とある少女の行く先 お散歩日和 作:打ち止めレクイエム!
少しは書いておきたいなぁっと思ったので、パパっと書きました。謎の病み妹ちゃんの話です。どうぞ
お姉ちゃんが、夜中に家から出ていったあの日。
お姉ちゃんは、変な男を連れてきた。身体が砂や土で汚れている白髪の痩せ細った男だ。
見覚えはある。どんなやつなのかそんなのはどうでもいいから覚えてない。私にはお姉ちゃんだけが居ればいい。
でも、どうして? お姉ちゃんはここにあんなのを連れてきたの?
私たちの……わたしたちだけの愛の巣なのに……。
お姉ちゃんはわたしのことが嫌い……なにを考えてるの、そんなわけない。
自分で考えておいて呆れる。わたしのことお姉ちゃんが嫌いなはずないの。それだけは絶対にあり得ない。
だってわたしとお姉ちゃんが会った、あの日。あのとき言ってくれた言葉はわたしは絶対に忘れないもん。
あっ、でもそのあと服とか着せてくれて……うへ、うへへ。
あっと、お姉ちゃんに起きてるのがバレちゃう。
△▼△▼
あれは、わたしがまだ能力を扱いきれてなかった頃。
他の子よりも早く、能力取得のためのカリキュラムを今より幼いときに受けていた。
それだから、勿論周りの子供たちはわたしを気味悪がった。
それは当然と言えば当然なのかも。いくら歳が上な学生達が能力を使ってようと当時のわたし達に能力を使用してるところを見る機会なんてない。
しかも、わたしの能力は精神に準ずる能力。
人の思考が垂れ流されてるかのように、いつも頭の中で響いてた。
それがわたしは嫌だった。いつかこの声に自分じゃない誰かに自分が支配されちゃうんじゃないかと不安になった。
だからかな、八つ当たりだってことは当時のわたしも今のわたしも分かってる。周りの同年代の子供や大人達に怒鳴った。暴力も奮った。
でも、怒鳴る度に暴力を奮う度に頭の中の声が大きくなって、いつしか頭の中の声はわたしを非難するものになった。当たり前だ……当然の酬いだ。
いつしか、人と関わらなくなった。
なんでわたしがいち早く他の子よりも早く能力の取得をするためにカリキュラムを受けているか……そんな心の声も聞こえていた。
ロクな理由じゃなかったのは確かだったはず、いまではどうでもいいから覚えてない。
色々と精神に来るものがあって、一人でいつも泣いてた、そんなときに声をかけてくれたのが、お姉ちゃんだった。
わたしと同じように小さい頃から……あぁでも、お姉ちゃんの方は天然だったっけ。
お姉ちゃんのことは最初、わたしのことを他の人達と同じだと思ってた。
でも、お姉ちゃんは言ってくれた。
「一人なの? ……そう、一人なら私と一緒に来ない? そんなところで泣いてても楽しいことなんて何一つないのよ? ……能力? それも強いのね……ビックリ人の声が聞こえてくるの? 小さいのに、私と同じくらい? それなのにこんなに強い能力を持ってるなんて素敵だわ!
ねぇ! やっぱり私、間違ってなかった! 私と一緒に来ましょう? 一人で居るよりきっと楽しいことがいっぱいあるから!」
わたしの能力に物怖じもせず、本心からそう言ってくれた。
裏表のないその言葉にわたしはどれだけ救われたのか……うん、自分でもチョロいなってわかってる。でも、それでもわたしには彼女がお姉ちゃんがキラキラと輝くお星さまみたいに眩しくて仕方なかった。
だからかな、わたしは居場所もなかった居場所から抜け出してお姉ちゃんのところへと行った。
お姉ちゃんが喋れなくなっちゃったときも、わたしが居れば喋れなくても大丈夫ねって言ってくれた。
そのとき初めてわたしは自分の能力に感謝したなぁ。
うん……そのときからだったかな。能力の育成や開発に自分から熱心にしようと思ったの。そのお陰かなんというか、いまではレベル4まで登り詰めてしまった。
困ることも沢山あるけど、お姉ちゃんの役にたてるって思えたら不思議と何も辛くなかった。
わたしがなんでお姉ちゃんをお姉ちゃんって呼ぶか?
それは、わたしがまだ不安でお姉ちゃんのところへ行っても震えたり発狂したりしてたとき……いま思い出したら恥ずかしいぃ……。
そのときに、お姉ちゃんが私をお姉ちゃんだと思って甘えてくれてもいいからねって……わたしをぎゅっと抱き締めてくれた。
そのときから決めた、絶対にお姉ちゃんはわたしが守る絶対にお姉ちゃんの側から離れないって。
それでも時々目を離した隙に、どこかへと遊びに行っちゃうときもあるけど。
昔のお姉ちゃんはこんな感じ……今のお姉ちゃんとは別人。
記憶が無くなったって聞いたときには、現実を現実として知覚出来なかった。受け付けなかった。
ただ、虚無だった。涙も出なかった、悔しかった辛かった苛立ちもあった。でも、いっぱいいっぱい色んなことを想いすぎて何も感じなくなっちゃった。
でも、少ししてわたしは安堵した。そのときはお姉ちゃんがいつかわたしを捨てるんじゃないかと心配になってたから。
でも、記憶がないならずっとまだ一緒に居られるって分かったから。だから安心した。少し喜んでいたとこもある。
昔の引っ張ってくれるような、周りの人を惹き付けるような笑顔なお姉ちゃんもとっても大好きだったけど……うん。いまのちょっとポンコツでアホっぽい年相応なお姉ちゃんも大好きかな。
だから、お姉ちゃんがわたしを嫌うはずなんてないんだよ。絶対にあり得ない。
だって、そうだもん。いまのお姉ちゃんにはわたしが居ないと何も出来ないお馬鹿さんなんだもんっ。
だからね、お姉ちゃん?
「ずっと……ずーっと。わたしから離れないでね? わたしの大好きなお姉ちゃん?」
もっと病み病みにして百合百合にしたいですね