最期の旅路の果てに 作:夕闇
戦車、もしくは移動式ミサイル発射台搭載車両に乗り込み、急速接近するアラガミ達を迎え撃つため出撃。次々と鋼鉄車両が外に出て、ハイブの壁を背に、攻撃を開始した。
「前面に出た、通常よりもデカいVAJRAやSHIYUなどが邪魔で、他のARAGAMIに当てきれん! MAIDEN種を背に乗せた奴等もいるんだぞ! もっと砲弾を寄越してくれ!!」
「馬鹿いえ! 前面に出た奴等が一定の負傷をすると交代で後ろに下がって補給しているのがわからないのかっ!? 回復する奴等を狙い撃ちして倒しきらんと直ぐに復帰するぞ!!!」
「それよりも、禁忌種をどうにか――うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
間隔を開けた3台の戦車が超強力な火炎放射を浴び、砲弾ごと呑み込まれ、熱の過負荷により車体耐えきれず、不完全に溶けては、爆破または中が熱されて死んでいく。
ラーヴァナと呼ばれる赤い外殻に覆われた4足歩行のアラガミが、最前線に飛び出し、蟹のような大口径の砲塔が備わった両腕のハサミから、火炎の噴射を浴びさせたのだ。
他にも、生きる機械・テスカトリポカとポセイドンによるミサイルの応酬や、ラーヴァナに続き、ゼウスによる特殊な直射型エネルギー砲撃によってミサイルを搭載した鉄鋼車両が貫かれ、燃え上がる。次には爆ぜて鉄くずを撒き散らした。
外壁に出た軍隊は、禁忌種の攻勢やメイデン種に対空でミサイルを落とされたりと、アラガミを追い返すほどの決定打は与えられず、猛然と距離を詰められるばかりで苦戦を強いられていた。
神機使い達も外壁の外で、アラガミの群れに飛び込み、壮絶な戦いを繰り広げている。
前面を走る巨大なアラガミ達には無視されたものの、後続しているアラガミが相手だった。
グループで巨大な猿人のような体躯のコンゴウを2体、連携する5体目のオーガテイルを女の神機使いが撃破する。
「これで7体目! 討伐記録更新続きじゃない! もうどっかに帰ってよっ!!」
女神機使いの悲鳴を耳に、リーダーがとある状況に気づく。
「待て……囲まれた!? この誘い込み、
「こいつ等、私達をここに足止めをしてすり潰すつもり!? どうにか突破しないと!!」
「壁が厚い上に、普通のARAGAMIより強いです! 無理に突破すると分断されて各個撃破されるかもしれません!」
「うっ……、離れた所からMAIDENがボク達を狙ってる……囲いから逃がさないつもりだ……!」
馬に騎乗するようにオーガテイルの背に跨った、特殊なメイデンが針を構えて狙っていた。
リーダーは先ほどから大粒の汗を流し、浅く噛みちぎられた脇腹から出血が止まらない。体も痺れてきている。グループの仲間も結構な傷を負っている。もう撤退するべきだが……。
「悔しいが、ちょっと頭を捻られるだけで何倍も厄介だな!」
他の仲間の救援はまだこない。
最も悲惨なのは、空中の自由に飛び交うハンニバルがいるハイブの中だ。高角砲の弾がばら撒かれ、戦車の砲が轟く中、死傷者は膨大な数であり、魔女の釜の底のような有様だった。
「目標の撃墜はまだかっ! 推測被害が5万人超えたぞっ!!」
「駄目です! 対象は希望観測でも軽傷であり、今しばらくかかると思われます!!」
「なら住民の誘導はっ!?」
「四方八方で外へ逃げようにも、我々が建造した壁があり散開できません! 地下へ避難誘導を行っております!!」
「国外からの援軍はどうなっている!?」
「駄目です! 戦闘機、通信繋がりません!! 信号もロストしました!!」
「首相の脱出の準備は!?」
「だ、大統領とそのご家族は亡くなられました……!」
「ちくしょうっ! 何もかも滅茶苦茶か!!」
「奮戦します!!」
国外からの空軍救援も、それ専用に調整され各地に配置されたアラガミ達によって屠られている。ハンニバルの猛攻を抑えることのできる者は、少なくともこの場にはいなかった。