白い鷺は理系擬きの幼馴染みを想う   作:ネム狼

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現在迷走中
今回はぐだり回かも


噂に流されるな、嘘かどうかは自分の目で見ろ

 6月に入れば夏服に、10月に入れば冬服になる。制服の衣替えは学生だけではない。我々教師にも衣替えはあるのだ。しかし、この衣替えは今の俺にとっては障害でしかない。

 

「腕がスースーするな。やはり、半袖で白衣を着るのは無理があるか」

「先生、寒いんですか?」

「いや、寒くはない。それと丸山、用があるんだろ?」

「はい!えっと、相談があって来たんです!」

 

 また相談か。丸山は先月も相談に来た。その内容は、トークで噛まないようにしたい、そのためにはどうしたらいいかという物だ。俺なりに答えを出したが、残念なことに丸山は今もトークで噛んでしまっている。

 

 

――治るには相当掛かるだろうな。

 

 

「……内容はなんだ?」

「生物について教えて下さい!」

「丸山、お前俺の担当教科は現代文だぞ?理系については教えられないんだが……」

「そ、そうですよね!教えてくれませんよね!」

 

 狼狽えている。何か理由があるのかもしれないな。俺は丸山に理系教科を教えてほしい理由を聞くことにした。返答次第では怒らなければならない。

 

「まぁ待て。丸山、何故俺にそんなことを聞くんだ?」

「えっと、確かめたかったんです」

「確かめたかった?どういうことだ?」

「その……二ノ宮先生がどうして理系擬きって呼ばれてるのか気になって……」

 

 俺は確かに理系擬きと呼ばれている。それ故に理系教科を教えてほしい、と半分悪戯でやられたことがある。その時は軽く注意をしたくらいだが、こいつは知らないのか?

 

 丸山は続けて答えた。先生が理系擬きと呼ばれているのは噂かもしれない。本当かどうか自分で確かめたい、という結論に至ったらしい。丸山にしては珍しい。これは怒る必要はない。だが、理系擬きとは呼ばないように、と気をつけるようには言っておくか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 彩ちゃん、何かスッキリしてるみたいな表情になってるわね。何かあったのかしら?私は彩ちゃんの元に行き、どうしてそんな顔をしているの、と質問をした。

 

「実はね、二ノ宮先生に質問をしたんだ」

「質問?彩ちゃん、貴女まさか……」

「先生が本当に理系擬きって呼ばれてるのか確かめたかったんだ!それで、聞いちゃった!」

 

 この子、勇者としか言い様がないわ。千秋は理系擬きと呼ばれているのは嫌がっている筈、それなのに、彩ちゃんはこんなに明るい顔をしている。もしかして、怒られなかったの!?

 

 私は千秋に何を言われたの?と聞いた。彩ちゃんは人差し指で頬を掻き、目を少し逸らしながら言った。結構焦ってるわね。でも、聞いた方がいいわ。これは彩ちゃんのためよ!

 

「彩ちゃん、二ノ宮先生から何か言われなかった?」

「うーんとね、私が本当かどうかを確かめたかったって言ったらね、自分の目で確かめるのも経験の内だって言われたかな」

「そう……なのね。よかった……」

「よかったって、千聖ちゃんどうしたの?」

 

 何でもないわ、私は彩ちゃんに感づかれないように言った。彩ちゃんが怒られなくてよかった。答え次第では千秋は怒る。でも、怒られなかった。それどころか、千秋は彩ちゃんを褒めた。

 

 噂に流されず、自分の目で確かめる。千秋はそのことを彩ちゃんに言ったんだ。流されたら駄目なんだって、騙されるなって、そう言いたかったのね。

 

「彩ちゃん、そろそろ授業だから教室に戻りましょ」

「うん!じゃあまた後でね、千聖ちゃん!」

Увидимся(また後でね).」

 

 私と彩ちゃんはそれぞれ自分達の教室へ戻った。ふふっ、千秋の反応が楽しみだわ!後で聞こうかしらね。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 仕事を終え、俺は自宅へと戻った。ドアを開けると、玄関に見知らぬ靴があった。いや、千聖の靴だ。俺は靴を脱ぎ、リビングへと向かった。開けると、案の定千聖がいた。

 

Pourquoi es-tu là ?(何故ここにいる)

「おかえり千秋」

「ただいま、何をしているんだ?」

「何をって……紅茶を淹れてるだけよ」

 

 淹れてるだけと言ってるが、俺が帰ってくるのを見計らってないか?千聖は俺の家の合鍵を持っている。それで入ったのか。いや、それ以外に何があるんだ。

 

 俺は上着を脱ぎ、上着をハンガーに掛けた。自分の部屋に行き、鞄を置いて部屋着に着替える。部屋着はTシャツにジーパン、普通の服装だ。

 

「千聖、待たせたな」

「そんなに待ってないわ。紅茶、置いておくわね」

「ああ、すまない。あと、何の用でここに?」

「聞きたいことがあるの。彩ちゃんのことでね」

 

 丸山のこと?もしや、俺が理系擬きと呼ばれていることについてか?俺は千聖の顔を見つめた。こいつ、口元をニヤケさせてやがる。丸山から話を聞いたようだな。

 

 俺は丸山と話したことを全て白状した。千聖がこうなってしまったら話すしかない。隠し事なんて出来ない、俺と千聖は幼馴染みなんだ。むしろ、隠し通せたら凄いがな。

 

「そういうことなのね」

「そういうことだ。それで、この話を聞いてお前はどうするつもりだ?」

「どうするって……まぁ、気になっただけよ」

「気になった……だと?」

 

 どういうことだ?千聖がここまで気になったなど、珍しいとしか言い様がない。まぁ、話を聞いてみるか。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は千秋から彩ちゃんの件について話を聞いた。気になったというのは事実だ。私は千秋に気になったことについて聞かれた。さぁ、答えようかしら。

 

「じゃあ聞くわ。千秋から見て彩ちゃんはどう見えるの?」

「流されやすい部分があるな。頑張り屋だが、トチる所があるのがちょっとな……」

「それは同感ね」

 

 千秋から見た彩ちゃんはそんなところなのね。昔の彩ちゃんなら千秋が理系擬きと呼ばれていることが噂であっても、すぐに流されるに違いないわね。

 

 私は紅茶を飲み、ふぅっと息を吐いた。けど、千秋が彩ちゃんに周りに流されるな、本当のことは自分で確かめろって伝えたかったのはわかったわ。私は心の中にあるモヤモヤが無くなったのを感じた。

 

「千秋は彩ちゃんにアドバイスをしたかったのよね?」

「アドバイス?そうだな、確かめたかった等と言われたら怒れないからな」

「ふふっ、千秋はやっぱり優しいわね」

「そんなことはない。あいつが自分から言ったんだ。そうなったら答えるのが妥当だろ?」

 

 そうね、私は笑いながら言った。千秋も釣られたのか、口元を緩ませた。千秋は優しいわ。この人が怒ったところなんて見たことがない。面倒臭がりには見えるけど、彼は何だかんだでアドバイスをする。

 

 私は千秋のこういう優しいところが好きだ。彼と幼馴染みになってよかった。彩ちゃん、貴女はもっと成長する。まだ流されそうなところはあるけれど、これからも見守っているからね。




滅茶苦茶な回になってしまった
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