S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

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さぁ始まりました実践編です
まずは自分の身体を思い通り操る為に格闘を仕込まれますが…ぶっちゃけ今回は新人2人が講師2人にボコられるだけです
勿論ちゃんと意図はありますが、それでもボコボコにされちゃいます
好きなキャラをボコるのは中々心に来るものがありましたが…なんとか展開の修正をすることなく書けました(;´・ω・)

では、どうぞ!


実践編:格闘訓練その①

「そこまで!」

 

 WA2000の鋭い声と共にFN49とモシンナガンはシャープペンを置いた

その顔は疲れているものの、何処かやり切ったようなものを感じさせる

それを見たWA2000は嬉しさが込み上げるが厳しい表情を崩さずに2人が記入していた解答用紙を回収する

そう、スナイパースクール座学編の締めとして今しがた試験が行われ、終了したのだ

 

「じゃあ今から採点してくるからそれまでここで待機してなさい。合格してるにせよしてないにせよここから辛くなるからしっかり休憩するのよ」

 

「「了解(です)…」」

 

 試験問題はかなり多く、ガチでこれまで学んできたこと全てを出題されていた

そんな試験を90分で全て解かなければならず、その上全問正解以外は落第という理不尽な試験であったために2人ともかなり精神を消耗していた

答える声にも疲れが見て取れており、余程集中していたことが分かる

そんな2人の為にこの教室にはふかふかのソファーが置いてあり、試験終了後はそれを自由に使っていいとのこと

それを受けて2人はすぐさまソファーへとダイブして全身の力を抜く

 

「あぁ~……疲れたわ」

 

「ですね……本当に全部出してくるなんて……」

 

「でも達成感のある顔してるじゃない、なんだかんだ言って自信はあるんでしょ?」

 

「ええまぁ。モシンさんも同じですか?」

 

「これが自信のない顔に見える?」

 

「…見えませんね」

 

「なら、それが答えよ」

 

 彼女の言う通りモシン・ナガンも自信に満ちた顔をしている、手応えはあったのだろう

そのまま時は過ぎ、やがて2人へ結果を伝える為にWA2000が再度入室してきた

 

「試験の結果だけれど……良くやったわね、2人とも文句なしの合格よ」

 

「「やったーーー!!」」

 

 WA2000が笑顔で結果を伝えるとFN49とモシン・ナガンの2人は手を取り合って喜んだ

自信があるとは言えやはり合格しているという事実を受けると嬉しさが込み上げてくるものである

そんな2人の様子をWA2000は微笑ましく見ていたが、ずっとこのままでいることは叶わない

適度なタイミングで他を叩いて意識を自分へと向けると表情を締めて2人へ言葉をぶつける

 

「喜ぶのはそこまでよ。はっきり言ってこれくらい出来て当然のものと思いなさい、これからこの試験で出て来たこと全てを習得してもらうんだからね」

 

「そうね。ここからが本番ってところかしら」

 

「ええそうよ。昨日指揮官が言ったようにまずは近接格闘の訓練を行うことになるわ。最初は貴女達がどこまで出来るのか見る為に模擬試合のようなものを行うわよ。FN49は私、モシン・ナガンはM200が相手になるわ」

 

「ワルサーさんが相手……これって手加減は」

 

「するわけない…って言いたいところだけどするわ」

 

「え……い、意外ね。てっきり情け容赦なく来ると思ってたのだけれど」

 

「貴方達を完膚なきまでに叩き潰すのが目的ならそうするわ、何だったら原型を留めないくらいぐちゃぐちゃにしてあげる。でも今回の目的はあくまでも貴女達の実力を測ることよ。だから手加減しながら見ていくことになるわね」

 

「な、なるほど……でも私、格闘なんてやったことないんですけど大丈夫でしょうか?」

 

「心配要らないわ。ここには世界中の武術を自在に操る指揮官と後方幕僚がいるからね、あの2人にかかれば絶対に貴女達に見合うものを仕込んでくれるわよ」

 

「……やっぱあの2人って化け物なの?」

 

「正真正銘の化け物ね。でもあの2人に格闘を仕込んだ師匠にあたる人は指揮官曰く『私如きじゃ足元にも及ばねぇ』らしいわよ。上には上がいるってことね、指揮官とクレアが2人掛かりで連携しながら戦っても無傷でボコられるらしいし。そしてこれは逆に言えば貴女達が指揮官を越えられる可能性があることを示唆しているわ。そのつもりで励みなさい」

 

「あれで足元にも及ばないってどんだけよ……」

 

「正しく怪物ですね……それに指揮官を越えるのは正直そんな未来が見えません……」

 

「ま、そうでしょうね。私もそうだったし、実際越えるところまではまだ到達出来てないわ。でも五分以上の戦いは出来るようになった、昔の自分じゃ想像も出来ないような領域にいつの間にかドップリ浸かってる。貴女達もそうしてあげる」

 

「そうなるまでが地獄ってことね……良いわ、やってやろうじゃない!」

 

「良い気概ね、それが失われないことを願ってるわ。さて、まだもう少し休憩してなさい。時間になったら誰か迎えに来させるから」

 

「あれ、ワルサーさんがこのまま連れて行ってくれるのでは……」

 

「そうしてあげたいところではあるんだけど、ちょっと準備があってね…だから私は先に行くわ。だからそれまではゆっくりしていて頂戴」

 

「分かったわ。ほらFN49、今は身体を休めることに集中しましょう。じゃないとこの後地獄を見ることになりそうだわ」

 

「そ、そうですね…じゃあ、お言葉に甘えます」

 

「そうして頂戴。それじゃあね」

 

 そう言い残してWA2000は去り、静寂が訪れた

2人はそれから会話もなく只管にソファーへと身体を沈め続ける

これから来る模擬試合に向けて体力の回復に努めるのだ

そんな時間が30分程続いた後、教室の扉をノックする音が響いた

 

「どうぞ」

 

「じゃじゃーん!呼ばれて飛び出てスコーピオン!!スコピッピって呼んでね♪」

 

 扉を開けて来たのはスコーピオンであった

そのテンションの高さに2人は圧倒され、一瞬思考が空白になる

その瞬間、スコーピオンが急接近して2人の頬に軽くビンタを入れた

彼女の身体が何重にもブレて見える程の速度でありながら頬に触れた手に威力はなく、優しいものである

彼女も何気にこの基地の実力者に数えられる1人であり、その実力の高さが垣間見える瞬間であった

 

「2人とも隙だらけ過ぎるよ、これから格闘訓練するってのにそんなだと……死ぬよ?」

 

「い、いや…今のはちょっとびっくりしただけよ」

 

「それ、戦場だと命取りになるからね?どんな状態でも瞬時に意識を切り替えて迎撃出来るようにならなきゃ。ま、2人は新参だし出来なくて普通なんだけどさ」

 

「…もう既に訓練は始まっていたということですか」

 

「そーゆうこと!さ、行くよ。ほら立って立って!」

 

 テンションの高いスコーピオンに若干戸惑いながらも2人は意識を切り替えて彼女の後に付いて行く

そんな彼女達の様子を背中で感じ取ったスコーピオンは内心少し驚いていた

これまでスコーピオンが同様のことをしてここまで早く切り替えが出来た者は少ない、出来たとしてもそれは豊富な経験を積んだ人形だけであった

だがモシン・ナガンは何度か鉄血との戦闘があった程度、FN49に至っては実戦を経験したことがない

それにも関わらずここまで早い切り替えに彼女は2人のことを見直すと同時にWA2000やM200が目をかける理由に納得するのであった

 

(ふぅん……これは私もちょっと興味が出てきちゃったな。後でわーちゃんにお願いして私も訓練付けられないか聞いてみよ♪)

 

 腕を大きく振り、ルンルンと歩きながらそんなことを考えるスコーピオンに2人はただ付いて行く

やがて『第二格闘訓練室』と書かれたプレートのある部屋へ辿り着いた

 

「よし、到着だね!わーちゃん、いる~?」

 

「誰がわーちゃんよ。まぁ良いわ、連れて来てくれてありがとねスコーピオン」

 

「もう、私のことはスコピッピって呼んでって言ってるでしょ~?」

 

「そんなの御免よ」

 

「相変わらず堅いなぁ…ま、いいや。ねぇ、この2人の訓練の様子ちょっち見てっても良い?」

 

「ん?別に構わないけど……なるほど、そういうことね」

 

「察しが良くて助かるよ」

 

「話すのも良いけど、そろそろ始めない?早いところモッシーの実力を見ておきたいんだけど」

 

「そうね、そうしましょうか」

 

 会話を終わらせるとM200がモシン・ナガンを手招きする

モシン・ナガンはそれに従って彼女の元へ行き、WA2000はFN49の手を取ると部屋の端の方へと誘導した

そのことに彼女は疑問を抱く

 

「あの…私は訓練しないんですか?」

 

「勿論するわよ。でもまずはあの子達のを見なさい。聞くところによるとモシンがM200の格闘技術のことを疑問視したそうじゃない、貴女もちょっとは同じことを思ったんじゃないかしら?」

 

「そ、それは……はい、正直少しだけ」

 

「素直で良いわね。そういう先入観がどれほど危険か、これから分かるわ」

 

「てことは…M200もしかして‘アレ’を放つつもり?うっひゃー……哀れもっちゃん」

 

(な、なにが起こるんでしょうか…?)

 

 一緒に付いて来たスコーピオンの言葉に不穏なものを感じるも、FN49に出来るのはモシン・ナガンの無事を祈ることだけである

 

「さてモッシー、これから軽く仕合うよ。構えて」

 

「ええ…先に言っとくけど私、大して格闘は出来ないから失望させるかも」

 

「大丈夫、それくらい想定済みだから。それよりもボクがするべきなのは…君の認識の甘さを正すことだからね」

 

「へ?……ゴフッ!!!!!」

 

 M200の言葉にモシン・ナガンが首を掲げた瞬間、M200の身体が弾かれるように前進する

そのまま彼女はモシン・ナガンの目の前で一旦止まると半歩踏み込み、拳の突きを放った

その際両腕を左腕を前、右腕を後ろという位置関係でクロスしており、左腕を自身の腰辺りまで引きながら右腕を前に突き出している

それを受けたモシン・ナガンの身体はくの字に折れ曲がり、数十m程吹き飛んで訓練室の壁に激突した

折れ曲がった腰からぶつかりその反動で頭と足が壁に強烈な勢いでぶつけられ、そのまま床へ崩れ落ちる

倒れたモシン・ナガンは何とか身体に力を入れて立ち上がろうとするも苦しさに呻くだけで指一本動かせないでいた

その様子を見ていたFN49は何が起きたのか分からず固まっている

 

「い、今…なにが起こって……」

 

「半歩崩拳よ」

 

「ぱんぷ…何ですか、それ?」

 

「中国拳法の中でもかなり強力な一撃必殺の技ね。寸勁の一種でもあるわ」

 

 半歩崩拳(パンプポンケン)、それは読んで字の如く半歩踏み込みながら崩拳を放つ技である

崩拳とは心意六合拳の基本技であり、突き手と逆の手でタメを作ることで威力の高い突きを放つものだ

デコピンは中指だけでは威力もクソもないが親指でタメを作ることで威力を得る、それと同じ原理である

そしてこの半歩崩拳はそれに踏み込みを追加しただけの技であり、一見簡単な技に思えるがその実かなり難易度の高い技である

同時に途轍もなく威力の高い技でもあり、極めると『半歩崩拳、遍く天下を打つ』という言葉の通り絶対の必殺技…絶紹となる

それをM200はモシン・ナガンの身体が崩壊しない程度に手加減しつつ放った、最早彼女は暫くの間自分の意思で動くことは叶わないだろう

しかしM200はそんな彼女に対して容赦のない言葉を浴びせる

 

「なにこの程度で倒れてるの?動ける程度には手加減したんだから早く立ちなよ、ほら」

 

「ア……ヴ………カハッ!」

 

 勿論M200の言葉は嘘だ

彼女自身モシン・ナガンがもう動けないことは分かっている

では何故こんなことを言っているのか……それは、彼女に限界を越えさせる為である

モシン・ナガンはM200のことを慕っており、彼女のことを全面的に信頼している節がある

それをM200は理解し、利用しようとしているのだ

彼女が動けないのは分かっている、しかし敢えて‘動ける程度に手加減した’という言葉をぶつけることで彼女の中の認識を『この程度耐えられる、まだ動ける』と変えようとしている

それを為すことが出来ればモシン・ナガンは精神力で身体の限界を越えて動かすことを覚え、一気に何段階も成長することが出来る

勿論こんなこと普通は出来ないし、訓練初日なら尚更だ

M200も正直出来ないだろうとは思っていた、しかし……

 

「ウ、ウゥ……ァァァァァアアアアアアアアアアアア!!!」

 

「っ!?本当に立ち上がるなんて……上出来すぎるよ、モッシー」

 

 M200は嬉しそうに笑う

その視線の先には顔をこれ以上ないくらい苦痛に歪めながらも、何度も何度も倒れそうになりながらも、呼吸すらままならないながらも、それでも立ち上がりM200のことを見据えるモシン・ナガンがいた

だがやはりその様子は最早立つのがやっとであり、戦闘行為など無理なのは誰の目にも明らかである

それでもM200は試合をやめようとはしなかった

 

「立てたみたいだし、続けるよ。さぁもっとボクを驚かせてみせて!」

 

「ア、グ……オアアアアアアアア!」

 

 M200はモシン・ナガンの周囲を泥歩で周回しながら彼女へ向けて打撃を放つ

先程の半歩崩拳と比べればそれは速度のない弱っちぃものであるが、今のモシン・ナガンにとっては十分に脅威である

その殆どが彼女の身体へ当たるが、幾つかは防いでいる上に反撃まで放ってきた

力の入らない状態で放たれるそれは最早突きとも呼べないほどのものだが、出来るだけでも十分凄いだろう

当然M200にヒットすることはなく、一方的に攻撃を叩き込まれてはいるが

その様子を見ていたWA2000も大変驚いていた

 

「凄いわね、彼女……想像以上だわ」

 

「なんとなく凄いのは分かるんですが…」

 

「いやハッキリ言って異常でしょあれ。なんで立てるの?その前になんで意識を保てるの?」

 

「え、あれってそんなにやばいものなんですか…?」

 

「そうね、M200の半歩崩拳は真面に喰らえば私でも半日は動けなくなる代物よ」

 

「えっ!?」

 

「勿論今彼女に放ったものとは手加減のレベルは違うけれど…それでも動けなくなる程の威力だったのは間違いないわ」

 

「いやはや…精神力だけであそこまで動ける、しかも実戦経験があんまりなくて初めての格闘訓練であれとはね。あの子、化けるよ」

 

「そ、そんなにですか…」

 

「なに呆けてるの?次は貴女の番よ」

 

「あっ……」

 

 WA2000の言葉にFN49は得も言われない恐怖に襲われる

余りの衝撃に忘れていたが、これは彼女にも行われる訓練なのだ

果たして自分はどんな目に遭うのか……モシン・ナガンのことを見ているだけで碌でもないことに遭うような気がしてならない

先を歩くWA2000に付いて行くと、そこには床へ円形に貼られたテープがあった

WA2000はその中へ入るとFN49へ挑発的な言葉をぶつける

 

「さぁ、どんなことをしても良いから私をこの円からホンのちょっとでも動かしてみなさい。まぁ…無理でしょうけどね」

 

「えっと、ワルサーさんをその円の外に出せば良いんですか?」

 

「いいえ、‘私の足を一歩でも動かせたら’あなたの勝ちよ。さ、とっとと来なさい」

 

 WA2000の言葉を受けてFN49は改めてテープで作られた円を見る

彼女の足はその円のギリギリ内周に入っており、確かに一歩でも動かせば円から出るだろう

一見して途轍もなく簡単そうだ、だがM200の件を考えれば油断出来る状況ではない

FN49は気を引き締めるとWA2000を見据えた

ハッキリ言って彼女に格闘の心得は一切ない、だがそれでも戦術人形として一応は戦えるよう設計されている

今の彼女にあるのはそれだけ、相手はこの基地の全ての戦術人形を下す『ミレニアム8筆頭戦術人形』

なんとも頼りないがやるしかない、FN49は先程のM200の見様見真似で呼吸を整えるとWA2000に向けて突進した

助走で威力を付けて思いっ切り拳を突き出す

しかしその拳がWA2000の身体に当たる直前、彼女から凄まじい殺気が放たれてFN49は恐怖心から身体が硬直した

そのまま硬直した身体と助走の勢いを利用する形でWA2000の左掌打が横っ面に叩き込まれる

ただそれだけなのにも関わらずFN49の身体は錐もみ回転しながら吹き飛んでいき、モシン・ナガンと同様壁に激突した

彼女とは違い頭の天辺から激突して全負担が首にかかる、あとホンの少しでも威力が高ければ折れていただろう

その様子を見ていたスコーピオンは頭を抱えた

 

「うっは……本当に容赦ないなぁ。でもこれでも相当に手加減してるってのが怖いよねぇ」

 

「仕方ないでしょ。地力の限界を見るためにはこれくらい追い込んであげないと意味ないんだから」

 

「そりゃそうだけどさ……ぶっちゃけその方が手っ取り早いからって一撃で追い込んでるっしょ?」

 

「否定しないわ」

 

「……南無阿弥陀仏」

 

「縁起でもないからやめなさい」

 

「傍から見てると本当にそうなりそうで怖いんだよね。てか私もこれ受けてたんだよね……良く心が折れなかったな当時の私」

 

「貴女の雑草根性も中々に良かったわよ。さて……そろそろね」

 

 WA2000はスコーピオンとの会話を切り上げるとFN49の方を見る

彼女は首が痛むのか片手で抑えながらなんとか立ち上がっていた

頭と首の痛みは凄まじいが、胴体への衝撃がない分モシン・ナガンよりは容易に立てたようだ

当然WA2000は次にその無事な胴体への攻撃をするつもりである

 

「いつまでそんな所で突っ立ってるつもり?さっさと私の足を動かしてみなさいよね」

 

「う、うぅ…やってみせますとも……!」

 

「ふぅん、貴女も中々良い根性してるわね。ほらおいで、全ての攻撃を返してあげるから」

 

 その言葉を皮切りにFN49は何かの枷が外れた様にWA2000へ攻撃をし始めた

まずは拳、左手で上に逸らされた後に右肘を鳩尾に叩き込まれて身体が持ち上がる

そのままWA2000が下から掌打を連続で放ってきて強制的に宙へ浮かばせられ続ける

なんとか反撃を挟みこもうとするもその全てが掌打で潰されて更に連撃を叩き込まれる

最早どうにもならないかもと思ったが腰を捻って身体の向きを変えるとWA2000の掌打による力の加わる向きが変わって掌打地獄から抜け出せた

床に叩きつけられはしたが痛がっている場合ではない、そのまま転がってWA2000から距離を離す

だが実際の所逃げられたというより‘逃がしてもらえた’と考えた方が良いだろう、実際WA2000はFN49の機転を評価自体はすれどその気になればその動きを読んで力の向きを変えて地獄の続きをすることなど容易に出来る

傷む身体を無視して再びWA2000に向けて突進して今度は上段回し蹴りを放つ

WA2000の左手刀が足首に叩き込まれて膝を起点に脚を畳まれる

そのまま足首を掴まれてFN49の身体は引き寄せられ、顔面にWA2000の拳がめり込む

そして後ろに倒れるかと思えばWA2000が掴んでいる足首を上手く利用して再度引き寄せて今度はボロパンチで顎をカチ上げる

掴まれている右足首を離させない限りこの状態は続くだろう、しかしどう力を入れようとしても上手く分散させられて逃げられない

その上まるで鎖で縛られてその場で固定されているかのように動かせなかった

そのまま何度も何度も顔に拳を叩き込まれる中FN49は思考を回し、1つの策を思いつく

彼女は固定されている右足首を利用して跳躍し、そのまま左脚でWA2000の顔面へ向かって放つ

しかしそれもWA2000が顔を横に傾けたことで躱され、その上今度は顔を反対に倒してきて彼女の左脚がWA2000の首によって捕らわれてしまう

その状態からWA2000は右手を拳から手刀に変えてFN49の腹に上から叩き込むと同時に今まで拘束していた両脚を解放した

すると彼女の身体は手刀によって床へと叩きつけられる、その際WA2000も同時に膝を曲げて身体を降ろしながら手刀を最後まで続ける

まるで上から大岩が降って来て潰されたような衝撃が彼女の身体を襲い、意識が飛びかける

手刀による発勁と身体を沈める際の動きによる沈墜勁擬きで身体を圧し潰しているのだ、意識を保てているだけでも表彰ものだろう

当然そうなるよう手加減されているのもあるが

兎も角これは危険な状態であると同時にチャンスでもある、今のWA2000は膝を曲げて身体を落としているので非常に不安定なはずだ

FN49は軋む身体に鞭を打ちつつ身体を回転させてWA2000の腰へ蹴りを放つ

しかし度重なる攻撃によって疲弊しきった彼女のその蹴りに威力はなく、無傷のWA2000の鍛え抜かれた体幹を崩すことは到底叶わない

逆に全身からの発勁によって蹴りが弾かれ、回転する彼女の身体の頭の位置がWA2000の方へ向くと同時に右膝が落とされる

しかしFN49がなんとか床を蹴って回転の勢いを増したことでその膝から逃れ、逆に無防備になったその膝へ向けて両手を伸ばして体勢を崩そうとした

だがそれでもWA2000は崩れない、寧ろFN49の手を取ってまるで恋人握りのように握るとそのまま彼女毎持ち上げるようにして立ち上がって見せた

動揺して動けないでいるFN49の身体を上へ持ち上げ、一度腕を引くとそのまま上へ彼女を放り投げる

空中で体勢を整えることが出来ないFN49はやがて自由落下を始め、その先にはWA2000が両腕を頭の上へ上げた状態で待機している

貫手か何かで攻撃されると思ったFN49はその手の動きを警戒するが、それは間違いだった

落ちて来た彼女を迎えたのはWA2000の右前蹴りである

予想外の蹴りを脇腹へと真面に喰らった彼女は身体が折れる音を何処か他人事のように聞きながら天井へ轟音を鳴らしながら叩きつけられ、床へと受け身を取ることも叶わずに落下する

そこで彼女の意識は完全に途切れるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ねぇ、わーちゃん」

 

「なによ。あとわーちゃん言うな」

 

「ちょっちやり過ぎじゃね?流石に新人の子にマハーシヴァキックはやばいって……」

 

「思わずあれを使ってしまう位この子は凄かったってことよ。私も初日でアレを使ったのは初めてだしね」

 

「だからって…ああもう、骨格が折れてるじゃんか。どうすんのさこれ」

 

「あら本当。でも大丈夫よ、手配は済んでるから。それに…」

 

「それに?」

 

「思わず蹴りを放っちゃったわ、足が動いたから私の負けね。初日で私を負かせたのもこの子が初めて…こんなに将来が楽しみな子はいないわね」

 

「…そう言えばそうだね。え、この子マジで凄いやつ?」

 

「ええ、逸材よ。取り敢えず…ん、来たわね」

 

「治療の準備は整っています。彼女をこれにお乗せ下さい」

 

「ええ。後は任せたわよ、マガル」

 

「了解しました。では」

 

 気を失っているFN49の容態を見て既に待機させていた医務班のマガルを呼び出すと、担架にFN49を乗せて民間の自立人形が担架を持ち上げて彼女と共に走り去っていく

その様子を見届けたWA2000とスコーピオンはM200とモシン・ナガンの方へ目をやった

そこには壁にめり込むかのようにピッタリと張り付いたまま意識を失っているモシン・ナガンと右足を踏み込んで両掌を前へ突き出しているM200の姿があった

 

「そっちも終わったみたいね」

 

「うん、やっぱり予想以上に粘ってくれたよ。これからが楽しみだね」

 

「こっちはこっちで浸透水鏡双掌なんか放ってるし…容赦ないにも程があるよ?」

 

「こうでもしないと気を失ってくれそうになかったんだ。こんなの初めてだよ」

 

「ふぅん…それで、決まりそうなの?」

 

「モチのロン('ω')b」

 

 WA2000の言葉にM200はサムズアップで答えていた

WA2000とM200は何も地力を見る為だけに彼女達を叩きのめしたわけではない

彼女達へ伝授する武術を何にするのか、それを決定する為に動きを見るのが一番の目的であった

そして両者共に無事に見つかったようである

当然1つだけで済ますことはないのだがまずは1つの武を修めてもらう、それがこの基地の方針である

人間と比べて学習効率が非常に高い戦術人形であれば短期間での習得も可能だし、何より今回の生徒は才能に溢れている

それほど時間もかからずに人一倍戦えるようにはなるだろう、最もそこから更に突き詰めて鍛えていくのに時間は掛かるが…それらは実戦も通していかないといけないので今考えることではない

取り敢えずモシン・ナガンも修復が必要なので医務室へと運ぶ

その後スコーピオンが2人に話しかける

 

「ねぇ、この後予定とかある?」

 

「いや、特にないわね。強いて言えば事務業務位かしら、それもジェリコがやってくれてるから大丈夫だけど」

 

「ボクもないね。何もないし長距離レンジで訓練しようかなぁって」

 

「それならさ……久々に私に訓練してくれない?あの2人見てると火が付いちゃってさ、なんだが頑張りたくなったんだよね!」

 

「そういうことなら喜んでやるわ」

 

「ボクも。でも…」

 

「「あの2人以上に容赦はしないから」」

 

「へんっ!望むところだい!!さぁそうと決まれば早速やるぞぉ!!!!」

 

 その後スコーピオンはWA2000とM200を同時に相手取るという無謀な訓練を行い、粘りに粘ったものの結局は2人の必殺技を同時に喰らって吹き飛んだ後に失神した

それでもWA2000とM200両者に傷を負わせていることを考えればやはり彼女も優秀である

 

 そしてその日の夕方頃、モシン・ナガンとFN49はほぼ同時に意識を取り戻し自分達の横でスコーピオンが豪快ないびきをかきながら寝ていることに困惑するのであった

 




まさか一万字越えるとは思いませんでしたマル
これM200とモシン・ナガンの方も厳密に書いてたら二万字近くいった可能性があるって考えると怖い(白目)
これから先どうなっちゃうんだ、文字数は…(心配するのはそこじゃない)
因みに2人に何を仕込むのかは決定済みです
次回は2人にそれを仕込んでいく回かもしくは大分前の『指揮官一日好きに出来る権:HK416の場合』かどっちかですね…でも日の流れを意識するならHK416と指揮官の一日の方にするべきだったり
どっちにするかはまた考えときます(思考放棄)

ではまた次回(@^^)/~~~

ゆかりさんが何処に配属されるか

  • 諜報部隊
  • LSP
  • その他(例:音楽隊のサブボーカルなど)
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