第1話 恋姫の世界
<???>「……流れ星?」
<???>「……様? 出立の準備が整いました!」
<???>「……様? どうかなさいましたか?」
<???>「ええ。今、流れ星が見えたのよ」
<???>「流れ星、ですか? こんな昼間に」
<???>「……あまり吉兆とは思えませんね。ただでさえ怪しげな物を追っている最中だというのに……出立を延期いたしましょうか?」
<???>「吉か凶かを取るのは己次第よ。それにこんな理由で滞在を延期しては、また栄華に小言を言われてしまうわ」
<???>「はっ。ならば、予定通りに。……姉者」
<???>「おう! 総員、騎乗! 騎乗ッ!」
<???>「無知な悪党どもに奪われた貴重な遺産、何としても取り戻すわよ! ……出撃!」
◇
<司>「…………全く、何処だ此処は?」
俺は神と名乗る老人から外史という世界に連れてこられた。気が付くとそこには天を衝くようにそびえる無数の岩山と、地平の果てまで広がる赤茶けた荒野を目にする。
地平線は黄色っぽく、少なくとも日本の光景ではない。海外へ旅行に行った時によく写真を撮影した光景にそっくりで、主に中国で見たことある。
異様な光景を見渡していると、神からくれた "マシンディケイダー" を見つける。そこにはヘルメットと張り紙があり、読んでみた。
『これを読んでいるということは、もう既に外史に着いているということじゃな。 "マシンディケイダー" はガソリンが無くても走れるように設計してあるから大丈夫じゃ。メンテナンスは欠かさずにやるんじゃぞ。この外史を救ってくれ』
俺は張り紙を読み終えると "マシンディケイダー" から剥がし、ポケットにしまう。
<司>「気が効いてるじゃないか。ありがたく使わせてもらうぞ」
そう言いながら俺は "マシンディケイダー" に
<司>「まずは何処かに街があるはずだ。そこで情報を収集してやる事を決めるとしよう」
"マシンディケイダー" を動かして岩山だらけの地平線の先へと向かう。まずは此処がどんな世界なのかを調べるのが先だからな。
この世界に来てから数十分が経つが、何度見ても建物どころか人の姿が見当たらない。
もしかしたら、街とは反対の方向へと向かっているかもしれないと思い始めていると、視線の先に人の姿を見つける。
眼鏡を掛けた女性と頭に人形を乗せた少女。その近くに武器を持った女性が二人。それに対峙するのは武器を持った盗賊らしき六人組。
一人は中年のオッサンで、如何にもリーダーらしき風格がある。その右側にいるのは身長が低くてで鼻が高いチビ。オッサンの左側には肥満体の大男。
その三人は人間だと分かるが、あとの三人は怪物であることが遠くから見ても分かる。
何故ならその三人は武器を持っていないということ。武器を持った二人の女性は武の心得を持っており、特徴的な三人は武器を握りしめていることから、大抵の武人は武器を使うことが分かる。
しかし武器を持たない三人の盗賊は防具すら持ち合わせていない。それなのに不敵な笑みを浮かべている。それに俺の勘ではそいつらは俺のいた世界に現れた怪人たちだと理解した。
たとえ武人が立ち向かっても奴らは手強い。そのため俺が倒さなきゃならない。
そう思って俺は彼女たちに近づいた。
<アニキ>「な、なんだ?」
リーダーらしき人が俺に気付き、少女たちも俺を物珍しそうに見つめる。
<司>「そこの三人組、人間じゃないな」
そう言って俺は "マシンディケイダー" を降りてヘルメットを外す。
<チビ>「はあ、何言ってんだ?」
<司>「お前じゃない。後ろにいる三人に聞いてるんだ。どうなんだ?」
再び問いかけると、不敵に笑う男たちは俺を見ると虫のような姿へと変えた。
ワーム。仮面ライダーカブトの世界からやってきた怪人で、しかもサナギ体から成虫体へと脱皮する。
サナギ体は武器を持った人間でも倒せるが、成虫体になると
少女たちと三人の盗賊は彼らが本来の姿に戻ったところを目の当たりにして驚愕の声を上げる。
<アニキ>「なっ!? なんなんだこいつらは!?」
<???>「姿が変わった!?」
<司>「離れてろお前たち! こいつらは俺が何とかする!」
そう言って俺は "ディケイドライバー" を腰に付けて、 "ライドブッカー" からディケイドのカードを取り出した。
<司>「変身!」
取り出したカードをバックルに入れるに差し込んで正位置に直した。
『
音声が鳴るとともに、周りには9つものカードの壁とシルエットが現れ、体を包んで姿を変える。そして "ディケイドライバー" の中心から7枚のライドプレートが出てきて、変身した司の頭部を貫く。
<司>(久しぶりに変身したな)
<???>「なんと!?」
<???>「おおっ!?」
仮面ライダーディケイドに変身した俺に周りは驚きの声を上げる。
ワームたちはディケイドの姿を見ると敵意を剥き出しにしてきた。こいつらは俺に倒されたことを憶えているようだ。俺もこいつらと戦ったことを憶えている。
俺は "ライドブッカー" からワームに対抗できるカードを二枚取り出してその内の一枚をバックルに差し込んだ。
『
仮面ライダーカブトへと姿を変え、さらにもう一枚のカードを差し込む。
『
俺はワームたちと高速の戦いを繰り広げる。 "ライドブッカー" を剣形態へと変え、けして人間の目で追うことができない速度でワームたちを攻撃する。
クロップアップの状態でワームたちを攻撃し、自分の体は無傷のまま終わらせる。
ワームたちは断末魔を上げながら消滅し、辺りには緑色の炎が広がっていた。カブトからディケイドへと戻り、俺は変身を解除した。
少女たちは何が起こったのかが分からないだろう。しかしワームが急に倒されたのを目の当たりにしているため、少なくとも俺が倒したことを理解している
<アニキ>「な、何が起きたんだ」
<デク>「ば、化け物だ。逃げるんだな」
そう言って三人組の盗賊は逃げるようにその場を後にした。
<司>「全く、せっかく人が怪人を倒したというのに……失礼な奴らだな」
俺は
<司>「最も、賊に礼を言われても嬉しくないしな」
逃げていく盗賊の背中を見送る。彼らの服装からしてこの世界は現代より文明がやや劣っていることが判断できる。
何故なら俺の近くで
<司>「世も末だな。白昼堂々と賊紛いなことをするやつがいるなんて……」
そう呟くと槍を持った少女が話しかけてきた。
<???>「いやはや、先程は助かりました。感謝します」
<司>「気にするな。それより怪我はないか?」
<???>「はい、おかげさまでー」
頭に人形を乗せた少女はどこかおっとりと間延びた声で答える。
<司>「そっか、そいつはよかった」
<???>「それにしても、さっきの怪物は一体……」
眼鏡を掛けた知的な女性は、今でも広がる緑色の炎に視線を向ける。先ほどワームたちを倒した場所だ。
<司>「ああ。さっきのはワームと言って、人間に化けて襲ってくる怪人たちさ」
<???>「わーむ?」
バサバサ髪の女の子は首を傾げた。
<司>「ワームだけじゃない。人間の精気を餌にする怪人たちもいるから注意してくれ」
<???>「そんなのまでいるとは……この乱世もますます混乱するかもしれない」
<司>「そうかもな」
乱世という言葉から察すると、やはり何百年前の時代に来てしまったということだろう。
<???>「そういえば、まだ名も名乗っていなかったな」
<司>「そうだったな。俺は
<???>「ひやまつかさ? 変わった名ですな」
<司>「この世界ではそうかもしれんな。俺はあの怪人たちを倒すために天の国からやってきたからな」
<???>「なんと!? 天の国ですと!」
俺の所在を言うと、彼女たちは驚愕の声を上げる。
<???>「そうでしたか……いや、失礼した。私は
<司>(なに? 趙雲だと?)
彼女の名前を聞いて俺は驚く。趙雲は三国志に出てくる武将の一人。ということはここは三国志の世界ということになるが……。
<???>「程立と呼んでくださいー」
<???>「今は
程立と戯志才と名乗る少女も自己紹介をする。程立はともかく、戯志才は今はと言っていることから偽名かもしれない。
<???>「シャンはシャンだよー」
なお、ボサボサ髪の女の子は適当である。
<戯志才>「はあ……
<司>「真名? なんだそれは?」
俺は真名という言葉に首を傾げる。
<程立>「おや、天の国では真名というのはないのですかー?」
<司>「ああ、どういう意味だ。その真名というのは?」
そう問いかけると趙雲が説明する。
<趙雲>「真名というのは、親しい人や本人が認めた者しか呼ぶことが許されない真の名を意味するものです」
<司>「へえ〜、初対面でも呼んじゃいけないのか」
<戯志才>「ええ。呼べばその者は首を切られても文句は言えません」
<司>「なにっ!?」
ちょっとまて! 幾らなんでもやり過ぎだろ。真名というのを呼んだだけで殺されるなんて……。
<司>「とんでもない世界に来たのかもしれないな」
そう呟くと、後方から物音が聞こえる。そっちに目を向けると、地平線の向こうからもうもうと砂煙が立ちのぼってるのが確認できた。
<司>「?」
しばらくすると、騎馬武者の群れと灰色の怪物が戦う姿が見えてきた。
<司>「あれは……オルフェノクか!?」
<程立>「おるふぇのく?」
<司>「ああ、さっきの怪物たちの仲間だ」
俺はそう言ってヘルメットを再び被り、 "マシンディケイダー" へと
<司>「すぐにここから離れた方がいい。俺はアイツらを倒してくる!」
趙雲たちの返事を聞かず、俺は "マシンディケイダー" を発進させた。ポケットから "ディケイドライバー" を腰に巻いて、 "ライドブッカー" からディケイドのカードを取り出して再び変身する。
<司>「相手がオルフェノクならこいつだな」
俺は "ライドブッカー" から二枚のカードを取り出して、 "ディケイドライバー" へと差し込んだ。
『
仮面ライダー555へと変身した俺はもう一枚のカードを差し込む。
『
"マシンディケイダー" をオートバジンへと変形させ、俺は地面へと着地する。
オートバジンは騎馬武者と戦っているオルフェノクへとガトリング砲を放つ。
オルフェノクたちはオートバジンの攻撃を喰らって倒れ、騎馬武者たちは俺たちの方へと驚いた表情で目を向ける。
<司>「離れてろ! お前たち!」
俺はそう言ってオートバジンに仕込まれている剣を抜き、オルフェノクたちに立ち向かう。
オルフェノクたちは一斉に襲い掛かってくるが、避けながら隙のあるところへと斬りつける。
直接的な攻撃は殴るか蹴るかしかしてこないため、結構やりやすい。
何度も斬りつけたことでオルフェノクたちは小規模の爆発を起こしながら消滅していった。
オルフェノクは一度死んだ人間が
どこか日本の妖怪に似ていることから、おそらく
俺は魔化魍に対抗するため、 "ライドブッカー" からあるカードを取り出してバックルへ差し込む。
『
仮面ライダー響鬼へと変身した俺は、二枚目のカードを差し込んだ。
『
音撃棒を取り出して、魔化魍に向けて烈火弾を何度も放つ。
魔化魍たちは烈火弾の攻撃に直撃し、消滅していく。
辺り一面には火災が起こった状態になり、俺は全滅したのを確認して変身を解除する。
取り出したカードを "ライドブッカー" に戻した後、オートバジンから変形した "マシンディケイダー" へと戻ろうとする。
騎馬武者たちは恐らくこの世界の警察みたいな存在かもしれない。先程の趙雲たちと違って面倒なことになると思い、俺はその場を後にしようとした。しかし———。
<???>「でやあああああああっ!」
<司>「なっ!?」
突如背後から防具を身に付けた女が、俺に向けて大剣を振り下ろした。
<司>「ちょっ!? いきなり何するんだよ!」
俺は
<???>「貴様……さっきの化け物どもの仲間か!」
<司>「どうしてそうなる! 俺はその化け物を倒したんだぞ! 少なくとも敵じゃ———」
<???>「問答無用!」
俺の言い分も聞いてくれないようだ。さっきの見たのなら、敵じゃないことぐらい分かる筈だ。
彼女の攻撃には殺気がこもっており、気を抜くとこちらがやられてしまう。最も、怪人たちと戦った後も訓練は積んでいるため、かわすだけなら余裕だ。
<???>「春蘭! やめなさい!」
攻撃を避け続けていると、金髪でドリルヘアーの女の子が剣を振り回してきた女を制止する。
<春蘭>「か、華琳さま?」
<華琳>「落ち着きなさい。少なくとも彼は敵じゃないわ」
<春蘭>「しかし、先程奇妙な姿になっておりましたから、五胡の妖術使いかもしれません」
<???>「姉者よ。少しは落ち着け」
<春蘭>「しゅ、秋蘭……」
華琳や秋蘭という女性のお陰で何とかその場は収まった。
<華琳>「ごめんなさい。うちの将が失礼なことをして……」
<司>「いや、分かってもらえればいいさ」
<秋蘭>「それで、おぬしは一体何者だ?」
秋蘭という女性が問いかける。このまま逃げる訳にもいかなくなり、俺は名を名乗ろうとすると———。
<???>「まってー」
<秋蘭>「華琳さま、何やら人が」
後方から聞き覚えのある声がして、後ろを振り向くとさっきのボサボサ髪の女の子がぱたぱたと走ってきた。
<司>「あ、香風ちゃん。どうしたの?」
<香風>「お兄ちゃんのことが気になったから……追いかけてきた」
<司>「気になったからって……」
趙雲たちが見当たらないという事は、わざわざ香風一人で来たのか。
<香風>「うん。……怪物は大丈夫と思ったけど、役人もいたから」
なるほど。怪人との戦いではなく、その後のこの子たちのことを心配してくれたようだ。
<華琳>「貴女は? この者を知っているの?」
<春蘭>「貴様、名を名乗らんか!」
<香風>「えーっと……。ちょっとまって。こういうときは、ちゃんとしたやつ……」
香風は春蘭の問いに何か考えてたみたいだけど、やがてすっと背を伸ばしてまっすぐ華琳を見上げてみせる。
<香風>「シャン……じゃなかった。わたくしは、性を
<司>「え、香風、そういう名乗りも出来るのか!?」
<香風>「えっへん」
じゃあ最初からそう名乗って欲しかったよ。真名しか知らないからそれで呼んじゃったじゃないか。まあ、本人は気にしてなさそうだからいいんだと思うけど。
<華琳>「騎都尉の徐公明……確か、
<香風>「あー、それシャンのこと」
<春蘭>「それほどの人物とは、こいつとはどういう関係だ?」
<香風>「さっき怪物からシャンたちを守ってくれた」
<秋蘭>「ということは、おぬしも我々と同じ奴らに襲われたということか」
<華琳>「先程の怪物を倒した強さを含めて、徐公明殿が真名を預けたとなれば、少なくとも凡百の庶人ということもないのでしょう」
真名はそういう信用にも関わってくるのか。
香風は自分から真名で名乗ってきたから、恐らく少しとはいえ信頼してくれているのだろう。
<華琳>「では徐公明殿。その者と共に私たちと同行いただけるかしら? もちろん、私の客人として」
<香風>「いいよ」
<華琳>「貴方もいいかしら? あの怪物を含めて、先程見せた強さも説明してくれると嬉しいのだけれど?」
<春蘭>「貴様に選択肢は無いぞ。我々を助けてくれたとはいえ、貴様の素性はまだ知らないからな」
<秋蘭>「華琳さまの客人というのなら、姉者も相応な態度はとってくれるそうだ」
<司>「拒む理由はない。俺もこの世界のことを少し知りたかったからな」
<華琳>「この世界?」
<司>「その件とさっきのこともちゃんと話すよ」
<華琳>「なら、秋蘭は半数を率いて賊を詮索して。春蘭は私と共に一時帰還するわよ」
<春蘭>「はっ!」
<秋蘭>「御意」
そして俺と香風は、特望の街へと向かうことになった。
ここからは台詞を書く時に名前も一緒に書きます。次回もお楽しみください。