S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常 作:フォルカー・シュッツェン
他の人形達のも出さないと…でも訓練もやらないと…忙しいぜ、全くよぉ('ω')
あとドルフロ二次SSもっと増えろ……色々あって疲弊しきってる私の心をドルフロ二次SSで癒してください………
では、どうぞ!
緑が豊富な森林、そよ風が吹き草木が揺れる
今日は少し風速が速いのかその揺れは大きかった
なんてことはない自然の風景、このご時世では珍しくなったものの違和感のある景色ではない
そんな自然の中に隠れて…否、同化しながら移動を行っている少女がいた
その少女は匍匐姿勢で這うように移動しており、その上自身の動きで草木の揺れが不自然にならないよう注意していた
着ている服もこの森林の植生に合わせたもののため、この森林の中で少女を見付けるのは至難の業だろう
そして件の少女は暫く移動を行った後、双眼鏡をチェストリグから取り出して覗き込む
遠くの景色をゆっくりと見渡したが何も見付からない
その事に若干の落胆をしたその時であった
悪寒を感じた少女はその場から跳び退き、それと同時についさっきまで少女のいた場所に銃弾が撃ち込まれた
石に当たったのか跳弾し、運悪く自分の方へと飛んできたそれを首を傾けてなんとか回避する
その際少女の目は弾頭を視認し、それが338ラプアであることを確認した
(クソ、見付かった……奴の位置は分からない、銃声は聞こえなかったし飛翔方向から概算は出来るけど奴のことだしすぐに移動してて意味ないでしょうね。こっちだけ一方的に補足された、不味い状況ね……取り敢えず私も移動して撹乱しないと)
奴の銃弾を避けられたのは僥倖だが、状況は芳しくない
とにかく今は逃げなければならない、少女は立ち上がって全速力で走りだした
そうして暫く走った後少女は中腰になりながら静かに、されど急いで移動を行う
被発見地点から結構な距離を離すと少女は地面に身を完全に伏せ、周囲の気配を探る…何の気配もない、感じるのは虫のそれだけだ
だがしかし油断は出来ない、なんせ相手は‘奴’なのだ
少しずつ、慎重に身体を起こして周囲を目で観察して近くに奴がいないことを確認する
確認を終えた少女は近くにあった木に登るとそこで息を潜めた
そのままどれ程の時間が経っただろうか
体感で数時間といったところだろうか、その間少女は微動だにすることなく木の上に居続けた
例え虫が自身の身体を這おうとも一切意に介さず、息を潜めて木の葉に同化し続ける
そうしている内に奴が現れた
どうやら少女を見失い、捜索しているらしい
奴の能力は異常に高いが流石に1km以上離れた地点から逃げられた所為で正確には追えなかったのだろう
少女の能力が高いのも要因だ、そうでなければいくら隠れようと一瞬で見付かってしまう
実際少女は奴の姿が見えても感情の動きがなく、自然の中に自分の身を溶け込ませることに集中していた
奴もまた自然に同化しながら移動しているが、少女のことを捜索しなければならないことと少女の索敵能力の高さも相まって今度は一方的に少女が奴の動向を見る側だ
そんな中で少女は只管に待つ、奴が自身のキルゾーンに入って来るまで待つ
段々と近付いて来る……その状況下でも少女は鼓動の速まりも何もなく冷静に脚のホルスターからナイフを取り出す
そしてまた待つ、1歩1歩ゆっくりとしかし確実にこちらへと近付いて来ている
そして奴は少女の真下にまで来た
それでも少女は行動に移しはしなかった、奴が背中を見せるまで待つつもりなのだ
やがて奴はその木を通り過ぎ、少女の視界には奴の背中が映る
ここまで来て少女はやっと行動を開始し、ナイフ片手に木を蹴り飛ばし奴の背中へと襲い掛かる
奴の背中へと迫る最中、奴は振り返る動作をする気配がない……勝った、少女は確信と共にナイフを奴の肩口へと突き下ろそうとして
次に視界に映ったのは雲一つない青空であった
「うっ……」
真っ白な部屋、医務室のベッドで少女は目を覚ます
「起きましたか。意識はハッキリしていますか?」
「マガル…?そう、私は負けたのね」
「そのようです。ですが指揮官が褒めていましたよ、『あと一瞬でも気付くのが遅れていたらやられていたのは私の方だった』とのことです」
「そう……でも勝てなければ何の意味もないわ。いくら善戦したとしても負けたらそれは負けよ。死ぬだけだわ」
「相変わらずですね…そんなに完璧が欲しいんですか?」
「当然でしょ。私は完璧にならなきゃいけないの」
少女、HK416はベッドから降りると軽く身支度をする
その後マガルにお礼を言ってから部屋を出るとその足で訓練場へと向かい、他の人形達を相手にナイフ術の訓練を始めた
HK416という戦術人形は皆、差異こそあれ完璧であることを望むがこの基地の彼女の場合その想いがかなり激しい
それには何故彼女がこの基地へと来てミレニアム8を務めるまでに至っているのかが関係して来る
彼女は胡蝶事件が起こるより以前に製造された個体であり、当時の状況を知る1人だ
当時彼女はS地区ほどではないがそれなりに鉄血の攻勢が激しい地域に居り、彼女の所属していた基地は市民を逃がした後に撤退戦を展開したがその際に指揮官が重傷を負ってしまった
到底指揮を執れるような状況ではなくなり、状況は一気に悪化して全滅を待つだけだと誰もが思っていた
その時HK416は指揮官の副官として彼と共に陣頭指揮の執り方を学んでいた経験を活かして咄嗟に指揮権限を自分に移すことで指揮を執り、指揮官と基地に所属していた全人形を撤退させることに成功した
このことはグリフィンの中でも評価され、だからこそ彼女はスカーレットのS地区奪還作戦のメンバーに選抜された
彼女としては自分の功績が認められ、重要な作戦に投入されることは名誉に感じていたため喜んでこれを受けた
きっと自分の能力が活かされ、頼りにされるだろう……そう、思っていた
確かに彼女の能力は高く、それは活かされた
問題だったのはスカーレットとクレアの存在だ、この2人は絶対の自信を持ち己が完璧であると信じていたHK416を遥か後方に置き去りにするレベルであった
彼女の自信は打ち砕かれ、自分という存在が分からなくなるほどにショックを受けた
鉄血のハイエンドなどの戦術人形に負けるのならまだ納得は出来る、しかしこの2人はただの人間だ
外骨格すら装着していないただの人間に何もかもが劣っている、その事実は彼女の心を蝕んだのだ
当然この2人が異常なだけであり、彼女が相当に優秀であることに変わりはないのだが当時の彼女にとってそんなものは何の慰めにもならなかった
一時期はゲシュタルト崩壊を起こす程に精神をやられたが、次第にこの2人をも越えて本当の意味で完璧になってやるという想いが湧き出て来た
それから彼女はスカーレットとクレアに願い出た、私を強くしてくれと
そうして彼女はスカーレットの基地へと転属し、ここで修練を積むことで最高戦力の1人として数えられるまでになったのだ
しかしそれでも未だWA2000に負けているしスカーレットやクレアに勝つことも難しい、彼女は現状に一切満足などしていない
更に上へ、更に前へ…彼女は只管に己を鍛え続ける
そしていつの日か本当の意味で完璧になれたら……彼女はこの基地を去り、元の指揮官の下へと戻るつもりだ
今でこそこの基地に馴染んではいるがやはり彼女の心はあの指揮官にある、左手の薬指に嵌められた銀色の指輪が光る度に彼女は郷愁の想いに駆られるのであった
「よぉ、あいつらはどんな感じだった?」
「あら指揮官。今日は416に1日好きにされる日じゃなかったかしら?」
「そうなんだがな、あいつ朝にマンツーマンで訓練してくれたら後は晩酌に付き合ってくれるだけで良いってよ。だからあいつらの具合でも聞いておこうと思ってな」
「なるほどそうでしたか」
所変わってスカーレットはWA2000とM200の元を訪れていた
「んでどうだったんだ?それとあいつらに何を教えるのか決まったのか?」
「気になるなら見てみますか?きっと驚きますよ」
「お、なんだなんだ?結構粘った感じか?」
「そうね、そこら辺は見てもらえれば分かるわよ。はい、どうぞ」
「どれどれ……ほぅ」
スカーレットは彼女達の試合の録画を食い入る様に観ていた
やがて全てを見終わった彼女は感嘆の吐息を漏らす
「へぇ……すげぇじゃねえか、おい。特にモシンが立ち上がったのはやばいな、FN49もまさか初戦でワルサーを負かすとは……ク、ククク」
「良い顔してるじゃない、指揮官」
「そういうてめぇも結構な顔だぜ?それに、なぁ?」
「気持ちは分かります。鍛えたくて鍛えたくて堪らないですよね」
「あぁそうさ!早くこいつらに仕込んでやりてぇよ……そいで、何にするんだ?」
「予定ではあるけれどFN49はサバット、モシンには劈掛拳と八極拳を教えるつもり」
「ほう、FN49がちぃと特殊な感じになるが……確かにあいつにはそれが一番良いかもな」
「ですね。そう言えば指揮官はこれからどうされるんです?」
「そうだなぁ……取り敢えず自分の訓練でもするか。M200も一緒にどうだ?」
「…私は?」
「書類仕事でもしててくれ」
「ぶっとばすわよ」
「チュール」
「……3本よ」
「りょーかい♪」
「ワルサーも相変わらずだね。じゃあ行きましょうか」
「おう!」
その後スカーレットとM200は第九狙撃訓練場へと赴いて共に訓練を行い、WA2000は執務室でジェリコと共に書類仕事をするのであった
因みにチュールで釣られたことを知ったジェリコは呆れ、WA2000の顔は赤くなっていた
「邪魔するぜ、スプリングフィールド」
「いらっしゃいませ、指揮官。416さんなら既に来ていますよ」
「遅かったじゃない、指揮官」
「すまんすまん、思ったよりも新人が張り切ってくれてるみてぇでな。つい熱が入っちまった」
その日の夜、スカーレットはHK416との約束をしていたのでスプリングフィールドのカフェへ来ていた
そこには既にHK416がカウンター席に着いており、彼女のことを待っていたようであった
軽く謝りながら隣の席に着くとスプリングフィールドにカルーアミルクを頼む
「相変わらず最初は甘いお酒なのね」
「まぁな。色々とやって疲れた頭にはやっぱ甘いもんだろ」
「気持ちは分かるけどね」
「どうぞ指揮官、カルーアミルクです」
「お、サンキュー!んじゃあ……」
「ええ、乾杯」
HK416とスカーレットは互いのグラスを軽く合わせるとクイッと傾ける
スカーレットは口中に広がる甘い味わいと喉を通り過ぎる濃厚なミルク感に満足そうに息を吐く
「今日はありがとね、指揮官」
「ん?気にすんな、私だって良い訓練になった。お互い様だ」
「それでもよ。こういう機会でもないと貴女にお願いするのは気が引けてね……私が素直じゃないのは知ってるでしょ?」
「たりめぇだ。酒が回るとちょいと素直になるのも含めてな」
「そうね……ねぇ指揮官、私達が最初に出会った日のこと覚えてるかしら」
「覚えてるぜ。あの時から既にお前は優秀な兵士だったな」
「そう言ってくれると嬉しいわ。でも貴女と比べると全然駄目だった。あの時の私は自分に絶対の自信があって、それを裏付ける実績もあったわ。だから思ってた、『私は完璧だ』って」
「そうだったな……優秀であることに変わりはなかったが、完璧には程遠かったな」
「ええ、本当よ…あの時私は貴女の所為で自分が分からなくなった。戦術人形で、その中でも完璧で一番な私……そうでなければならないのに、ただの人間の貴女に何もかもが劣ってた。そんな私に、人形の私に価値なんてあるのかってね」
「確かにあん時のお前はかなり思い詰めてたなぁ……ケアすんのも大変だったぜ」
「……迷惑かけたわね。それと、ありがとう」
「…なんか感謝されるようなことしたか?」
「したわよ、それはもう沢山ね。私が全然完璧じゃなかったって教えてくれたし、まだまだ成長出来ることも教えてくれた。そしてその為の訓練もしてくれた、それも情を一切挟まない途轍もなく過酷なものを。そして……私をこの基地の最高戦力と呼ばれる領域にまで引き上げてくれた。全部、貴女のお陰よ。本当に感謝してるわ」
「……おう」
「何よ、照れてるの?珍しいこともあるものね」
「うっせぇ。つうか良くそんな恥ずかしいこと臆面もなく言えんな……むず痒くて仕方ないぜ」
「私だって恥ずかしいは恥ずかしいわよ。お酒の力を借りないとこんなこととても言えないわ……」
「もしかしておめぇ、それを言いたくて」
「さぁね、どうかしら?1つ確実なのは私はまだ現状に満足してないってことね。ワルサーを下して、その上で貴女とクレアとイーサンを越える。そして……」
「あいつの下に帰る、だろ?人形のお前と違ってあいつは人間、早くしないと一緒に入れる時間がどんどん少なくなっちまうもんな」
「ええ。だから……これからもよろしくね。私をもっと、もっと強くして」
「任せとけ」
その後彼女達は2杯目のお酒を頼み、飲み明かしていく
普段なら言えないようなことも今は自然と口を突いて出てくる、そんな変な自分をどこか楽しむかのように話に花を咲かせるHK416の顔は……とても綺麗で、何処までも澄み切っていた
夜が更けても彼女達は飲み交わし、スプリングフィールドが止めるまで話が尽きることはなく穏やかながらも楽しい時間を過ごすのであった
いやぁやっと書けたしやはり当初のプロット通りにはいかないもんですね(-_-;)
でもこれはこれでありかな……前指揮官との誓約とかは書いてる途中に付与した設定だったり
因みにHK416は全ての銃の中で私が最も好きな銃であり、ドルフロのキャラの中でも最も好きなキャラでもあります
勿論最初に誓約したのも彼女でした、最初期から未だに最前線で頑張ってくれてます
しかしディビジョンコラボが来た時にアプデしようとしたら32時間放置しても完了しなくて何しても無駄って言う……最悪これから先ドルフロ出来ないかもしれぬ(´;ω;`)
出来なくなっても書くけどさ……辛いよ
その上仁王2は起動しないしディビジョンまで何故か起動しなくなるしでもう……ね
私の精神はもうボロボロですよ、はい
取り敢えず次回はFN49とモシン・ナガンにそれぞれ武術を教えて仕込むところですね……来週末に書けたら、良いなぁ……
ではまた次回(@^^)/~~~
ゆかりさんが何処に配属されるか
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