とある少女の行く先 お散歩日和   作:打ち止めレクイエム!

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今回だけかもしれませんが長めです


本編どうぞ


第1巻 前編 少女のプロローグ

てちてちとそんな効果音が合うような歩き方で、小さいからだを必死に動かして都市内を歩いている

 

ここは学園都市、住人のほとんどが学生で占められているという珍しい都市である

そんななか、歩いているこの少女は超能力者である

この学園都市では珍しいことではない。誰もかしもが何かしらの力を持っている、それが弱いものか強いものなのかは人それぞれではあるが……

 

しかし、この少女。都市内に数人しか居ないとされる、最高峰の力の所有者、レベル5の一人である

見た目とは裏腹に強力な力を持っているが、周りの人間がそんなことに気付くわけもない

年齢故に順位は8位と一番下だが、上位のレベル5に負けず劣らずの力である

 

しかし、そんな少女が1人何処へ向かっているのかというと?

 

ジャッジメントと呼ばれる、学生の能力者で構成された組織。漢字で表すと風紀委員、こう聞けば学生がしていることが顕著になる

 

その、組織の基地である支部へと少女は足を運んでいた

ドアの前まで来ると、コンコンコンと三回礼儀正しくノックして、中からの返事を待つ

 

「はーい、今開けまーす」

 

ガチャリと音を出しながら、開いたドアから顔を覗かせるのは少女にとっては見慣れてしまったが、頭に花を咲かせているのかと見間違うばかりの花の装飾をした黒髪の少女だ

少女といっても、訪問者である少女よりは年上だ。中学生といったところだろうか。

対して訪問者である少女は小学低学年かどうかという幼さである

 

花の少女は、すぐに訪問者である少女に気がついたのか下を見てにこりと笑う

どうやら、いつものことのようで慣れている様子だ

 

「今日も来たんですか?今は白井さんは居ませんよ?」

 

白井さんなる人物の名前を出し少女に居ないことを伝えると少し残念そうな顔をするものの、少し悩んだ末に可愛らしく笑い中で白井さんなる人を待つということを伝える少女

 

「う~ん、まっ大丈夫ですね。もしものときは白井さんのせいにしときましょ」

 

中々に酷い扱いを受けた白井さんなるひとは可哀想ではあるが、少女の意思を聞いた花の少女は少女を中へと入れる

 

少女は見慣れてしまったものだが、あっちこっちを見て首を忙しく動かしている

その光景に花の少女は微笑ましく思ったのかくすりと笑う

 

少女も見ることに満足したのか、いつもの自身の定位置に座る

そこで座ると、花の少女がリンゴジュースをコップに入れて持ってくる

少女は少しゲテモノの自販機の怪物共が出てこないかと心配したが杞憂であったようだ

少女は安心してそのコップに入っているリンゴジュースをクピクピと少しづつ口に流し込み飲み込んでいく

 

「美味しいですか?」

 

にこにことしながら聞いてくる花の少女に少女は短く返事する

どうやら、ジュースに夢中のようである

その光景にまた花の少女はくすりと笑ってその場から退く

 

どうやら、自身の仕事をするようで。幾つもの画面のあるパソコンの前に向き合い座る

この全てを花の少女が使いこなしているのを見るといつも少女は驚愕する

同時に、何故ここまで出来るのに能力は下位のままなのだろうとも思う

 

リンゴジュースをある程度飲み終わると、今度は机の上に置いてあった茶請けの菓子を手に取り梱包を取り除き食べる

どうやらチョコ菓子のようで少しリンゴジュースとは合わなかった

口直しに飴を手に取り口の中で転がす

コロコロと転がしていると不意にガチャリとドアが開く

 

「あっ、お帰りなさい白井さん」

「ただいまですの。って初春、何でまた入れてるんですの……」

「いやぁ、流石に外で放置は可哀想ですし。ここまで歩いてきたのに帰すのも」

「はぁ、仕方ないですわね。それで貴女また来たんですの?ここに来ても何も楽しいことなんて……な、なんですの?」

 

少女は頬を膨らませて、いかにも怒った風に白井さんなる人の手を両手でギュッと握る

テシテシと叩いてみたかと思えば次は抱きついてくる

ギューと抱きついて少しすると、顔を上に向けて何かを懇願する目

 

流石の白井さんなる人もそこで罪悪感を感じる。何をしてほしいのか、彼女にはいまいち分からなかった為、その小さな頭を撫でてやると、少女は花が咲いたようにニパッと笑い更にギューと抱きついた

 

「可愛いですね~」

「はぁ、それなら変わってくださいまし」

「変わりたくても私には懐いてくれないんですもん。風紀委員の中で唯一白井さんだけですよ?懐かれてるの、いつも他の支部の人が羨まし~羨まし~って言ってるんですから」

 

「げっ、そんなことになってるんですの?……はぁ、道理で最近目線が厳しくなっていたと」

 

二人の思いなぞ関係ないとばかりに未だに抱きしめ続ける少女

そのあとも少しの間抱きついていたが、満足したのか体から離れて、バイバイと手を振ってドアから出ていった

 

「いつもいつも、なんなんですの?」

「さぁ?」

 

二人の少女は意味不明な行動に少し頭を悩ませていた

 

△▼△▼

 

次に少女が向かう場所はいったい何処へ?

今度は明らかに怪しい路地裏へと足を運ぶ少女

不釣り合いな場所を歩く少女。そんな危ないところを子供1人で歩いていると……

 

「へへっ、お嬢ちゃんちょっとお兄さんと一緒に来ようか?」

「お菓子もあげるよ~?」

「ゲームで遊ぼうよ」

 

……案の定、怪しい奴等に捕まる

歩いているときに急に後ろに引っ張られたものだから後ろに尻餅をついてしまう

 

急いで腰を上げると、時すでに遅く友達から貰ったお気に入りの服が汚れてしまっている

その事に、涙を浮かべ頬を膨らませていかにも怒っていますとアピールする

しかし、そんなことでどうにかなるわけでなく。余計に3人組に燃料を注ぐ形となってしまう

 

とうとう少女を能力を出して脅しにかかる

きっと誘拐目的だろうと検討をつける少女は能力を使っても問題なしと判断

相手側の能力もたいしたことはない

 

今日初めて少女が口を開く

 

「かぜ」

 

たった一言、それだけで男が1人壁に打ち付けられる

他の二人がその光景を呆然とし、少ししてハッとしたのか少女に怒り狂う

そこで逃げていれば良かったものの、少し知能が足りていなかった

 

「でんき」

 

次に少女がそういうと、男がビクビクと痙攣を初めて地に倒れる

まだ1人男が残っている。次に少女が口にするのは 「ひ」 たった一文字だけだった

 

それだけで残り1人が燃えて悶える。少女はそれを冷たい目で見て、その場から歩いて消える

 

男についた火もそのあと数秒で消え、たいした怪我もなく済んだようだった

 

 

△▼△▼

 

少女の目の前にあるのは1つの集合住宅

ある学校に通っている生徒のだいたいがここで住んでいる

少女の小さい体には少しキツイものの、歩いて階段を登る

 

目的の場所までつくと、いつも使ってる台に登ってインターホンを鳴らす

しかし、いくら押しても鳴る様子がない

どうしたことかと思っていた少女だが、そういえばと1つ思い当たることがあった

先日巨大な落雷があったのだとか

きっとそれのせいだろうと、台から飛び降りて、先程同様ドアを叩く

 

しかし、応答がない。仕方なくさっきより強めにドアを叩く

しかし、まだ応答がない。本当にどうしたものだろう?

 

流石の少女もここまで反応がないと苛立ちを感じる

仕方ないとまた言葉を1つ紡ぐ「かんそく」すると少女の見える世界が変わる

変わる、というよりも。少女の目が一度消え、また現れた

 

ドアの方向を睨むと案の定、住人は中に居る

そのくせ出てこないのだから、これは仕方ないと、今度は蹴りを入れる…と同時にまた言葉を1つ 「かぜ」と言うと少女の体に合わない力が出来、面白いように鉄製のドアが飛ぶ

 

中の住人にぶち当たったのか、蛙が潰れたかのような声を出してドアに潰されていた

少しその様子を見てスッキリする少女

部屋の中にもう1人、人が居たことに少女は気付いた

だが、人脈が広い少女でも都市内で見たことない人間であったため少し困惑する

訪問者であろうか?とも考えるが、やはりそれでもおかしいと考える

 

今は大覇星祭でもないのにと思う

見た目は明らかに教会のような人、俗にいうシスターという人だろう

そう、思えるのは辛うじて頭に被っている帽子のようなものがあるからだ

それでもシスターにしては幼すぎる見た目だ、少女と変わらない、1つ2つ上だろうか?そのくらいにしか見えない

 

シスターもシスターで急に現れた少女に困惑する。まさか追っ手が既に来たのかと思ったが、昨日の追っ手とは全然違う風貌である

しかもこんな自身より小さい子が追っ手な訳がないと判断する

チクチクと安全ピンで自身の修道服を生成しなおそうと努力していたため、安全ピンが指にチクリと刺さる

安全といっても刺さると痛いわけで、声を洩らしてしまう

 

少女はその様子を見て大丈夫だろうと、ドアに潰れた住人の上にあるドアから足をどけて少女はシスターの前に立つと、少女が持っている布を貸してと言わんばかりに手を差し出す

 

流石のシスターも、壊れてしまったとは言え大事なものを少女に渡したくはない

そのため、ぐいっと自身の背中に隠す

 

少女は仕方ないと、あとどれくらいかと考えて、余裕があったためにいつもの容認言葉を紡ぐ「かぜ」

 

そうすると、毎度の如く風が起きて、少女が持っていた布が少女の手の中に落ちる

あっ、とシスターが声を出すがそれはすぐに黙らせることになる

 

「しゅうふく」少女がそういうとシスターの服が元の形にへと戻っていく

時間が戻るようにシュルシュルと音を出して、何とか形だけはシスター服へと戻った

何故か面倒なことに、すごい編み方をされていたため、少しだけ集中力を要したが

それでも服は元通りとはいかずも直った

 

その服をシスターへと手渡す少女。ポカンと呆けた顔をしているシスター

少し混沌としているが、ようやく意識を取り戻したのか、住人が何とか起き上がる

 

「うっ、をぉっ、不幸だぁっ」

 

住人のソレを子供らしからぬ冷たい目で見る。やはり少女もレベル5の一員ということだろう

 

床に落ちていた住人の携帯を拾うと、補習ですとのこと

せっかくご飯でも誘おうと思っていた少女はどうしようかと悩む。少女の年齢では店を追い出させられることがあるかもしれないからと思案していたのだ

 

ふと、目に入ったシスターを見て、この際誰でもいいやとシスターの手を引っ張って外へ連れ出そうとする

 

「えっ?え?な、なに!?」

 

着のみ着のまま少女に連れ出されるシスター

住人の家に自身のフードを落として

 

△▼△▼

 

現在、少女とシスターが居るのは1つのファミレス

二人が座っている席は、小さな体の二人が見えなくなるほど積み上げられた空皿

その小さな体のどこに入るんだと言わんばかりに周りの客たちは二人を見ていた

 

ファミレスの店員たちも少し涙目である

 

シスターの動きが止まり、もう終わりかと安心していた店員たちは次の言葉に更に泣き叫ぶことになる

 

「うーん、まだお腹いっぱいじゃないかな」

 

少女のほうもシスターに同意するようにうんうんと首を縦に振る

 

ファミレスの客たちも何時しかどれくらい食べられるんだとドンドン野次馬が出来ていった

 

ファミレスの店員も 流石の光景に頭がイカれてしまったのか闘志を燃やし

次々料理を作りは出しを繰り返していく

 

少女とシスターの進撃が止まったのはファミレスから食材が無くなったそのときであった

 

「ふぅ、貴女のお陰でお腹一杯なんだよ」

 

そのシスターの言葉に良かったと言わんばかりにニコニコと笑う少女

因みにお金はキチンと少女が全額一括払いで払ってある

勿論現金で、少女の懐から束が3つも出てきたときは客も店員も度肝を抜いた

 

すっかり仲良くなってしまった二人

少女は喋らないものの、シスターは何とか意図を汲み取り話を続けている

 

少女が喋らない理由は既に何とか身ぶり手振りでシスターに伝えてある

 

「貴女も苦労してるんだね。喋っただけで力が発動するなんて、魔術にも似たようなものがあるけど、そこまで強力なものじゃない」

 

へーと、少し興味を持ちつつ話を聞く少女

魔術云々は既に聞いた話だが、少し半信半疑

それでも魔術の一端に触れていたことは確実なのだ。シスターの持つ少女が直した修道服は来ているだけで絶対的な結界を張ることが出来る魔術的な防御結界らしい

そのくらいなら自分にも出来ないことはないからと、そのため半信半疑だ

 

「うん、そろそろ私は逃げることにするんだよ。ご飯ありがとうなんだよ!!」

 

バイバイと手を振ってその場から走ってどこかへ行くシスター

その走りを少女が止める理由は特にはないためそのまま見逃す

 

しかし、待てよと少女は考える。シスターが被っていたはずの帽子は一体何処へ?と考える、一度ファミレスへ戻り探すがどこにも見当たらない

 

このままではシスターが困ってしまうのではないかと少女は考え、シスターが走っていった方向へと自身も足を進める

 

 

△▼△▼

 

 

また、少女は1つの路地裏へと足を運んでいた

今朝の路地裏とはまた、違う場所

違う路地裏と言えど路地裏の景色なぞよっぽどのことがなければ変わらないだろう

 

そして、この路地裏は、よっぽどのことがあったんだろう

大きく何かに斬り割かれたように、薄く細く壁が切られている

 

少女は何かがおかしいと考えて、またシスターを追いかける

 

△▼△▼

 

「チッ、何てことだ。まさか結界が破られていようとは……何があってあんなこと」

 

ジーンズの片方を、自身の足を見せびらかせたいのかと思うほどバッサリと切り、わざわざ服を結びお腹を露出する変態チックな格好をしている彼女は、シスターを襲った張本人である

 

「はぁ、仕方ありませんね。今はこんなことをしている場合ではありません、怪我なら治せばいい」

 

先に行ったあの神父と合流しようと今すぐにその場から移動しようとした。そのときだった

 

「ひかり」

 

眼前で強い光が焚かれる

唐突なことで避けきれず目を焼かれてしまう

 

「ぐうっ、チッ。誰だ!!」

 

少女は喋らない。能力が使われてしまうからではない、少女自身が怒っているからだ

きっと少女は産まれてここまで怒ったことが一度もないだろう

 

何故、ここまで怒っているのか

それは一重に『友人』を傷つけられたからだろう

ご飯を一緒に食べて、話せばそれはきっと友人だ。そうやって少女は教わった

 

あの友人であるシスターも既に見つけてある。今は正義のヒーローが彼女を助けていることだ

 

 

「くっ、姑息な真似をしやがって!!」

 

「きょっこう」

 

少女の周りから白い光が光線となって女へと襲いかかる

 

それを目を焼かれながらも、全て避け続ける女に少女は驚愕する

するはものの、攻撃の手は止まらない

次へ次へと、光が襲う

 

全て何なく避け、女はその腰につける刀へと手にかける

少女は抜けるはずもないと思考から刀を追いやっていたため、まさかの不意打ちに

動きが止まる、瞬間少女の右側に空気を切り裂く音と共に少女の腕が宙を舞う

 

「ぐっ、うっあっ……ふー、ふーふーっ!!」

 

声を大きく叫ぶ筈だったであろうところを、寸のところでギリッと噛みしめ

叫ぶのをどうにか止める、飛んでいった腕を拾いに行く暇はない、このまま迎撃しなければ死ぬと、幼いながらも分かっている少女は冷静に息を荒げながらも敵対する相手を見る

 

 

「目を潰すとはやりますね。だが、そんなものは関係ない、あとそろそろ目も治ってきたところです」

 

「………いどう」

 

少女は即座に逃げることを選んだ

瞬時に別の場所へとテレポートし、その場で座り込む

 

腕があった場所から大量の血液が零れ落ちて少女の服を濡らす

額から汗を滴、目もどこか虚ろ

少女はとにかく傷口を塞ごうと、そう思っていたがここで傷口を塞げば腕が再生不可能になる

 

「…こ…おり」

 

少女はとりあえず応急処置として傷口を凍らす

このままでは壊死する可能性があるため、早く腕を回収しに行かなければならないと考えて、すぐに立ちあがり歩き始める

 

次は絶対に勝てるという意思を持って

 

その顔は狂喜的に笑っていた

 

△▼△▼

 

 

コツ、コツと暗闇から足音が聞こえる

正体は、少女だ

 

先程の女を見つけてニタリと笑う、すぐにもう1人誰かが居ることに気がつく

住人だった、お人好しな住人は敵と敵対している

 

だがしかしと、その女を自身の獲物だと

住人を無視して女の前まで歩いていく

 

「ビックリですね。まさか私と戦っていたのが貴女のような子供だったとは」

 

「………」

 

聞きようによっては煽りにも聞こえるその台詞を少女はあえて聞く

 

「ちょうど良かった。私とて、ずっと人の手を持っているのは苦痛です」

 

女が投げ渡したのは少女の斬られた腕だった

斬られていない腕でそれを受け取り、すぐに自身の傷口の氷を溶かし、腕を本来あるところにくっつける

 

「しゅうふく」

 

「ッ!?貴女、人間ではないですね」

 

ピクリと少女はその言葉に反応するものの、それ以上の反応は見せない

それは自分自身が良く分かっていることだからだ

 

「かぜ、ひ」

 

轟ッと炎が女へと当たるが、鋭い音が聞こえたと思うと、炎がかきけされ無傷の女がそこに立っていた

 

「子供と言えど油断は出来ませんね……」

 

「みず……たいりょう」

 

大津波かと思えるほど、少女の背後から大量の水が女へと襲いかかる

 

「それが何だと言うのです」

「こおり」

 

少女が一言そう呟くだけで、大量の水が瞬時に凍り、女の四肢を止める

 

「チッ、面倒な」

 

無理に凍った体を動かそうとしている

それを少女が許すはずもなく追撃をかける

 

「みず」

 

先程よりは量が少ないものの、突如現れた水は女へと直撃する

 

「チマチマと小癪な」

 

「こおり」

 

女へとかかった水は少女の一言でまた凍り女の動きを確実に制限していく

少女の顔は今朝見せた花のような笑顔はなく淡々と物事を運ぶ機械のように無表情である

 

流石に女も、それに寒気を感じる

ただ単に自身の体温が急激に下がったためというのもあるだろうが

 

動けない女を見て少女は1人、暗闇の中でニヤリと笑った

 

少女は考えていた、このまま続ければ低体温症で女が凍死するのではないかと

その為の水攻め

人の体は案外脆い、第一位だってあの貧弱さだと、そう考えて女へとこれを試したのである

 

しかし、それは普通の人間ならば……の話である

 

「チッ、厄介ですね。何を何の為に私へと歯向かう」

 

女は少し体力が削がれているように見えるものの、その歩きはしかりとしたものだった

少女を真っ直ぐに、目を向き合い睨む

 

少女は驚いていた、まさか最早、こんなことがあろうかと

人間の形を取っている何かではないのかと少女は思ったほどだ

ファンタジーの生物なのではないかと思ったほどだ

それならばどうしたものかと

 

……どうしようもないのだ

少女だって化け物のようなものだが、本物の怪物には到底届かない

 

少女は歯噛みする。こんな怪物にどう対抗すればいいのだと

 

「正直、貴方のような幼子を私も手をかけたくはありません」

「っ!!……ほのお」

「だから、効かないと…「こおり」…なにを意味のわからないこ…っ!?」

 

女へと迫った炎に、そこに少女が放った氷が直撃し…爆発した

轟音と共に少女は未だに呆けている住人を抱え離脱した

 

 

 


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