モテる為に異世界転生してヒーロー目指すわ‼   作:自己顕示欲MAXマン

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書き溜めだったはずが何も進まず投稿することに。

自己顕示欲が欲しくなったので初投稿です!


緑谷ちゃんは止まらない。

 今日は何故だかヴィランの活動が激しい。雄英高校の教師として活動するために四月に訪れてから、ここまで複数の事件が発生しているのは初めてだ。

 ニュースに乗るような大きな物は少ないが、小さな小競り合いや万引き、ひったくりが多発しており、ベテランからルーキーまで多くのヒーローが駆り出されている。

 

 私も忙しく動き回っており、稼働時間にあまり余裕がないため、折角ヴィランの通報をしてくれた少女に対してそっけない態度を取ってしまった。

 それがいけなかったのか―――

 

 「オールマイト!少しでいいんです、お話をさせてください!」

 

 この緑髪の少女はあろう事か、大きく跳躍した私の両太ももをガッチリと掴んでいた。

 

 「コラ!熱狂が過ぎるぞ!……って、内またをなぞるんじゃない!」

 

 「少しでいいんです!ほんの少し、ちょっとだけですからぁ!!」

 

 言葉の勢いと比例するように、必死に掴まろうとしているのか内ももを少女の指が這う。それどころか手の位置が少しずつ上がっていき、鼠径部へと近づいてきている。

 

 「わ、分かった分かった!近場に降りて話を聞くからそれ以上動かしちゃイカン!」

 

 少女の言動と行動がマスコミに知られでもしたら一大事である。出来るだけ少女を刺激しないようにビルの屋上へと降りると、そっと手を外す。……危ない所だった。

 そんな私の危機感なんて露ほども知らずに少女はしっかり立つと―――。

 

 「強引な行動をとってしまい、すいませんでした。僕の名前は緑谷出久と言います」

 

 スカートについていたホコリを払い、礼儀正しく自己紹介と一礼をする。少し癖のあるフワフワとした緑髪が肩の下まで伸びており、おとなしそうな雰囲気をしているが瞳の奥には年齢以上の覚悟を持った色を感じる。この子は何者なんだ?

 

 「聞きたい事は一つです。個性が無くてもヒーローになれますか?」

 

 静かな口調で私を真っ直ぐ見つめる。おとなしい口調とは裏腹に、その眼からは確かな気迫を感じる。

 しかし、私は命を懸けて前線で戦ってきた。同じヒーローが命を落とす場面だって見てきた。そんな私が無責任に無個性の少女に「あぁ、君だってヒーローになれるさ」などと、夢を見せるだけの甘い言葉を言えるわけがない。

 

 「悪いが、力がなくとも成り立つ仕事じゃない。プロは何時だって命がけだ。君の気迫と覚悟は十分に伝わっている。それでも、無責任に君に夢を持たせるような発言は出来ない」

 

 「……そうですよね。オールマイトだって無個性はヒーローになれないって言いますよね」

 

 少女は一つ息を吐くと、遠くを見る。その姿に、私は思わず目を逸らしてしまう。

 ……私だって無慈悲な現実を突きつけて、少年少女が落ち込む姿は見たくない。しかし、それ以上に私の軽率な発言で夢を持たせてしまい、取り返しのつかない事故が起こってしまってはいけないんだ。

 

 「なら、僕は初めての無個性のヒーローになります」

 

 私はハッとして緑谷少女の顔を見る。

 落ち込むわけでもなく、自棄になっているわけでもない。むしろ、覚悟が決まったと言わんばかりの表情をしている。

 緑谷少女は前置きを作る様に数秒目を閉じると、ゆっくりと話し始める。

 

 「僕が四歳の時に無個性と診断されて、お母さんからは励ましの言葉でもなく謝罪の言葉を聞かされた時に『あぁ、僕はヒーローにはなれないんだな』って、子供ながらに実感したのを今でも鮮明に覚えています」

 

 「周りの人達が羨ましくて、何もない自分が悲しくて、悔しくて……そんな時に言われたんです。『個性が無いからって何もしないのか?お前の憧れのヒーローはそんな事で諦めるのか?』って。本当はもっと厳しい言われ方をした気もします。四歳の子供によくもそんなこと言えたなって今でも思います。でも、彼は僕の言ってほしい言葉を言ってくれたんです。無個性でもヒーローになる事を諦めるなって」

 

 まるで大切な宝箱から一つ一つを確認するように話す。その言葉の節々には、無個性だから感じる劣等感や虚無感も見え隠れしている。そして、それを越えるようなヒーローに対する憧れ……いや、決意を感じる。

 

 「君はそこまでして何故ヒーローになりたいんだ?」

 

 聞かずにはいられなかった。

 これだけの強い意志を持った少女が無個性だという事が信じられない。そういった気持ちが沸々と湧いてくる。

 私はこの少女に強い興味を抱いている。

 

 「あなたの様に人々を笑顔で救うヒーローになりたい。無個性だと馬鹿にされ続けながらも、脅されながらも、僕は努力を怠ったことはありません。だからこそ、ヒーローになる事が僕の全てです!」

 

 きっぱりと言い切るその言葉には嘘が無かった。

 若い少年少女達が「将来は○○になるのが夢」などと、軽い気持ちで現実を理解しきれていない甘い想像など微塵もなく、日々現実を突きつけられながらも腐らず、緩まず、少女は自分の心と戦い続けて、今、ここにいるんだ。

 私の背筋をゾクゾクとした期待が満たしていく。無個性である彼女が個性を得てヒーローになった所を見てみたいと私の心が叫んでいた。

 

 「何より雄英高校に入学できないとリードに会えないしそんな事になったらそれこそ僕が何をするかわからないしその為なら毎日の勉強もトレーニングも苦にならないしリードに会うためなら無個性のままでもヒーローになるしか選択肢がないわけだし最後の手段としては雄英高校の普通科に入学するしか―――」

 

 な、何やら小声でブツブツ言いだしたが……この少女の将来性は確かだ!雄英の彼には断られてしまったが、この子なら―――。

 

 

 

 

BooooooM!!

 

 

 

 その時、遠くで爆発が起こった。

 緑谷少女はいち早く反応し、鞄から双眼鏡を取り出し爆発のあった場所を確認する。ちらりと見えた鞄の中には教科書のほかに『リード攻略計画No.69』と書かれたノートが見えた。ゲームの攻略だろうか?

 

 「かっちゃん!?と、人助けの映像に映ってた……ッ!」

 

 緑谷少女は鞄を置いたまま走り去ってしまう。と、それと同時に私の体から煙が噴き出し始める。

 

 「しまった!あまりにも特殊な少女だったから話すのに夢中になりすぎた!!」

 

 とても興味深い少女との話だったため完全に時間を忘れていた。むしろ、不思議なほど長く維持できていた事に驚きだ。

 私はしぼんだ体を忌々しく思いながら、緑谷少女の鞄を持って爆発現場への最短ルートを走った。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 アッボボボボ!ウッボァッボボボ!

 このドブ、深い!オボボボボ!

 

 巻き込み事故の様に俺はヘドロのヴィランに取り込まれていた。隣には緑谷から話で聞いてた爆豪勝己が爆破の個性をまき散らし、街を破壊しながらも必死に抵抗を続けていた。

 その割には俺は余裕そうだって?最初はマジでヤバかった。何せ服は水分を含んで重くなるし、ヘドロは纏わりつくしで正直死ぬと思った。兎にも角にも少しでも体を軽くするために珍獣形態になり服を脱ぎ捨てると幾分動きやすくなった。何より、ヘドロヴィランは俺よりも爆豪優先で取り込みに行ってるから割とフリーなんだよな。

 

 「凌空君!助けに―――!」

 

 「やめるんだ!死にたいのか!?」

 

 トガちゃんが助けに行こうと人込みをかき分けたまではいいが、先頭のヒーロー達に取り押さえられてしまう。遠目からでもわかるが今にも泣きだしそうな表情をしている。ごめん、結構余裕だから安心して。

 しかし、爆豪が暴れてるせいでヒーローが動けないし被害が広がってるのは、マジで災害、これは論外。(韻踏み)

 しゃ~なし助けてやるか。

 

 「大丈夫か―?」

 

 「ブハッ!んだこの珍獣!?」

 

 お礼を先に言え。

 爆豪の口元のヘドロを手で剥がして助けてやったのにこの言われよう。

 

 「苦しいのはわかるけど暴れたら被害広がっちゃうし何とかならない?」

 

 「ンだとクソが!俺はこんな奴には負けねぇんだよ!」

 

 いや、もう十中八九負けてるし……。何なら原作では君がバカにし続けてた緑谷君。もとい、緑谷ちゃんに助けられるんやで?もうそろそろ緑谷ちゃんが登場して君に「君が助けを求める顔してた!」って名言と共に救助に―――

 

 「リイィィィィィドオォォォォ!!」

 

 まって、俺の予想と違う登場するヤツだろこれ。

 声のした方向を見れば、ビニールの大袋を持ち、住宅の屋根から屋根を軽々と飛び移りながらもすげぇ『笑顔』で向かってくる緑谷出久ちゃんの姿が見えた。怖い。

 オールマイトが笑顔で人を助けるって言うけど、今の君のキラキラの笑顔は逆に怖すぎる。

 

 「おい、アイツを止めろ!笑顔で突っ込んでいってるし、頭のイカれた自殺志願者かもしれん!」

 

 申し訳ない、俺のせいです。

 数人のヒーローが屋根の上で緑谷を止めようと待ち構える。しかし、その全てをいとも簡単に掻い潜り、あっという間にヘドロヴィランの隣の家の屋根に到着する。アイツの身体能力どうなってるの?ヒーローが一般市民に個性使えないのはわかるけど、それでも戦闘のプロを掻い潜るって何?

 

 「絶対助けるからね!」

 

 「アァン!?お前の助けなんていらねーんだよ!!」

 

 緑谷の言葉に即座に爆豪が反応するが、緑谷の耳には全然届いていないようだ。だって俺に向かってウィンクしてんだもん。お前ちょっとくらい反応してやれよ。幼馴染なんだろ。

 緑谷は手に持っていた大きいビニール製の袋から白い何かを取り出し、それを破いて内容物の粉をヘドロヴィランへとまき散らす。

 

 「なんだこれは!?」

 

 ヘドロヴィランは訳も分からず粉を払っているが、緑谷の持っているものが見えた瞬間俺はわかった。

 介護用のオムツを破り内容物であるポリマーを撒いているのだ。ポリマーは水分を含むと、粉状の小さい粒が膨らんで大きな粒になる。誤って洗濯機に衣類と一緒にぶち込んでポリマーをまき散らした日には地獄を見るぞ。

 緑谷が袋全てのオムツを引き裂き、ポリマーをまき散らし終わる頃にはヘドロヴィランの体全体にポリマーが付着しており、ボロボロと崩れる部分も出てきた為、体の維持が難しくなっているようだ。これなら人体に害もないし原作でもやれば……あぁ、爆豪が暴れてたからこういうのが出来なかったのか。

 

 「今行くから!」

 

 自分がスカートなのも気にせずに一直線に飛び降りてくる。ぱ、パンツ見えた!爆豪は見るな!

 

 「調子に乗るんじゃねぇ!!」

 

 ヘドロヴィランが大きな右手で叩き落とすように攻撃を行う。しかし、ポリマーで所々固まってしまっている脆い手を、緑谷は空中での回し蹴りでバラバラに砕く。ってかまたパンツ見えてるって!お前ワザとだろ!!

 そのまま爆豪の顔面を踏みつけ、俺をヘドロから引き抜くと一回の跳躍でヘドロヴィランの射程から離脱した。

 

 ……ってええええええええ!!違う違う!

 オレチガウ!アイツタスケル!!ゲンサクコワレル!!

 

 「あぁ、リード!自慢の毛並みがヘドロとポリマーで酷い事に……一緒に休憩できる所で綺麗にしようね♡」

 

 「助けて!!犯される!!」

 

 俺の悲痛な叫びが響き渡る。

 

 「……けんな。フッザケンナアアアァァァァ!!」

 

 そんな俺の叫びをさらに大きな怒号が掻き消す。それと同時に轟音と爆風が辺り一面を包みこむ。緑谷は俺を庇う様に抱きしめてくれるが、小学校から中学校にかけて成長したんであろうたわわな部分が俺の顔を包み込む。

 つまり息ができない。ヘドロヴィランじゃなくて乳で窒息とかマジィ?

 

 「おいデクゥ、ずいぶん舐めた真似してくれんじゃねぇか」

 

 緑谷のπから抜け出して声の主を確認する。そこには額に青スジを立て、手の平から小さな爆発を起こし、顔面に見事な二足分のスニーカー痕を付けた爆豪が立っていた。

 だが緑谷は気付かない。俺の体を持ち上げ「大丈夫!?ケガしてない!?」とぐるんぐるん回しながら隅々まで見……やめ、お股はみちゃらめぇ!そんな所ケガしないから!!

 

 「……ぶっ殺プゥオ!?」

 「凌空君大丈夫ですか!?」

 

 爆豪が何やらしようとした所で、背後からトガちゃんが爆豪を力強く押し退け俺の隣に来る。爆豪は盛大に金網のフェンスに顔面から突っ込む。そして、ピクリとも動かなくなった。こ、この人殺しぃ!

 遅れて愛美さんと摩花も俺を囲むように安否を聞いてくる。うん、俺は大丈夫だから一人くらい爆豪の心配してやれよ。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 その後はヒーロー達が飛び散ったヘドロヴィランを回収する事で事件は解決した。

 緑谷は勝手な行動を取った事でヒーロー達から説教を食らっていたが、恐らく全く堪えてないってか話を聞いてない。俺にバッチンバッチン目線を送ってくる。待っててやるからちゃんと話を聞け。

 トガちゃんと摩花は久々の珍獣形態にテンションがあがり、愛美さんも可愛らしい動物を見た時のリアクションだった。トガちゃんに至っては「ペットとしてウチに来ませんか?」って言ってた。これでも中身は人間なんです。いや、美少女に飼われるって事自体はご褒美では……。

 爆豪はヴィランを制圧したタフな学生として表彰される……予定だったのだが、顔面にできた二足のスニーカー痕と、金網に激突した網の痕で顔面おもしろ偏差値80を越える高得点だったため怒り狂いながら帰って行った。

 取材を受けていれば次の日には人気者になれただろうに。不名誉かもしれんが。

 

 珍獣状態でヘドロとポリマーでどろどろになった服を回収していると、ガリガリの金髪の男性(オールマイト)が緑谷へ近づいていく所だった。名刺を渡して話している所を見ると、オールマイトのマネージャーって設定を使って後日話す予定なのかな?ま、なんにせよ緑谷のOFA継承が上手くいきそうで良かった。

 

 この後、帰ろうとする俺達(俺)を何としてでも家に泊まらせようとする緑谷と、急に現れた馴れ馴れしい相手に敵意を剥き出しにするトガちゃん、そして、それを傍観する摩花と、さらっと俺の羽毛の手入れをする愛美さんのカオスな空間を遠目で眺めるオールマイトという何だこれ状態になるが、それはまた後日談にしておこう。

 

 なんにせよ、原作通りに話が進みそうでよかったよかった(白目)

 

 

 




次回更新は未定。
また更新予定とか進捗は活動報告に書きますので。
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