S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常 作:フォルカー・シュッツェン
早いとこスナイパースクール編に行かなきゃ…そこなら無茶苦茶にスムーズに書けるはず
『Five-seveNより新たな情報が入りました、どうやらターゲットには既に買い手が付いていて【味見】をするために当該施設へと到着しているようです。最早一刻の猶予もありません、速攻で片付けて下さい』
「味見ねぇ…胸糞悪い話だな。取り敢えず了解だ、もう既に作戦区域には入った。すぐに行動を開始するぜ」
『こちらでも到着を確認しました。では作戦の最終確認です、手短に行きますよ…指揮官とトンプソン、MK.23は自由にして下さい、HK416とKSGは正面入り口から堂々と侵入、WA2000は狙撃地点から各地点を見張って逃亡しようとする者の排除、MG5も同様に』
「「「了解」」」
ヘリで移動して情報にあったビルの近くへと辿り着いたミレニアム8の面々は予め決めておいた作戦の確認を済ませて移動を開始する
スカーレットとトンプソンとMK.23は施設の側面から少し離れた場所へ移動すると、スカーレットがその手に持った得物を持ち上げる
その姿は異様そのものであった
まず手に持っているのは銃ではなく剣だ、それもかなり巨大な
片刃の大剣なのだがその刃は綺麗な曲線などではなく、まるで目の粗い鋸のようになっている
その全長はスカーレットの身の丈をも越えている、当然その分重量も嵩む…この大剣は520㎏もあり、無論如何なスカーレットと言えどこれを生身で持ち上げることは不可能だ
その為今の彼女はこの剣以外にも特殊な強化外骨格を装備している
身体の背面から装着して腕、背中、腰、脚を強化するものだ
装甲等は動きの邪魔になるからと言って排除されている
そして何より特徴的なのはその外骨格を隠すように派手なジャケットが装着されている点である
白を基調としており銀や黒で装飾がなされており非常に良く目立つ
これは敢えて目立たせるのが目的だ、そもそもこのスタイルの時は近接しか出来ないし大剣を振り回す姿はどうあがいても目立つ
だったら余計に目立たせて敵の目を引いて陽動やタンク役を引き受けてやるというスカーレットの言葉によって作られた
因みにこれらの装備には名前が付けられていて大剣は「異形の呪剣」強化外骨格を含めたジャケットは「白夜の狼牙」と名付けられている
兎も角今回スカーレットはこのスタイルで施設内へ直接殴り込みを掛けに行くのだ
参考画像
『こちらWA2000、狙撃地点についたわ』
『MG5、同じくポイントに到着』
『了解です…さぁ、指揮官。後は貴女の突入の合図で開始です、早々にお願いします』
「分かってらぁ……行くぞゴラァ!!」
各々が任務開始ポイントについたことを確認するとスカーレットは肩に担いでいた大剣を腰溜めに構えて全速力で走る
そのまま施設の壁面に大剣を突き刺すとすぐ様抜いて壊れかけている壁に向かって全力で叩きつけた
すると轟音を鳴らしながら壁は粉砕され、大穴が空く…当然内部にいた組織のメンバー達は全員がそれに気付くが余りに予想外の事態過ぎて碌に動けてはいないようだ
それを見たスカーレットはチャンスとばかりに突撃し、大権を振り回して近くにいた敵を次々と斬り裂いていく
そしてトンプソンとMK.23も続いて内部へ侵入して別々に行動していく
ここまで派手な侵入の仕方をしたのにも一応理由はある、これだけ暴れれば救出対象を買いに来ている者にも確実に聞こえる
すると味見なんて後回しにして保身に走るだろう、そうすることで一先ずターゲットの危機を回避させる
その狙いは成功しているのだが今の彼女達にそれを確かめる術はない、とにかく暴れてターゲットを探すのみだ
スカーレットが大剣で両断し、トンプソンは銃撃と拳によって正確に頭を潰す
MK.23は比較的隠密に動いて敵の死角から襲い掛かって確実に殺していく
「…始まったわね」
「ええ、私達も行きましょうか」
その頃、正面入り口に潜伏していたHK416とKSGは音を聞いて作戦が始まったことを知る
そしてHK416が中腰になりながら進みその後ろにKSGが続く、当然2人とも得物を構えながらだ
敵が現れれば2人がそれぞれ違う敵を撃って黙らせる、なんの打ち合わせもしていないが示し合わせたかのように同じ敵は一切撃たない
最初から最後までこの状態を一切崩すことなく静かに、しかし素早く移動しながらひたすらに敵の頭を撃つ
頭を撃つのはそれ以外の場所では即死させられないからだ
例え機関砲であろうが脳幹を潰さない限り人間は即死することはない
特に今回HK416が持ってきているのはM855A1普通弾だ、威力に乏しいこの弾ではストッピングパワーに欠ける
普段の彼女はS09H基地特性の6.8mSPC弾を使うのだが、今回は狭い室内での戦闘が多くなるため二次被害を考慮して敢えて普通の5.56m仕様で来ている
因みにKSGが持ってきているのはスラグ弾だ、万が一にも仲間を撃たないのもそうなのだがもしもターゲットを盾にされるとバックショットでは確実にターゲットもろとも撃ち殺してしまう
今回の任務の特性を考えればスラグ弾を撃つのが最適解であろう
そうして彼女達は進んでいき、ターゲットを探す…
「おらあぁぁぁぁ!!!」
スカーレットの振るう剣が近くにいた逃げ腰の敵数人を同時に斬り裂いて両断する
作戦開始から数分後、彼女は幾つもの部屋を周りながら発見した敵を全員容赦なく殺していっていた
この部屋には後1人敵がいるが完全に戦意を喪失しており尻餅をついていた
スカーレットが大剣を掲げながら近づくと悲鳴を上げて命乞いをしてきた
「た、頼む…息子がいるんだ!だから殺さないでくれぇ!!!」
「息子だぁ?それと私がお前を見逃すことになんか関係あんのか?」
「す、すすすすごく可愛いんだ!写真もあるぞ、見るか?」
「ほう…見せてくれ」
スカーレットは男の傍に屈んで男の出す写真を見る
「なるほどな、こりゃ確かに可愛いもんだ。そんな息子の為にも生きて帰ってやらねえとなぁ?」
「そ、そうなんだよ!だから頼む、殺さないで…」
「なら情報を寄越せ。私はここに捕らえられたっつぅ女共を探しに来たんだが中々見つからなくてなぁ…なぁ、何処にいるか知ってるか?」
「な、なんだそんなことで良いのか!?おおお教えてやる、だから命だけは…!」
「おら、早く教えろ」
「わわ分かった…ここの2階下で、隣の部屋だ。そこに檻があって捕らえた女は皆そこに入れている」
「ほうほうなるほどなぁ…ついでにもう1つ聞いときたいんだが、今日ここにその女の味見に来てる奴がいるよな?そいつが買う予定の女もそこにいるのか?」
「そ、それは…ヒィッ!」
男が言い淀むとスカーレットはデザートイーグルを抜いて男の顎の下に突き付けた
それはどんな言葉よりも明確な脅しであった
「い、言う!言うからやめてくれぇ!!!」
「だったらさっさと言いな。私は気が短くてなぁ…今にも撃っちまいそうだ」
「まままままままま待て!!や、奴は一番下の階にいるはずだ!そこはVIPルームになっている!!」
「なるほどな…大体知りたいことは分かったぜ、ありがとな」
そう言うとスカーレットはデザートイーグルを仕舞ってから立ち上がる
その様子に男は助かったとばかりに胸を撫でおろす
「ああ、そうだ…あと1つだけ頼みがあるんだが」
「な、なんだ?何でも聞いてくれ」
「そいつは殊勝な心掛けだな、んじゃあ…死んでくれ」
「え…」
直後、大剣の刃が男の頭を下から食い破る
最初からスカーレットはここにいる連中を活かして返すつもりなど微塵もないのだ
「ヒュー♪相変わらずエッグいねぇ!」
「トンプソンか、丁度いい。ターゲットの位置が分かった、すぐに行くぞ」
「お、そいつは僥倖だなボス。それで位置は?」
「ここの下に商品が沢山あるらしい、ついでに本命は最下層にあるんだとよ」
「なるほどな、だが下へいく階段なんかなかったぞ?」
「どうせどっかの部屋に隠されてるんだろ。探す手間も惜しいから直接行く」
「直接行くってどうやって…っておい!?」
トンプソンが疑問を呈すとスカーレットはニヤリと笑って大剣を大上段に構えた
何をするか察したトンプソンは自身の得物をしっかりと保持して衝撃に備える
その直後スカーレットが大剣を全力で振り降ろす…とんでもない轟音が鳴ると同時に床に罅が入った
それを見たスカーレットは笑みを深くするともう一度大剣を振り上げてから床に叩きつける
すると今度は床が崩れて大穴が空いた
スカーレットとトンプソンは穴が空くと同時に落ちて着地する
崩れた瓦礫の下敷きになったのか足元から呻き声が聞こえるが無視して隣の部屋へ移動を開始した
「こりゃまた…随分な光景だな、ボス」
「全くだ…このご時世に良くもまぁここまで集めたもんだぜ」
情報にあった部屋へ入ると確かにそこには檻があって女が閉じ込められていたが、その数に2人は普通に驚く
パッと見で30人ほどはいるだろうか、これでも買い手がつけばその人物の元に渡る為減っているのだろう
この荒廃した世界でここまでの人数を集めて売りさばくのは中々に難しいというのにこの組織はやってのけている
戦闘員の練度は低いが人攫いに関しては間違うことなきプロである
女達は全身に返り血を浴びている上に禍々しい大剣と銃を持った2人に完全に怯えているが一々説明するのも面倒なので無視して檻の鍵だけ壊しておく
そのまま部屋を出て捜索すると下へ降りる階段は簡単に見つかった
階層ごとに階段の位置を変える、なんて面倒な造りでもなかったため連続で降りていき最下層に辿り着く
そこには一室しかないがその一室が異様に広かった
見ると良く肥えた男が半裸の女を盾にして拳銃をこちらに向けていた
「ち、近づくなぁ!それ以上近寄ると撃つぞぉ!!!」
「あんまギャーギャー騒ぐんじゃねぇ、耳が痛ぇだろうが!」
「そんなことを言っている場合なのか、ボス?」
トンプソンの言う通りだ、そんなことを言っている場合ではない
だがスカーレットは酷く冷静でなんの焦りも抱いてはいなかった
「さて、一応聞くぞ。もうここの人間は全員殺した…もうお前を守ってくれる奴は誰もいねえ。投降する気はあるか?」
「断るに決まってるだろ!動くなよ…動いたらこの女の頭を吹っ飛ばすぞ」
男は拳銃をスカーレットから盾にしている女の側頭部に突き付ける
それに女は悲鳴を漏らすがスカーレットは全く意に介していなかった
「あーあ…素直に投稿してりゃあ一思いに殺してやったってのに。断るんなら仕方がねぇ、思いっきり残酷な目に遭ってもらうぜ?」
「なにを寝ぼけたことを言っている…さぁ、そこを退け!一歩でも私に近付くんじゃないぞ…」
男がこちらにジリジリと近付いてくる
恐らくはスカーレットの背後にある扉から出て脱出するつもりなのだろう
しかし今男の盾となっている女は彼女達の最重要ターゲットだ、逃がすわけにはいかない
だが人質として銃を突き付けられていてはどうすることも…そうなる場面だがスカーレットはなんてことはないように歩いて男に近付き始める
「う、ううう動くなと言ってるだろう!!こいつがどうなっても良いのかぁ!!!」
「そいつを殺したらもうお前の盾はいなくなる、違うか?つまりお前はその女を殺せやしねぇよ」
「ふ、ふざけやがって…!こうなったらせめて道連れにしてくれる!!」
男はそう叫ぶや否やスカーレットに対して撃ってくるがその銃弾は大剣によって弾かれる
この大剣はスカーレットよりも大きいのだ、かなり大柄なスカーレットでもその身を完全に隠せる
何度も何度も撃つがびくともせず、やがて弾が切れてスライドストップが掛かる
男はやばいと思うが最早手遅れだ、スライドストップの音を聞いたスカーレットは走って接近し、男の顔面を掴んだ
そのまま人質の首に回していた左腕を外すと蹴り飛ばす
「や、やめろ…俺が悪かった、なんでもする、だから…」
「今更過ぎんだろ、銃を撃った相手に命乞いして助けてもらえると思ってんのか?」
「頼む!金なら幾らでも出す、俺の知ってる情報も全部話すから!だから、頼む…!」
男が必死に懇願するもスカーレットはもう会話する気もないのか大剣を振り上げる
「な、なにが欲しいんだ?欲しいものがあるなら全部やる、だから、だから…やめてく」
無情にも振り下ろされた大剣によって男の腹が裂かれ、悲鳴が途切れる
だがまだ死んだわけではなく、苦しみに喘いでいるがその声が不愉快だったのか大剣の刃を喉に突き刺して声帯を潰した
これでもうこの男は失血性ショックによって死ぬまでの間ずっと苦しみ続けるだけだ
因みに素直に投降した場合は頭を潰して即死させてやるつもりであった
「まるで豚だな、ありゃ…ま、ともかくターゲットは回収だなボス」
「ああ、もうここに用はねえ。おい、立てるか?」
スカーレットがターゲットに近付くが恐れられて短い悲鳴が上がる
それに少しショックを受けるもこの惨状では仕方がないかと気持ちを切り替えて離れ、通信を始めた
「こちらスカーレット、ターゲットを発見した。待機してる回収班を寄越せ」
『こちらジェリコ。了解、すぐに向かわせます』
「それからMK.23、最下層まで来てくれ。ターゲットが怯えていて私やトンプソンだとダメみてえだ」
『あらあら…ま、その姿じゃ仕方ないでしょうね。了解よ』
その後数分としない内にMK.23がやってきてターゲットに寄り添って脱出する
因みに帰る際には隠し階段を裏側から開けたので空けた大穴は無視出来た
地上階や施設の外は正に地獄絵図であり、見渡す限り死体と血と臓物…そして消化途中の食物などでみたされていた
他の捕らえられた女達に関しては到着した回収班に任せる
ターゲットは一足先にヘリに乗せて基地へと向かわせた
やがて全員を回収し終えるとスカーレット達も基地に戻ってこの事を本社へ報告する
事前申請なしに行われた作戦であるためにヘリアントスは怪訝な顔をしたが有力な人身売買組織を潰せたこと、多くの被害女性を救出したことを理由に不問とされた
その代わりお小言は大量に貰うこととなり、全てを聞き終えたスカーレットは酷くゲンナリとしていた
だがそれで多くの民間人が助かったのなら安いものだと気を持ち直すと救出した民間人のリストに目を通す
「あ?こいつもしかして…」
その中に知ってる顔があったのかスカーレットはある人物のところで動きを止めてじっくと見ている
そこには「響 花梨 24歳」と書かれていた…
今回登場させたスカーレットの新装備ですがCODE VEINというゲームのものですね
楽しいから是非皆もやろう!