S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

11 / 60
お久しぶりです('ω')
YouTubeの方の活動に注力していたのでしばらくこっちには触れていませんでした
ですがYouTubeの動画が最終回を迎えたので今日から暫くはこっちに注力します!
今回の話はスカーレットならやりかねないなぁ…と思って書いてたら予想以上に大混乱することになりそう…詳細は次回で分かると思います、ではどうぞ!


緊急任務!指揮官を確保せよ!! part1

 

 指揮官が月に一度の休日を堪能した翌日、FN49とモシン・ナガンはスカーレットに呼び出されてガレージへと赴いていた

 

「何があるんでしょうか…」

 

「さあね~、ひょっとしたら抜き打ちテストだったりして。『お前達がどこまで成長したか見てやる』とか言って」

 

「ひっ…もし本当にそうだとしたら私自信ありませんよ……」

 

 FN49が不安そうに口を開くとモシン・ナガンが軽めに返すがその内容に余計に不安になるFN49

そんな彼女達の前にスカーレットが姿を現した

 

「よぉ、遅れちまって悪いな。ちょいと通信があって応対してた」

 

「あら、そうなの。平気よ」

 

「そ、そそそそそれで何の要件で、でしょうか…?」

 

「…なんでお前はそんなに緊張してんだ?」

 

 FN49の明らかな挙動不審状態を見て疑問を呈するスカーレットにモシン・ナガンが、抜き打ちテストかもって私が言ったらこうなっちゃったのよね、と説明すると納得したような顔になり

 

「安心しろ、うちの基地では本人が希望しない限り私が試験を受けさせることはしないからな。抜き打ちなんてのは以ての外だ」

 

「あら、そうなのね。なんだか意外だわ」

 

 そう、この基地では訓練が異常に厳しいにも関わらず試験のようなものは殆ど行われはしない

あるのは本人が希望した際の、実働部隊としてスカーレットに認められるか否かの試験…この基地所属の戦術人形達の間では『ロビン セイジ』と呼ばれている物のみだ

各戦術人形の訓練を担当しているミレニアム8のメンバーが個人的に試験を行うことは稀にあるが、基本的には行われない

それで良いのかと思われるかもしれないが、この基地ではスカーレットに認められるかそうでないかで全てが変わってくる上にその試験が異常なレベルで厳しいものとなるので、本人の希望…要するに覚悟を自分で決めた状態でなければクリアは不可能なこと間違いなしなためこうなっている

因みに覚悟を決めた者でも9割は試験の前半で叩き落される

厳しすぎる印象を抱くだろうがこれはスカーレットの「この基地から出撃するのは全員が特殊部隊員」という方針から来ており、この方針は部隊を強固にする目的もそうだが何よりも作戦中の負傷や死亡を最小限に止めて人形達の損失を防ぐ目的もある

要するにスカーレットは単にこの基地に来た仲間を失いたくないだけなのだ

そしてこの試験をクリア出来た者はその能力に応じて更に長所を伸ばす訓練を施され、すべてをオールマイティに実行出来る実力を持ちながら特定の分野では右に出るものが居ないほどに特化させていく場合もある

 

 それはそうと、スカーレットがここへ2人を呼び出した理由だ

訓練に関わるものでないなら一体なんだと言うのか、その答えはすぐに分かることになる

 

「私がお前達を呼んだのはある人物を紹介するためと、この基地の月末のことを…お、丁度いい所に来やがったな」

 

 スカーレットのその言葉にガレージの外を見ると、簡易装甲が施された1台の乗用車が走ってくるのが見える

 

「紹介したい人っていうのはあの車に乗ってる人かしら、でもなんでわざわざ基地外の人を?」

 

「おっと、あいつは外部の人間じゃあねえぞ。寧ろこの基地に於いての重要人物だ」

 

「重要人物、ですか?ではなぜ着任時の施設紹介の時に挨拶をしなかったのでしょうか…?」

 

「本当はするつもりだったしそうするべきだったんだがな…お前らが来る少し前からちょいとペルシカの所に行ってたから紹介できなかったんだよ。んで今帰ってきた、まぁすぐに居なくなるがな」

 

「あらそうなの…ってペルシカリア博士!?さらっととんでもない人物が出てきたわね…」

 

「指揮官って…思ってたよりも凄い人だったりして…」

 

「おう、私はすげぇ奴だぜ!なんたって…っとこの話はまた今度で良いな、それより挨拶すっぞ」

 

 スカーレットの意外な繋がりに驚く2人、それに気を良くするスカーレットだが件の車がガレージに到着したため本来の目的を優先することにした

モシンナガンが気を利かせてバック誘導を行い、ガレージ内部へと入った車から降りたのは金髪でかなり穏やかな笑みを湛えた男性だ

しかしその体は鍛え抜かれているのが服の上からでも分かり、とても学者肌な人物には見えない

 

「誘導ありがとう、お嬢さん。君は確かモシン・ナガンだったね」

 

「ええ、そうよ。…ふふ、お嬢さんなんて初めて言われたわ」

 

「おや、気に障ってしまったかな?だとしたら謝るよ」

 

「いえ、存外悪くない気分よ。良ければ今後もそう呼んで欲しいくらいにはね」

 

「そうか、それなら良かった。そちらのお嬢さんはFN49かな、初めまして」

 

「は、ははは初めまして…」

 

 声も低くて落ち着いたものであり、それでいてその身の熟しは素人目に見ても洗練されていることを窺わせる

また戦術人形への接し方もかなり紳士的でそんな経験のないFN49は明らかにしどろもどろになっているしモシン・ナガンも少し頬を赤くして気を良くしている

なんともどういう人物なのか察しずらい男性だ

 

「おいおい、いつものナチュラルナンパか?またクレアにキレられっぞ」

 

「ハハ、それは完全して欲しいな。まぁそれは兎も角…」

 

「おう、紹介だな。いい2人とも、こいつはイーサン・ウィリアムズ、この基地の超優秀な整備士だ」

 

「…滅茶苦茶重要な人じゃないの。それにウィリアムズってもしかして」

 

「察しが良いな。そうだ、こいつはクレアの夫だ。ついでに私の昔からの仲間でもある」

 

「ついでは酷くないかい、スカーレット」

 

「喧しい、近くで幸せな家庭築きやがって。これくらい受け入れろ」

 

「相変わらず厳しいなぁ…」

 

 イーサンは困ったなぁ、といった様子で頭を掻く

だがその顔は何処か楽しげで暴言とも取れるようなスカーレットの言葉に気を悪くしている雰囲気は感じられない

スカーレットの言葉通りこのイーサンはスカーレットとクレアの昔からの仲間で同じ特殊部隊『ゴースト』の一員だった人物だ

もう10年近い付き合いになるのでお互い気心をしてれいるためこのような会話が自然と出来ている、でなければスカーレットが暴言染みた言葉を味方にぶつけることは試験を除いてあり得ないだろう

 

「あら、既に心に決めた相手がいるのね。残念」

 

「因みにイーサンに手を出そうものならクレアはガチギレするから気を付けろよ。あの時のクレアほどおっかねぇものはないからな…」

 

「そ、そんなにですか…勘違いされないようにしないと……」

 

「そうしてもらえると助かるかな」

 

 そのまま少しだけ雑談をしたところでスカーレットが思い出したかのように

 

「そういやぁあのガキンチョはどうした?連れてきてないわけじゃねえんだろ」

 

「あぁ、あの子なら今は寝ているよ。なにせ結構な遠路だったしね、退屈だったんだろう」

 

「そうか、それなら良いんだがな」

 

 突然この場に居ない子の話をされてクエッションマークが浮かぶFN49とモシン・ナガン、当然の疑問を口にする

 

「ねぇ、その子供?は誰なのかしら。まだ車内にいるようだけれど」

 

「んあ?ああ、そいつはな…」

 

そういや説明してなかったなとスカーレットが2人に話そうとしたその時、イーサンが乗ってきた車の後部座席のドアが勢いよく開いて中から1人の少年が飛び出してきた

 

「あ、いた!よぉBBA!」

 

「…ああん?」

 

 瞬間、スカーレットの眉間にこれでもかと皺が寄り声もドスが利いたものになる

その声と体から発せられる怒気にFN49は身を震わせ、モシン・ナガンは思わず身構えた

しかしイーサンと先程の命知らずの発言をした少年は慣れているのか動揺した様子はない

 

「なぁライアン…今、なんつった?」

 

「聞こえなかったのか?耳が遠いとか本格的にBBAだな!」

 

「んだとゴルアァ!?」

 

「わー!BBAが怒った、逃げろー!!!」

 

「待てこんガキャア!!」

 

 その後ライアンと呼ばれた少年は走って逃げ始め、スカーレットはそれを追いかけていった

余りにも突然起こった出来事に2人は固まっていたが、イーサンはやれやれといった感じで肩を竦めるだけである

その後正気に戻ったモシン・ナガンが

 

「え、ちょっといいのあれほっといて!?指揮官をキレさせるとか命危ないわよあの子!!」

 

「ハッ!そ、そうですよ!あの子にも非はありますけど、あのまま放っとくのは…!」

 

 そんな焦る2人にイーサンは変わらず穏やかな笑みを浮かべながら

 

「大丈夫だよ、あれはいつものお遊びだからね。それより僕達も基地の中へ行こうか、きっとクレアも待ってるだろうし」

 

「いや、え…あれいつもやってるの?」

 

「ああ、うちの子はやんちゃ盛りでね…元気が有り余って困るほどなんだけどスカーレットは体力お化けだからね。こうして基地へ連れて来た時はいつも遊んでくれるんだよ」

 

「あれを遊びといっていいんでしょうか…それに」

 

「そこに関しても大丈夫さ。あの子にはああいうことをスカーレット以外にはたとえ冗談でも言わないように言いつけているしね。もし破った時には僕とクレアから本気で怒られるから勢いで他の人に言うこともない」

 

「…なんとなくだけど、2人ともキレるとおっそろしそうね」

 

「ハハ、良く言われるよ。じゃあ、行こうか」

 

「その前に1つ、良いかしら」

 

 先を促そうとするイーサンをモシン・ナガンは止めた

その声に歩みを止めて何だい?と聞くイーサンにモシン・ナガンは会ってからずっと思っていた疑問をぶつける

 

「…貴方、どうしてずっと目を閉じてるのかしら?」

 

「あ、それ私も気になっていました」

 

 そう、イーサンはAK-12宜しく両目をずっと閉じた状態で今まで会話等を行っていたのだ

これは誰しもが疑問に思うことだろう、だが等のイーサンは

 

「それに関しては秘密、だよ。ほら、人は多少なりとも秘密があった方が魅力的だって言うだろう?」

 

「…なるほど、分かったわ。ごめんなさいね」

 

「いやいいさ、気になるのも分かるしね」

 

 モシン・ナガンは何かを察したのか謝罪を口にする

一方FN49は何故そうなったのか分からずオロオロしていたがモシン・ナガンに目で促されてイーサンの後を着いていくことにした

 

 

 その後暫くしてイーサン達はスカーレットとクレアに合流した

…ライアンはスカーレットに首根っこを掴まれて宙ぶらりんの状態で何故か放心している、何があったかは聞かない方がいいだろう

 

「来たのね、イーサン…ところで、早速新しい娘のナンパかしら?」

 

「冗談きついよ、クレア…僕がそんなことすると思うかい?」

 

「思わないわよ、大丈夫。ちょっとからかっただけ」

 

「それは良かったよ」

 

「はいはい、こんなところでイチャつくなバカップル共め。それより重要なことがあんだろ?」

 

「それもそうね、さて…」

 

 クレアはイーサンに向けていた緩んだ笑顔を引き締めていつも通りの笑顔に戻すとFN49とモシン・ナガンの方へ向く直る

 

「今回貴女達をわざわざ呼んだのには訳があるわ。この基地では毎月最後の1週間になると私が家に帰るのよ」

 

「「…え?」」

 

 余りの発言に2人が固まる

それはそうだろう、なんせクレアは後方幕僚とガンスミスでありこの基地においてかなりの重要人物だ

そんなクレアが毎月1週間いなくなる?いったい何を考えてるのかと思うだろう

 

「まぁ2人の考えてることは分かる。トチ狂ってんのかと思うよな」

 

「ええ、そうね…正直に言えば頭おかしいとしか思えないわ」

 

「ちょ、モシンさん…!いくらなんでも…」

 

「いや、モシン・ナガンの言っていることは正しいよ。僕も初めて聞いた時はスカーレットもとうとう壊れたのかと思ったからね」

 

「おうそりゃどういう意味だイーサン」

 

「まぁまぁ…ともかく、その心配は正しいものだけど大丈夫よ。ちゃんと基地の業務は回るようにしてあるから」

 

 3人がそう言うので取り敢えずは納得した2人

だがそれでも不安を拭えてないのは明らかだが、これは暫くこの基地で過ごせば自然と解消するので気にしない

 

「ま、そういうわけで暫くの間クレアもイーサンもいないからその辺覚えておいてくれ。無論、代わりの人員もいるからそれは後で紹介するとして…ほれ、いい加減起きろ!」

 

 スカーレットが掴み上げていたライアンの頭を小突いて起こす

起きたライアンは苦しそうに呻いて頭を擦りながらスカーレットを睨む

 

「この馬鹿力女め…今に見てろ、すぐにお前なんか倒してやるからな!」

 

「ほう、そいつは楽しみだな。まぁそれはそれとして、そろそろお家に帰んな」

 

「子ども扱いすんじゃねぇ!」

 

「もう…2人とも売り言葉に買い言葉なんだから。ほら帰るわよ、ライアン」

 

「ちっ…仕方ないから今日のところは勘弁してやる。次はないからなぁ!」

 

 そう言いながら手はしっかりとクレアと繋がれている辺りまだまだ子供だなぁ、と周囲の者は思うがそれを言うことはない

何故か、そんなの可愛いからに決まっている

ともかく、イーサンとクレアとライアンの3人家族は基地から町にある自宅へと帰っていった

勿論その間この基地にいる面々での護衛は行われるが…そもそもが鉄血の少ないルートを通る上にクレアとイーサンも相当な実力者であるため余り仰々しい護衛は付かない

せいぜい2、3人程度だ

 

「さて、こっからが忙しいぞ」

 

「あら、そうなのね」

 

「そりゃあな。クレアの代打は勿論いるんだが、それでも私の仕事が増えるのは確実…」

 

「その通りです。自覚しているようで何よりです、指揮官」

 

「いぃっ!?」

 

 今までそこにいなかった声が聞こえてくると、スカーレットはあからさまに嫌そうな反応を示してギギギ、と音がしそうな動きでそちらを向く

そこには軍服のようなものをカッチリと着込んだとても真面目そうな人形が…ジェリコがいた

 

「ジェ、ジェリコ…」

 

「忙しくなるのを自覚しているのなら早速仕事にかかりましょうか。処理しなければならない書類が山のようにありますからね」

 

「いや、まぁ…ほら、初日だし?今日は少しくらい…」

 

「駄目です許しません。今すぐに取り掛かってもらいます、さぁ指揮官…」

 

「兵法三十六計、逃げるに如かず!!」

 

「…やはりそう来ますか。しかし読めてますよ、指揮官。さて…」

 

 ジェリコに苦手な仕事を大量にさせられる気配を感じたスカーレットは逃亡した

しかしその行動はジェリコには読めていたようで耳にかけたイヤーピースのマイクをONにして

 

「現在基地に居る全戦術人形に緊急連絡!スカーレット・ミッチェル指揮官が仕事を放棄して逃亡、これより指揮官の確保作戦を開始する!!動ける者は指揮官を発見次第報告及び確保せよ!!!!確保に成功した者には報酬として1日指揮官を好きに出来る権利を与える!!!」

 

 その通信を行った瞬間基地内から凄まじい雄たけびが聞こえて様々な所で指揮官確保の為の準備を行う気配をひしひしと感じた

 

「ねぇ、FN49…この基地って訓練は厳しいけど結構ユーモアあるわよね。書類仕事したくないからって逃げる指揮官なんて初めて見たわ。そしてそれを捕まえるために全力になる人形達もね」

 

「そうですね…色んな基地を見てきたわけではないんですけど、ここが異常なのは良く分かります」

 

「貴方達も参加するんですよ?早く準備して下さい」

 

「…マジ?」

 

「ええ…」

 

 ジェリコの容赦ない言葉に尻込みしながらも、仕方なしに準備をし始める2人はこの後かなりの大騒動になることを予見出来ていなかった

超絶リアルな狙撃の描写

  • 見たい
  • 見たくない
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。