白い鷺は理系擬きの幼馴染みを想う   作:ネム狼

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デート?回です


喫茶店巡りの始まり、道に迷うのなら付き人を

 千聖と松原、二人と話をする時、俺はあることをしないと決めた。喫煙をしない、ということだ。しないというより、千聖から釘を刺されたが正しい。

 

「ねえ、千秋。明後日は時間空いてるかしら?」

「明後日か?ああ、空いてるぞ。何かあるのか?」

「ええ。その日、花音と喫茶店巡りをするのだけど、一緒に来てくれないかしら?」

 

 何?一緒にだと?俺は千聖の言った言葉に疑問を感じた。松原と喫茶店巡りをするのはまだいい、では一緒に来てくれとはどういうことだ?俺は千聖に何故一緒に行かなければならないのか理由を聞いた。

 

 聞いたところ、原因は二人にあった。松原は道に迷う、千聖は電車の乗り換えが苦手、この二つという。松原はわかるが、千聖のその苦手は元からだろ。俺と薫はその苦手で振り回されたことがある。どれだけ振り回されたのかこいつは覚えているのか?

 

「申し訳ないと思っているわ。でも、このことは千秋にしか頼めないのよ!」

「丸山には頼めないのか?」

「彩ちゃんはその日予定が入ってるのよ。だから、千秋お願い」

「二ノ宮先生、私からもお願いします!」

 

 千聖と松原が頭を下げて俺に頼んだ。ここまで頼まれたら断れない。俺はわかった、と溜め息混じりに言った。ここで断ったら千聖に殺されていたかもしれない。そうなると命が危ないから今回は行かないとまずい。

 

「ありがとう千秋!」

「ありがとうございます二ノ宮先生!」

「今回きりだからな。それで千聖、何時に行くんだ?」

「花音と合流もするから朝の9時に行きましょう。その後、喫茶店巡りにするわ」

 

 予定は決まった。千聖はアイドルだから変装しないといけない。いや、それは俺も同じか。俺と千聖が幼馴染みであることがバレたら厄介だ。そうなれば俺も変装をすることになる。さて、明後日の喫茶店巡りはどんな1日になるのやら……。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 早くも2日が経過した。私は下ろしている髪を三つ編みに束ね、赤縁の眼鏡を掛け、ベレー帽を被る。服は普段着ている物にした。とりあえずこれだけやっておけば問題はないわね。あとは千秋だ。私は家を出て千秋の元へと向かった。向かおうとした時、スマホから着信が入った。

 

「あら、千秋からだわ。もしもし?」

「もしもし?千聖、今家を出たのか?」

「ええ、これから貴方の元に向かうところだけど、何かあったの?」

「俺はもう家にいない、今千聖の所に向かっている」

「……珍しいわね。それで今どこに……」

 

 私は千秋からそこで待っていろと言われた。待っていろと言われた後、着信は切れた。まさか千秋から来るなんて、私は付いてるわ。千秋から来ることはあまりないのに、今日は彼の方から来る。何だかんだ言って千秋も楽しみにしてたのね。

 

 千秋と合流し、私達は花音の家へと向かった。花音には私から家で待っててと言っておいた。前に花音と合流しようとした時、私達は会うのに相当の時間を掛けた。掛かった時間は2時間だ。

 

 私達はこれを切っ掛けに迎えに行くときは私から行くわね、と約束をした。そういえば千秋と花音の家に行くのは初めてだ。私服の花音を見たときの千秋の反応が楽しみだわ。

 

「お、おはよう千聖ちゃん。あと、二ノ宮先生?待って千聖ちゃん、この人二ノ宮先生なの?」

「ええ、正真正銘千秋よ?」

「ふぇぇ……全然二ノ宮先生に見えないよ……」

「松原、残念ながら本人だ」

 

 千秋の着ている服は私と同じく眼鏡を掛け、Yシャツに黒いコート、更にいつも填めている黒の手袋というそれ私服なの?というファッションセンス壊滅の服装だ。いつか千秋のファッションセンスは直さないといけないわね。そのうちデートしてやるんだからね!

 

 

――手袋に関しては許してあげるけど……。

 

 

「お、おはようございます二ノ宮先生」

「おはよう松原、それでは行くとするか」

Я беспокоюсь о будущем.(先が不安だわ)

「何か言ったか千聖」

「何でもないわ」

 

 私はロシア語で先が不安だ、と言った。はぁ、上手くいくかしら。今日は久しぶりに千秋とも出掛けられる。花音との喫茶店巡りもそうだけど、せっかくだから千秋も誘いたい。だから、今日はいい1日にしたい。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 喫茶店巡りは普段一人でやっているが、千聖と松原と行くのも悪くないな。これまで色んな紅茶やコーヒーを飲んできたが、この紅茶はとても美味い。3時間巡ったが、レトロだったりカジュアルだったり、何軒も回った。合計で4件くらいか。

 

「千秋って紅茶好きよね?」

「え、先生紅茶好きなんですか!?」

「たまにコーヒーを飲むこともあるがな。好きになった切っ掛けは千聖が原因だ」

 

 そう、紅茶を好きになった切っ掛けは千聖にある。喫茶店巡りを好きになったのも千聖が切っ掛けだ。ここまで考えると、俺は千聖に色んな物を貰ったんだな。

 

 俺は心の中で千聖にお礼を言った。今度、千聖に何かプレゼントをしてやろうか。サプライズをするのも悪くない。

 

「ところで話が変わるんだが千聖、松原は俺と千聖が幼馴染みであることを知っているのか?」

「何を今更……。中等部の時に言ったわよ。覚えてないの?」

「すいません先生、薫さんと幼馴染みなのも知ってます」

「いや、謝らなくていい。これは千聖が悪いんだ」

「覚えてなかった千秋が悪いと思うわ」

Ce n’est pas ça.(それはないな)

 

 俺はフランス語で言ったことを日本語に訳して反論した。千聖が口を膨らませて俺を睨んだ。俺は悪くない、バラした千聖が悪いんだ。

 

 俺と千聖が睨み合うこと数秒、俺と千聖の間にはどっちが悪いんだという低レベルな茶番が繰り広げれられた。そんな中、緊張しつつある松原が口を開いた。

 

「先生と千聖ちゃん、仲がいいんですね」

「俺と千聖がか?」

「あ、当たり前よ。幼馴染みなんだから。そうでしょ、千秋?」

「そうだな……」

 

 松原から仲がいいと言われ、俺と千聖は自然と睨み合うのをやめた。これを言われたらさっきの茶番が馬鹿みたいに思えて来たな。俺は千聖にすまない、と謝った。謝るのは私の方よ、と千聖まで謝ろうとしたが、今回は覚えていなかった俺が悪いんだ。

 

「千聖、今回は俺が奢る。それでいいか?」

「それは悪いわ。私だって貴方に言ってなかったんだから、私が……」

「いや、今回は俺が悪いんだ。千聖、俺が悪いということにしてくれないか?」

「……しょうがないわね。じゃあ今日は千秋に奢ってもらおうかしら」

 

 俺は千聖を見つめながら言った。見つめていた所を見た松原が顔を赤くした。そして千聖はしょうがないわね、と言った。これでいい、これでいいんだ。千聖が松原と仲良くしているということは、いつか言うかもしれないと思っていたんだ。

 

 それなら覚えていなかった俺が悪いということにしてしまえばいい。そうすれば、千聖も多少楽になる筈だ。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 喫茶店巡りは終わった。結局残りは千秋に奢ってもらうことになるなんて、申し訳ないことをさせたわね。でも、彼が言ったんだ。彼がああ言ったらしょうがないと言うしかない。

 

「千聖ちゃん、二ノ宮先生のこと好きなんだね」

「ええ、私は千秋が好きよ」

「はっきり言っちゃうんだね」

「だって隠してもしょうがないじゃない。隠すよりハッキリ言った方がマシよ」

 

 そうだ、変に隠すよりはっきり言った方がいいのだ。好きだっていうことは千秋には知られてはいないけど、知っているのは花音や薫くらいだ。今は彩ちゃんやイヴちゃんには知られていない。いつかバレるかもしれないけど……。

 

 今日はいい1日になった。千秋と久しぶりに出掛けられたというだけでも私にとっては嬉しいことだ。もう6月になるわ。また千秋を喫茶店巡りに誘おう。今度は二人で出掛けたいわね。

 

 




喫茶店巡り好きな者に悪い者はいない
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