真剣で殺し愛夫婦の子供に恋しなさい   作:紅 幽鹿

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今回は短いです


第漆話

 休日が終わり、誰もが嫌な気分になる週の初め。

 僕は早朝の鍛錬を終えた後に、互いの指を絡めあった手繋ぎ――所謂、恋人繋ぎ――をしながら一子さんと共に登校していた。

「それでね。土曜日の夜に、お姉さまとおじい様宛の宅急便が届いてね。何かの懸賞品が当たったのかもって思って、アタシ二人の目の前で開けたの。そ、そ、そ、そしたらね、中身は、その、えっと、え、えっちぃほ、本だったの……」

 と、頬を染め、恥ずかしいのか身体をもじもじと動かしながら言う一子さん。ハァ、可愛すぎませんか。

 しかし、二人が目の前にいたとはいえ、開けたのは一子さんでしたか……。ちょっと、失敗し……失敗していませんね、うん。一子さんの恥ずかしがっている姿を堪能出来ていますし。

 まあ、ちょっとフォロー入れておきますか。

「ふふ、それは災難でしたね。しかし、百代先輩が6、70代SM趣味で、学園長が貧乳活発JK趣味だったとは」

「……ねぇ、宗紫。どうして、二人に届いた本の種類を知っているの?」

「アッ、ヤッベ……」

 つい、一子さんの魔性の魅力に中てられ、口を滑らせ失言してしまった。先ほどまで恥ずかしそうにしていた一子さんでしたが、今は据わった目で、じーっとこちらを見てくる……。

「え、一子さん可愛すぎです」

「にゃっ?!」

「アッ、ヤッベ……」

 またしても一子さんの魔性の魅力に中てられ、口を滑らせ本音を言ってしまった。ばっちりと聞いてしまった一子さんも――普段は周囲からワン子と呼ばれている彼女だが――猫みたいな声を出して、顔を真っ赤にしてしまう。幾分か握られている手の力も強くなり、体温も高くなっているように感じる。

「そ、そのね、そ、宗紫。あ、あまり、そういう事、急に言わないで……ど、ドキドキが止まらなくて、し、心臓にわ、悪いの……」

「あ、そ、そうですか……。す、すみません。もう、言わないように気を付けます……」

「あっ、ち、違うの! 止めて欲しいってことじゃなくて! そ、そのね、宗紫の言葉、私嬉しいのよ。嬉しいんだけど、嬉しすぎて頭が沸騰しちゃいそうなの! それに、ドキドキも凄くて、宗紫にこの音聞かれてるんじゃないかって考えると、また恥ずかしくって……」

「一子さん……」

「そ、宗紫……」

 依然、顔は赤いままでもじもじとしながらも上目遣いでこちらを真っすぐ見てくる一子さんに、僕は一子さんを抱き寄せ、顔を近づけていく。

 あの時、保健室でできなかった事を、お邪魔虫(大和)に妨害され行為を達成させるべく、僕は一子さんとの距離を徐々に縮めていき……。

「ゴホンッ! 天下の往来でそういうことをするのは流石に如何なものだと思うぞ」

「……お邪魔虫(大和)またしても。幾度僕たちを妨害すれば……おや、宮本さん?」

 幾度も幾度も僕たちの逢瀬を妨害してくる大和に文句を言おうと、声のした方向を振り向くとそこにはいつもの見慣れたメンバーや大和が立っていたのではなく、先週の決闘でお世話になった宮本剣吾さんがあきれたような表情で立っていた。

 

~~~~~~

 

~~~~~~

 宮本さんに少し周囲の目を気にしろとお説教をされた後、宮本さんに話があると言われ、僕は彼に連れられ近くの土手に来ていた。

 一子さんには心配されましたが、登校時間もありますので先に学校に向かってもらいました。

 さて……。

「話があると言われましたが、以前の決闘での復讐とかですか?」

「いや違う。決闘での勝敗は完全に、壬生お前の勝ちだ。心残りがあるとすれば、お前に一太刀も、いや違うな……。始まる前からお前に負けていたことぐらいだな」

「……そうですか。では、話とは?」

「ああ、それは……」

 宮本さんはゆっくりとこちらの方に居住まいを正し、まっすぐと目を合わせてくる。そんな宮本さんに対して、僕はどんな攻撃が来てもいいようにと、ほんの少しだけ相手の認識をズラして(・・・・・・・・・・)、自分のいる本来の位置から近くにいるように相手に錯覚させておく。

 さて、これで不意打ちによる即死は恐らくないはずですが、宮本さんは何をするつも――

「本当にすまなかったッ!!」

「……うん?」

 何が起こったのでしょうか? 僕はなぜ宮本さんに綺麗な土下座で謝罪されているのでしょうか? てっきり、暗器的なもので不意打ちされるものだとばかり。しかし……。

「あの、とりあえず顔を上げてください。それと、なぜ僕は謝られているのでしょうか?」

「俺はお前を、優男で弱そうな男であり、しかも周囲に合わせた八方美人。自分よりも強い者と仲良くし、さも自分は凄いと言わんばかりの男だと、一子さんには相応しくない軟弱な男だと決めつけていた……」

「そ、そうですか。しかし、ひどい言われようですね」

「だが、実際は違った……。壬生宗紫さん、貴方は俺たち剣士が目指す遥か高みに存在する人……いや、一本の刃だ。そんな相手に俺は無礼を働き、あまつさえ一子さんとの仲を裂こうとした。このような事をしたのは自分が未熟者だったからだ……本当にすまなかった」

 そう言って、宮本さんはまた深々と頭を下げる。宮本さんは頭に血が上りやすいが誠実そうな人だと思っていましたが、まさかここまでとは……。僕自身もまだまだですね。

「いえ、とりあえず顔を上げて立ち上がってください。僕自身そんなに怒っていませんし、それに貴方ほどの実力者を欺けるほど擬態に成功しているのなら僕自身的には嬉しい限りですし」

「擬態?」

「ええ、まあ、はい。実力を隠すといいますか。何と言いますか……。まあ、正直に言うと、僕的にはこの世の中は生きづらい(・・・・・・・・・・・)んですよ。ええ、本当に。その為の技術と言いますか」

「そうか……」

 何処となく納得できてなさそうな表情を浮かべながら、宮本さんは立ち上がる。

 ええ、まあ、完全に理解してほしいとは思いません。世界の倫理観と言うものに縛られて、常に呼吸ができてないようなものと言うのは理解しなくていいものですしね……。

「さあ、宮本さん。学校に向かいましょう。このままだと遅刻してしまう可能性がありますし」

「あ、ああ、そうだな」

 僕と宮本さんは自身の鞄を持ち、学校へと向かうため土手を上がろうとする。

 ああ、そうだ。これだけは言わないと……。

「宮本剣吾。お前は強くなる。それこそ、剣聖と呼ばれるものやそれに連なる者たちに迫るほどに、だが努々忘れるな。剣を求めすぎれば、それは人斬りという道に向かうことになる。常に心を鍛え、剣を鍛えろ」

「……はい、解りました」

「ああ、それとこれは関係ないことですが、決闘でお二人気絶したでしょう? その方たちを調べてみてください。ちょっと面白いことになるかもしれませんよ?」

「あ、ああ、分かった?」

 困惑しながらも了承してくれた宮本さんに感謝しつつ、僕たちは学校へと向かった。

 数日後、数人の男子生徒が退学処分、豚箱行きになりましたが……まあ、関係ないことでしょう。

 




何故か一子と宗紫が良い雰囲気になると出現する大和君。

さて、感想待ってます!

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