真・恋姫†夢想-革命- 世界の破壊者   作:サラザール

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今回は特に戦闘シーンは最初だけだと思います。もしかしたらオリジナル展開を入れるかもしれません。お楽しみください。


第三章
第10話 増えていく役割


 (えん)(しゅう)(さん)(よう)

 

<春蘭>「でやあああああっ!」

 

<盗賊>「ぐはっ!」

 

<香風>「はあっ!」

 

<盗賊>「ぐわあっ!」

 

 (はい)(こく)(しょう) (ちん)(けい)から盗賊団の討伐を依頼されてから半月後、俺と(しゅん)(らん)(しゃん)(ふー)の三人で(ちん)(りゅう)からいくつもの郡を隔てた先にある山陽郡へ遠征していた。

 

 盗賊団は二千人の規模で、数としては()(しゅう)の戦より少なかった。

 

 ()(りん)は三千の兵士を準備してくれたため、数ではこちらが有利となった。更に俺が考えた策のお陰で最小限の被害で鎮圧に向かっていた。

 

 深夜に盗賊団の拠点を奇襲する。春蘭の部隊を正面から突入させ、逃げ道に香風の部隊で待ち伏せして倒す、それが俺の考えた作戦。

 

 それが上手い具合に進み、現在に至る。

 

<香風>「春蘭さま。こっちは終わったよ」

 

<春蘭>「そうか、こちらもだ」

 

 香風と春蘭は盗賊全員を倒したようだ。

 

<香風>「お兄ちゃんの作戦が上手くいったね」

 

<春蘭>「ああ、あいつにしてはなかなかだ」

 

<香風>「あれ? お兄ちゃんは?」

 

<司>「俺ならここだ!」

 

 そう言って俺は二人の前に姿を現す。もちろん俺も交戦中のため、彼女たちの視界に敵の姿も入っている。

 

<春蘭>「手伝おうか?」

 

<司>「ああ、頼む」

 

 先程まで盗賊と戦っていたが今は違う。そう、俺が予想していた通り現れたのだ。

 

<???>「ぐわあああっ!」

 

<???>「はあああああっ!」

 

 奇襲している最中に襲ってきたのは人類に極めて近い戦闘部族———グロンギ。しかも三体同時に襲い掛かってきたのだ。しかも奴らは盗賊がさらってきた村の少女を一人殺していたため、ゲゲル(ゲーム)のために来たのだろう。

 

 俺はディケイドへ変身すると、彼らはこちらへと敵意を向けてきた。

 

<司>「今回はどんなゲゲルなんだ?」

 

<ヤドカリグロンギ>「()ガラ()()()()ジヅ()ジョグ()()()()

 

<司>「そりゃそうか……」

 

<コンドルグロンギ>「()()()っ!」

 

<バッファローグロンギ>「()()っ!」

 

<司>「グギグギうるせぇな」

 

 素直に答えてくれそうにないようだ。最も奴らが今やってるゲゲルは大体分かっている。

 

<春蘭>「はあああっ!」

 

<ヤドカリグロンギ>「がはっ!」

 

<香風>「崩す……!」

 

<コンドルグロンギ>「ぐはっ!」

 

 春蘭と香風は二体のグロンギを倒した。残りは牛の姿をしたイマジンのみ。

 

 俺は "ライドブッカー" から一枚のカードを取り出してバックルに差し込んだ。

 

FINAL(ファイナル) ATTACK(アタック) RIDE(ライド) DE(ディ) DE(ディ) DE(ディ) DECADE(ディケイド)

 

 目の前にカードの形をした九枚のホログラムが出現し、俺はジャンプして最後のグロンギに飛び蹴りを喰らわす。

 

<司>「はあっ!」

 

<バッファローグロンギ>「ぐあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 牛の姿をしたグロンギは悲鳴を上げながら爆発し、跡形も無く消滅した。

 

 俺は辺りを見回して敵が居ないことを確認してから変身を解く。

 

<司>「ふぅ……ありがと、二人とも」

 

<春蘭>「大したことではない。それにしてもなかなか歯応えのある奴だな、グロンギというのは……」

 

 春蘭はグロンギが消滅したところを見ながら呟く。

 

<春蘭>「何度切っても倒れないとは、頑丈な奴らだ」

 

<司>「グロンギだけじゃない。前に戦ったイマジンも厄介だからな」

 

<香風>「でも、シャンたちでも倒せた」

 

<司>「そうだな。けど、こいつらは雑魚中の雑魚だ。本当に強い怪人はいくらでもいる」

 

<春蘭>「これよりもっと強いのがいるのか?」

 

<司>「ああ。人間を相手してた方がまだマシだからな」

 

 実際、グロンギの王が相手なら先程戦った三体を本気を出さずに倒せるからな。下っ端が出てきてるということは、復活させるために活動しているということだろう。

 

<香風>「お兄ちゃんが言ってたゲゲルって、何か分かった?」

 

<司>「大体分かった。だが、まだ確信は持てないからもう少し調べるしかない」

 

 グロンギによる被害は今回が初めてだからこれからも奴らが行動を起こすのは間違いない。

 

<春蘭>「お前たち、そろそろ行くぞ。これ以上華琳さまを待たせる訳にはいかんからな」

 

<司>「ああ、分かってる」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<華琳>「……そう。(さん)(よう)の平定は上手くいったのね」

 

 数日後、(ちん)(りゅう)へ帰還した俺たちは、(えっ)(けん)の間で()(りん)たちに報告している。

 

<春蘭>「はっ。ひとまず暴れていた賊は下しましたので、しばらくはあの辺りも平和になるかと」

 

<華琳>「分かったわ。それで、司。あそこにも怪人が現れたと聞いたのだけれど?」

 

<司>「ああ。グロンギが三体襲ってきてな。全員倒したが、賊に攫われた女の子がグロンギの犠牲になった」

 

<華琳>「そう……確かグロンギはゲゲルをしているのだったわよね?」

 

 怪人については皆にはある程度説明しているため、ゲゲルが何なのかは知っている。

 

<司>「ああ。今回はグロンギが起こした最初の被害だからどんな設定かはまだ分からないが、ある程度次に狙う相手がどんな奴かは予想できる」

 

<華琳>「そう……」

 

 そうは言ってもゲゲルを失敗させる方法は一つ思い付いてるけどね。

 

<香風>「それで、山陽の太守が……これからも、守ってって」

 

<栄華>「……またですの?」

 

<春蘭>「うむ。またなのだ」

 

 ちなみにその案件は、山陽郡が初めてじゃない。

 

 あれから陳留の近くの郡から救助要請をしてきたのだ。苑州のほぼ全域が行動範囲になるわけで、華琳曰くこれからも救助要請に応じるつもりらしい。

 

<司>「郡を越えて兵を動かすのは大問題だったよな? それがどうして……」

 

<香風>「そうだけど……太守が何も言わなければ、問題にならない」

 

<桂花>「我が軍には行軍中の略奪を禁じているし、通る郡も前に賊退治をした郡だもの。守ってもらってる上に大人しく通るだけなら、太守だって何も言わないわよ」

 

 信頼しているからそこということか。

 

<春蘭>「うむ。今は(しゅう)(らん)(るー)(りん)が山陽の先の(たい)(ざん)まで足を伸ばしているが……恐らく同じことになるだろうな」

 

<桂花>「泰山は、多分もっと面倒が増えるわよ」

 

<華侖>「もっと面倒って、何すか?」

 

<桂花>「あそこは役人の不正が他のところ以上に横行しているのよ。だから、秋蘭にその証拠の資料をいくつかね……」

 

 他所の郡の役人の不正まで取り締まるつもりらしい。

 

<司>「そこまでしていいのか?」

 

<華琳>「(こう)()(しゅく)(せい)を言い渡すだけよ。それを聞く気がないなら、大人しく軍を退くだけだわ」

 

 後で恨まれるかもしれんが、既に苑州は華琳が守ってると言っても過言ではない。それぐらいのことで守ってもらえるのだから役人も黙って従ってくれるだろう。

 

<司>「今じゃ華琳は苑州に名を轟かしているから、こっちに協力しない姿勢を見せたら民の不満が高まるからな」

 

<桂花>「そういうことよ」

 

<司>「そうなると(けい)(ふぁ)(えい)()は大変だな。今までの仕事に加えて他郡の調査や情報収集、遠征の費用も考えないといかんからな」

 

 俺がそう言うと桂花は苦にも思ってない表情で答える。

 

<桂花>「それこそ望むところよ。華琳さまの覇道が着々と進んでいるということだもの。軍師冥利に尽きるというものね」

 

<司>「それならいいが、苑州の州牧は何も言ってこないのが不可解なんだよな……」

 

 州牧は太守より上の立場だから、本来は担当している地域の賊退治や不正役人の取り締まりもそいつの仕事のはずだ。

 

 華琳はその州牧の仕事を片っ端から横取りしているようなものだから、州牧本人からすれば絶対良く思っていないと考える。

 

<華琳>「何も」

 

<司>「そっか……」

 

<華琳>「ああ、前に感謝状が一枚届いた気がするわね。一層の奮起を期待するって。……もう倉に片づけてしまったけれど」

 

<司>「一応感謝くらいはしてるんだな……」

 

 州牧本人じゃないから本当のところは分からない。建前かもしくは裏で不正役人と同じで何かを企んでるのかもしれない。

 

 それは置いといて、その人に対しての扱いも雑な華琳。最も彼女の振る舞いで奮起するなら苑州に賊が現れることはないからな。

 

<華琳>「……さて。なら、後の報告は(しゃん)(ふー)に任せるわ。いつものように報告書にまとめておいて頂戴」

 

<香風>「はーい」

 

<栄華>「お姉様。午後からは……」

 

<華琳>「ええ。(ちん)(とう)のところに視察に行ってくるわ。司、()()、午後の予定は空けてあるわね?」

 

<季衣>「大丈夫です!」

 

<司>「ああ、俺のところも遠征に行く前に終わらせてる」

 

 警備隊の仕事の他に、新兵の訓練を指揮することも俺の役割になっている。遠征の際は華侖に任せていたため、明日からまた新兵を訓練しなければならない。

 

<華琳>「結構。そちらの報告は、移動しながら聞くわ」

 

 

 

 

 

<華琳>「……そう。城下も大きな問題はなさそうね」

 

<司>「ああ」

 

 (ちん)(りゅう)の都から街道を少し進めば、景色はすぐに田畑の並ぶ田舎道へと変わっていく。

 

<司>「けどいいのか? 新兵の訓練を指揮するだけじゃなくて、俺が城下周りも全部引き受けることになってるけど……」

 

 ここ最近、皆が遠征や新しい任務で忙しくなっていき、俺のところにその仕事が入ってくるようになっていた。

 

 街の警備は最初から俺の仕事だが、いつの間にか新兵の育成や都市計画の割り振りなど、その他もろもろの細かいものまで回ってきている。

 

<華琳>「問題がないから皆が貴方に任せているのでしょう?」

 

<司>「そりゃそうだが……」

 

<華琳>「それとも賊の件も片付いたのだし、城を出て行く?」

 

<季衣>「え!? 兄ちゃん、お城を出て行くの? 何で?」

 

<司>「いや、出て行かないよ。行くアテもないし、ここにいた方が怪人たちの情報も入ってくるからな」

 

 最初は出て行こうかと考えていたが、()(しゅう)の賊退治まで怪人の目撃情報が何度も入ってきたため、残ったほうが把握できる。

 

<華琳>「ならばくだらない事を考えるのはよしなさい。それこそ時間の無駄だわ」

 

<季衣>「そうだよ。(しゅん)(らん)さまも、兄ちゃんが仕事を引き受けてくれて助かったーってよく言ってるよ」

 

<司>「何だ、アイツそんなこと言ってたのか?」

 

 嫌ってる相手に感謝するなんて珍しい。新兵訓練の仕事が俺に回ってくれたから楽になったのかもしれない。

 

<季衣>「えっとね、報告書を書かなくて良くなったから助かった! って」

 

<司>「そんなことだと思ったよ」

 

 正直アイツがそんなことで感謝してくれるなんて大方は予想していた。

 

<華琳>「ああ。そういえば、(えい)()も褒めていたわよ」

 

<司>「それも初耳だな」

 

 あの男嫌いの栄華が褒めるなんて、どう考えても俺にとってはどうでもいいことだと予想できる。

 

<華琳>「春蘭の何て書いてあるか分からない陳情書を読む回数が随分減ったって」

 

 褒められているというより、春蘭をディスってるだろ。

 

<司>「まあ、役に立ててるならそれでいいか」

 

<華琳>「ええ。より一層奮起してもらうわよ」

 

 そんな話をしていると、やがてあせ道の向こうに農家の人達と話す少女の姿が見えてきた。

 

<陳登>「ゆくゆくはこっちにも田畑を広げていくから、水路は大きめに作りたいんだ」

 

 (ちん)(けい)の娘、(ちん)(とう)だ。

 

<司>「取り込み中のようだな」

 

<華琳>「そのようね。先に他の所を見て回りましょうか」

 

<農民A>「あ、太守さまだ!」

 

 農民の一人がこちらに気付いて、近くにいた人たちもこちらに視線を向ける。

 

<陳登>「(そう)(そう)さま、いらっしゃい」

 

<華琳>「ええ。陳登、調子はどう?」

 

<陳登>「陳留にはまだ来たばかりだから、何とも言い難いところだよ」

 

 前々から()(りん)の要請に応えて、(はい)(こく)の陳登が陳留に来てくれた。今は実験段階とかで陳留の近くの村で農業指導のための研究や調査をしているらしい。

 

<陳登>「ひとまず土地の質を確かめるための試験所の準備を始めてるよ。水路はすぐに効果が出るから、そっちはもう取り掛かってるけど……形になるのはこれからだね」

 

<華琳>「そう。順調なようで何よりだわ」

 

<陳登>「……それでいいの? 多分、今年は期待してるほど収穫量は上がらないよ?」

 

<華琳>「田畑の開発が一年や二年で成果が出るとは思っていないわよ。沛国では何年掛かったの?」

 

<陳登>「土は沛よりも元気そうだから、向こうほどは掛からないと思うけどね。ただ……もう少し人が欲しいな。村人も欲しいけど、水路だけでも早く出来れば大分変わってくるから」

 

 どこへ行っても人手不足なのは変わらないのか。

 

<華琳>「そこは都合するわ。……土木の作業なら、新兵や工兵の訓練にも使えそうね。司」

 

<司>「ああ。帰ったら調整する」

 

<華琳>「ええ、任せるわ」

 

<司>「だが、こっちの監督までは難しいからその辺は陳登に任せても良いか?」

 

<陳登>「うん。ボクが指揮する方が早いから、ちゃんと言うことを聞いてくれる人を回してくれれば十分だよ」

 

<司>「それは大丈夫だ」

 

 本当は指揮出来る人まで一緒き回せれば理想だが、こっちも人手が足りないから仕方ないか。

 

<季衣>「あ、水路ならボク、近くの村でたくさん掘ってたよ!」

 

<華琳>「あら。季衣は私の護衛をしてほしいのだけれど?」

 

<季衣>「あ……。じ、じゃあ、今からちょっとお手伝いするだけでもダメですか?」

 

<陳登>「何? 陳留では将軍が水路を掘るの?」

 

<司>「いや、この子は元々農村の出だ。武に優れてたから華琳が召し抱えたんだ」

 

 そう、彼女の村は沛国にあるため、()(しゅう)の戦の時に華琳の元へと下ったのだ。

 

<陳登>「ふぅん……。こうやってボクを招くくらいだから、変わった人たちだとは思ってたけど……本当に変わってるね」

 

<華琳>「能力があるのなら、出など些細な問題でしょう。家柄などにこだわるほど懐は狭くないつもりよ」

 

<司>「でも、そんなに掘りたいのか?」

 

<季衣>「掘りたいっていうか……田んぼも畑も、水が一番大事なんだよ。だから、水路があるのとないのじゃ、全然違うんだ」

 

<陳登>「へぇ……」

 

 ()()の言葉に陳登は感心した声を上げる。

 

<華琳>「ふふっ。なら、私たちが話をしているだけなら構わないわよ。陳登、場所の指示をしてあげて」

 

<陳登>「分かったよ。だったら、まずはここから……」

 

 そう言って陳登は季衣にどこまで掘るのか指示を出した。

 

<季衣>「向こうの所までだね。あそこから別れてああだから……ふむふむ……よし、だいたい分かったよ。いっくぞー!」

 

 季衣は掘る場所を理解したようで、作業場から借りた(くわ)を持って大きく振り上げる。

 

<季衣>「でりゃああああああああああああああああ!」

 

<陳登>「…………」

 

<華琳>「…………」

 

<司>「…………」

 

 なんということでしょう。人間離れした速度で水路を掘っていき、すぐに端へと到着していた。

 

<華琳>「……これは、流石に驚いたわね」

 

<司>「……そうだな」

 

 一緒に作業していた農家の人たちも呆然と季衣を眺めている。

 

<陳登>「……どうしてこんな優秀な人材がいて、あの子の村は重税に喘いでたの? 相場の倍の税率でも、普通にやるだけで十分余裕のある生活が出来るはずだよ?」

 

<華琳>「水路を掘れる工夫がいても、それを活用する指導者がいなかったということでしょう」

 

<陳登>「この子達を生かすも殺すもボク次第ってことか……。責任重大だね」

 

 陳登は自らの役目がどれだけ重要なのか改めて思い知ると、何かを思い出した表情を浮かべる。

 

<陳登>「あ、そうだ。それと……今日明日の話じゃないんだけど」

 

<華琳>「……そうね」

 

 華琳は陳登が何を言いたいのか分かった様子だ。この世界の農家にとって田畑の収穫が上がればどうなるか……そういうことか。

 

<司>「賊でも出るのか?」

 

<華琳>「ええ。甘い蜜のある花には、蝶だけではない。毒虫も寄ってくるものよ」

 

<陳登>「ちゃんと仕事をしてるみんなからただ奪い取るだけの、最低の連中だよ。自分じゃ何も作らないくせに」

 

 この時代じゃそういうのが起きてもおかしくないのだろう。

 

<華琳>「上前をハネるだけの私たちの次に性質が悪い?」

 

<陳登>「ハネた上前でちゃんと水路を作ってくれるなら、そういう人たちには文句は言わないよ」

 

 前に謁見(えっけん)の間でも陳登は華琳相手でも臆することなくハッキリ言う。元々こういう性格なのだろう。

 

 それと俺は疑問に思うことが一つある。陳登の話からすると要するに投資ということだ。

 

<司>「税を必要な所に使って生産量を増やして上げれば、次からもっとお金が入ってくるのに」

 

<陳登>「それを理解してないクズみたいな役人って、この大陸にはたくさんいるんだよ。……知っててもわざとやってない、もっと酷い連中も多いけど」

 

 分かってない奴らは無能だと理解できるが、分かっててやってないとなると馬鹿としか言い様がない。

 

<陳登>「ちゃんと分かってるのなんて、せいぜい曹操さまと……」

 

<華琳>「……陳珪(ちんけい)?」

 

<陳登>「母さんは……ちょっと違うと思う」

 

 陳登はどこか寂しそうな物言いだ。家庭内で何かあるのだろうか。

 

<陳登>「投資と考えてるのは同じだろうけど……本当に投資としか見てないんじゃないかな」

 

 話を聞く限りでは、陳珪は一度も視察に来ていないらしい。娘を信頼しているのか、あるいは……。

 

<陳登>「曹操さまは、これから母さんとどうしていくつもりですか?

 

<華琳>「……どうもしないわ」

 

 華琳ははっきりと答える。

 

<陳登>「どうもしない……」

 

<華琳>「私の利となる内は、それなりの対応をさせてもらうわ。……それがいつまで続くかは分からないけれど。もちろんあなたとは、陳珪とは関係なく今の関係を続けさせてもらいたいけれどね」

 

 華琳も陳登と同じで遠慮なく言うよな。

 

<華琳>「いずれにしても、そろそろ何かしらの動きはある頃でしょうね。司も覚悟を決めておきなさい」

 

<司>「ああ、分かってる」

 

 胡散臭い陳珪が何をしてくるのか分からない。用心するしかないが、俺はそれ以上に気掛かりなことがある。

 

 グロンギがゲーム(ゲゲル)を動き出したこと。それが一体何を条件として活動しているのか。

 

 もし奴らがゲゲルを達成すれば、必ず良くないことが起こる。

 

 華琳たちには言ってないが、俺は奴らが何が目的でゲゲルをしているのかはグロンギから聞き出したため知っている。

 

 究極の闇と呼ばれるグロンギの王を復活……。

 

 

 

 

 

<陳登>「曹操さま」

 

<華琳>「何かしら?」

 

<陳登>「あの人って一体……」

 

<華琳>「司のこと?」

 

<陳登>「うん。母さんがね、司さんのことが気になってるの」

 

<華琳>「陳珪が?」

 

<陳登>「うん。只者じゃないって」

 

<華琳>「そう……」

 

<陳登>「華琳さまは知ってるの?」

 

<華琳>「そうね。うちの将たちと引きを取らないわ。けど……」

 

<陳登>「けど?」

 

<華琳>「私にも司のことはよく分からないわ」

 

<陳登>「どういうこと?」

 

<華琳>「言葉の通りよ。それに……」

 

<陳登>「?」

 

<華琳>「彼は、どこか自分の居場所を探してるかもしれないわね」

 

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