白い鷺は理系擬きの幼馴染みを想う   作:ネム狼

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雨の時は彼の家にいたい


白い鷺は幼馴染みの家にて羽を休める

 6月26日、中間テスト最終日。今日の天気は大雨が降るんじゃないのかというくらい悪い。俺は心の中で舌打ちをした。この天気では帰りはヤバいな。

 

「……時間だ。後ろの者は解答用紙を集め、俺の所に持ってきてくれ。お前達、結果を楽しみにしていろよ。日直、号令を頼む」

 

 中間テストの最後は現代文だ。そしてこのクラス、もとい千聖のいる2-Aは俺が担当となっている。担任ではないが、テストでは監督役を任されたのだ。

 

 さて、授業は午前中だけ。生徒達は午前で終わりだが、俺達教師は午後も仕事がある。何故、午後もやらなきゃいけないんだクソッタレ。千聖にこの愚痴を吐きたいが、そんなことをしたら千聖も仕事の愚痴を吐こうとする。最悪、煙草と酒に逃げるというのも手だな。

 

「先生」

「白鷺、どうした?」

 

 教室を出ようとした時、千聖に呼ばれた。俺は千聖の元に行き、何の用だ、と聞いた。千聖は俺の顔を見ることなく、俺だけに聞こえるように小言で話した。

 

後で貴方の家に行くけど、いいかしら?

好きにしろ。何時に来る?

午後の3時には行くわ

わかった

 

 ありがとう、千聖が小言で言った。こいつ、生徒の前でよくこんなこと出来るな。周りに聞こえてたらどうするんだ?聞かれてたらマジで洒落にならんぞ?全く、ヒヤヒヤさせるな。

 

 俺は改めて教室を出た。さて、これから地獄の答え合わせだ。担当は2-Aだが、他のところもある。そうなってくると、遅くても夕方には終わるか。とりあえず、突貫で終わらそう。答え合わせが終われば帰れるんだ。

 

 

――あと千聖、お前には聞きたいことが山ほどあるから待ってろよ?

 

 

▼▼▼▼

 

 

 私は千秋の家に行く支度を始めた。千秋には家に行くとは言ったけど、部屋は大丈夫かしら?また散らかってるかもしれない。そうなったら、私が綺麗にしよう。

 

「雨、降りそうね。そうなると、少し早めに出ようかし、」

 

 時間は2時半。支度が終わり次第行きましょう。レオンは家に入れておいたから大丈夫、お母さん達には千秋の家に出掛けてくると言ってある。あとは千秋に行くことをメールで送っておこうかしら。

 

 千秋にメールを送り、私は家を出た。途中で濡れたりしたらシャワーを借りよう。傘も持ったし、合鍵も持った。あと、念のためベースも持ってきておこう。よし、準備は万端ね。

 

 千秋の家はここからだと20分くらい掛かる。少し遠いけれど、そこは問題ない。千秋の家に行くためなら、私はそれでも構わないと思っている。さあ、雨が激しくなる前に急ぎましょう。

 

 私は早歩きで千秋の家に向かった。途中で雨が降り始めたけど、どしゃ降りになることはなかった。私は大丈夫だけど、千秋が心配ね。千秋の家は5階建てのマンションで、彼の部屋は2階にある。私は合鍵を使ってドアを開け、千秋の家に入った。靴は揃えてある。

 

「入り口とリビングは綺麗になってるわね。部屋はどうなってるのかしら……」

 

 千秋の部屋は入り口から見て左よね。リビングを出て、千秋の部屋に入る。これは……酷いわね。

 

 千秋、貴方さすがにこれはないわよ。作業机には書類が貯まっていた。これじゃあ崩れちゃうじゃない。それに、ベッドの布団も汚いし……。はぁ、私はあまりの酷さに溜め息を吐いた。

 

 

――Мы должны это сделать.(やるしかないわね)

 

 

▼▼▼▼

 

 

 千聖は3時に家に行くと言ったが、早めに出るとメールがあった。俺が仕事を終えたのは3時半だ。突貫でやろうとしたが、途中でダウンしてしまい、タイムロスを起こしてしまった。

 

「答え合わせなんてクソッタレだな」

 

 教師である以上、やらなければいけない。帰ったら紅茶を淹れて落ち着くか。俺は千聖に電話をすることにした。仕事が終わったから今から帰る、そう伝えよう。しかし、千聖は電話に出なかった。

 

 何かあったのか?何かに夢中になっているのか、それとも寝ているのか。どっちかだな。それならメールを送っておくか。そのうち気づく筈だ。

 

 やはり車で行けばよかったな。家に着き、チャイムを押した。反応無しか。俺は鞄から鍵を出し、入り口の鍵を開けた。その時、ガチャンと音がした。あ、閉めちまったな。ということは開いてた。いや、千聖が開けたが正しいか。

 

「間違えて閉める、まぁよくあることか。さて、入るか」

 

 鍵を開け、ドアノブを回す。よし、成功だな。靴を脱ぎ、自分の部屋に入る。朝と雰囲気が違うな。机の書類も種類ごとに纏めてあるし、布団も畳まれている。これをやったのは千聖だな。

 

 鞄を置き、洗面所へと向かった。しかし、そこで事件が起こった。事件というより、事故と言った方がいいか。そう、俺は遭遇したのだ。金髪で細い身体をした少女、もとい――

 

 

――千聖に遭遇した。

 

 

「あ」

「ち、千聖!?」

「……千秋」

「な、何だ?」

Убирайся отсюда прямо сейчас.(今すぐ出てって!)

 

 ごめん、俺は出ていきながら謝った。そのまま壁に凭れ、息を吐いた。やべぇ、今の千聖は怖かった。ロシア語が出てるってことは相当怒ってるな。というより、シャワーを浴びてたなんて聞いてないぞ!?

 

 

▼▼▼▼

 

 

「全く、帰って来るのなら連絡くらいしなさいよ」

「しただろ。だったら何で出なかった?」

「シャワーを浴びてたからよ。そこは私も謝るわ、ごめんなさい」

「俺もすまなかった。ノックをするべきだった」

 

 私達は互いに謝った。掃除が終わった後、私はシャワーを浴びることにしたのだ。そして今の私は、部屋着状態だ。そう、私が千秋の家に来た理由は掃除ではない。泊まるために来たのだ。

 

「しかし、聞いていないぞ。泊まるなんて」

「それはアレよ。貴方を驚かせるためよ」

「驚かせるってお前なぁ……。まぁいい、今紅茶を淹れるから待ってろ」

「私がやるわ。千秋は仕事から帰ってきたばかりでしょ?ゆっくりしてていいわよ」

 

 なら任せる、千秋はそう言ってソファーに座った。仕事が終わったばかりなんだ、それなら私がやってあげないと。明日はちょうど休みなんだ。たまには千秋の家でゆっくりするのも悪くない。

 

 千秋からマスコミやファンにはバレてないのか、と聞かれた。そこは大丈夫だ。ちゃんと変装もしたし、サングラスも掛けた。私は千秋にバレてないわよ、と答えた。

 

「それで、何日いるつもりだ?」

「明後日までいるわ。それまでは家でゆっくりしましょ」

「そうだな。下手に出たらバレるからな。明日は俺も休みだから、ゆっくりしているさ」

 

 千秋も休みか。明日は何をしようかしら。私は紅茶を淹れながら色々なことを考えた。千秋を労う?それとも、あれかしら?い、家デート的なことをしようかしら……。

 

 今はやめよう。こんなこと考えてると紅茶が溢れる。どうするかは彼と話し合って決めよう。私はテーブルに二人分の紅茶を置き、千秋の隣に座った。隣にいるだけなのに、緊張するわね。

 

「ねえ千秋、明日はどうするの?」

「明日は何も決まってないな。紅茶を淹れる練習か、または読書か。色々だな」

「本当に何も決まってないのね」

 

 これは困ったものね。私は紅茶を飲み、渇いた喉を潤した。正直私も何も決まっていない。一応ベースも持ってきたけれど、最悪ベースを聞かせてあげようかしら。

 

 

 




家での過ごし方はそれぞれ、ただし計画的に
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