真剣で殺し愛夫婦の子供に恋しなさい   作:紅 幽鹿

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今回は短めです。
もっと、文章力を高めなければ……。 
では、第玖話どうぞ


第玖話

 

 ヒューム・ヘルシングが九鬼紋白を狙う刺客2名を排除して、数分。彼は、壬生宗紫が消えた森の中に来ていた。

 目的は、壬生宗紫の生存確認とあわよくば壁越えの者との決闘だった。しかし、ヒュームの目的は一つを除いて果たせずに終わる。

 森の奥に近づくにつれてどこか生理的嫌悪を感じさせる、鉄のような臭いが濃くなっていき、周囲の木々は異様なまでに綺麗な切断面だけを残し消えていた。

 そんな異様な光景にヒュームは歩を速め、目的たる人物がいる場所に到達し、ソレがあった。

 ソレは両手足を切断され、達磨のようにされた男。いや、達磨にされているだけなら、どれだけマシだったか……。

 両目は潰されたのか、閉じられた瞼から赤黒い血とそれとは違う、ドロリとした何かが流れ出ており、舌を斬られ咽喉を潰されたのか叫び声を上げることもできない。しかも、このようなことを行った人物はそういうことに詳しいのか、切断された舌を無理やり伸ばし、枝で固定して窒息しないようにしてある。

 そして男の股間部分、そこからも血が滲み出ており、簡単に男性としての死(・・・・・・・)を想像することができる。

 ヒュームはそんな無残な姿になっている男を一瞥した後に、この世な惨状を作り上げた人物に溜息を吐きながらも視線を向ける。

「……やり過ぎるなと言っただろう、壬生」

「やり過ぎていませんよ、死んでいませんし」

 そう返答しながら、宗紫の視線は先程まで戦っていた男に視線が向いている。その瞳には何処か諦めや期待外れといった考えが見え隠れしていた。

「ハァ、試し斬りの相手にもなりませんでしたよ……。ところで、そこの男に聞きましたが、今日まで様々なご令嬢やご子息達を攫っては身代金を貰って、その方々達を返さずに色々と愉しんでいたそうですよ。使えなくなった者は売り払ったか、地面の下だそうで……あ、生きている人たちの居場所も聞きましたので、親御さん達の所へ返してあげてくださいな」

 そう、つまらなさそうに言いながら、宗紫は地面に転がっている男を一瞥してからゆっくりとこの場から去っていこうとする。

 そんな宗紫に何を思ったのか、ヒュームは一言だけ声をかける。

「壬生、生きづらいか?」

 その言葉に宗紫はヒュームの方に振り返り、何処か疲れたような表情を浮かべ……。

「ええ、全力を出せない。互いに高め合う様な存在がいない。自分の魂は、祈り(願い)は飢えて、渇いていくばかり……。生きづらいんじゃないんですよ。僕にとっては、この世は地獄です……」

 何処か悲しみを含んだ声色で彼は返答し、その場からゆっくりと去っていた。

 

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 政治家パーティも終わり、帰りの道中も紋様の揚羽さん、英雄講義を聞き、ある程度仲良くなってから自宅に戻った後、僕は風間ファミリーが毎週金曜日に行っている金曜集会の会場であるとある廃ビルに来ていた。

 僕自身、風間ファミリーに入っているわけではないですが、彼らのご厚意で時々この金曜集会に参加させていただいています。

 ちなみに、一子さん、大和、まゆっちから送られてきたメールで皆さんがだいぶ活躍したことが分かりましたので、鯛の刺身を持ってきております。しっかりと痛まないように対策を施して。

 さて、扉を開いてからの一言目は何にしましょうか。と、考えながらドアノブに手を掛けると……。

「よくも好き放題言ってくれたなァァァ!!」

「皆さん、どうしました?」

「あ、宗紫……」

 室内から京さんの憤怒を持った絶叫が聞こえたと同時に、努めて冷静に迅速に扉を開けて室内に入る。

 室内では、京さんの態度に困惑しているクリスさんとまゆっち。そんなクリスさんに今でも飛び掛からんとする京さんに、京さんを押さえる大和と百代先輩。普段と変わらないように見えるが静かに怒気を滲ませているモロ、そして、努めて冷静であろうとしている一子さんにガクトがいた……翔一さんはまだ来てないご様子。

 この状況から見るに、クリスさんが京さんの地雷原でタップダンスでもしたんでしょうね。

 まあ、とりあえずは……。

「クリスさんとまゆっちは、僕と一緒に屋上に行きましょう。残りの皆さんは京さんのケアの方お願いしますね」

 皆さんが頷いて了承してくれた後、一子さんに鯛の刺身を預けてから僕は二人を連れて屋上へと向かった。

 

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 二人を連れて屋上に来て、数十分。二人にはある程度、精神的に落ち着いて欲しかったので、僕は何も喋らず、ずっと夕日を眺めていた。

「あの、宗紫さん。どうして私たちは連れてこられたんでしょうか?」

「自分も教えて欲しい」

 と、ある程度、精神的に落ち着いてきたのか、二人から質問がとんできた……。いやはや、何にも理解してないか、此奴ら。

「ハァ、実直、真面目、謙虚と言うのは美徳でもありますが、時には害悪でしかありませんね」

「どういう意味だ?」

「いえいえ、こちらのお話ですよ……さて、クリスさん。貴方は他人の地雷原と言いますか、心でタップダンスをするのが御趣味の人間だと思いますが……」

「なッ?! 私にそんな趣味はない!」

「実際、京さんに対してやってるんですよ。お堅い貴方のことですし、風間ファミリーに対して、遊ぶのなら家でもできる。こんな廃ビルさっさと取り壊すべきだ。とでも、言ったんでしょう? それが地雷原タップダンスですよ」

「だが、私は世間でも当然の意見を言っただけだ」

「ハァ、だからいい加減気づけよ、阿呆」

「阿呆だと?!」

 阿呆と言う言葉が気に入らなかったのか、怒りながら詰め寄ってくるクリスさんに対して、僕は一歩も引かず、なるべく冷静に対処しようと考える。だが、まゆっちは僕に対して不穏な空気を感じたのか、オロオロしながらもクリスさんを見守り、いつでも刀を抜けるようにと、刀袋から少しだけ柄の部分を出して準備していた。

 そういう所はいい子なんですよね、まゆっち。

 さてさて、本題を喋っていかないと。

「とりあえず、どうして京さんが怒ったのか。僕が答えを教えても意味がないでしょう。ヒントと言うか、簡単な例えを頭が折れず曲がらずなクリスさんでも解るように」

「壬生、馬鹿にしているだろう?!」

「ヒントとしましては、このビルをクリスさんのとても大切なものに置き換えてください。そして、その大切なものに対して、他人に皆さんに対してクリスさんと同じようなことを発言されたことを考えてください」

「……それは」

「ご理解できましたか? 貴方が京さん、皆に対して言った言葉の愚かさを」

「……あぁ」

 ヒントと言うか、実質的な答えを聞いてクリスさんは失言の重大さに気づいたようで、後悔の色を浮かべながら、顔をうつ向かせる。

「まあ、そこら辺は戻った時にしっかり謝りましょうか」

「ああ……」

「では、次にまゆっち」

「ひゃ、ひゃいぃぃぃ!!」

 と、急に話を振られて驚いたのか、ヤの付く職業さん方も裸足で逃げ出す表情を浮かべなら上ずった声で返答してくる。まゆっち、とりあえずその表情止めましょうか。いろいろ勘違いが起こりますよ。

「まあ、まゆっちはとてもいい子ですから、クリスさんみたいなことは言ってないでしょう。でも、友人たちに対して自分なんかが、とか言ってません?」

「それは……」

「ハァ、昔からそうでしたが、友人に対して自分を卑下する発言は駄目ですよ。前にも言いましたよね? まあ、あの時は遠回しな言葉でしたが……友人たちとは対等なんです。だから、しっかりと自分をもって接しなさい」

「……はい!」

 と、クリスさんとは違い、明るく可愛らしい表情でまゆっちは返答する。本当に解ってくれてるといいんですが……。

「さて、お二人とも、そろそろ戻りましょうか。クリスさんはしっかりと謝罪してくださいね」

「あぁ……」

 こうして、二人との会話を終えた僕は、二人を連れて皆さんがいる部屋に戻ることになった。

 あ、クリスさんに対しての大和のフォローもするつもりでしたが、忘れてました……。まあ、そこら辺はご本人に任せておきましょう。うん。

 




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