S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

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なんかこう私の中でのUMP姉妹はこんな感じなんですよ
あとIDWとP7がやられ役として定着しつつあります


UMP姉妹!

「ん~…ンゥ」

 

 朝、いやまだ未明という時間帯…UMP45は微睡みの中にいた

少しだけ目が醒めて来てはいるがハッキリとはせず、ふわふわとどこか身体が浮いているような感覚…睡眠で一番気持ち良い状態で、彼女はこの感覚がとても好きだった

なのでもっとこの微睡みを堪能しようと枕に顔を押し付けようとして…ちょっとした違和感に気付く

 

「ウン?」

 

 僅かに気配を感じる

身体に接触こそしていないがベッドの上に誰かいるようだ

その誰かはゆっくりと動いてUMP45に掛かっている布団を剥がしていく

その行為に頭が冴えて誰なのか分かった彼女は溜息を吐きたくなるのを我慢して何者かのしたいようにさせる

言い逃れの出来ない状況になるまで待つためだ

やがて布団を剥がし終えた何者かはゴクリと喉を鳴らすとUMP45のパジャマにその手を掛けて…

 

「何を、してるのかしら9?」

 

「あ……おはよう45姉!」

 

 パジャマのボタンに掛けていた手を掴んで顔を向けるとそこにはニッコニコ笑顔のUMP9がいた

部屋にはちゃんと電子ロックと複雑なアナログキーをかけていたはずなのだが彼女には通用しなかったらしい

基本的に人畜無害で接しやすく、皆のムードメーカーであり任務遂行能力も高い非常に良い仲間であるのだが如何せん姉のことになると暴走気味になるのがここのUMP9という人形だ

こういうことは一度や二度ではなく何度も起こっておりその度にお灸を据えているのだが全く懲りる様子はない

寧ろ毎回工夫してどうにか達成しようとしてきて油断ならないくらいである

 

「もう朝だよ、一緒に朝ごはん食べに行こ45姉!」

 

「まだ未明よ9。それよりも今何をしようとしてたのか教えてくれる?」

 

「可愛い45姉を愛でようと思っただけだよ!」

 

「そう、ありがと9。具体的にはどうするつもりだったのかしら」

 

「パジャマをはだけてあどけない寝顔をしてる45姉を撮って私のコレクションに加えるの」

 

「なるほどね…ねぇ、9」

 

「なあに、45姉」

 

「覚悟!」

 

 その瞬間UMP45は掴んでいた手を捻ってUMP9の態勢を崩し、拘束しようとした

今の位置や彼女の姿勢から鑑みてこれを避けることは不可能だと判断した上での行動だったのだが、UMP9は自分から身体を回転させて関節をかけられない様に逃げてみせた

ベッドの上で足場が不安定で四つん這いという迅速な動きに移るには不利な条件が揃っていながらこのような行動に出て逃げたことにUMP45は少し驚いたが、すぐに気持ちを切り替えて逃げたUMP9を捕まえるべく走り出す

 

「待ちなさい9!」

 

「そう言われて待ったことは人類史上一度もないよ、45姉!」

 

「それもそうね…なら全力で捕まえてあげる!!!」

 

「わひゃー!」

 

 全速力で廊下を走り抜けるUMP9をUMP45も同じく全速力追いかける

 

「何を騒がしく…ぶにゃ!」

 

「何があったのってきゃああぁ!!」

 

 その騒がしさに起きて廊下へと身を出したIDWが哀れにもUMP9に蹴られてUMP45の方へ飛んでいく

跳んできたIDWをUMP45は回し受けの要領で後ろへと流し、結果としてIDWは騒ぎを聞きつけてやってきたP7にぶつかって一緒に廊下に転がって目を回すことになった

こうして時折被害者を出しながら2人の追いかけっこは続き、やがて食堂へと追い詰めた

 

「さぁ、もう逃げ場はないわよ9…大人しく捕まりなさい」

 

「ふふふ…出来るものならやってみると良いよ、45姉!」

 

 追い詰められたというのに余裕の表情を崩さないUMP9にUMP45は油断することなく動きを観察する

どうやらこの場で決着を付ける心づもりらしく、戦闘態勢を取っている

それならばと自身も意識を切り替えて構えを取るとUMP9がニヤリと笑う

 

「そうこなっくちゃね…行くよ45姉!」

 

「来なさい9!今日という今日は姉の実力を思い知らせてあげる!」

 

 先に動いたのはUMP9だった

UMP45に向かって突進して腕を突き出してくる

この姉妹は両者ともサブミッションを得意としているのでこういった当身は全て関節や投げへの繋ぎであると分かっているUMP45はその手を取って逆に投げ飛ばそうとする

しかしそれは妹に読まれており投げられながら腕を伸ばしてUMP45のパジャマの第一ボタンに手を掛ける

その意図に彼女は気付いたが時既に遅く、パジャマのボタンが1つ取れてしまう

 

「貴女ね…!」

 

「ふふふ…無垢な寝顔ではだけてる45姉は撮れなかったから公衆の面前ではだけて恥ずかしがってる45姉を撮ることにしたのだよ!」

 

「堂々と宣言することじゃないでしょ!!」

 

 パジャマを閉じようにもボタンが完全に取れてしまっているためそれは叶わない

しかしこれで妹の狙いが自身のパジャマのボタンであると分かればそれを守りながら戦えば良いだけだ

UMP45は1度深呼吸をして心を落ち着けると改めて厄介な()を見据える

 

「次はこうはいかないわよ、9」

 

「お、本気モードだね?そうでなくっちゃね…本気になった45姉を脱がせることに意味があるもんね」

 

 無茶苦茶なことを言っているがUMP9も表情が変わっている辺りお遊びはここまでと言ったところだろう

それからUMP姉妹による仁義なきパジャマ戦争が繰り広げられる

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ…中々やるわね、9」

 

「45姉こそ…やるね!」

 

 数十分後、彼女達は少し息を切らせて互いに睨み合っていた

UMP45のパジャマは第二ボタンまで取られてしまって少しデコルテラインが見えているがまだまだセーフラインだろう

UMP9も想像以上に防御を固めた姉に対して攻めあぐねているようだ

 

「なに休憩してんだ、さっさとやれ~!」

 

「そうだそうだ~!」

 

「姉に賭ける人はこっち、妹に賭ける人はこっちだよ~。さぁ張った張った!!」

 

 それなりの時間騒がしくしていた所為か既に食堂にはギャラリーが集まっており更にはどっちが勝つかで賭け事が始まった為にそれをスコーピオンが仕切ってすらいる

スカーレットもこの場に来ているのだが止めるどころか面白がって囃し立てている

そんな喧騒に構ってなどいられないUMP45は妹がかかって来ない間に息を整える

暫く膠着状態が続いたが、何の前触れもなくUMP9が動いた

一直線に走って来る妹に遂に来たかと身構えるUMP45

そして予想通り妹の腕が自身に迫って来たのでそれを払いのけようとするもここで予想外のことが起きる

 

「え?」

 

「貰ったよ!」

 

 なんと妹はUMP45に技を掛けずに左脚で蹴りを放ってきた

だがその軌道は非常に読みやすいものであったので自身の左脇の下に通して躱す

そのまま脚を取って関節を極めようとしたUMP45だが、妹の予想外の行動は未だ続いていた

 

「は?……っ!!!!!」

 

 妹は関節技を避けることなくそのまま膝を曲げて踵をUMP45の背中に優しく当てた

無論それだけで終わることなくクイッと動かすのだが最初UMP45は意味が分からなかった

しかし胸の辺りに感じるスカスカとした感覚で何をされたのかを悟った彼女は急いで妹から離れて胸元を抑える

やはりと言うべきかそこにあるべきものが下に落ちようとしているのが分かる

 

「9、あんたねぇ…!」

 

「おおー、照れながら怒ってる45姉も可愛い!」

 

「ほう…器用なもんだな、9。面白いそうだし私もそういう技開発してみるか」

 

「余計なことするな指揮官!!!」

 

 UMP45の魂の叫びが迸ったところで何があったのかお話ししよう

UMP9は背中に回した踵でなんとUMP45のブラホックを外してしまったのだ

なんとも器用なものである、スカーレットが感心するのも当然だろう

なんせこの器用さは正しく活かせば非常に有力なものになるのだから

しかしそれを余計なことに使うのがこの基地のUMP9という人形であり、その被害に合うのは姉であるUMP45と相場が決まっている

そしてUMP45はと言えば恥ずかしい思いはあるがブラを元通りに直すことは叶わない

そんなことをしようものならその隙に妹に襲われてパジャマを脱がされてしまうだろう

かと言ってこのまま対峙するのも胸にある違和感やら羞恥心やらで真面に相手が出来るとは思えない

何故こんな下らないことで窮地に陥れられなきゃならないのかと心底思うが今は目の前の妹に集中しなければやられる

 

「焦ってるね45姉…いつもの冷静さが嘘のようで凄く可愛いよ」

 

「あらありがと9、お礼ついでに少しそのまま動かないで居てくれると助かるのだけど」

 

「ハッハッハ!私が大人しく出来ると思う?」

 

「…ま、そうよね」

 

 UMP9は恐らくすぐにでも動くだろう

いよいよ後がないUMP45、解決策を考えるもこの状況を打開できるものは浮かんでこない

一番マシなのはこのまま違和感を気にせずに戦うことだがやはり動き辛さがある以上妹と互角に戦うのは無理がある

はてどうしたものかと思っていると遂に妹が動き出した

 

「イックヨー!45姉!!!」

 

「くっ!」

 

「いい加減になさい、貴女達」

 

「へ?…ぅご!!!」

 

「あら416…助けてくれてありがとう」

 

「助けたつもりなんてないわよ。これ以上食堂で騒がしくされるのが嫌なだけ」

 

 走っていたUMP9はやって来たHK416の肘を頭頂部に落とされ、一撃で沈んだ

若干首が埋まったような気もするが気のせいであろう

どうであれHK416はこういうバカ騒ぎがあまり好きではなく、余り追求すると怒りの矛先が自分に向くことになるので誰も触れない

彼女と戦って勝てる者はミレニアム8の面々くらいであり、それでも勝率は五分五分…試験突破組も彼女に勝てると驕るほど助長することはない

それは試験を突破してこの基地でも指折りの実力者であるUMP9が抵抗の間もなく一撃でやられたことを見れば分かるであろう

兎も角彼女の怒りに触れるのは御免被るとばかりに周囲にいた人形達も黙り込む

例外はスカーレットくらいのものである

 

「なんだ、もう終わりかよ…もうちっとやってくれりゃ面白いもんが見れたのに」

 

「お黙り、指揮官」

 

「お、なんだ?やるってのか?」

 

「そうね…丁度食前の運動がしたかったところなのよ。表に出ましょうか」

 

「良いぜ良いぜ…っとその前に」

 

 なんだかこのままスカーレットとHK416の戦いが始まりそうな展開の中彼女はUMP45に近付く

 

「なぁ45、てめぇたかがブラが外れたぐらいで冷静さを欠いて真面に戦えなかったよな?」

 

「う…そ、それは」

 

「言い訳は通用しねえぞ。お前は私の試験を突破してんだ、そんなお前がこの様じゃ周りに示しがつかねぇ…分かるな?」

 

「出来れば、分かりたくなかったわね…」

 

「よぉし良い子だ。んじゃ、昼飯の後に来い。たっぷりと扱いてやるからよ」

 

「うぅ…どうしてこんな目に」

 

 どうやら彼女の昼は地獄になることが決定したようだ

今日の彼女がどうなるのかを察した面々は次々に敬礼を向ける…左手の敬礼を

そしてこの騒ぎを引き起こした張本人ということでUMP9も同様にHK416に扱かれることが決定したことでUMP45の溜飲は少し下がるのであった

しかしそれでスカーレットによる地獄のような近接格闘訓練がなくなるわけではない…夕方頃、大浴場には死んだ魚のような眼をしたUMP姉妹が大の字になって浴槽にプカプカ浮いていたらしい

 

 

 

 

 

 

「いや~今日は酷い目に遭ったね45姉!」

 

「いったい誰の所為だと…はぁ、まぁいいわ。それじゃあお休み9」

 

 時刻は夜

今日一日で激しく疲れてしまったUMP45はそう言うと自室へと入ってさっさと寝ようとする

しかし何故か妹まで一緒に入って来る

 

「…どうしたの9?」

 

「今日は一緒に寝ようよ、45姉」

 

「何かするつもりじゃないでしょうね」

 

「やだなぁ、流石にもうそんな元気ないよ。」

 

「そ…なら良いわ、おいで」

 

「やったー!」

 

 なんだかんだ言って彼女も妹のことが好きで甘いのだ

2人はパジャマに着替えると一緒になってベッドに入る

 

「へへへ…久しぶりの45姉との添い寝だぁ」

 

「ほんと、こうしてれば可愛いだけの妹なのにね…」

 

「何か言った、45姉?」

 

「何でもないわ。さ、もう寝ましょう」

 

「そうだね、お休み45姉!」

 

「ええ、お休みなさい9」

 

 就寝の挨拶を交わした姉妹は共に目を瞑り眠りへと落ちていく

その最中妹は姉に抱き着き姉はそんな妹の髪を撫でる

これだけを見れば朝あんな騒ぎを引き起こした元凶と言うことを忘れそうなほどに微笑ましい光景だ

やがて姉妹は意識を深く落としていき完全に眠る

その顔はとても穏やかで幸せとはなんなのかが一瞬で分かるものであった

そして翌朝

 

「何を、してるのかしらね?9は」

 

「あっ…おはよう45姉!」

 

 またもやパジャマのボタンに手を掛けている妹の姿に呆れつつもお仕置きしなければならないのでまた捕まえようとするも捕まらず、結局はHK416に見つかって姉妹仲良く襟首を引き摺られて彼女の特別訓練に連れていかれる光景が見られることとなった

 




次回は以前アンケートを取って予想外の票数に驚いたあの「超絶リアルな狙撃の描写」をする予定です
多分書き上げるのに時間かかると思います…考えただけでもしんどそうw
読む方もしんどいと思いますがご容赦下さい
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