S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

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今回閲覧注意です
かなり表現を抑えめにはしましたがそれでもグロいかな?


☆JIN☆MON☆

 男は見知らぬ場所で目を覚ました

身体は椅子らしきものに拘束されていて自由が効かない…部屋も暗くて鉄錆の匂いが充満していて酷く気分が悪い

 

「漸くお目覚めか、待たせやがって」

 

 女の声が聞こえて来る

そちらを見やると紅い長髪を結んだ長身の女…スカーレットが近づいてくる

まだ意識が朧気ではあるがこれから何が行われるのか、瞬時に理解出来た

 

「ま、もう分かってると思うがこれからてめぇにちょっくら質問をしていく。原型を留めたまま死にたいなら素直に答えた方が良いぜ」

 

 スカーレットの言葉に男の身体が僅かに震える

 

「よし、じゃあ早速1つ目の質問だ。お前が率いていた犯罪組織だが、他の所とも繋がりがあるよな?その繋がりについて全て話せ」

 

「…断る」

 

 男が否定の言葉を口にした瞬間、スカーレットの顔が喜悦に歪む

 

「やれやれ、折角忠告してやったってのにな…おい、MDR」

 

「あいよ」

 

 スカーレットが誰かを呼ぶとその声に反応して新たな人物が現れる

彼女は戦術人形のMDR、この基地の諜報部隊の一員で普段は情報収集専門で動いている

そのMDRが来たのは良いのだがその手に持っているものが不穏すぎる

 

「よし、じゃあ始めるか。まずは指からだな」

 

 スカーレットはそう言うとMDRから錆ついたノコギリを受け取り、男の右手の親指に当てる

男の顔が恐怖に歪むがそれで止まるわけもなくスカーレットはノコギリをゆっくりと引き始めた

 

「ぐぅ…!!」

 

 男は必至に堪えているがその忍耐も最後まで持つことはないだろう

これはスカーレットの尋問の始まりに過ぎないのだから

その後数十分に渡ってノコギリを引き続け、やっとこさ親指を完全に切り落とす

大量の血が流れて男の意識が朦朧とし始めるが暫くすると急にはっきりしだした

痛みも少し引いていて何事かと思っていると声が聞こえた

 

「これで治療完了よ。さ、次に行ってちょうだい」

 

「分かった、じゃあ続けるぜ?」

 

 どうやらDP28が親指が切り落とされた手の治療をしていたようだ

なぜそんなことをしたのかと思うが今度は人差し指に鈍痛が走り始めたため思考をする余裕はなくなった

 

「なんで治療なんかしてるのか~って気になってるみたいだねぇ。ねぇ知りたい?知りたいよね?じゃあ教えてあげちゃおっかなぁ~!」

 

 男は何も言ってないがMDRは勝手に話し始める

 

「スナッフフィルムって知ってる?知ってるよね、あんたが扱ってた商品の1つだしさ。あれって子供を殺すけど長い時間苦しませ続ける為に治療を施しながらやるでしょ?要はそういうことさ」

 

 つまりスカーレットの尋問は出血による死亡や意識の低迷、激痛による血圧低下などを防ぐ為にDP28による治療を施しながら行われると言うことだ

見れば男の肘付近には点滴針が刺さっておりその先には大容量の輸血パックがあるのが見える

それからもノコギリによる指の切断とDP28による治療は数時間に渡って続いていき、両手の指が全て切り落とされる

 

「さて、なんか話す気になったか?」

 

「なに、も…ない…!」

 

「おーおー、強情だなぁ。ま、その方が私達は楽しめるから良いんだけどな」

 

 これ以上ない程に犬歯を見せつけた笑みのスカーレットは今度は手首を切り落としにかかった

だがその動きは今までのゆっくりとしたものではなく、非常に素早く切っていく

 

「ガアアアアアァァァァァァァァァ!!!!!」

 

 急にこれまでとは違う痛みに堪らず男は叫ぶ

だがその叫び声はここにいる面々を喜ばせる狂騒曲にしかならない

男にそんな余裕はないが顔を見れば3人共とても良い笑顔を浮かべている

 

「なぁなぁ指揮官、次は私にやらせてくれよ~」

 

「なんだ、我慢出来なくなったか?両手首を切り落としたら変わってやるよ、好きにやりな!」

 

「やりぃ!」

 

 不穏しか感じない会話を楽し気に行いながらもスカーレットはノコギリを動かしていく

やがて右手首を切り落とし、左手首を取り掛かる

それと同時にDP28が右手首からの出血を抑える為に止血帯を巻いていく

そして左手首も切り落とした所でスカーレットが一度下がり、MDRが前に出てくる

 

「さて、何か喋る気になったかい?出来ることならそのまま喋らないでいてくれるとあたい的には嬉しいんだけどね」

 

「……クソ」

 

 男が何も言わないのを確認するとMDRは嬉しそうに笑って

 

「ククク…じゃあ、いくよ?」

 

 MDRは口角を思いっきり上げると右手を男の左目に近付ける

嫌な予感がした男は逃れようと必死になるが拘束されているため身じろぎしか出来ない

やがてMDRの指が目に触れる

それに反応して目を閉じようとするがMDRはそれを予期していたのか瞼を左手で開いて閉じれなくさせた

 

「ふふふふふふふふ…♪」

 

 嬉しそうに笑うMDRは親指、人差し指、中指の3本を眼腔に突き入れていく

 

「あ、ああア、あああアアアアあアアアあああああああぁぁァァァァァああアアアアアアア!!!!!!!」

 

 男の絶叫が部屋に木霊する

それを聞きながら心地良さそうな目をしているMDRはそのままゆっくりと指を奥に奥に進めていく

やがて最奥に辿り着くと指で目を摘まんで思いっきり腕を引いた

 

「――――――――――――――っ!!!!!!!」

 

 男の声にならない悲鳴が響く

男の左眼球を引き抜いたMDRはスカーレットに向き直る

 

「見てみて指揮官、綺麗に取れたよ!」

 

「おー、相変わらず傷一つ付けずに取るもんだな。んじゃあ今日の晩飯は目玉焼きだな」

 

「良いのかい!?」

 

「ああ良いぜ。折角だし私が調理してやらぁ」

 

「やりぃ!指揮官の作る人間目玉焼きは絶品なんだよねぇ…じゃあもう1つも綺麗に取らなきゃだね」

 

 ニコニコ笑顔のMDRが再度男に近付いてくる

そのタイミングでDP28による治療を終えた男は慌てて声をかける

 

「ま、待て…情報が欲し、いんだろ?何でも話す、だからこれ以上は…」

 

「とか言ってるけど…どうする、指揮官?」

 

「元々欲しいのは情報だ。目玉焼きはついでだし1つありゃ十分だろ」

 

「えぇ……はぁ、分かったよ」

 

 あからさまに残念がるMDRだが指揮官の言葉に逆らうことは出来ず下がり、代わりにスカーレットが出てくる

 

「話す気になってくれてなによりだ。DP28、モルヒネを打ってやれ」

 

「はぁい、分かったわ。えいっ」

 

 DP28が男の首にモルヒネの入った注射を打ち、暫くすると男の様子が落ち着いていく

 

「はぁ、はぁ…それで、何を聞きたい?」

 

「さっきも言った通りてめぇの組織と繋がりのある奴ら全員だ。特にZ地区総隊司令官殿との繋がりなんかは綿密に聞きてぇな」

 

「…既にそこまで知ってるのか」

 

「まあな…さ、話してもらうぞ。全部、な」

 

 それから1時間かけて男が持つ情報を全て引き出したスカーレットは部屋を後にするかのように男から離れていく

その様子に漸く終わったかと安堵した男であったが

 

「おい、MDR。後は好きなようにやっていいぞ」

 

「さっすが指揮官!分かってるねぇ…じゃあまずはお待ちかねの右目を取ろうか」

 

「ま、待て…!話したら助けて……」

 

「おいおい、何言ってんだ?私はゲロったら解放してやるとか一言も言っちゃいねえぞ。喋ろうが喋るまいがてめぇはここで死ぬんだよ」

 

 その言葉に男は絶望する

見ればDP28もお役御免とばかりに荷物を纏めて部屋を出ようとしている

しかもスカーレットが扉を開けて僅かに光の漏れる先へと声をかけると新たに2人の人形が現れた

PPKとKS-23だ

この2人は拷問処刑のスペシャリストとしてスカーレットに様々な技を仕込まれている

彼女らがここに来た以上男に希望は一欠けらも残されてはおらず、意識を保ったまま苦しみぬいてゆっくりと殺されることだろう

男の子守唄が響き渡る尋問室を後にしたスカーレットは一先ず血と匂いを落とすためにシャワー室へと向かう

 

「して、結果はどうであった?」

 

「おうナガンか。ま、良かったぜ」

 

「その様子だと知りたいことは聞き出せたようじゃな」

 

 結果から言えばスカーレットは大満足であった

とは言え満足しているのは情報を聞き出せたことに対してであってその情報そのものには苦々しい思いを抱く他なかった

そんなことを思いながらもスカーレットは服を脱いでシャワースペースへと入る

M1895はそんな彼女の思いを分かっているのか何も言わずに部屋の壁に背を預けている

それから暫くはシャワーの音だけが部屋を支配する

 

「…それで、例の指揮官についてはどうだったのじゃ?」

 

 汚れも粗方落ちて来た時M1895からそんなことを聞かれる

それを聞いたスカーレットは思わず顔を顰める

 

「あいつの言うことを信じるなら事実みたいだな。色々と聞き出したからその情報を元にまた調査するつもりだ」

 

「なるほどのぉ…その情報を探るのは」

 

「隊長にやってもらうさ。そう何度もお前らが大々的に動くと勘の良い奴らが察し始めちまう」

 

「それもそうじゃな。じゃあワシはあやつに連絡を―」

 

「その必要はありません」

 

 何の前触れもなく2人しかいないはずのシャワー室に3人目の声が聞こえてくる

しかもその声はスカーレットの真後ろからしたものだから彼女の裏拳が放たれる

しかしその声の主はゆらりと動いたかと思うといつの間にかスカーレットの後ろに位置取っていた

まるで幽鬼のように揺らめいていて捉えどころのない動きに存在感…彼女こそ諜報部隊の隊長にしてスカーレットとクレア、そしてM1895以外に存在していること自体知られていない最高の諜報員ウェルロッドである

彼女の気配だけはスカーレットもクレアも察することが出来ないほどに完璧に消されておりスカーレットに不意打ちを噛ますことの出来る唯一の人形だ

 

「その声はウェルロッドか…相変わらず神出鬼没がすぎるのぉ」

 

「それは良いんだが何故態々私がシャワー浴びてる所に侵入してくんだよ…」

 

「常に指揮官の傍にいながらバレない様にすることで1日中隠密の訓練が出来ますから」

 

「おい待て、お前まさか常日頃から私のこと」

 

「ええ、ずっと近くにいますよ。どんな時でも」

 

「…今日限りでやめろ、それ」

 

「え、しかし…」

 

「やめろ」

 

「…分かりました」

 

 渋々と言った感じにウェルロッドがスカーレットの言葉に頷いた

しかしウェルロッドが離れていようが近くにいようが彼女の方から気配を露わにしない限りスカーレットでも気付けないので結果的にどうなるかは彼女のみぞ知る

 

「まぁそれは良いとしてだ…ずっと近くに居たっつぅことは私の言いたいことは分かるな?」

 

「ええ、Z地区総隊司令官の基地に潜入して事実確認をすれば良いのでしょう?」

 

「そうだ。頼めるか?」

 

「お安い御用です。明日の朝指揮官の部屋に報告に上がります」

 

「ああ、頼んだ」

 

 S地区から遠く離れたZ地区の、それもその地区を取りまとめる総大将とも言えるような大物の基地に潜入して情報を盗って来ると言うのに1日要らないという

ウェルロッドはそれを為せてしまう程に優秀なのだ

 

「では、行って参ります」

 

「おう、行ってこい」

 

「やれやれ…いつものことながら唐突が過ぎるのぉ」

 

 その言葉を最後にウェルロッドの姿は掻き消え、気配も完全に消えた

余りにも一瞬の出来事でスカーレットですらどうやったのか分からない

あいつにだけは叶わねえな、スカーレットはそう呟くと汚れを落とすのを再開する

やがて完全に汚れを落としたスカーレットはシャワースペースを出て新しい服を身に着ける

さっきまで来ていた尋問用の作業服はいつの間にやらウェルロッドが洗濯に持って行ったようで何処にもなかった

その事に呆れれば良いのか感謝すれば良いのか分からず曖昧な表情を浮かべるスカーレットであったが取り敢えず気にしないことにした

それから執務室へと戻ってWA2000と共に書類仕事を片付けていく

これからどうなるのか分からないが、平穏な生活はそう遠くない内に崩れるのだろうことは確かだ

気を引き締めねえとな、そう思うスカーレットであった

 

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