最期の旅路の果てに   作:夕闇

13 / 26
13

 

 

 

 時間というのは長いようで短かったりする。廃村から都市へ移住して1年以上が経過した。再び白い竜人は取り逃がしてしまったけれど、あれよりも小さい、それこそ最初に見た竜人を回収したのでよしとする。

 

 その後、ヤドリギの完成度に満足した私は長い間お世話になった大都市から出発した。

 

 それからかなり日数を掛け、ハイブという人間のコロニーを発見する。が、新たな移民は受け付けておらず、中に入れない状況であった。立ち寄りであっても、難民に同情して外部居住区者が匿ってしまうそうだ。あまりにも多い違反者とそれよるトラブルが増加したこともあり、許可書を持つ者以外立ち入り禁止となってしまっていた。

 

 しかしながら、ただ追い返すだけではなく、化け物が極力いない安全地域を教えて貰えた。私は世界の情勢を知るため、ハイブを後にする。そうして、各村や町を巡った。移動や情報収集、血涙を回収に本拠点に戻ったり、中継地点の選別だったりでさらに時を刻ませた。

 

 どうにもロシアはARAGAMIが優勢で、一時姿を消した白い竜人HANNIBALが率いる軍団、人類はそいつに惨敗続きのようだ。私が回収した他にも、HANNIBALがいるらしい。

 

 ただ、現在最も気になっているのはフェンリルという組織だった。

 

 

(神機使いの存在も気になるわね)

 

 

 大きな武器に片腕に大きな腕輪。彼等が暴走した際には、彼等がそれぞれ使用していた武器でしか倒せないという噂も耳にし、なかなか難儀な存在だと認識した。しかし、デメリットに関しては吸血鬼よりマシかもしれない。

 

 本日辺境の村でお世話になる家の椅子に腰掛ける。

 

 吸血鬼と違って血を必要としないのにも関わらず、身体面において人間より一段進んだ者達。蘇生はできないようだが、目をつけられると厄介そうだ。

 

 

(吸血鬼、人間、神機使い、ARAGAMI。さて、私達のスタンスはどうしようかしら)

 

 

 吸血鬼は伝記的な存在とされている。少なくとも、ロシアには認知されていない。ARAGAMIを食物の頂点から蹴落とし、人間が君臨した際、何が不都合かと考えれば嫌な想像しか浮かばない。

 

 知り合いであれば良心に期待するが、その他大勢。厄介者は隔離もしくは排除した方が事は簡単。民主主義とは数の少ない意見が負ける。

 

 

(化け物が頂にいる間に条約を結んでくれるといいのだけれど……)

 

 

 人間との交流をしている間に更に時間は進み、クイーンを討伐してから2年以上が経過している。故郷が外交していたとして、吸血鬼の存在が噂に立ってもいない。伝聞の早い時代だと加味すれば、悪いケースもありえた。今はまだ他者に正体を知られる訳にはいかないだろう。

 

 クルスだって、人間と交流を始めてからというもの眠ってしまっている。精神奥深くに引っ込んでしまい、私からクルスに会いに行っても健やかな寝顔を見せるだけだ。

 

 

「カルラ、考え事?」

 

 

 服の裾をひっぱり、私の偽名で呼んだのは、この家の子供アリサだ。両親に似て白銀の髪がとても綺麗な女の子である。

 

 

「ボーっとしていただけよ」

 

「目の辺りを包帯で巻いてるからわかり難い」

 

「目に頼らない生活をしているからね」

 

「遊ぼ?」

 

「いいわよ」

 

 

 アリサの嬉しそうな声。私の手を掴んでは引っ張る。小難しい考えは後にして子供と遊ぶことにした。

 

 

 

 




胎動する黒鉄の剣:錬血した血武器。黒い刀身には呪いめいた血の技工が施されている。ヤドリギを介して幾多のアラガミを喰らった結果、堅牢な守りをも崩す刃となった。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定