S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常 作:フォルカー・シュッツェン
勿論書いてないこともありますがそれに関してはまぁ良く知られていることだったりするので省いた感じですね
でもフリーフロートに関しては勘違いも多いのでちゃんと言った方が良いのだろうか…まぁ細かいことだし実害はないし別に良いでしょう!(投げやり)
あと今回途中で弾道表が2つ出てきますが1つ目は本の内容を参考に私が自作した物になります、なのでちょっと線がぶれてたりするのは見逃してくださいお願いします
では、どうぞ!
「よぉお前ら、二時間目だぜ!」
「あら、連続で担当するのね。てっきりお師匠かと思ったてわ」
次の授業場所として指定された1kmの長距離射場にて講師を待っていると現れたのはスカーレットであった
彼女は先ほどの授業で補佐とは言え講師役としていたので2人とも次に来るのはM200であると思っていた
「まぁな、M200じゃなくて残念だったか?」
「な、なによ…別にそんなことないわ」
「モシンさん、顔が赤いですよ?」
「やかましい!」
「照れんな照れんな!ま、じゃれ合いはこれくらいにしてだ…まずは謝罪からだな。すまん、さっきの授業で教え忘れた項目がある。今日の題材に入る前にそこから説明させてくれ」
「あ、そうだったんですか。意外ですね、WA2000さんや指揮官がド忘れなんて…」
「いやまぁ…これに関しちゃWA2000は知識としちゃ知ってるがやったことはないし、私もここ10年程やってねぇからな。それで忘れちまってた」
「…つまり重要度が低いってことかしら?」
「そういうこったな。んじゃ行くぞ、説明し忘れたのは『ポイントブランク・ゼロ』と呼ばれるゼロイング方法だ」
「ポイントブランク…?ポイント、ターゲットが見えない状況下でのゼロイング?」
「お、察しが良いなモシン、その通りだ。こいつは『距離なしのゼロイング』とも呼ばれててな、手っ取り早くゼロイングを行う方法で…まぁ裏技っつうかやや横着したやり方だな。いくらグリフィンと言えども300m以上の射場を持ってる基地は少ない、ましてや1kmを越える射場ともなりゃあ数えるほどしかないだろう。そこで、100ヤードの距離で疑似的に長距離のゼロイングを行うのが『ポイントブランク・ゼロ』だ。具体例を挙げるか、まずフェデラル.308弾(.308口径・弾頭重量165グレイン・銃口初速2700fps)を使用して231ヤードでゼロイングがしたいとしよう。メーカー提供の弾道表によりゃあ『Zero High @ 100Yards:2.75''』となっている…つまるところ100ヤードで2.75インチ上に着弾するように調整すれば、231ヤードで丁度真ん中に当たるということだ」
「要するに自分の使う弾の弾道表をしっかり見れば理論上どんな距離でもパパっとゼロイング出来るってことなのね…」
「でもそれで本当に当たるのかちょっと不安ですね…」
「そうだな、これはあくまでも簡易的な方法で精密さには欠ける。的の大きな大型獣を狩る民間のハンターならこれでも十分っちゃ十分だが、ミリタリースナイパーなら長距離射場でゼロイングするべきだ。んでまぁこいつを全然やらない理由なんだが、うちには阿保みたいに高性能な長距離射場が存在しているのが理由だな。こんなことしなくたってきちんと合わせられる施設があるんだから誰もやらねえんだよ」
「そりゃ確かにやらないわよね…具体的にはどんな施設なのかしら?」
「最大射距離4kmで狙撃に関係する全ての条件を自由に変えられる施設だ。M200なんか結構入り浸ってるからその内訓練で連れていかれると思うぜ」
「4km!?いや馬鹿でしょ!?」
「…衝撃的過ぎます……」
「いや、まぁ…私もぶっちゃけあれはやり過ぎたと思う、うん。でもまぁ結果オーライというか、そのお陰で色々と役に立ってる部分もあるからな。それにこのゼロイング方法をやらない理由はそれだけじゃねえ、如何に的確にゼロイングをしようが環境によって完全にズレるもんだからな。流石に弾道表だけを使ってゼロイングしたんじゃそこまで考慮することは出来ねえ。私の実例を挙げるが、アフガニスタンへ派遣された際にまず森林豊かなフォート・ブラッグ基地に着いたからそこでゼロイングをした。その後砂漠地帯に存在するカンダハル基地へ異動になったからそこでゼロイングをやり直したらかんっぺきにズレてた。いや、ズレてたって表現は的確じゃねえな。気象条件によって弾道が変化したんだ。だからゼロイングした際にはその時の気象条件も細かく記録しておけ、そうすりゃ環境の変化に応じて照準をどう調整すれば良いのかがデータと経験から理解出来るようになるだろう」
「なるほど…ただ知っていればいつか役に立つかもしれない、ということですか」
「そういうことだな。さて、説明し忘れたことに関しちゃこんくらいだ。早速今日の項目に移るぜ、今日やるのは『ミルドットとホールドオーバー』についてだ。これも理解してる部分はあるだろうが念のために基本からやっていくぞ。まずミルについて理解する前にスコープのメリットとデメリットについて理解しなくちゃいけないな。スコープは長距離の目標に対する識別能力が高いが、その反面高倍率だと至近距離の敵…特に移動目標に対する追尾性が悪いというデメリットが存在する。だからスコープによっては倍率を抑えて比較的近距離の移動物体を含む目標に素早く照準を合わせるような使い方を前提としたものもあるな、トリジコン社製の4倍率照準器『ACOG』なんて正にそれだろう。かつてのアメリカ軍じゃ等倍率のCCO(所謂ダットサイトやホロサイト)を搭載したM4ライフルが
「が、頑張ります!」
「私にその役目がないのはボルトアクションだからかしら?」
「ぶっちゃけるとそうだな。別にボルトアクションでもマークスマンをすることは出来るが、任務の性格上ボルトアクションである意味が薄い。長距離狙撃にかんしてはボルトアクションにメリットが多々あるが、やはり特に即応性が問われるマークスマンには向かないだろう。私もマークスマンをやる時はM110A1 CSASSを愛用してたしな」
「M110A1 CSASS?」
「G28って言えば分かるか?」
「ああ、あの娘のことね。分かったわ」
「さて、次にレティクルの説明に移らせてもらうぞ。とは言えこれに関しても既に知ってることが多いだろう。スコープを覗くと内部には十字の線と目盛りが付いていることが多い、ロシア系のスコープはT字型が多かったりなど例外はあるがこれらをレティクルという。そしてこのレティクルは照準するのに使うことは言うまでもないな、目標との距離を測って距離や環境で変化する着弾位置を補正してより正確な狙撃を行う為に必要不可欠なものとなる。かつてはスコープの新製品が毎年の如く次々に登場していてレティクルのデザインも様々あったが、ここでは『ミルドット・レティクル』について教えるぞ。ミルドットは軍用スコープの基本中の基本だ、スナイパーは絶対にその使用方法を完璧にマスターしなくちゃならねえ」
「私が以前使ってたPUスコープなんかにはなかったわね」
「だろうな。正直あれで狙撃するのは骨が折れる、ミルドットがあるかないかでどれほど変わるのかは今からする説明で良く分かるだろう。んじゃ、行くぞ」
「こいつがミルドットレティクルだ。2つのドット間の幅が『1ミル』となっている。このミルって単位は多くのスコープに共通する単位でな、ミル単位のドットが刻まれたレティクルだからミルドットレティクルって呼ぶわけだ。さて、再三出てくる『ミル』だがこれがなんのかを知らねえとな。ミルというのはMOAと同じく角度の単位であり、私達が普段使っている『度数法』とは異なる『弧度法』という単位法での単位だな。ミルという言葉の語源は『ミリラジアン(mrad)』からで、これを短縮したものになるな。因みに『ラジアン』が弧度法のことだ。とか言ってもピンと来ないだろうから度数法に換算すると、1ミルが凡そ0.57°で6400ミルで凡そ360°となる。…まぁ、そんなこと言われても分からねえよって思うよな?確かに理論的な話は難解だが、スナイパーが基本知識として理解しておくべきなのは『1ミル幅は距離100ヤードで3.6インチ、距離100mで10㎝、距離1kmで1mの開きが出る』ということだ。例えばスコープを通して1mのものが1ミル幅に見えたなら、対象までの距離は1kmということになる。ワルサーの距離目測の授業で習っただろうが、ミル幅から距離を求める公式をもう一度おさらいして置くぞ」
対象物の大きさ(m)×1000÷ミル数=距離(m)
「当然この公式を覚えていても対象物の大きさが分からねえと意味はない、だからスナイパーは様々なものの大きさを予め知っておく必要があるわけだな。それとスナイパーはこのみるっどとの配置と幅を感覚として頭に叩き込む必要がある。目標物を重ねて「ドットが1つ、2つ、3つ…」なんて数える暇があると思うなよ、重ねた瞬間にミル数を読み取って1秒足らずで目標までの距離を計算出来るようになれ。きついこと言ってるかもしれねえがこれは私でも出来るんだ、計算に強い戦術人形のお前らが出来ないとは言わせねえぞ?実際にうちの基地の奴らは出来るわけだしな。それからミルはMOAと同じく角度の単位だと話したな、よって計算式を用いて計算すると『1ミル≒3.6MOA』であることが分かる。計算式は以下の通りだ」
1ミル 底辺a
tan―――=―――――
2 距離H
底辺a=1.80072in
A≒3.6in
「この通り1ミルは3.6MOAとなるわけだ。ただこっからちょいとややこしい話なんだが、前回ワルサーが言ったように『厳密に言えば1MOAは100ヤードで1.05インチ』となる。だからしっかり計算すると3.6÷1.05=3.4285714...となることから『1ミル=3.4MOA』と記載されていることもある、基本的には1ミル=3.6MOAで考えて良い。だが3.4MOAというのも決して間違いという訳ではないから注意しておけよ」
「またややこしい話ね…」
「そうだよなぁ…私も最初の頃は苦労したもんだ。ま、ミルに関しちゃこんなところだな。次はホールドオーバーに行くぞ。前回の授業で触れてみて分かったと思うがゼロイング自体はそこまで難しい作業ではない、だが実際の戦場ではゼロイングした距離ピッタリに敵が現れてくれることなんてほぼほぼありゃしねえ。そういった場合の対処法は大きく分けて2つ、そのうちの1つがホールドオーバーだ。既に知っての通り弾道は弧を描いて飛翔し、ゼロイングした距離以外ではレティクルの中心には命中しない。だが射手はゼロイングした距離とその他の距離での着弾位置の落差を把握することで狙いを修正し、命中させることが可能だ。ここでは狙撃銃の基本中の基本弾薬であるM118弾(7.62×51㎜NATO弾)を例にして話をするぞ。さっきも言った通り弾薬製造メーカーは弾薬毎に弾道表を提供している、これはM118弾の弾道表の一部分だ。ゼロイング距離の前後で着弾位置が変わっているのが分かるな?この落差を利用してやや上を狙うことで命中させるテクニックがホールドオーバーってわけだな」
「具体的に見ていくぞ。100ヤードでゼロイングした狙撃銃で200ヤードを狙う場合、弾道表によると着弾の落差は『-4.5インチ』であることが分かる。この落差を用いて4.5インチ上を狙えば理論上命中することになる。無論他にも風やら気温やら湿度やら高度やら色々と考慮しなきゃならねえもんはあるが今は省くぞ、キリがねえからな。4.5インチ上を狙う為にミルドットを利用する、さっき言った通り『1ミルは100ヤード先では3.6インチ』であり200ヤードなら7.2インチだ。4.5インチ上を狙う場合、十字の中心より0.59ミル上に合わせてやれば良い。とは言えミルとインチの計算は面倒だ、その為スナイパーは最初から『射距離〇〇mならば△△の目盛りに合わせれば良い』ということを感覚として身体に叩き込んでおくことを推奨する。また、スコープには全ての倍率でミルゲージ(目盛り)が使える
「ま、まぁまぁ…」
「確かに今にして思うとあれは使い辛いわね…良く今まであれでやってたわ」
「全くだ、私ならあんなスコープ死んでもごめんだぜ。っと話が逸れたな、まぁこんな感じで弾道表から見ていくことが出来るわけだが正直見辛いな?そこを考慮して中にはこんな弾道表もある、見ろ」
「あら、こっちのが分かりやすいわね」
「でもメートル表記なので100メートルでゼロイングしなきゃいけませんね」
「そうだな。だがスナイパーはゼロイングを500m~600mでやっておくのが普通だ、そういう時はこの表は使えないから注意しろよ。まぁそういう時はクレアが作った専用の弾道表を使えば良い、後で渡してやる。これが弾道表を利用した修正方法だが、もっと実戦的でやりやすい方法もある。それがエレベーションノブを利用する方法だ。ハイストレスな状況下で計算を間違える可能性が危惧される場合だと機械的で信頼できる修正法と言えるだろうな。例えばエレベーションノブの目盛り0で100ヤードゼロイングしておき、200ヤードなら1に、300ヤードなら2に、といった具合にノブを回して面倒な計算なしで修正するんだ。具体的な目盛りの数値はスコープによって違うから自分の使用するスコープへの理解はしっかりと深めておけよ。どっちの方法を使うにせよスナイパーは自己責任で弾道計算を行わなくちゃならねえ、実戦では気温とか風とかの環境の影響もあるわけだしな。普段からこまめにデータを取って記録し、経験を積み重ねれば様々な戦場で活躍出来る一人前のスナイパーになれるだろう。さぁ、話だけ聞いてても実感は薄いし試しにやってみるとするか。まずはミルドットによる距離目測からだ、以前もやっただろうがこれから夢に出てくるくらいにやってもらうぞ」
「私達は夢を見ないわよ、同志」
「物の例えだ、気にすんな。さぁ、やるぞ!」
その後2人は今回の授業で習ったことを何度も何度も反復して練習させられる
それなりに疲れるがまだ授業があるからか抑えめにしてくれたらしく、休憩時間中に疲労を癒せる範囲でしかすることはなかった
次の授業は屋内射撃場で行うとのことでスカーレットの案内により移動した2人は授業が始まる迄の間、復習と休息をして備えるのであった
次の授業ですが狙撃銃を構成するシステム(アタッチメント)と射撃姿勢等についてになります
特に姿勢に関してはSSに反映しやすいところだと思いますので是非学んでいただけたらなと思います!
ではまた次回(@^^)/~~~
ゆかりさんが何処に配属されるか
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諜報部隊
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LSP
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その他(例:音楽隊のサブボーカルなど)