最期の旅路の果てに   作:夕闇

11 / 26
11

 

 

 

 アラガミを率いるハンニバル。突然変異したと思われるこの固体は非常に警戒心が強い。単騎のミッションにて神機使いをハンニバルの棲みつく街へと偵察に出した。だけれど、2名とも遂に帰ってくることはなかった。

 

 そして今回、ハンニバルの規模把握ならびに、統率個体の討伐を目的とした神機使いが複数人投入されることとなる。4名でチームを組み、これに足止めやかく乱として軍人10名の小隊が付属。全員がロシア人だ。

 

 しかし、彼等は街の序盤の戦いでハンニバルに罠を仕掛けられた。

 

 街へ踏み込み、3体のオーガテイルを駆逐しようとした矢先、一匹が逃げ出す。チームプレーで殿をする2体を倒し、逃げたアラガミが仲間を呼ぶのを防ぐため、一番身軽な者がそれを追った。

 

 そこまでは良かった。

 

 オーガテイルはひび割れた道路の真ん中で逃げるのを止め、反転し、オーガテイルが咆哮をあげる。瞬く間に、窓から飛び出してきたオーガテイルの群れに一人の神機使いは取り囲まれた。

 

 待ち伏せだった。

 

 仲間を救出しようと、アラガミの囲いをこじ開けようする神機使い達。けれど、建物の上から飛び降りてきたヴァジュラに妨害され、また舗装された路上前の、足場の悪い岩だらけの地面が落盤し、ひとつの巨大な窪みへと落下した。

 

 穴は深く、壁は強固に塗り固められている。神機使いの身体能力であっても跳び登れそうにもない。かといって横穴を開けられず、小隊の手助けがなければ脱出は困難だ。

 

 悪いことに、穴の中には一緒に落ちたヴァジュラもいる。加えて、穴の周りを囲むようにシユウも現れ、瓦礫を投げつけたり、球体にした波動を撃ち込んだりと苦戦を強いられた。

 

 小隊は彼等を助けなければならないが、サリエルがエネルギー弾にて小隊の行く手を阻み、口に神機を咥えた一際体の大きい2体のオーガテイルが弾の嵐を駆け抜け、小隊を切り刻んでいく。

 

 一人、また一人と倒れる人類側。先陣を切った神機使いがオーガテイルの群れの包囲を突破した。落盤した穴から仲間が叫ぶ、逃げろという一声で、一人の神機使いは苦渋な想いを抱えアラガミの包囲網から抜け出す。

 

 一人だけ生き残った神機使いは傷を負った体でほうほうのていで街を脱出。こうして逃れたのに、無茶をして誰一体追ってこないことに策に嵌められたのだと悔し涙が流れる。

 

 神機使いは街から離れたところで待機している装甲車に辿り着き、絶望することになった。

 

 資料で目を通したハンニバルが、脱出手段を破壊し、待ち構えていたのだから。傷らしい傷もない。1対1の、圧倒的に不利な戦いだ。

 

 神機使いは己の死を覚悟し、雄たけびを上げ、ハンニバルに挑む。さながら、一人の勇者のような光景。けれど、神機使いが最後に見たのは自身を焼き尽くす炎だった。

 

 こうして、神機使い達はハンニバルに敗れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ハンニバルは棲み処に戻ると、ザイゴートから被害を確認する。倒された下僕は殺した小さき者共より少ない。だが、特有の腕輪と武器を持つ小さき者だけを対象にすると倒された小型の数は相手より超える。

 

 とはいえ、頭を捻った甲斐があり、本来倒されてばかりの小型でも自分達を有利な戦況へと導けるとわかった。それは他の小さき者共の戦いでも、大型個体の戦いでも変わらない。

 

 新らしい武器が手に入ったのもいい。適応する個体を探すため、暴走する下僕を相当数屠ってしまったが、それを乗り越えれば新たな強さが手に入る。

 

 GURURUと喉を鳴らす。

 

 ハンニバルは現在下僕を率いる身である。自分の立場を狙っている馬鹿共もいるし、下僕同士の仲が険悪だったりと、それらを抑えるためにも己が強くあらねばならない。しかし、自由に一匹で生きているより、安心感があるのも確かだった。

 

 今なら、遠いあの地にいたバケモノがここに現れたとしても大丈夫なような気がした。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定