S09地区のとある指揮官と戦術人形達の和やかな日常と殺伐とした日常   作:フォルカー・シュッツェン

7 / 60
なんか、あれやな…スランプやな('ω')


訓練の様子:格闘訓練編

 S09地区に存在するとある1つの基地

そこの指揮官を務めるのはグリフィンの中でも筋金入りの問題児、スカーレット・ミッチェル

本社へ赴く時ですら制服を着用しないと聞けば如何程のものか分かるであろう

それが一応罷り通っているのは優秀が過ぎるからである

そもそもこの基地は元々鉄血に滅ぼされ、鉄血領となっていた場所なのだ

そこをスカーレットと後方幕僚のクレアを含め、たった8人で奪い返した実績を持つ

だからこそ問題行為も黙認されている、他にもヘリアントスやクルーガーと個人的な繋がりを持ち認められているというのもあるが

 

 だがここで疑問が生まれる

なぜグリフィンはスカーレットとクレアにたったの8人で鉄血に占領された基地の奪還を命じたのか

それは偏にスカーレットとクレアがアメリカ人であることに起因する

自分達が滅ぼした国の生き残り、しかも表に出てこない特殊部隊の中でも優秀な者…そう、報復を恐れたのだ

そんな得体の知れない者を雇っていつか反旗でも翻されたら…そう考えると早い内に始末しておきたい

その結果として無謀過ぎる命令を出し、作戦行動中の死亡という扱いにしようとしたのだ

その為無理難題を押し付けてそれを達成したら指揮官として認めてやる、と言い放った

勿論クルーガーとヘリアントスは反対したが他の上層部の者は意見を変えようとはしなかったし、何よりもスカーレット本人がそれを了承した為作戦は決行された

ヘリアントスがスカーレットを止めようとしたがスカーレットは「まぁ任せとけって!」と一言、その言葉の通りに周囲の鉄血を一掃してきたのである

達成すれば認めると言った手前どうすることも出来ず、スカーレットは無事に指揮官としてこの基地に務めることになった

 

 しかし大変だったのはそこから、なにせ鉄血との戦闘があった為に何もかもがぼろぼろ…それらの復旧の方が大変だったと後にスカーレットとクレアは語る

途中何度も鉄血の襲撃のある中何とか基地としての体裁を整える必要があったが為に中々進まなかったのだ

その後基地が完成し、鉄血の襲撃が落ち着いた頃からスカーレットとクレアは戦術人形達に戦闘訓練を施していく

いつしかこの基地の訓練に関する施設は最も面積を使い、お金がかかるものとなった

そして現在、他の人形とは一線を画す存在となった人形達はスカーレットとクレアを含め「ミレニアム8」と呼ばれるようになっている

因みにメンバーはMK.23、トンプソン、HK416、WA2000、MG5、AmKSGである

そして今はこの6人が主に他の人形達の訓練を担当しているのは前にも言った通りである

しかしだからといって他の者が訓練の指導をしない訳では無い

特にHGとSMG達に関しては近接格闘にもかなり力を入れているからか

 

「どおりゃあああぁぁぁ!!」

 

「チィッ!いい拳だ、トンプソン!」

 

「今のを避けるのか…やっぱすげぇよ、ボスは」

 

 スカーレット自らが訓練場にて人形達を相手に模擬試合を行っている

今はトンプソンが相手だ

かれこれ10分はこうして殴りあっている

 

「まだまだ行くぞ、ボス!」

 

「あぁ来い、トンプソン!」

 

 その言葉と共に一瞬で間合いを詰めたトンプソンが至近距離からのアッパーを放つ

スカーレットはそれをバク転をするように避けながら

 

「はっ!」

 

「がはっ……!あ、ぐ……」

 

 変則的な蹴りを顎に喰らいたたらを踏むトンプソン

スカーレットがその隙を見逃すはずもなく

 

「うぐ……!」

 

「もう終わりだ、トンプソン。詰めが甘かったな」

 

 接近したスカーレットに背後へと回り込まれ、そのまま首を極められてしまい動けなくなった

トンプソンが負けを認め、スカーレットの腕をタップした所で試合は終了となる

直後、訓練場にはがやがやとしたざわめきが起こる

 

「あ〜今日も指揮官の勝ちか〜…また負けちゃったよ」

 

「じゃ、私の勝ちってことで」

 

「うん、悔しいけど仕方ないよね。はい、これ」

 

「悪いわね〜♪」

 

 スコーピオンがMK.23に少量のお金を渡している

そう、スカーレットと人形の試合は賭けが行われることもあるのだ

とは言え今のところスカーレットに勝ったことがあるのはトンプソンとMK.23だけであり、その2人も勝率はかなり低い

その為スカーレットに賭ける者が多いのだが、スコーピオンはトンプソンに賭けていたらしい

因みに賭け金はスカーレットの命令によってかなり少ない額でしか行えないようになっている

こうすることで余計なトラブルを防いでいるのだ

 

「あぁ、くっそ…なんで人間なのにそんな強いんだよ、ボスは」

 

「何十年と戦い続けて来てんだ、幾ら戦術人形とは言っても数年しか生きてない奴にそうほいほいと負けてらんねえよ。それに鬼みたいに強い師匠がいたからな…ほれ、立てるか?」

 

「あぁ…すまないな、ボス」

 

「気にすんなって」

 

 座り込んでいたトンプソンにスカーレットが手を貸し、立ち上がらせる

そして

 

「さぁ、他に揉んでほしい奴はいるか?この際だ、とことん相手になってやるぜ!」

 

 スカーレットがそう叫ぶが

 

「え、遠慮しておこうかな…」

 

「指揮官に勝てると思うほど自惚れてません…」

 

 殆どの者が尻込みしている

そんな中1人の人形が手を上げた

 

「はいは〜い、じゃあ私いいかしら?」

 

「ん、おおソーコムか。良いぜ、来な!」

 

 ミレニアム8が1人、MK.23である

トンプソンが力で相手と殴り合い相手を圧倒するのを得意とするのに対し、MK.23は極め技や投げを得意としスピードで相手を圧倒する戦法を用いる

HGとSMGの戦術人形達からは「力のトンプソン、技のソーコム」と言われたりしている

因みにだがトンプソンも相手を殴り倒すためにかなり繊細な技術を用いるのでトンプソンも割と技寄りである

 

「じゃ、行かせてもらうわね」

 

「おう、いつでも良いぜ。あんまモタモタしてると私から行くがな!」

 

「そんなにかからないわ…よっと!」

 

「っ!?ほぅ…」

 

 次の瞬間、スカーレットの視界からMK.23が消えた

辺りを見回してみても姿が映らない

そして時折当身をして来る

 

「常に相手の死角を取り続けることで姿を消したか…更にヒットアンドアウェイでこっちの集中力を削ぐ気だな?」

 

 スカーレットがそう言っている間にもMK.23は死角から攻撃を続ける

蹴りが、拳が襲いかかってくるがスカーレットはそれを難なく捌いていく

 

「いい戦法だ。1対1の状況ならかなり有効だろう…だがな」

 

 そう言いながらスカーレットは目を閉じた

しかしMK.23はスカーレットの死角にいる為それに気付かない

 

「やりようによっちゃあそんなの何の意味も無くなるんだよなぁ!」

 

 MK.23が貫手を突き出し、スカーレットに当たる瞬間…スカーレットが振り向き様に貫手を避けながら拳をMK.23の顔に向かって放った

その時になって初めて目を閉じているのに気付き驚愕するも、MK.23は素早く対応する

スカーレットの突き出してくる拳を推手で逸らすと、その場で軽く跳躍して右脚を振り上げる

 

「なっ!?それは…」

 

 スカーレットが何かに気付くがもう遅い

MK.23は右脚でスカーレットの腕を捉えた

そのまま自重によって2人の身体が床に向かって倒れて行く

そして…

 

「ぐはぁっ!!ぐ、くそ……!」

 

 MK.23は倒れ込む瞬間に左膝を立て、そこにスカーレットの顎がぶつかる

恐ろしく強烈な一撃を受けたスカーレットは流石に怯み、視界に火花が散っている

 

「よし、このまま…!」

 

「ぐぅ…!やる、な…ぁ……!」

 

 スカーレットの怯んでいる隙にMK.23が背中側からマウントを取り、首を締め上げる

完璧な形で入った上に戦術人形の力で締められている…誰もがMK.23の勝ちを確信していた

だが…

 

「な、めるなぁ…!!」

 

「う、嘘でしょ!?…くそっ!」

 

 スカーレットが両手を使って立ち上がったのだ

それに驚愕したMK.23は一瞬怯むがすぐに事態を把握して離れようとする

しかし立ち上がったスカーレットの右手がMK.23の右腕を掴んだことで離れられなくなってしまった

普通ならその程度で動けなくなるなど有り得ないのだが、スカーレットは特殊な掴み方で筋肉の筋を抑えて人間工学的に動けないようにすることが可能だ

完全に勝てると思っていた状況を少しとは言え覆されたことで焦るMK.23

何とかして逃れようとするが出来ない、ならばこのまま攻撃を加えようとしてもこの状態から強力な打撃を加える技をMK.23は知らない

どうすれば良いのか…思考するもどうすることも出来ないのでこのまま絞め落とすことにした

だがそれを許すほどスカーレットは甘くなく、動けなくなったMK.23を下にして床に倒れ込む

 

「ぐふっ!…く、しまっ……」

 

「これで終わりだ!!」

 

「か…はっ……!」

 

 スカーレットの身体に押し潰され、首を絞める腕の力が緩んだことでスカーレットに逃げられた

その事に気付くも最早どうにもならず、上からスカーレットの拳が鳩尾に落とされる

あまりの衝撃に呼吸もままなくなったMK.23は己の負けを悟った

 

 その後スカーレットの適切な処置によってMK.23は回復した

 

「あ〜あ、あれでもダメなんて…ほんっと強いわね」

 

「まあな!…と言いたいところだが、今のは結構やばかったな。と言うか…」

 

「何かしら?」

 

「お前さっきの技とか動きとか…クレアに教えてもらったな?」

 

「あら、分かるの?」

 

「たりめぇだ、何年一緒にいると思っていやがる。20年だぞ?それくらい分かるっての」

 

「それもそうよね。しっかしこれじゃあクレアさんに申し訳が立たないわね…教えてもらったのにこうして負けちゃったんだもの」

 

「んな事ねえだろうよ。さっきも言ったが私を追い詰めたんだ、誇っていいんだぜ?」

 

「そうね…そう思うことにするわ。さて、と」

 

 MK.23は勢いよく立ち上がり、その場にいる皆に大声で指示を出す

 

「皆、格闘訓練はここまでにして次は射撃訓練に行くよ〜!各々銃を用意してから射撃場に行ってね!」

 

 その言葉を皮切りにHGとSMG達が移動していく

MK.23とトンプソンは訓練場の様子を見て破損した物などがないかを見ていきながらスカーレットに話しかけた

 

「それで、この後はどうするんだボス。良ければこの後も見ていくか?」

 

「あら、それは良いわね。どうするの指揮官?」

 

「いや、私は新人2人の様子を見に行こうと思う。ワルサーを信用してない訳じゃねえが、私自身もちゃんと見てやるべきだろうしな」

 

「そうか、なら仕方ないな。じゃ、また後でなボス」

 

「まったね〜♪」

 

「おう、じゃあな!」

 

 格闘訓練場を後にしたスカーレットはそのままRFが使う訓練場へと向かっていく

一方その頃ARの訓練場では…

 

「こら寝るなG11!…ってRFB!こんな所でゲームするな!!」

 

 HK416の声が響き渡っていた

 

戦術人形達の名前を会話文と地の文で変えようと思いますがどうでしょうか?例:WA2000→ワルサー、MK.23→ソーコム

  • 賛成
  • 反対
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。