S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常 作:フォルカー・シュッツェン
しかも銃撃戦が苦手で近接戦闘と狙撃の様子しか上手く描写出来ないっていう…ドルフロSSに向いてなくね?
でも好きだから書くんです、ではどうぞ!
『ふむ、俄には信じがたいが…これだけの情報があれば信じないわけにもいくまい』
「そんじゃ、許可はくれるんだな?」
『良いだろう、クルーガー社長には私から話しておく。その時は頼んだぞ』
「お安い御用だ」
S地区総隊指令基地、その執務室では指揮官であるスカーレットが誰かと通信をしていた
相手は上級代行官のヘリアントス、一応スカーレットの上司に当たる人物であるが年上なのと個人的に仲が良いためこうした仕事の話でも敬語で話すことはしていない
『では明日の定例会議が終わった直後に動いてくれ。他に何かあるか?』
「他にねぇ…特にはねえな」
『ならこの通信もこれで終わることにする。アウト』
「相変わらず硬ぇ奴だぜ、そんなんだから嫁の貰い手がいねえんだろうな」
「…それ、あんたが言えることなの?」
「何か言ったか?ワルサー」
「いいえ何も」
通信が終わり中空に浮かんでいたヘリアントスのホログラムも消えたのを確認したスカーレットは思ったことを呟くが、彼女の言えたことではないだろう
そもそもスカーレットはヘリアントスと共に数々の合コンに参加しており、全敗記録を更新し続けている
これをヘリアントスが聞いていれば「お前に言われたくはない」と言うだろう
その上スカーレットの方が年が上ということは即ち彼女の方が行き遅れで…おっとこれ以上は止そう
兎も角通信を終えた彼女はグッと伸びをすると左耳に嵌めているイヤーピースに手をやる
「セルジュコフ、今大丈夫か?」
『勿論です、指揮官さん。如何なされましたか?』
「明日の定例会議の際の護衛なんだが1つ仕事を増やす。例のZ地区総隊司令官の汚職に関しては知ってるな?」
『ええ、把握しています。彼の排除ですか?』
「ちっと違うな。最終的には殺すがその前に尋問して情報を聞き出す必要がある。その為にも奴の護衛として来るだろうG36の無力化をお前に任せたい」
『なるほど…生死は問いますか?』
「殺してもいいが生かしたまま捕えられりゃあ報酬は上乗せする」
『了解しました。では、また明日』
「おう。じゃあな」
通信したのはセルジュコフ、彼女は他の人形とは違ってSPとしての仕事をさせるべく訓練をさせている
その為スカーレットが定例会議などで基地から離れる際にはほぼ間違いなく彼女が護衛として就くことになっている
それは明日に迫った定例会議でも同じだ、しかしいつもと違うこともある
件のZ地区総隊司令官の汚職をスカーレットは今しがたヘリアントスに伝えて彼を拘束する許可を取った
因みに確たる証拠は数日前にウェルロッドが彼の基地に潜入して全て抜き取って来ており、その情報は既にヘリアントスの元に渡っている
誰にも気づかれずに1日で全ての情報を獲得してその痕跡すら残すこともなく脱出して持ち帰って来たウェルロッドは流石の一言である
そして彼を捕らえるのに邪魔となるのが彼が副官として常に傍に置いているG36の存在だ
彼女は彼の汚職を知っているがそれでも彼へ忠誠を誓い、護り通す
過去に彼を排除しようとした者を軒並み返り討ちにしてきた事実からその実力はスカーレットも認めるほどである
スカーレットとて負けるとは微塵も思わないが無駄に抵抗させてやる義理もない、とっとと退場させた方が良いだろう
それをセルジュコフにさせて自分はZ地区総隊司令官であるマルティン・アーレント指揮官の拘束を行うつもりだ
「よし、それじゃ私は明日に備えて早めに寝るとするか。ワルサー、お前も上がって良いぞ」
「そう?ならお言葉に甘えて…あら?」
今は午後9時、寝るには早いが明日に大仕事があるためそれに備えようとした所で執務室にある通信機…本社との連絡用ではなくこの基地に所属する人形達が遠方への任務に出ている際にかかって来る方の通信機からコール音が鳴る
何事かと思いワルサーが通信に出た
「こちらS地区総隊指令基地よ」
『こちらAK47だ、その声はワルサーだな。そこに指揮官はいるか?』
「ええ、いるわよ。変わった方が良いかしら?」
『そうしてくれ、かなり重要なことだからな…』
「分かったわ。指揮官、AK47からよ」
「あいつから?まさか!」
「ええ、きっとそうね。早く出てあげて」
「言われるまでもねえ!おい、今変わったぞ。見つけたのか?」
『察しが良いな、指揮官。ばっちりだぜ!』
「良くやったぞ!!タイミングもすこぶる良いしな!」
『タイミング?なんかあんのか?』
「明日定例会議があるからな。そん時に叩きつけてやる」
『なるほど、そりゃあナイスタイミングだな!私達が優秀だからか、なんてな』
「いいやお前達は優秀だ、だからこそこんな過酷な任務も頼めるんだしな…ともかく良くやった。帰ってきたらウンともてなしてやる、だからもう暫くそこで耐えててくれ」
『了解だ指揮官、それじゃあな!』
「ああ。アウト」
通信を終えたスカーレットはその顔に広がる笑みを隠そうとせず、満面の笑みを浮かべている
それほどまでにAK47からの通信には意味があった
彼女は半年程前からトカレフ、ASVal、RPD、SV98を引き連れて超重要任務に出ていた
そして目標を達成したという報告が今の通信だ
彼女等に任せた任務はこの先の人類にとっての希望になると言っても良い程に重要なものだ、スカーレットが本当に嬉しそうな顔になるのも当然だろう
「その顔を見る限り…彼女達はやったのね、指揮官」
「ああ、あいつらはやり遂げやがった!こいつはでけえぞ…ククク、明日集まった奴らの驚愕に染まる顔が今から楽しみだぜ」
「まぁ驚くでしょうね…出来ればその顔を撮って見せて欲しいくらいよ」
「ハハ、流石にそいつは出来ねえな。撮影禁止でなけりゃあ滅茶苦茶に撮ってやるのによぉ」
「こればっかりは私も付いていきたくなるわね。ま、それは良いとしてもう寝たら?彼女達から送られてくる情報は私が纏めといてあげるから」
「お、良いのか?なら頼んだぜワルサー…いやぁ楽しみだなぁ」
WA2000に礼を言ったスカーレットは楽しみで仕方ないという笑みのまま執務室を後にして自室へと向かう
それを見届けたWA2000は椅子に座ってAK47達から端末へ送られてきた情報をPCへと送って表示する
そこには『スヴァールバル世界種子貯蔵庫発見』という文から始まっていた…
翌朝、スカーレットは79式が運転する車で本社へと向かっていた
セルジュコフはスカーレットの隣に座って拳銃をいつでも撃てる用に保持している
「それにしても…嬉しそうですね、指揮官さん。何かあったのですか?」
「ハッ、流石に分かるか。まぁそれはそれは良いことがあったさ。何があったかは会議の際に話してやるよ」
「あら…今教えてはくれないんですね、少し残念です」
「ククク…こればっかりはな、あそこでぶちまけて反応を見たいんだよ。すまんな」
「こんなに嬉しそうな指揮官さまは久しぶりに見ましたよ」
「そうですね、何を言うのか楽しみです」
これから一応は重要な会議に出席するというのにセルジュコフに緊張はない
もう何度か参加していて慣れているし彼女もスカーレットの課す過酷な訓練を乗り越え、試験を突破して今の座を得ているためこの程度のことで狼狽えたりはしないのだ
やがて車は本社のある街へと着き、入り口でセルジュコフが手続きをして本社の駐車場へと向かう
地下駐車場に入った車からスカーレットとセルジュコフが降りて会議室へ向かい、79式は車で待機する
流石にG&Kの本社で事を起こす輩はいないだろうが念のためである
そしてスカーレットとセルジュコフは会議室に入室する
中には既に何人か集まっていたようで入って来た彼女達を見るがその反応は様々だ
快く挨拶をする者もいれば忌々しく舌打ちをする者もいる
やはりスカーレットがアメリカ人なのとヘリアントスはおろか、社長のクルーガーにすら敬語を使わない上にそれが認められているのが気に入らないのだろう
しかもどう控えめに見ても彼女が上げている戦果は素晴らしいものであり、そもそもS地区の大半を奪還したのは彼女による手柄であるため文句も言えないのが余計に歯がゆいのだ
ヘリアントスと共に合コンの敗北者であるという点は唯一弄れる部分だがそこを弄ると彼女はぶち切れるし、もれなくヘリアントスからもヘイトを向けられることになるため言うものは殆どいない
そうこうして何人かに挨拶をしたスカーレットは席に着き暫し待つ
数十分程待っていると各地区の総隊司令官が揃い、更に数分待てばヘリアントスとクルーガーが入室してきた
それを合図に全員が立ち上がり、敬礼を向ける
意外なことにスカーレットもしっかりと敬礼をしていた
誰かに敬意を持つことなどほぼほぼない彼女だが、クルーガーに対しては恩義を感じているのだ
それは彼女がG&Kで指揮官を務めることになった経緯に所以する
スカーレットはアメリカの超隠密特殊部隊『ゴースト』に所属していた
第三次世界大戦が始まる少し前に彼女はCIA長官から任務を言い渡されてロシアへと渡った
その任務は世界大戦が始まることが予期されていたために最大の敵となるロシアのトップを暗殺しろというものであった
その為にスポッターのクレアとその家族と共に偽装亡命を行って入り込んだ
しかしその直後にアメリカへ向けて大量の核が放たれてアメリカは滅亡した…ステルス核が使用されたためにアメリカからの反撃は行われることはなかった
そして第三次世界大戦は勃発し、スカーレット達は己の役目を失って呆然とすることになった
その時に当時構成されたばかりの連合軍…後の正規軍でそこそこ高い地位にいたクルーガーに勧誘される形で連合軍に所属した
生き残るために食い扶持も必要であったし余りにも突然のことであったが故に復讐に心が向かうこともなかったのだ
そこでクルーガー直属の部下として様々な戦場で活躍したがやがて大戦は終結し、スカーレットは連合軍を離れて廃れてしまった街に用心棒として居着くことにした
当時の彼女は忠義を尽くす国家も、かつての仲間も全てを失い空虚であった
落ち着いてからも復讐心など生まれない程に空虚であったのだ
そこで暫く過ごしていたのだが胡蝶事件が発生し、当時既にG&Kの社長であったクルーガーは戦力の増強を図る必要性を感じてスカーレットをG&Kに勧誘した
最初こそ断っていたスカーレットであったが余りにもしつこく誘ってくるクルーガーに根負けし、渋々ながら入社することになった
そこからは以前話した通り、たった8人でS地区の占拠された基地に急襲を掛けて奪還、そこを起点としてその後も次々に奪還していき今に至る
スカーレットがクルーガーに恩義を感じているのはG&Kで戦術人形達と出会い、彼女達と日常を過ごす内に空虚だった自身の心がかつてのように使命に満ちてきたからである
もしもクルーガーがG&Kに勧誘しなかったら、いやそもそも連合軍に入れてくれなければ…彼女は今も心ここに非ずといった様子であったかもしれない
自分がそうならなかったのはクルーガーのおかげ…故にスカーレットは彼に恩義を感じて忠義を捧げている
「全員集まったな?ではこれよりG&K社、総隊指令官会議を行う!」
ヘリアントスの号令と共に彼女以外の全員が座る
そしてヘリアントスが司会となり会議は進んでいく…各地区の前線状況、治安状況、街の活性状況など様々なことが報告され、共有されていく
会議は順調に進み、終わりに近付いて行く
「ここまでで質問のある者はいるか?…いないようだな、では特別に報告することがあれば挙手を頼む」
その言葉がヘリアントスの口から出た直後にスカーレットは手を挙げる
ヘリアントスはZ地区のことかと思い目線で「まだ早いだろう…」と伝えてきているがスカーレットは不敵に笑い、否定する
ヘリアントスはそれに少し怪訝な顔をしながらも会議を滞らせるわけにもいかないため彼女に発言することを許可した
「んじゃあ私からとっておきの報告だ…半年前に出撃させた部隊がスヴァールバル世界種子貯蔵庫を発見、確保した!!」
「なに!?」
「世界種子貯蔵庫って、あの…?」
「事実だとすれば途轍もない快挙だぞ!?」
スカーレットが報告すると会議室にどよめきが走る
隣にいたセルジュコフも予想を遥かに超えた言葉に固まっている
ヘリアントスも驚愕に染めた顔を曝しているしクルーガーですら驚きに目を見開いていた
「スカーレットS地区総隊司令官…それは本当か?」
「あんたに対して嘘の報告をするほど恩知らずじゃねえよ。紛れもない事実だ」
クルーガーが嘘は許さんとばかりに威圧を込めて確認して来るが一切怯むことなくスカーレットは断言する
その様子にクルーガーは大きく頷き、考え込む
スヴァールバル世界種子貯蔵庫…正式名『あらゆる危機に耐えうるよう設計された終末の日に備える北極種子貯蔵庫』は2008年にMicrosoftの創業者ビル・ゲイツ氏主導のもと建設された、文字通り世界中の植物の種子を保存している施設である
第三次世界大戦の直前には200万種類もの植物の種子が500粒ずつ保存されており、人類最後のセーフティネットとも言われていた場所だ
この施設は将来的に起き得る世界災害や核戦争の影響で植物が死滅した際のリスクを最小限に抑える為に建設され、当然ながら第三次世界大戦後に数々の植物が死滅したためにこの施設は利用されるはずであった
しかし核のEMPによる影響で当施設との通信は途絶え、更にはコーラップスによって海が汚染されてしまった現在ではこの施設へのアクセスは非常に困難なものとなっており、半ば諦められてしまっていた
しかしスカーレットはそれを諦めることはなく自身の基地で独自に開発した北極でも正常に動くヘリを用いて戦術人形を送り、調査させたのだ
そしてそれが実を結び、当施設の発見及び確保に成功した
当然これから種子を運び出さなければならないし、その作業は流石にスカーレットの基地のみで出来るものではないためG&K、そして正規軍すらをも導入して協力し合って作業を行わなければならない
その上安全に運ぶ為のアクセス路も作らなければならない…課題はまだまだあるが、それでも人類にとって希望となることは間違いないだろう
「良くやった…と言うべきか。すまないが余りにも大きすぎる報告のせいで未だ実感が湧かなくてな」
「構わねえよ、お前のその顔が見られただけでも報酬としちゃ十分だ」
「全く、お前は相変わらずだな…まぁ良い、とにかくこれは私達だけでどうにか出来る問題ではない。よって政府と正規軍にも話を通して協力体勢を作らなければならないだろう…社長もそれでよろしいでしょうか?」
「構わない、寧ろこの件に関しては私の方から正規軍に報告する。幸い私には伝手があるからな」
「分かりました、お願いします。さて、他に報告はないか?…ないようだな、ではこれで本会議を終了する…と言いたい所だがあと1つだけやることがある」
ヘリアントスの言葉に席を立とうとして居た者は座り直し、何があるんだ?という顔をしている
違う反応をしているのはスカーレットのみだ、彼女は口角を吊り上げて笑みを浮かべている
「この中に犯罪組織と繋がり、汚職に手を染めた者がいる…そうだな、マルティン・アーレントZ地区総隊司令官?」
その言葉に再度会議室にどよめきが走り、全員の目が該当人物に向けられる
それを受けるマルティンは平然とした顔でその視線を受け止めていた
「なんのことか分かりませんね。何を根拠に…」
「しらばっくれても無駄なんだよ、マルティン。証拠は既に全部ヘリアンに送っといたからなぁ?」
「その通りだ。これがその証拠となる、見ろ」
ヘリアントスが端末を操作すると全員の会議用の端末にその証拠が映し出される
犯罪組織との通信記録や当基地が直接関わった犯罪行為の数々…何年にも渡って行われていた行為の全てがそこにはあった
これにはマルティン・アーレント指揮官も苦虫を噛み潰したよな顔になる
「これだけの証拠がある。まだ弁明を続けるか?」
「クソが…」
「んじゃま、とっとと拘束させてもらうぜ?」
「…G36、殺れ」
「はい」
スカーレットが拘束するために席から立ちあがり彼に近付こうとした直後、マルティンがG36に命令を下した
その言葉を受けてG36はスカーレットに銃を向ける
その行為にこの場にいた者達は驚き、スカーレットが撃たれると思った
しかし、それは杞憂に終わる
G36が引き金を引く寸前、セルジュコフがその銃口に向けて銃弾を放ったのだ
セルジュコフの放った弾丸はG36の銃口に装着されていたフラッシュハイダーにガッチリと詰まる
その状態でG36は引き金を引いてしまった…直後、彼女の銃は銃身が裂けた
異常腔圧だ
銃身に異物が詰まるなどして弾頭が銃身から出ることが出来なかったりした場合、本来射出されて逃げる筈の燃焼ガスは銃身内部に留まり続ける
しかし銃身はそれに耐えるように設計されてはいない、その結果銃身が耐え切れずにライフリングに沿ってぶち裂ける現象が発生する
それが異常腔圧による銃身破裂だ
そしてその際当然ながら内部に堪っていたガスは周囲に拡散する、その被害を受けるのは…
「アアアアアァァッァアアアア!!!」
射手本人だ
G36は高圧高温の燃焼ガスを顔面に受けて悶絶している
両手も焼かれ、目は潰れ、火傷によってその美しかった顔は見るも無残なものに成り果てていた
そして近くにいたマルティン指揮官もその被害を多少ながらに受けて怯んでいる
その隙を逃すスカーレットではない、一瞬で接近するとマルティンの右腕を圧し折ってから首に左腕を回してデザートイーグルの銃口を頭に付きつけた
「てめぇはもうお終いだ。これから本社の尋問官に可愛がられるんだよ」
「グ、うぅ…ちくしょう……!」
「それなんだがな、スカーレットS地区総隊司令官。クルーガー社長は尋問と処分を貴官に任せることにしたそうだ」
「あ?良いのかよ、んな重要なことを一指揮官に任せちまって」
「構わん。情報さえしっかり取れるなら好きにしてくれて良い…その代わりその様子を撮ってくれ。今後同じことが起らないようにするための抑止力として使用する。それにはお前に任せるのが1番良いだろう」
クルーガーの言葉にスカーレットはその顔をこれ以上なく破顔させた
「なるほどなぁ…良いぜぇ、たぁっぷりと可愛がってやるよ。なるだけ早く作るから楽しみにしててくれ」
「ああ、頼む。これで今回の総隊指令官会議を終了する、各自解散しろ」
その言葉を受けて戸惑いながらも各地区の総隊司令官達は帰っていく
G36はヘリアントスが手配した本社の警備を担当する人形によって工廠に運ばれる
マルティンは本社の兵士によって完全に拘束され、護送車でスカーレットの基地に運ばれることとなった
そして会議室にはスカーレット、セルジュコフ、クルーガー、ヘリアントスの4人が残っていた
「それにしても…もう少し穏やかに出来なかったのか?」
「何言ってんだ、十分穏やかだろうが。状況次第じゃこの場で頭を潰すことも考えてたからな」
「相変わらず苛烈だな…本当に隠密部隊の出身か?」
ヘリアントスの言葉にスカーレットは答えるが、クルーガーの言うことも尤もであろう
これでもスカーレットはCIAの隠密特殊部隊で活躍していたのだ、その気になればもっとスマートに出来ただろう
しかしそういうコソコソとしたやり方は彼女の好みではない、派手に暴れるのが好きなためこれでも抑えた方だというのが彼女の主張である
これにはセルジュコフも苦笑いするしかない
「まぁ良い…兎に角尋問は頼んだぞ。最終的には処刑しろ、その様子も出来れば欲しい」
「構わねえぜ。抑止力にするってんなら思いっ切り残酷にして良いんだよな?」
「ああ、そうしてくれ。というかそれ私も見なければならないんだよな?…いつでもトイレに駆け込めるようにしておくか……」
「指揮官さんの尋問は酷いですからね…私も2度と見たくないです……」
「…そこまで酷いのか?」
スカーレットの行う尋問や処刑の様子を見たことのある2人は今からげんなりした
クルーガーも知ってはいるがその様子を見たことはない…まぁそう遠くない内に見ることになるだろう
「兎も角、私は種子貯蔵庫のことを正規軍に報告しに行かねばならん。後のことは頼んだぞ」
「ハッ、畏まりました」
「ああ、任せとけ…なぁヘリアン」
「皆まで言うな、分かっている…次のセッティングだな?」
クルーガーが退室するとスカーレットとヘリアントスは顔を寄せて小声で話しだす
その顔は真剣そのものだが内容はなんてことはない、合コンである
この2人は何度も何度も合コンを行っているが結果は惨敗だ
ヘリアントスは焦りからか必死になりすぎていて男性から引かれるし、スカーレットも必死な上にその身から凄味を発するために寧ろ恐れられてしまっている
合コンの空気を悪くするばかりかこの2人以外の女性が相対的に魅力的に見えてその女性が男性をゲットするという皮肉な結果を生み出し続けている
しかし2人がそれに気付くことはなく、これからも記録を更新していくのだろう…哀れヘリアントス、スカーレット
その後スカーレットは車へと戻り79式の運転で自分の基地へと戻った
そして基地のメンバー全員にホログラム付きの通信でZ地区総隊指令基地のこと、そしてAK47よりもたらされた種子貯蔵庫のことが通達された
特に種子貯蔵庫のことが知られた時には基地全体が揺れるのではというほどの歓声が上がり、その日の夕食はお祭り騒ぎとなった
翌日にはクレアとイーサンも戻って来て基地はいつも通り回っていく
しかし変化というものはいつも唐突に訪れるものである
それは昼前に入った通信より始まった
「詳細不明の民間人の救出?構わねえぜ、救い出してやらぁ」
『頼む。既に鉄血が近くに居ると思われる、時間がない…速攻でやってくれ』
この後救い出した人物が顔見知りであるとはこの時のスカーレットは知る由もないのであった
他者のドルフロSS見てて「この世界でそんな野菜とか果物あるかなぁ…」と思ったのとそう思いながら私も出したいなと思ったのでその矛盾を無くすために世界種子貯蔵庫の話を出しました
これに関しては以前から出そう出そうと思っていたので漸く出せて良かったです、上手くは出来ませんでしたが…
そして次回、遂に他作品のキャラを出します
他作品と言って良いのかどうか微妙なところではありますが…まぁ良いですよね