってここまで分かりやすかったかしら?

 

 花音からお茶を差し出された。お茶を飲んでリラックスしなよ、と言われた。ありがとう花音、でも私は大丈夫よ。私はこれでも至って平常だから。私は演技混じりに花音にお礼を言った。

 

Спасибо, Канон, я возьму его.(ありがとう花音、頂くわね)

「ごめんね千聖ちゃん、ロシア語はさっぱりなんだ……」

 

 しまった、私はうっかりしてしまった。私は子役時代の時にロシア語を教えられた。このようにロシア語で喋ることがある。ロシア語を知らない人からはこう返される。

 

 

――すまねぇ、ロシア語はさっぱりなんだ。

 

 

 私の中ではこう返されるのがテンプレとなっている。何か間違えたかしら?はぁ、この癖直したいわ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 授業が終わり、放課後となる。この時間になると生徒は俺を尋ねることが多い。原因は悩み相談だ。新米教師の頃、一つの悩みを解決させたことが理由で先生なら色んな悩みを解決出来るのでは、とこれが引き金で悩み相談を受けることになった。

 

 評判は生徒だけでなく、先生からも素晴らしいと言われる。いや、俺はあいつと話がしたいのだがな。俺は人気のない所に行き、ポケットからライターと煙草を出した。こういう時は煙草に限る。

 

 煙草に火を付け、口に付けて紫煙を吐く。溜まった疲れを紫煙と共に出す、これをするだけでも肩に乗っかった物が吹っ飛ぶな。煙草は不思議なアイテムだ。何故、人類はこれを作ったのか、まぁそんなもの知る必要ないが……。

 

「先生、ここにいましたか」

「白鷺か、何だ?」

「二人きりの時は名前でいいでしょう、千秋」

 

 そう、俺と白鷺は幼馴染みだ。俺は23歳、白鷺、いや千聖は17歳、6歳差があるという。こいつは昔から俺に懐いている。まるで妹のような奴だ。

 

「У меня проблема, но все ли в порядке.」

「千聖、ロシア語はさっぱりだと言った筈だぞ」

「悩みがあるのだけどいいかしら、と言ったのよ?」

 

 こいつはロシア語はわからんと言ったのに、何故ロシア語で話すのか、ならば俺はこう返そうか。ロシア語が無理ならこれで返すまでだ。

 

「Tu n’as pas à t’inquiéter.」

「ごめんなさい、何て言ったのかしら?」

「お前悩みないだろ、だ。お前がロシア語ならこっちはフランス語で返すまでだ」

 

 俺はフランス語、千聖はロシア語を話せる。昔千聖がロシア語を話せるところを見て俺はカッコいいと感じた。それから対抗しようとしたのか、5年くらい勉強してフランス語を話せるようにした。もう一人の幼馴染みである薫もこれには引いたそうだ。

 

 千聖はぐぬぬ、と言った。女優としての悩みか、それともアイドルとしての悩みか、どっちなんだ?それとも何だ?また丸山がトチったのか?どっちでもいいか。

 

「千秋、そろそろ煙草はやめた方がいいんじゃないの?さっきから煙草臭いわ」

「悪いがそれは出来ないな。白衣を着ている時は吸わないが、今は吸いたい気分なんだ」

 

 千聖は明日仕事があるから終わったら電話するわね、と言った。しなくていい、このままゆっくりさせろ。俺はそう返したが、貴方忙しいから無理でしょ、と返された。それを言われたら返す言葉もない。

 

 煙草を吸い終わり、煙草を携帯灰皿に入れる。こいつといると何か調子が狂う。からかっているのか、それとも話相手なのか、どっちでもいい。今日は悩み相談は無いからゆっくり出来る。事務処理をやらないといけないな。俺は千聖と別れ、職員室へと戻った。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は家に戻り、レオンの散歩をすることにした。5月とはいえ、ちょっとだけ寒い。千秋はまだ学校、彼は私の想いに気づいていない。そう、私は彼のことが好きだ。けど、私はアイドルで女優、このことはパスパレメンバーには知られていない。知っているのは花音と薫だけだ。

 

「千秋は私のことをただの幼馴染みで生徒として見ている。はぁ、教師に恋をするのは難しいのかしら……」

 

 そもそも私も色々と変わっているところがある。ロシア語を話したり教師の千秋と幼馴染み、おかしいところはロシア語くらいしかないか。散歩を終えた後、スケジュール帳で予定の確認もする。

 

 今月もぎゅうぎゅう詰めだ。パスパレとしてや女優としての活動、これだけでも連日ある。休みなんて少ない。でも、これは私が決めた道だ。千秋といられるだけでもまだいい。

 

 私がロシア語を喋れるようにしたのは親が原因だ。この子なら喋れるのでは、という理由で教えたのだ。披露した途端に仕事が増えた。中には私にロシア国歌を歌わせようとした所もある。それは色々とヤバイし私が消されかねないので事務所にNGにするように頼んだ。

 

 千秋に想いを伝えるのはまだだ。少しずつでいいから彼に私を好きになってもらおう。だから、今は耐えるんだ。お風呂に入り、その後、私は眠りに就いた。




教師と生徒の恋愛ってムズそうよね
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