横島友人帳。   作:ちょりあん

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過去Arcadia様にて短編投稿した奴です。
続きがふと湧いてきたので書いてみることにしました。
よかったら見て下さい。

注・容姿説明とかあまりないです。


タダオくんとレイコちゃん1

 彼との出会いはとてもじゃないけどロマンティックだったり運命的だったりしたものじゃなかった。

 

 しいて言うなら、そう―衝撃的だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?」

 

 畳のいい香りが漂う部屋の中、その部屋の主である少年、夏目貴志が呟く。

 

「ねぇ、ニャンコ先生ちょっと聞きたいんだけど」

 

「なんだ夏目?私は今機嫌が悪いのだ!お前がまた友人帳を使い名前を還したおかげでな!」

 

 実はたった今、部屋に訪れた妖に名前を還したところだったりする。

 なので夏目の死後、友人帳を譲り受ける約束をしているニャンコ先生こと斑としては面白いことではないのである。

 

 こっちを見ずに不貞腐れているニャンコ先生に軽く溜め息を吐き、夏目は口を開く。

 

「その友人帳のことでだよ」

 

「何?まさか友人帳を私に渡す決心でもしたのかっ?」

 

 今度は夏目へと振り向き、ニャンコ先生が答える。

 その顔は少し嬉しそうだ。

 

「違うよ。確認なんだけどさ、友人帳って妖怪の名前しか書いてないんだよな?」

 

「何を当たり前のことを、それがどうした?」

 

「うん。これを見てよ」

 

 なんだなんだとニャンコ先生は夏目の側に行き、友人帳をのぞきこむ。

 そして僅かにではあるがその目を見開いた。

 

「これは…」

 

「な、おかしいだろ?だってこれはどう見ても―」

 

 夏目と斑の視線の先、友人帳に書かれていた名前。

 

 その名前はこう書かれていた。

 

「人の名前だ」

 

 『横島忠夫』と。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その年の夏は例年に比べとても暑かった。

 エアコンもあまりない時代。

 外を歩く人たちは皆汗を流していた。

 

 そんな暑い暑い夏。

 彼に出会った夏。

 そして死ぬまで忘れることのなかった夏。

 

 僅かな日々とはいえ、確かに楽しいと思えた宝物の日々。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっついわねぇ…」

 

 うだるような暑い日差しの下、

 私こと夏目レイコは山に囲まれた田舎道を歩く。格好はいつもの如くセーラー服だ。

 

 別に私だってこんな暑い日に目的もないのに外に出たいとは思わない。

 

 でもいまは夏休み、学校もなく家にいたところで嫌な目をされるだけなのは分かりきっている。

 

 本当は縁側で風鈴の音を聞きながら冷たい水が入った桶に足を浸け、涼みたかったのだけれども仕方がない。

 今回私を預かってくれた夫婦は特に私を不気味がっているからだ。

 

「駄菓子屋でも行ってアイス買ってこようかしら…」

 

 口にだして即却下した。

 この村には駄菓子屋が一軒しかなく、子供たちの溜まり場にもなっている。

 小さい子どもならまだしも、同級生の奴らとかち合うのはあまり良くない。

 

 嫌味を言われるだけならまだしも、こないだなんて石を投げられたりした。

 まぁそのあと十倍にして返したけどね。

 

 という訳で駄菓子屋は却下だ。夕方まではまだ時間がある。

 さてどうしたものかと考えた時、スカートの先を軽く誰かに引っ張られた。

 

 痴漢!!

 

 そう思った私は勢い良く引っ張って奴の方へと振り向く。もちろん睨みをきかせて。

 

「っ!?」

 

 だけどそこにいたのは想像していた犯罪者ではなく、白い着物を着たおかっぱ頭の小さな女の子だった。

 

「…あんたは、この間の」

 

 …コクン。

 

 見た目十歳ほどに見えるその女の子はつい先日勝負したまだ小さい木に憑く妖怪だ。

 

 たまたまこの子がいた木の前を私が通った時、この子が現れて勝負を挑まれた。

 その時ちょうどこの場所を通る前に喧嘩ふっかけてきた小学生から奪ったメンコで勝負したのだ。

 

 結果は私の大勝利。

 通常、名前を私が作った友人帳ってのに書いてもらうのだけど、低級の妖怪だと名前がないのが多いらしい。この子もそうだ。

 

 でもこの子は勝負に負けたっていうのにずっと笑顔だった。

 多分、誰かと遊びたかったんだと思う。去り際にもまた遊んでなんて雰囲気をだしていたし。

 

 この子はただ寂しかったのかもしれない。

 他の妖怪も余り来なさそうな場所にあるしね、この子がいる木は。

 

「何、どうしたの?また勝負したいの?メンコまたやる?」

 

 …フルフル。

 

「あれ?違うの?

じゃあメンコはいいの?」

 

 …フルフル。ビュッ!バシーン!クルリ、わいわい!

 

 言葉が話せないのか話さないのか、この子はジェスチャーで伝えてくる。

 まぁ、見てて可愛いからいいんだけど。

 

 つまるところ、メンコでまた遊びたいけど今日は別の用事で来たってことでいいのかな?

 何か慌ててるみたいだし。

 

 するとまた私のスカートの先を引っ張る。

 

「何?付いてこいって言ってるの?」

 

 …コクン。

 

 しょうがない。と、やることも決まってなかった私は深く考えることなく木の妖怪に手をひかれ付いていった。

 

 

 

 

 

 

 木の妖怪が連れてきたのはこの子の住む木の近くだった。

 この辺りは人通りも妖怪たちの姿なく、私とこの子の二人だけだった。

 

「ここに何があるの…よ……?」

 

 …ビシィ!

 

 一体何なんだ。と、妖怪の指差した方へと視線を向け、私は固まった。

 

 だって…

 

 

 

 

 

 

 

 地面から人の足が生えていたから!

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?何?あれ…?」

 

 …すーすー、すーすー、どかーん!もやもや、シャキーン!!

 

 えー何々。

 昼寝してたら物凄い音がして飛び上がって起きて音がした方を見るとああいう状態になっていた。ってこと?

 

 …そー、びくびく!ひぃー!

 

 それで近づいてみたら動いたから怖くなって私を探してたってことね。

 

「というより、あれは妖怪なの?」

 

 …フルフル、ビシィ!

 

 首を振って私を指差す。私と同じ、つまりは人ということだ。

 

「…って人!?」

 

 人ってことはアレは人が埋まってるってこと!?

 

 私はハッキリ言って人が大嫌いだだけど、見捨てられる程冷たいつもりもない。

 私は慌てて駆け寄ろうとした、その時。

 

 

 ビクン!!

 

 

 目の前の足が跳ねた。

 

 柄にもなく固まって立ち止まる私を無視して足は跳ね続ける。

 足は上下に激しく動き段々と揺れは大きくなっていく、そして―

 

「ぶはぁっー!!!

死ぬがど思っだぁぁー!!!!!」

 

 

 涙で顔をぐちゃぐちゃにした男の子が出てきたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 それは暑い暑い夏の日。

 今は遠い夏の日。

 死ぬまで忘れることのなかった夏の日。

 

 

 

 タダオくんと初めて出会った夏の日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、タダオくんが私に飛びかかってくる三秒前―

 

 

 

 




レイコさん及び夏目友人帳はアニメと漫画をかじった程度なので設定が間違っていたらすいません。
教えて貰えると嬉しいです。
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