S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

48 / 60
さぁ最後の座学ですね
今回とある検索ワードを出しますが、前回の後書きでも書いたように『グロ耐性のある方が自己責任で』お願いします
ワードを載せるだけで画像を載せるようなことは絶対にしませんが、本当にご注意下さい

では、どうぞ!


座学3日目 五時間目

 

 お昼ご飯も食べ終えたFN49とモシン・ナガンが教室でゆったりとしているとスカーレットがやって来た

 

「おっし、んじゃ最後の授業を始めッぞ~」

 

「確か銃創とヘッドショットの話だったわね」

 

「そうだ。早速話を進めるぞ、まずは『瞬間空洞と永久空洞』についてだ。銃弾というものは凄まじいエネルギーを持っていてな、生体に撃ち込まれた場合ただ単に穴が空くだけじゃ済まねえ。生体内に侵入すると周辺の組織を押し飛ばすんだ、この時出来る空洞が『瞬間空洞』だ。しかし生体の組織は押し飛ばされても元の状態に戻ろうとする、そうして戻って来るんだが完璧に戻ることは出来ず幾らか空洞が残る。これを『永久空洞』と呼ぶ。これらの空洞(主に瞬間空洞)によるダメージが銃弾の威力の本質だ、対物ライフルなんかで使う弾は弾頭質量と速度共に優れているから瞬間空洞が滅茶苦茶大きく出来るわけだな。だから.50BMGなんかだと人体が両断される、まぁ両断と言うか周辺組織が消し飛んで結果的に両断されたように見えるだけだがな。瞬間空洞と永久空洞はこの画像を見ると分かりやすいだろう」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「一応知ってはいるけど…鉄血以外に撃ったことがないから人体に撃つとどうなるか見たことはないわね」

 

「鉄血も生体パーツを使ってるので外側は似たようなことになると思いますが…」

 

「大体は同じだな。生体パーツは人間の身体に似せて作られているから起こる現象は似ている。だが内部の機械部分は違うから完全に同じとはならねえな。因みに私達が扱うような大口径ライフル弾を人間に撃ち込むとどうなるか見たけりゃ『50caliber headshot』で画像検索してみると良い。ただこれは結構容赦のない画像が出てくるからグロ耐性がないならやめておけ。それと見る際には自己責任で頼むぞ?ここで画像の提示は行わん…そんなことしたら間違いなく運営に怒られるしな

 

「…でも私達は先に知っておいた方が良いわよね」

 

「そうだな、いずれは人間を撃ち殺すことにもなるだろうしな」

 

「えっと、50caliber headshotでしたっけ……うっ」

 

「これは…キッツイわね」

 

 検索したFN49は口元を抑えて呻き、モシン・ナガンはその顔を顰めた

それで済んでる分やはり彼女達は戦術人形なのだろう、普通の人間がこれを見れば吐いてしまう者が大半だ

 

「ま、碌に防弾装備をしてないとそうなる。そして瞬間空洞に関して医療従事者ですら勘違いしていることがあってな…『銃創は背中側の傷が酷くなる』って聞いたことないか?」

 

「ええ、聞くわね。それって間違いなのかしら?」

 

「間違いとも言えねえが正確ではないな。これは要するに撃たれた側じゃなく弾が抜けた側が酷い傷になるって話なんだがな、瞬間空洞が大いに関係してくる。銃弾によって瞬間空洞が出来ると言っても体内に侵入した直後から出来るわけでもなければこの空洞が永遠に出来続けるわけでもない。瞬間空洞が発生するまでに少し間があるしその内エネルギーを失って空洞が小さくなっていく。つまり瞬間空洞には最も大きくなる部分が存在するということだな。この大きな空洞が出来る時点で銃弾が抜ければ確かに背中の傷は酷くなる、しかしエネルギーを失って空洞が小さくなってから抜ければ傍目には大した傷には見えねえ。勿論内部ではえぐいことになってるから重症なんだがな?」

 

「要は『人体だと瞬間空洞が大きくなる辺りで抜けることが多い』ってことですね」

 

「そういうことだな。医療従事者もガンマニアってわけじゃねえし銃弾に関してそこまで詳しくはない、それに結局はそうなることが多いんだからそういう認識で問題が発生することは少ない」

 

「別にそれで良いってわけね」

 

「ああ、だが銃を扱う私達軍人がそれを正しく理解してないのはいただけない。だから簡単に説明したわけだな。次にヘッドショットの話をするぞ、意外な話になるかもしれねえから良く聞いておけ」

 

「意外って…ひょっとして死なないとか?そんなまさかね…」

 

「なんだ、勘が鋭いじゃねえか。その通り、ヘッドショットしたからと言って死ぬとは限らねえんだよ」

 

「噓でしょ!?だって、鉄血とかは皆死んで…!」

 

「まぁまぁ落ち着け。確かに鉄血はヘッドショットすりゃほぼほぼ死ぬが、そいつは人間とは構造が違うからだ。良いか?お前達も鉄血も含めて人形は精密機器だ、特に頭の中には電脳が入っている。精密機器ってのは一部が壊れただけでも機能に支障を来して動作しなくなることが多い、人形の電脳も同様だ。だから状況次第じゃ掠っただけでも重度の機能障害を引き起こす可能性すらある。だが人間の場合掠る程度じゃ死なないのはイメージ出来るな?無論治療せずに放っときゃ死ぬかもしれんが…ま、その辺は今は良いか。人間に於けるヘッドショットの話をすっぞ。人間に対するヘッドショットに於いて重要なのは『銃弾の種類』と『被弾部位とその角度』だ」

 

「銃弾の種類は分かりますけど…被弾部位と角度、ですか?」

 

「そうだ。ヘッドショットを受けて生き残った人物として最も有名なのはシモ・ヘイヘだろう。彼は冬戦争で活躍したスナイパーでありハンターだが、終戦間近に顎を横から撃たれて前線を離脱している。その後彼は生き残り、天寿を全うした。顎って言うのはかなり頑丈なパーツでな、更に脳に損傷が及ばないことから撃たれても比較的安全な場所となる。そして顎や歯は余りにも頑丈なせいか非力な拳銃弾だと跳弾が起こる可能性すらある」

 

「歯に当たって跳弾って、そんなことがあるの?」

 

「ああ、あるぞ。事件名は忘れたが…そんな事件があったはずだ。更にヘッドショットと言うと即死のイメージが付きまとうが決してそんなことはない。即死するのは脳幹という脳の最深部に存在する部位を損傷した場合のみだ。流石に脳幹を損傷するともうどうにもならんし、脳幹を損傷してるってことは脳の他の部位も大きく損傷してるしな。特に掠めるようなヒットだと死なないパターンが非常に多い、実際脳の1/4をライフル弾で抉られた少年が生き残るなんてことも起こっている。ヘッドショットしたからと言って絶対に死ぬ、なんて先入観は捨てろ。そもそも銃撃による死亡率は20%もねえんだしな」

 

「20%未満ですか!?そ、そんなに低いなんて…」

 

「当然これは銃撃全体に於けるものだからヘッドショットとは限らねえんだがな。ってことでヘッドショットのデータなんだが、アメリカの都市部だと50%以上の奴が生き残っているというデータがある。都市部だし恐らくは拳銃弾が多いから故なんだろうが、それでもこれだけ死亡率は低い。だがな、別に殺す必要なんてない。銃の世界に於いてストッピングパワーという言葉があるんだが、こいつは『対象を行動不能にする力』のことだ。ヘッドショットをしてやりゃあほぼ確実に行動不能に陥らせることが可能となる、そして拳銃弾だと確実に相手をストッピング(行動不能に)出来るのはヘッドショットだけだとも言われている。死なないからと言ってヘッドショットをする価値がないという訳じゃないことは留意しておけ」

 

「ヘッドショットでも殺せるわけじゃないなんてね…これは意外だったわ」

 

「そうだな、私も初めて知った時は驚いたもんだ。ゲームだと拳銃でもヘッドショットで確定即死、胴体でも数発で確定キルだったりするがあれはほぼあり得ねえ。ストッピングは可能だが…それでも胴体じゃ数発撃ってもストッピング出来なかったという報告もあるし、期待しない方が良いだろう」

 

「意外過ぎますね…」

 

「民間からの採用で指揮官になった奴は知らないかもな。グリフィンは鉄血の封じ込めが主要な任務だし、知らなくても問題ねえってのも事実だ。だがお前達はいずれ人間相手に銃を向けることになる、だからここら辺は良く知っておく必要がある」

 

「そうね、普通は絶対に死ぬって思うもの。殺害が目的の場合に殺せなきゃ任務失敗だものね」

 

「ああ、だが私達が扱う銃弾の場合はさっきも見た画像の通りほぼ確実に殺せる。無論ヘッドショットの場合だがな?胴体ヒットでも殺せるっちゃ殺せるが…肺や心臓を破壊しないと確定キルにはなりにくい、注意しろ。ここら辺はターゲットがどういう状況にいるかに左右されるぞ。周囲に高度な治療を早急に行うことが可能な状況であれば、助かってしまう危険性がある。ま、心臓を破壊した場合の生存率はヘッドショットより低いから気にすることでもないかもな」

 

「あら、そうなの?」

 

「そりゃそうだろ。脳の場合はある程度削れても場合によっては他の部位が補うことで生存することがある、さっきの脳の一部を持って行かれながらも生き延びた少年なんざ良い例だ。だが心臓に代わりはない、ここが破壊されりゃ血管を通して各部に血を巡らせることが出来なくなる。それは同時に各臓器に酸素を送れなくなることを意味し、生存を不可能にする。ここから生き延びるにゃ速攻で臓器移植やペースメーカーの埋め込みなんかを行って心臓の機能を復活させるしかねえ。だがそれが可能な状況なんてほぼない、その上心臓が破壊されているということは肺も破壊されていることが殆どだ。それに拒絶反応の問題もあるし大動脈や大静脈なんかのデカい血管も酷い損傷を受ける、これを治療するのは不可能に近いと言って良いんじゃないか?私も医療の専門家じゃねえからここら辺は間違ってるかもしれねえが、少なくとも脳を狙うよりは簡単で現実的と言えるだろう。無論、確実に脳幹を破壊出来るようなヘッドショットをかませると確信したならすりゃ良いがな」

 

「なるほど…ということはヘッドショットってそんなにしなかったりしますか?」

 

「あんまりやらねえな。私は2kmでヘッドショットを狙えるよう訓練してるが、そんなの普通に考えりゃ馬鹿馬鹿しい話だ。ヘッドショットを狙うのは600mまでにしておくのが一般的なんじゃないか?それ以上は正中線(身体の中心のライン)を狙うのが良い。私がヘッドショットが出来るようにしてるってのはそれだけの精度で撃てるようにってだけで本当に狙うためじゃねえ。数日前の任務で狩人の頭を吹き飛ばしたが、あれも私なら出来るって確信してたしそれが決して驕りではなかったから狙っただけだ。それにハイエンドともなりゃ電脳かコアをぶち抜かない限り無力化は厳しい、あの状況じゃ狙うべきだと判断したのも要因だ。こうしたように状況次第でヘッドショットを狙うか否か、それは左右される。別にする価値がないなんて言わないが、ヘッドショットに固執することのないように注意しろよ」

 

「何事も臨機応変に、ね…言われてみればあの時もかなりきっぱくした状況だったわよね。失敗すれば民間人2人の命が失われるかもしれないんだもの、良くあの場面でヘッドショットを狙って当てたわよ本当に」

 

「そうですね、責任も重大ですし私なら手が震えそうです…」

 

「そうだな、これに関しちゃ最早慣れだ。何度も何度も経験を積むことで慣れていき、緊張しすぎないようにしていく。言っとくが全く緊張しないのは逆にダメだぞ?程良い緊張感はパフォーマンスの向上に繋がるからな」

 

「え、同志も緊張するの?」

 

「たりめえだ。人の命が掛かってるてのに緊張しない訳あるか」

 

「…い、今までで一番意外なことですね」

 

「そうね、何事にも一切動じないものと思ってたわ…」

 

「どんな目で私を見てんだよお前ら……まぁ良い。この辺はまぁ実践で叩き込んでやるから楽しみにしてろ。ってことでこれにて授業は全て終わりだ、明日復習の為に1時間自習時間を設けた後に試験を行う。そこで全問正解しろ、出来なきゃ出来るまでやるぞ。出来たらちょいと休憩を挟んでから身体能力を上げる訓練から始めていく。そんな感じの予定になる」

 

「最初は身体能力の訓練…?私達人形は身体能力は上がらないわよ?」

 

「確かにな。だが技量を上げることは出来る、それが目的だ。まずは自分の身体を頭の天辺から足の指先まで完全に自意識の支配下に置いて完璧に操れるようにする必要がある。これが出来る奴は人間にも人形にも中々いねえからな、特殊な場合を除いてこの基地ではこれが出来ない奴は銃を扱う資格すらないと思っておけよ」

 

「完璧に操る…そう言われればちょっと自信はないですね」

 

「だろ?それを成す為にまずはそこの訓練…ぶっちゃけりゃ格闘を叩き込むぞ」

 

「…そう言えばお師匠って近接格闘なんて出来るのかしら?ちょっとイメージ湧かないんだけれど」

 

「無論出来る。甘く見てると吹っ飛ばされっぞ、気を引き締めとけ」

 

「そ、そうなのね。油断しないようにしないと…」

 

「そうしておけ。気の緩みや油断なんかを見付けたら一切の容赦なくそこを突きまくるからな、訓練を訓練と思わず実戦と思うようにな。さて、もうちょい話したいこともあるが時間も時間だ。なんか質問とかないか?明日試験だしここいらで勉強した知識を確実なものにしておけ」

 

「そうですね、それじゃあこのことなんですが…」

 

 その後FN49とモシン・ナガンはスカーレットに質問をしていく

そんな2人に彼女はちょっとした試験対策のようなものも教えていき、2人はそれに感謝を示した

そうこうして授業時間は過ぎ、終わりを告げると共にスカーレットは教室を後にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んで、試験問題はもう出来てんのか?」

 

「完璧よ、指揮官」

 

「問題ありません」

 

 スカーレットは教室を出たその足で資料棟の別な部屋へ向かい、そこで色々と準備をしていたWA2000とM200に聞くと返事が返って来る

その返答に満足した彼女は頷くと試験問題に目を通しながら彼女達と会話をする

 

「ま、この程度なら全問正解も難しくねえな。出来て当たり前レベルか」

 

「そうですね、これ位出来てもらわなければ話になりませんし」

 

「全くよ。ここで躓くようならここじゃ絶対にやっていけないわ。とは言っても…」

 

「ああ、あいつらなら問題ねえだろ。1発クリアするだろうしその後の訓練でも良いものを見せてくれそうだな。あ、そういやモシンの奴がM200が近接格闘なんて出来るのかとか言ってたな」

 

「おや、あの子がそんなことを…ふむ」

 

「ぶっ飛ばして目を覚まさせてやりな」

 

「そうします。その油断は見逃しなりませんしね」

 

 どうやらモシン・ナガンは悲惨な目に遭うことが確定したようである

そんなことを話しながら彼女達は次々と準備を進めていく

準備をしている彼女達は大真面目で、しかし何処か楽しそうであった

 




今回で座学編は終了ですね、ここまでお付き合いくださりありがとうございます!
この後はちょちょいと小話を挟んでから実践に移りたいと思います
取り敢えずモシンさんには地獄を見てもらいましょう、はい

ではまた次回(@^^)/~~~

ゆかりさんが何処に配属されるか

  • 諜報部隊
  • LSP
  • その他(例:音楽隊のサブボーカルなど)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。