モテる為に異世界転生してヒーロー目指すわ‼   作:自己顕示欲MAXマン

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1ヶ月以上も空いてしまった。
疾走してないからユルシテユルシテ


立った!強化フラグが立った!!

  ~~~♪

 

 「おん?」

 

 雄英高校の試験を一か月後に控えた金曜日の夜、スマホから着信を伝えるメッセージが鳴る。この音楽は緑谷だな。

 一人一人設定してるとかマメだなって?違うぞ、過去にトガちゃんからのモーニングコールを寝ぼけたまま出てしまい、前世の可愛がっていた後輩の名前で呼んでしまったのだ。

 ……その後はどうなったんだって?言わなくてもわかるだろ?

 

 「ノックしてもしも~し」

 

 思い切り抓られた両頬の痛みを思い出しながら通話ボタンを押すと上ずった声で「ひぅ!?」と言う緑谷の声が聞こえた。

 

 「も、もしもし……リードの声が耳元で聞こえるって刺激的で体に悪いね」

 「じゃ、体調を鑑みて切るぞ~」

 「ままま待ってよ!まだ十秒も話してないじゃない!」

 

 俺の冗談を全力で真に受ける。深呼吸を数回した後、ゆっくりと話し始める。

 

 「えっと、明日って空いてるかな?」

 

 明日か。基本的にはトガちゃんと摩花で勉強会をしてるんだが、明日は時間が合わずフリーなんだよな。愛美さんも最近は大学の卒業が近いようで就職活動を行っているし……。

 

 「暇っちゃ暇だな」

 「じゃあ明日、市営多古場海浜公園で会わない!?その、えっと、あ!その後、晩御飯も一緒に食べれたらな~……なんて……」

 

 最初の畳みかける勢いから最後には尻すぼみになる。

 市営多古場海浜公園ってゴミだらけで有名な海岸じゃねぇか。そういえば原作でも緑谷君の体作りの為にゴミ集めがあったんだったか。って事は、無事に力の譲渡は完了したみたいだな。

 

 「いいぞ、何時集合?」

 「いいの!?じゃあ南口の入り口で待ち合わせで!時間はお昼食べてからの一時でどうかな?あと、運動するから動きやすい服装とタオルと着替えと―――」

 「オーケー、おめかししてドレスコードで向かうわ。じゃあ、また明日」

 「えっ!?そ、そんないいお店でディナーなんて予定に……ってリ―――」

 

 緑谷の焦り声を聞きながらスマホの通話終了ボタンを押す。

 実技試験に向けてトレーニングは行っていたわけだが、どうにも体格のせいなのか思ったように筋肉は付かず結果にコミットすることはなかった。力仕事はお世辞にも得意とは言えない。

 

 「ま、少し早めに行って体操くらいはしとくか」

 

 それでも気分転換とトレーニングには丁度いいだろう。おそらくオールマイトも来るだろうし、あわよくば個性の指導も受けようかな。

 翌日が遠足の子供のような気持ちを感じながら、俺は着替えなどをリュックに詰め始めるのだった。

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

 そして、約束の時間の一時間前。

 海浜公園の南口に到着すると見える範囲にゴミはなく、砂浜がキラキラと太陽を浴びて光っていた。まぁ、冬と言う事もあり気温はお世辞にも温かいとは言えないが。

 時間に余裕がある事だし、南口から北口方面へと散歩していく。北へ向かうにつれて小さなゴミから大きなゴミ、そして粗大ゴミへと種類が変わっていく。どうやら北側は手付かずらしい。

 

 「くしゅん!」

 

 粗大ゴミを横目に散歩していると、一層高く積まれたゴミ山から女の子のくしゃみが聞こえた。

 ……行きたくねぇ~。こんなゴミしかない所に女の子がいる時点で嫌な予感しかしねぇ。が、何か事件に巻き込まれた子がいるとかこの世界じゃ余裕であり得る訳だし……

 俺は恐る恐るゴミ山へと近づいていき、出来るだけ音を立てないように辺りを探る。頼むから鬼も蛇も出ないでくれ!出るなら美少女だけにしてくれ!

 

 「あなたが―――お迎え?」

 「アッザム!?」

 

 びっくりした!びっくりした!!

 唐突に後ろから声をかけられたら誰でもビックリするし心臓口から出るかと思った!喉の手前まで来てたから呑み込めてよかったわ!

 後ろを振り返ると一人の少女が立っていた。

 

 身長は130cm程。黒髪のロングストレートで右目を隠し、左目には眼帯。日本人形の様な可愛らしさと不気味さを纏っている印象だ。そんな両目隠しの少女が立っていた。全裸で。……ファ!?

 

 「ちょちょちょ!なんでゼンラァ!?」

 「今日は―――お迎えが来る日だから―――洗って別の場所に干していた。そしたら―――無くなってた」

 

 え?なに、その年で浮浪者なの?

 ってか緑谷達の掃除の区画に入ってて捨てられたヤツでは?兎にも角にも女の子をこんな寒空の下で全裸のままにしておくわけにもいかない。本人は気にせずどこも隠さないから丸見えだけど……丸見えなのは良くない!……良くない!(鋼の意思)

 

 「とりあえずこれ着て」

 

 前かがみになりつつも鞄から予備で持ってきていたジャージの上下を渡す。俺には些かダメージが大きいようだ、血が流れ過ぎてる。どこにとは言わないが。

 俺の渡したジャージをまじまじと眺めると上を着始める。って下からじゃないんかい!優先順位がおかしい!そして、上着を着終わった後に大切な部分が辛うじて隠れた状態のまま俺の前まで歩み寄ると、右手を差し出してくる。えっ、やっぱりお金取るとかそういう系だったの?

 

 「パンツ」

 「渡せるかぁ!!」

 

 普通は他人の異性が履いてたパンツとか履かんだろ!しかも俺の真っ赤な勝負パンツをそう安々と渡せるかってんだ!

 俺の脳内では悪魔が「ゲヘヘ、ロリっ子の生足魅惑のマーメイド」と囁き、天使は「ダイスケ的にもオールオケー!」とRevolutionしている。天使さん願望に負けないで!!

 そんな俺の現実逃避も虚しく、待ちくたびれたと言わんばかりに俺の鞄を漁る為に少女が目の前にしゃがみこんだ。

 

 「あtfjkひうくいあ!!?」

 

 も、モザイクでしか見た事の無いイケナイ部分が!!!

 俺の体は衝撃(童貞による拒否反応)に耐え切れず物理的に後方へ吹っ飛んだ。……異世界転生する前の年齢+今の生きた年数=彼女無しの俺にはあまりにも刺激が強すぎる。鼻血出てないよな?って言うか神様さぁ!ああいう部分は謎の光で見えなくするのがお決まりだろうが!または都合のいい物を配置したりさぁ!ゴミはそこら辺にあるんだから工夫してくれや!!

 

 「―――着替え、ありがとう」

 

 あまりの衝撃に神様にキレ散らかしているうちに着替えが終わったようだ。

 俺もチビではあるが、さすがに彼女ほど身長が低いわけでは無いのでサイズは合っていない。とりあえず、ダボダボのままで転んではいけないので袖と足を捲っておく。長さは萌え袖になる程度にしておこう。

 

 「あなたは―――誰?」

 「今更か……導凌空って言うんだ。空を凌ぐって書く」

 「空を凌ぎ―――導く―――」

 

 独特の喋り方だな。なんか透き通り過ぎているというか、靄がかかっているというか……頭に響かない。残らないと表現するほうが正しい気がする。

 

 「お礼に―――願いを一つ叶えてあげる。―――遠慮はなし」

 

 神龍か何かか?しかし、この独特の雰囲気を見ていると本当に叶えてくれそうだし、かと言って胡散臭さもあるし微妙だなぁ。アンケートでも取ってみるかぁ?満場一致で叶えてもらうって未来が見えたけどな!

 俺が中々願い事を言わないからなのか、それとも俺の疑念に満ちた視線が気に入らなかったのか、目の前の両目隠れの少女は「ジトー」と口で言いながら俺を急かしてくる。

 まぁ、願いが一つ叶うというなら当面の目標的には―――

 

 「雄英高校の実技試験が近いんだけど、俺の個性って戦闘向きじゃなくてさ。何か良い知恵ないかな?」

 

 ここで単刀直入に「力が欲しい!!」なんてヤベーフラグを建てるわけがない!絶対に人の姿を保てなくなる。すでに珍獣だろだとかいうマジレスは受け付けん。

 

 「そう―――力が欲しいの」

 

 言ってないよね!!?

 わざわざ避けたルートに何で強制的に戻すの!間違った選択肢選ぶと延々と同じ問答をさせられて結局開発者の意図した選択肢を選ぶしかないイベントなの?

 そんな俺の全力のツッコミに怯むことなく少女は俺の両頬をガッチリ掴む。すると、前髪が陽炎のように揺らめき、右目が段々と露わになる。

 見るもの全てを魅了するような紅玉の瞳。人間ではありえない縦長の瞳孔。そして誰をも寄せ付けぬ、他者よりも格上であると言わんばかりの威圧感があった。

 

 「―――うん、貴方の個性は歪。本来宿るはずだった個性が―――この世の理から外れた力によって捻じ曲げられ、調和を失った―――きっと、貴方を担当する神様はバカ」

 

 もう仰る通りだわ!あのクソジジイある日から忽然と姿を消して呼んでも出てこねぇ!

 

 「………なんて言った?」

 「今、貴方の歪みを断ち切る力を」

 

 急に辺りが暗くなる。顔をガッチリと押さえられているから目を動かして見ることしか出来ないが、さっきまで晴天だった天候が次第に暗くなっていき、大気を震わせるような雷鳴が龍の唸りのように迫ってくる。

 ひょっとして不味いのでは?もうこれ予想的中の未来予知では?

 

 「ちょちょ、タンマタンマ!今日は朝の占いで10位とかいう微妙な位置だったし、保険の適用忘れたし、今日は勝負パンツじゃないしぃ!」

 「10位のラッキーアイテムは眼帯――この儀式はそもそも保険適用外――私が勝負パンツを履いてるから私は失敗しない―――おーけー?」

 

 俺の早口に対して、同じく早口で返事を返しニコリと微笑む。少女のような可愛らしい童顔には不釣り合いの真っ赤な右目が威圧感を放ち続ける。

 ダラダラと冷や汗が滝のように流れる俺を意にも介さず、少女は真上へ放り投げた。

 

 「その勝負パンツ俺のオオオオォォォォ!!」

 

 俺の咆哮は落雷の轟音と共にかき消され、俺の視界は一瞬にして真っ白に染まる。

 朦朧とした意識の中、声が聞こえた。

 

 ごめんなさい………と。

 

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