モテる為に異世界転生してヒーロー目指すわ‼   作:自己顕示欲MAXマン

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遅れましたが、日間ランキング30位ありがとうございます。
これも全てお気に入り、感想、評価をくれる皆様とトガちゃんのお陰です。
サンキュートッガ!

誤字脱字報告ありがとうございます!!
脳みそクルミなんで助かります!リードをリークって打ってたやつはマジで恥。
控えめに言って失踪したかった……。

何か前後編にしようと思ったら長くなったんで分けてます。次の更新は今回よりも間が空かない……かも?
ま、長いからって内容があるとは言ってないんですけどね!
内容が無いよう!っつってな!!(激寒ギャグ)


このSS続けれてるの本当に感想と評価を下さる皆様のお陰です。
10話まで続けれると正直思ってなかった。絶対エタると思ってた。
長くてもあれなんで、今回もお楽しみいただければ幸いです。


俺はただモテたかっただけなのに世界は許してくれない?(中編)

 災害の凄まじさを物語るかのように倒壊した建物。あちらこちらでは火も上がっている。

 そんな中、二人の男女と相対する如何にもヴィラン顔だがどう見てもモブっぽい男。

 

 「凌空君。援護お願いしてもいいですか?」

 

 「トガちゃんのお願いなら喜んで!」

 

 可愛らしく両手を合わせてウィンク一つ。隣に立つ導凌空はグッとサムズポーズを決め、了解の意を示す。

 凌空の返事を聞くや否や、低い姿勢で男へと迫る。勿論、凌空も少し離れて距離を詰めていく。

 緩急や目線、フェイントを交え、トガヒミコは持ち前の俊敏性をいかんなく発揮していく。

 要所にある瓦礫を上手く使い、物陰から物陰へと暗殺者の様に目線を切っていく。男が完全に見失うのは仕方のない事だった。

 

 「俺も見失っちゃった……」

 

 そして、凌空も見失った。

 

 ボソリと情けない言葉を呟きながらも、トガヒミコが気を引いていたお陰で男にはあっさりと接近していた。

 黒い瞳が紅く染まり、160cmと言う男性では小柄な体がメキメキと音を立てて変化していく。

 今までの愛でられるだけだった珍獣から(中略)戦隊モノに出てくるような悪役幹部に近しい風貌へと変化する。

 

 「ジェヤァアアアアアアア!」

 

 耳を刺すような咆哮。そして、ギラリと光る爪を隠すこともなく相手へと振り下ろす。

 男は硬質化した左腕で防御するが、縦に四本の傷がしっかりと残っている。

 カウンターを取る様に男が反撃の為に右腕を振りかぶった所で―――

 

 「ワタシも混ぜてください」

 

 耳元で甘く囁くような少女の声を聴いた瞬間、全身が電流を浴びたように痺れる。

 トガヒミコの右手には改造スタンガン。それを容赦なく男の首筋に突き立て自由を奪う。

 

 「凌空く~ん!いいですよぉ!!」

 

 上空へ向かって呼びかける。トガヒミコの合図を聞き、何時の間にやら空中で待機していた凌空が羽を折りたたみ急降下を始める。

 グングンとスピードを増していく凌空の体。男とトガヒミコに到達するまであと数メートルと言う所で男の肩を踏み台に、トガヒミコが凌空の首元に飛びつく。そして、するりと背中へ回る。躊躇いなく行うその行動は、お互いの親密さを見せつける様である。

 

 

 「凌空君!必殺技名言いますよ!」

 

 「オッケー!」

 

 急降下から男の頭を鷲掴みにすると、そのままの勢いで地面を引き摺っていく。そして壁に叩きつける瞬間―――

 

 「「グライビングスクラッチ(です)!!」」

 

 二人の息ぴったりな技名合わせと同時に轟音が響く。男は壁に埋まったままピクリとも動かなくなった。

 トガヒミコと凌空は壁に叩きつけた際の破片などを気にして大きく距離を取った場所に着地をする。そして、凌空は個性を解除する。

 

 「我ながら恐ろしい威力…うわっとぉ!?」

 

 「んふふー、大勝利です!」

 

 勝利を喜ぶように凌空へ抱き着くトガヒミコ。

 ……って、おい!

 

 「トガさんの分もあるって言ったじゃないか。作った方の身としてはお披露目しないと」

 

 俺が回想している間にゲーム演出(トガちゃんVer)を流されていた。ってか、前のもそうだけどモデリングも一から作ってんの?

 

 「勿論だとも。ヒーローの対戦ゲームは人気だからね。僕が勉強ついでに製作したのさ」

 

 いや、だから受験勉強をだな……。って、言いたいんだがこいつが一番成績良いんだよなぁ。

 

 「モデルの使用料とりますよ?」

 

 突然、背中に柔らかな二つの感触を感じる。しなやかな両腕が俺の首に巻き付き、ふわりと甘い香りが鼻腔をくすぐる。

 予想はついてるかと思うがトガちゃんである。

 

 回想ではカットされた『突撃!渡我家の晩御飯』はそれはそれは平和……うん、平和に終わった!

 トガパッパからは進学の事や俺の両親の事、トガちゃんとの関係などそれはそれは多くを語り合いましたとも。最終的には許されたのか「二十歳になったら一緒に酒でも飲もうじゃないか」と晩酌のお誘いもいただいた。

 トガマッマは凄い美人さんだった。どう見てもトガちゃんはマッマ似だな。イメージ的にはトガちゃんをもっとお淑やかにして、ロングヘアーのニコニコしてるお姉さんって感じ。……ん?マッマ何歳だったん……深く考えるのはやめようね!

 マッマは終始ニコニコとパッパと俺とのやり取りや、トガちゃんが話している姿を見守っていた感じかな。御飯が美味しい事を伝えると何も言わずにガンガンご飯をよそってくれました。加減して。

 

 「凌空君!折角ワタシが抱き着いてるのに反応なしですか?」

 

 「どちらかと言うと反応しないように現実逃避してるんデス」

 

 トガちゃんはあの日から家族仲の修復が進んでいるようで日常会話でも家族の話をしてくれるようになった。…基本的には思春期女子特有のパッパと洗濯物一緒は嫌だとか髭がだらしないとかだけどね。(裏でパッパに話したら泣いてた)

 そして、よくわからないんだが俺へのボディタッチも増えた。

 もうすっごい増えた!俺が鋼のメンタルを持っていなければ今頃「お前がママになるんだよぉ‼」してたかもしれないくらいには増えた。

 今後も精神的に戦い続けなければならない。いや、負けても良いのかもしれんが……駄目だ、そうなると社会的に俺が死ぬ。体もってくれよ(主に下半身)

 

 「んふふ~。今日の凌空君分補充です」

 

 猫の様にグリグリと背中に顔全体を押し付けてくる。その度に背中に当たる二つのお山が形をかえ……。

 ンアァァァァ‼3倍界王拳だああああぁぁ‼(血涙)

 

 「ズルいわヒミコちゃん!今日は抜け駆けは無しって話したのに!」

 

 身長110cm程の小柄な体、大きな瞳には縁どられたような隈、大きなツインテールを上下に揺らし、俺とトガちゃんの間に割って入る。

 飛び降りた所を助けた少女『相場愛美』…原作で言う『ラブラバ』である。いや、少女って言うか大学生だから俺より年上なんだけどね……。

 

 「ゴメンナサイ。凌空君みたらつい……」

 

 「もう!約束の凌空さんブロマイド(盗撮)渡すのやめようかしら」

 

 「あああぁぁぁぁ!ゴメンナサイ、ゴメンナサイ!」

 

 勝手に俺の写真配るのやめてもらっていいっすか?

 そんな彼女も唐突に俺の家に凸ってきて……色々あった末に今は大学生をしながら、バイトもしながら、暇な時間は摩花の手伝いに来ているようだ。本人にゲーム制作に興味があるのかを聞いてみると「無いわ。凌空さんに会う口実よ」と即答だった。後ろで聞いていた摩花がすげぇ絶望した顔してた。

 

 「……凌空君、彼女物凄く優秀だから君からも口添えしてくれないかい?今回のこれだってモデリングは僕だけど、プログラムで三ヵ月はかかるだろう所を彼女は一人で二週間だ。プログラムに対する知識が広く、深すぎる」

 

 女性二人のやり取りを仲睦まじく眺めていると、摩花がコソッと俺に耳打ちをしてくる。今回は息を吹きかけたりなどちょっかいなしのガチトーンである。

 って言われてもなぁ……条件が『俺も摩花の会社で働く』だから無理だぞ?プログラムはおろかゲームすら下手糞なのに。

 

 「そこは問題ないさ!いずれは僕がヒーロー事務所を立ち上げるからそこに所属してくれればいい。それなら嘘はついてないことになるだろ!?たのむよお~」

 

 うわっ!お前は抱き着いてくんな!相変わらずいい匂いさせてんのがむかちゅく!!

 しかし、このやり取りはもう長く続かないんだ。なぜかって?今までは摩花を止める役がトガちゃんだけだったんだ。もうみんな「あっ(察し)」ってなったかな?

 

 「「何してるんですか?」」

 

 今までキャッキャッと笑顔ではしゃいでいたテンションから一転。背後にどす黒いオーラが見えるかのようにトガちゃんと愛美さんが摩花を見つめる。

 

 「えっ?いやぁ、これも男同士の友情の確認と言うか……。ね!凌空君、ユウジョウ‼」

 

 摩花が冷や汗をかきながらも差し出した右手をペシリと払う。一瞬でいつものニコニコ面がサーッと青くなっていく。

 さて、ここからは摩花がひたすら言い訳をする見苦しいシーンになるので……そんな皆様のために~?  

 

 

 ク○キー☆ではなく、相場愛美もといラブラバが参入するまでの流れを回想で見ていただくとしよう。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 夏休みも終わり学校への登校日初日。

 

 誰もが一度はやらかす『夏休みの宿題忘れ、持って行き忘れ、登校日忘れ』のスリーポカを前世で三冠王した俺に死角はなかった。ちなみに三冠王の三連覇だ。ドラフト一位間違いなし!

 前日のうちに鞄に入れた宿題の数々を改めて確認し、家でも殆ど会う事の無い両親が置いてくれている生活費の一部を財布に入れ、一学期と変わらない足取りで家を出た。

 

 「あー、今日から学校生活の再開か。夏休みはイベント色々あったなぁ」

 

 摩花の家(会社)へ行ったり、トガちゃんの両親と会ったり、海に行ったり、トガちゃんの宿題を手伝ったり、他にも色々と回想してない部分でもイベントはあった。気になる人は初回版のBlu-rayかDVDを購入してくれ。

 まだまだ気温が高く、吹き出る汗でペットリと張り付く前髪が鬱陶しい。しかし、それ以上に何やら視線を感じる。

 汗で張り付いた前髪を分けながらも周りを伺うと、こちらをチラチラと見ている人達が一部いることに気付く。

 

 これはあれか?異世界転生オレツエー主人公特有の「あれ?俺、また何かやっちゃいました?」を使う時が来たのか?

 なんてアホな事を考えながらも、正直、理由の分からない注目程恐ろしい物はない。

 電車内でも学生が男女問わずに俺をチラチラと見ながら小声で話しているようだった。

 ふと頭に過ぎったのは―――

 

 

俺を指さし、笑い、存在を否定する人々の影。

 

 

 その影を頭を振り、奥底へと無理やりに沈める。

 

 気にしたって仕方ない。それに、今の俺には摩花にトガちゃんだっている。

 ゆっくりと目を閉じる。二人が言い合いをしていて、俺に気付くとキザったらしく小さく手を振る摩花と、それとは正反対に元気に手を振るトガちゃんの姿。

 目的の駅に着くと、早く二人に会いたい為か歩く速度は速くなり、歩幅も大きくなる。

 俺は前世よりもしっかりと前に進めている。それを体現するかのように真っ直ぐ学校へ向かった。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 結論から言うと、俺のそんな疑心暗鬼な考えは杞憂だった。

 むしろその『逆』だった。

 

 「動画見たぞ!お前すげぇカッコいいじゃん!!」

 「摩花様にくっついてるゴミムシかと思ってたけど凄いんだね!ダンゴムシに昇格するね!」

 「ウッホホ!ウホッウホッ!凄いわ‼」

 

 いや、素直に褒められるのは何年ぶりだろうか…って、誰だゴミムシって言ったやつ!あとゴリラ、最初から普通に話せ!!

 どうやら飛び降りた少女を助けた動画がアップロードされていたらしく、クラスに入るなり囲まれて質問攻めである。

 前世で囲まれる時はカツアゲかリンチの二択だったので素直に嬉しい。……囲まれた瞬間は「ヒィェ‼」って情けない声も出たが致し方なし。

 俺の周りには他クラスからも人が集まり密集地帯になっていた。もう暑苦しい……。

 普通に話しかけてくる分には構わないんだが、女子の比率が男子よりも高く、何故か髪や腕を気安く触ってくる奴らが居てうれs……困る!

 

 「はいはい、凌空君は聖徳太子でも高性能AIでもないんだからね。この僕がMMDで動画を作成してきたから、詳しく知りたい人は今日の放課後に視聴覚室へ来ておくれ」

 

 普段は女子の輪の中心にいる摩花が声をかければみんなはそちらを向く。そして、いつもの調子で色香を振りまき統率を取ってしまう。きっとアイツの前世はインキュバスなんだと思う。異○族レビュアーズからの転生者じゃん。 

 

 「モテモテでよかったですねぇ~」

 

 俺の周りにいた人だかりが散会した事により一息ついていると、俺の後ろからトガちゃんが声をかけてきた。

 

 「あんなのモテてるうちには入らないだろ。唯の興味本位に―――」

 

 振り返りながら率直な感想を述べようとすると、トガちゃんの表情に目が行った。

 もうね、すっごいむくれてるの。今までも原作では見せないようなはにかんだ表情や泣き顔なんか見てきたけど、今回の表情もポイント高いですよ。もう通算五回以上は萌え死んでるよ。早く成仏してクレメンス。

 

 「何が『モテてるうちには入らない』…ですか!明らかに凌空君を狙ってる女子もいました!散々、摩花君の腰ぎんちゃくとか虎の威を借る狐とか付け合わせのミックスベジタブルとか好きかって言ってたくせに……」

 

 俺そんなこと言われてたの!?ヘコむ…。

 しかし、俺以上に荒れているトガちゃんの心理がわからない……。

 

 「まあまあ、そんなに怒らんでも……。人から嫌われるよりは数億倍マシだろ?」

 

 俺の言葉にキッと一瞬鋭い視線を向けるが、すぐに「ぐぬぬ…」と納得いっていない表情へと変わる。わー、今日は今まで見た事の無いトガちゃんの表情見放題だぞ!?

 

 「なに鼻の下伸ばしてるんですか!もういいです!凌空君なんて知りません!イーっだ!」

 (凌空君を狙う女の子が増えるだけでも憂鬱なのに、全然ワタシの気持ちも知らないで!)

 

 なんで怒られたん?え、マジでなんで怒られたん?

 

 「君は僕にモテてて羨ましいって言うけれど、僕から言わせてもらえば君も相当恵まれていると思うけどね」

 

 前の席の摩花が俺に振り返り言う。

 いやいや、だから今回のモテ方なんて一時的なもんだろ?恵まれてるも何も時間が経ったらいつも通りになるっての。

 

 「はぁ~、君は本当に何と言うか……人畜無害で自己評価が低いのも魅力だと思うけど、いつか刺されるんじゃないかい?」

 

 それはお前だろインキュバス。

 俺の返答に対しても、額に手を当て「駄目だこいつ」みたいな雰囲気を出してくる。

 解せんわぁ……。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 結局、放課後になってもトガちゃんとは話す機会を作ることができなかった。

 休み時間になる度に声をかけに行こうとするも、すでにいなかったり、俺の周りを囲む人だかりに阻止されてあっという間に放課後だ。

 チャイムと同時にトガちゃんの席にダッシュしたら、トガちゃんは窓からひらりと飛び降りそのまま走って帰ってしまった。ここ三階なんですけど?

 

 追いかけようとした所で摩花から「あれだけ避けてるんだし、今日はそっとしておいてあげた方がいいんじゃないかい?」と言われた。

 それ大丈夫?よくある「来ないでって言ったら来てよ!」って言うパターンじゃないよね?俺、トガちゃんの家知ってるから追いかけた方がいいとかないよね?

 なんて考えているとワラワラと俺目当てで人が集まってきた。もう正直ウンザリなので俺もトガちゃんの真似をして窓から飛び降り……ようとしてあまりにも怖かったので、普通に「ごめん、今日は急ぎの用事があるんだ」って言って人込みをかき分けて帰った。……ほら、個性がまだ安定してないかもしれないし(震え声)

 

 

 

 で、自宅に着いたってわけ。

 高級マンションの無駄に広く、部屋数の多い所に一人きり。両親は勿論仕事。俺が中学校にあがってからは家政婦的な人も朝の掃除と洗濯だけになった。

 手洗いとうがいを済ませると自室へ戻る。スマホの通知が点灯していたので確認してみると、トガちゃんからメッセージが入っていた。

 何となく嫌な予感を感じつつ開いてみると―――

 

 「なんで来てくれないんですか」

 

 ―――と、一言だけ入っていた。

 

 「摩花さぁ……」

 

 俺は心の底からガックリと肩を落とすと「だって摩花が行かなくていいって言ったから……」と、某アニメのハカセのような返事を送っておく。

 「わかりました」と短い返信が返ってきたのを確認すると、スマホを机の上に置きベッドへと倒れこむ。

 明日どうしよう……。

 

 

 ピンポーン!

 

 

 おん?オートロックの電子音じゃなくて、玄関前のチャイムが鳴ったな。これまさかのトガちゃんパターン?

 マンションのオートロックを解除する暗証番号があるのはご存じだとは思うが、摩花とトガちゃんにもバレないように毎回開けていた。のに、トガちゃんにはバレた。理由を聞くと―――

 

 『肩と腕と目の動きでわかりますよ?手で隠してもムダです』

 

 ―――って、笑顔で言われた。絶対トガちゃんの前ではお金下ろさないって心に決めた。

 今日はあんな出来事もあったので待たせるとさらに機嫌を損ねてしまうかもしれない。既に手遅れな気もするけど……。

 恐ろしいけど早く開けてあげよう。

 

 恐る恐る扉を開けるとトガちゃんよりもさらに低い位置に頭があった。身長だけ見れば小~中学生っぽくある。

 黒のスカートにブーツ、白のフリルシャツに可愛らしい蝶ネクタイ、俺と目が合うと少し頬を赤らめ、おずおずといった調子で話し始める。

 

 「あの、あの時、助けてもらった者です。お礼を言いに来ました。これ、つまらない物ですが……」

 

 あっ、俺こいつ知ってるぅ!ラブラバじゃん……って、アイエェェェ!!?

 ナンデ!?ラブラバナンデ!?ちなみに初めて漫画で見たときは一番キャラデザ良いと思った。

 一発キャラにするには惜しすぎると思う。そう、ベ○ータの様に‼

 

 「あ、あの……」

 

 あまりの動揺ぶりにほったらかしにしてしまっていた。とりあえずは無難な挨拶からだよな。

 え?どうやって家の場所を探ったのか聞かなくていいのかだって?もう並大抵の事では驚かんよ……。

 

 「わざわざありがとう。これは紅茶かな?あんまり詳しくないけど味わって飲むね」

 

 もう超☆爽やかスマイルを見せておく。目元は前髪で隠れてるから見えないだろうけど…。

 俺のイケメン返答に驚いたのか大きな目をパチクリとさせる。

 おいおいなんや、俺が二枚目キャラ演じたらあかんのかい。

 

 「……怖がらないの?」

 

 「なんで?」

 

 「だって、住所を教えてもない人が訪ねてきたのよ?しかも中身も分からない物を持って。……普通なら扉すら開けてくれないはずだわ」

 

 えー、まぁ普通の人はそうだろうけど俺と言う存在が普通じゃないしぃ……。

 それに雰囲気を見ればわかる。彼女も人から傷つけられた側の人間だ。

 よくイジメにあった人間に対して「それはお前にも原因があるだろう?」っていう奴がいる。じゃあ理由があれば一緒になって人を傷つけていいのか?それは違うだろ?

 俺は十九巻までのヒロアカしか知らないから、彼女の過去に何があったのかはわからない。ただ、そんな過去を持っていそうな相手に冷たく出来るような人間じゃない。

 

 「別に害を及ぼそうって訳じゃないだろ?深くは聞かないよ」

 

 少し照れくさくて目線を外してしまう。童貞臭いって言ったやつ、怒らないから出ておいで。

 

 「……グスッ」

 

 「え?」

 

 「ううぅぅう……ヒグッ、うぅうぅううぅぅ!」

 

 ちょ、待てよ(キムタ○)

 いや勘弁してよ!夏休み中にトガちゃん泣かせて、夏休み明けたらラブラバ泣かせてるとか女の子泣かせすぎじゃない!?あ、緑谷も過去に泣かせてましたねぇ。泣かせた女は数知れず!(不名誉)

 

 「どどどどどうしたの!?どこか痛いの?ポンポンペイン?」

 

 ほんのりピグレット。

 玄関で女の子を泣かせている所をご近所さんに見られるとあらぬ噂が立つ、さらにトガちゃんから詰め寄られるフラグも立ちそうなのでお家の中へ入ってもらう。

 リビングのテーブルについてもらい、貰ったばかりの紅茶をいれてみる。詳しくは知らんけど蒸したらええんやろ?ちなみに俺は一回使い終わったティーパック二つを一緒にしてもう一回使う派です。貧乏くさいとか言うな。

 

 「あー、砂糖は二つでいいか?」

 

 俺の問いにこくりと頷く。ミルクは俺の独断と偏見で投入する。好きなミルクティーは午後の紅茶。午前に飲まない事が俺のこだわり。

 ちなみにコーヒーはモーニングショット派。エナドリはモンスター派。

 う~ん、誰得情報!もう何話したらいいのかも分からないし、なんならテンパってるから纏まりがない。自分で淹れた紅茶を一口飲んでみる……。

 う~ん、自分のに砂糖入れ忘れた!渋い!

 

 「取り乱してすみませんでした」

 

 ええんやで。

 なんてフランクな返答をする余裕はない。

 

 「その、こんなに優しい言葉をかけられたのが初めてで……嬉しくて」

 

 可愛い。

 なんなんこの守ってあげたくなる系。緑谷が幼馴染系、トガちゃんが友達系、ラブラバは妹系って事?神様!ヒロアカってギャルゲーでしたっけ!?

 

 『おっ、天罰の時間か~?神の宣告撃っちゃう~?』

 

 久々の出番で自分のライフ払ってまで天罰撃ちたいのか……。あんたにも閻魔ちゃんいるでしょうが。

 ラブラバは紅茶を一口飲み、深呼吸をする。

 

 「自己紹介させてください。私は相場愛美、大学二年生です」

 

 (。´・ω・)ん?

 大学二年生って事は二十歳?俺が今十三歳だから七歳上?うせやろ。妹系と思っていたらお姉さんだったでござる?

 っと、ちゃんと俺も自己紹介しておかないとな。

 

 「俺は導凌空。えーっと今は―――」

 

 「毛糸中学校一年生、血液型はA型、小学校は静岡県の折寺小学校出身、趣味はヒトカラ……ですよね」

 

 スゴーイ、ナンデモシッテルンダネ。

 そうか、原作でもハッキングが得意みたいな事言ってたな。まぁこの程度の情報はくれてやらぁ!

 

 そこからは多少遠慮しながらも他愛ない話をしていた。ふと時計を見るとすでに十八時を回っていた。

 俺の目線に気付いたからか「長居してしまって申し訳ありませんでした」とペコリとお辞儀をする。成人しているとはいえ女性を独りで帰らせるのもあれなので駅までは付き添った。

 

 去り際に「本当に優しいんですね」って言われたけど……普通じゃない?これくらい皆するでしょ?

 あとはお別れの言葉が『さようなら』ではなくて『また明日』だったんだよね。明日も来るのか……。まぁ、明日は幸い学校も休みだし……あぁ、トガちゃんが摩花を引きずって突撃してくる可能性があるのか。いや、ほぼ確定だよな。

 

 ……まぁなんとかなるやろ…。

 改めてテーブルに着くと、冷めきってしまった紅茶を一気に飲み干す。

……砂糖入れ忘れて飲まなかったの忘れてたわ。渋い。





~今回の一言~

『自己顕示欲MAXマン』て名前が日刊ランキング乗ってるの自分で見てて面白い
我ながら恥も外聞も気にしない素直なHNだわ
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