なんかこう筆が乗らず…手気がつきゃ前話投稿から2週間近く経ってて……こんな作者の駄文小説で良ければお付き合い下さい!
それでは記念すべき二桁!第10話!
Ready GO!
その日、雫は王宮の工房の扉の前にいた。
「まさか、アレから何も食べずに作業してるって訳じゃないわよね?」
突如部屋を飛び出して行って数日タケルの姿を見ておらず、流石に心配になりここまで足を運んだ。
「失礼しま〜す……」
恐る恐る扉を開けるとまず目に入ったのは無数の剣や盾などの武器。
無造作にそこ彼処に放られており、長い間その状態なのか埃を被っている物もある。
「メルドさんはもう使われていないって言ってたけど……当時のものかしら?」
武具に紛れて美術品などもあり、完全に物置に使われている感が満載である。
そのまま奥まで進むと目的の人物を発見する。
「あ、木場君」
呼びかけるも返事がない。
何かしらの作業をしているタケルの顔は真剣そのものであり、周囲の事は何も目に入っていない様子。
(聞いてはいたけど、物凄い集中力ね……て言うか、アレ何作ってるのかしら?)
雫はその異常なまでの集中力に感服すると同時に、その手で生み出そうとしている代物に興味が湧いた。
作業台には幾つもの部品が並んでおり、今はそれを組み立てている段階の様だが、その出立はこの世界のイメージにはそぐわない機械的な物だった。
(確か前聞いた話によれば、雷属性の魔法で電気系統のやり繰りをしてるんだったかしら……)
トータスでは地球と違い機械文明は発達していないが、その代用として魔法が取り扱われている。だが、人間には精密機器を作り出せるほど細かい魔力の調整はできない。
その理由として、人間族は魔人族及び亜人族と違い、“魔力操作”の技能が発現しないことが挙げられる。
故に本来ならばタケルにも不可能なはずなのだが……
(“思考具現化”との併用で、擬似的な魔力操作を可能にしているとは聞いたけど……聞けば聞くほど可能性の底が知れないわね……)
半分呆れながら心の中で雫がボヤいていると、タケルが作業の手を止めた。
(あ、終わったのかしら?)
そう思い改めて声を掛けようとすると……
「ふ、ふふふ……ウヘヘへ……」
(……え?)
突如笑い出したタケルに呆然としてしまう。
当のタケルはそんな雫に気付く様子もなく出来上がった代物を恍惚とした顔で撫で回している。
「嗚呼……最高。最高の出来栄えやろコレ!?このカラーリングこのフォルム!全てに置いて完っ璧や!はぁ……堪らん……ずっと眺めてたい……ウヘヘヘヘッ……フヒヒヒヒッ……」
その光景を目の当たりにした雫はと言うと……
(どうしよう……申し訳ないけど流石にちょっと気持ち悪い……)
だらしのない表情で物騒な物を撫で回す光景は少々刺激が強かったのか、割と本気で引いていた。
その時──
「ウヘヘヘヘ……ウヒヒ──!?のわああああああ!!??」
ふと此方を向いたタケルが雫の存在を認識し、素っ頓狂な声を上げて飛び退く。
「い、いつから其処に!?」
「えっと……笑い出す少し前?」
「声掛けよ!?」
「掛けたわよ!没頭してて気付いてなかったんでしょう!」
「……マジで?」
「マジよ」
「…………」
「…………」
何とも言えない空気が流れ.、どうしたものかと2人して考えていると……
──グゥ〜!!
中々の音量で腹の虫を鳴らすタケル。雫はそれ聞いて「ハァ……」呆れた様に溜息を吐く。
「やっぱり碌に食べてないのね……」
「いや、今日はまだ食べてへんってだけで何も食うてへんわけでは……」
反論するが、ジトッと皆既的な目で見られてしまう。
「“今日は”って言うけど、もう夕方なんですけど?」
そう、空は既に茜色に染まっており夜の闇が直ぐ其処まで近づいている時間帯。にも関わらずタケルは今日一度も食事をとっていない。
それ程作業に没頭していたのだろうが、流石に何か食べないとそれで体を壊せば元も子も無い。
「もう……ほらコレ。パン貰ってきたから」
「……申し訳ない」
「別に、このくらい大した事じゃ無いわ」
雫はガツガツとパンを頬張るタケルに苦笑しながら、先程完成したであろうソレを見てずっと疑問に思っていた事を口にする。
「アレって、確か仮面ライダーの武器よね?あの盾もそうだけど」
「むぐっ……よう知ってるな」
「香織がね、南雲君の好きな物をもっと知りたいって言って、私も一緒に色々見てるから」
「……思考がストーカーと似てる気がするのは気のせいやろか?」
「言わないであげて……あの子なりに、その、アプローチの取り方を考えてたのよ……」
「もう一考して欲しかったなぁ……で?どうやった?」
「え?」
質問の意図がわからず、聞き返す。
「感想。どやった?」
どうやら仮面ライダーを視聴した感想を聞いてるようで、雫も「ああ……」と得心する。
「そうね、正直最初は子供向け番組っていうので多少偏見のようなモノはあったわね」
「ほう?」
「……けど、いざ見てみたらとても子供向けとは思えない内容が詰まっていて驚いたわ。特にあのフルーツの奴なんか……子供が見るには重すぎるでしょう?」
「鎧武か、まああの作品は脚本家からして鬱展開になるって放送前から予想されてたくらいやからなぁ……なるほど、だからメロンディフェンダーの事も知ってたわけか」
「ええ、あと今放送されてる奴もね」
「ゼロワンやな。一時期低迷したけど今は盛り返してきてることやな……はぁ……地球に戻ったら撮り貯めした奴一気見やな。……いや、間隔開けて見る方がええかな?」
「あら、どうして?」
「作品によっちゃ一気見した方が良い奴もあれば、間を置いて見た方が楽しめる奴があるかなぁ。今後の展開について色々考察するんも醍醐味の一つや」
「筋金入りね……そんなに好きなの?」
「当ったり前やろ!!」
突如スイッチが入ったように大声で肯定するタケルに、雫は思わず「キャッ!?」と短い悲鳴を漏らす。
その様子に気づいていないのか、マシンガンの様に喋り始めるタケル。
「戦闘シーン、新フォームや新ライダーの登場、戦闘以外のストーリー!とてもお子様番組という括りには収められへん内容が其処には詰まってるんや!これを好まずして何とする!?」
「え、ええ……確かに面白かったけど……」
「せやろ!確かにメインターゲットは子供や!そこは間違いない!それでもストーリー自体は大人も楽しめる内容になってるんや!勿論人それぞれ好みもあるし、長い歴史の中で駄作と銘打たれた作品もあるのは事実!しかし!評価するならば隅から隅までしっかり見た上でするのが制作者への礼儀や!見もせんと噂や偏見だけで評価するなんざ笑止千万愚の骨頂!「特撮なんかガキが見るモンやろぉwww」とか宣っとる奴はなぁ!そうやって否定することで自分が大人であると主張して優越感に浸りたいだけの小っさい人間なんや!違うか!?」
「わ、わかったから落ち着いて!誰もそんなこと言ってないから!」
過去に何があったのか、ヒートアップするタケルを必死に宥める。
「っ……はぁ……はぁ……すまんっ……熱くなったっ……」
「いや、まあ……貴方の作品愛はこれでもかって程伝わったから」
「好きなモノを理解しようとするという点では誰にも負ける気はせんなぁ!」
自信満々に胸を張るタケルに苦笑しながら、何処か思うところがある様な顔の雫。
「羨ましいわ……好きな物をそうやって公言出来るのは……」
「ん?」
その言葉に既視感を覚えるタケル。そして、先日の「言葉は凶器」云々の時に見せたあの顔を思い出す。
「……やっぱお前なんか隠してるなぁ?」
「……」
「別に無理に話せとは言わんけどなぁ……俺も何か出来るかはわからんし。けど……俺そもそも最初は公言なんかしてへんかったよ?」
「え?」
「最初はなぁ……俺も何となく中途半端に大人ぶって特撮好きとか隠してたんよ。ハジメは兎も角周りの連中に悟られへん様に」
「うそ……」
雫は先程の嬉々として語る様子を見たからか半信半疑だった。それに先のテンション程でなくとも、教室でハジメと普通にそう言う談議をしていた記憶がある。
「まあ思春期特有のモンなんかねぇ?そもそも周りに弱みとか見せたく無いタチやったからなぁ。それで溜め込みすぎて前お前にも迷惑かけた訳やし。でも……ある時こう思ったんや」
其処で胡座をかいた体制で腕を組み自信満々に胸を張って言った。
「何で周り気にして好きなモン隠さなあかんねや!……ってな?」
「!!」
その言葉に雫は雷に打たれた様な衝撃を感じた、目を見開いてタケルを見る。
「周りがどう思おうがどう言おうが好きなモンは好きなんやからしゃあないやん。そら実害があって周りに迷惑かけてたら話は別やろうけど……そうやないんやったら別にとやかく言われる筋合い無いし」
「……」
「そらまあTPOは弁えなあかんやろうけど、それさえ守ってたら別にええやん?まあ、そんな簡単な事でもないからお互い悩んだりしてるんやろけどな」
(……ああ……そう言う事か)
雫はその話を聞いて、ずっと自身の中で燻っていたタケルへの感情の正体に気づく。
(羨ましかった……それに少し嫉妬もしたかしら)
好きな物を公言するのは簡単に聞こえるが、周囲から理解されず否定されるのではないかと考えると、どうしても踏み出せない。
タケルと自身も例に漏れずそうであったが、タケルはそれを乗り越えている事に、いつしか雫の中には羨望と嫉妬の入り混じった複雑な感情が生まれていた。
それに漸く気付きタケルの言葉を振り返ると、胸がスッと軽くなるのを感じた。
「……私ね」
「おう」
「……ぬ、ぬいぐるみとか、可愛い物が……大好き……なの」
頬を赤らめて吃りながら伝える。
──笑われて馬鹿にされないだろうか?
──イメージと違うと幻滅されないだろうか?
意を決して伝えはしたものの、やはり不安は拭いきれず鼓動が早まるのを感じながらタケルの反応を伺う。
すると……
「うん」
「……え?」
ただ一言、それだけ返ってきた。表情を見ても別に驚いてる訳でも笑いを堪えているわけでも増してや侮蔑的な顔をしている訳でもない……唯々普通の表情で普通に返してきた。
「え?なんか間違えた?もっと驚いた方が良かったか?ワー、マジデー、イガーイ」
「片言の上に感情が篭ってない!」
「いやそう言われも、実際驚く様な趣味でもないし……もっとこう、「刀で人を斬った時の感覚が堪らなく大好きなの!」とかやったら流石に反応できたけどなぁ……悪い意味で」
「人を勝手に快楽犯罪者みたいに言わないでくれる!?」
「せやったらええやん。別に女子が可愛いモン好きでも今時男子でも好きやっちゅう奴はザラにおんのに。普通普通」
「でも……私みたいなのには似合わないでしょう……」
その言葉に心底信じられないモノを見る目をしてタケルが吠えた。
「はああああ!?お前なぁ!お前が似合わんかったら世界中の大半の女に似合わんやろ!?頭沸いてんのかふざけてんのか!?」
それに対して雫もムキになり反論する。
「そ、そんな事ないわよ!ほら!見てよこの手!マメとタコだらけで硬くなって……女の子らしい手なんて言えないわよ。身長だって大きくて……良い事なんてないし……」
「お前俺の前でよう身長の話できたなぁ!?分けろそんな言うやんたっら!10センチ程俺に恵め!」
「論点そこ!?」
やはり身長が低い事を気にしているのか、ズレたキレ方をするタケルに突っ込む雫。
「大体女らしい手ぇとかようわからんし!何やったらお前の手の方はそんななる位努力してるって事やろ!ほなええやないかそれで!」
その言葉で雫の過去の忌まわしい記憶が呼び起こされる。
「っ……だって……だって言われたもの!」
「「貴方女だったの?」って!」
「──!」
それを聞いて急激に頭から熱が引いていくタケル。
雫のトラウマ、彼女が本当の自分をひた隠しにする様になった要因。
「……イジメか?」
「……ええ、小学校の頃だけどね」
雫は一瞬失言したと思ったが、すぐに半ば投げやり気味に話し始めた。
「私の家が剣術道場で、光輝が其処の門下生で幼馴染だってのは知ってると思うけど……その関係もあって光輝とは大体いつも一緒だったわ。私自身実は密かに光輝の事好きだったし」
「……マジで?」
「今は違うけどね?でも光輝って、当時からあの感じだから……好意を寄せる女の子が大勢いたわ。その殆どが、光輝に如何にか好かれようと手を尽くしてた。対して当時の私は、髪も短くて服装もボーイッシュなもの。加えて身長もそこそこ高くて剣術も嗜んでいたから其処らの女子より力も強い……」
(……何となぁく、オチが読めてきた)
雫の話を聞いてタケルは胸糞の悪い最後を想像していた。
それを裏付ける様に雫の話は続く。
「わかるでしょう?他の子からしてみれば、そんな見るからに女っぽくない私が幼馴染という理由だけで光輝の側にいるのに、なんで自分たちは……て思ったんでしょうね。そこからは想像通りの展開よ……口汚く罵ってきたり、突き飛ばされたり……でもやっぱり……一番ショックだったのはさっきの言葉だったわ……」
服の裾をギュッと握りしめ俯きながら話す雫。
正確な表情を読み取ることは出来なかったが、悲痛な気持ちであろう事は明らかだ。
「私だって……別に好きで大きかったわけじゃない。剣術だって別に好きじゃなかった……お父さん達に言われるままにやってただけ。本当はもっと女の子らしい事がしたかった……髪を伸ばしてかわいい服を着て……それで……それで……」
別に雫の父等は剣術をすることを強いた訳ではない。ただ単に軽く進めてみたら後に引けなくなり今に至ったのであり、その事を当人達も内心気にかけていた。
雫自信もそれを理解している。が、しているが故に余計に心配かけまいと躍起になった。
「アイツには……天之河には言うたんか?」
「……ええ。正直誰かに縋りたかったし……当時の私にとっては、光輝は本当に王子様のような存在だったから。……でも、それは間違いだった」
「予想は出来るが……どないなった?」
「……「キチンと話し合えば、彼女達もわかってくれる」、そう言って話をつけに行ったわ」
「チッ!あんのボケェッ……!」
タケルはその対応に思い切り毒づいた。タケルも過去障害の事で周囲から浮き、イジメに遭っていた経験がある為、光輝の対応が最悪の手であることが容易に理解できた。
(そんなモンで治まったらこの世からいじめ問題なんぞとっくに消えとるっちゅうんじゃド阿呆!)
確かに話し合いで片がつけばそれに超したことはないだろうが、雫の例のようにプライドの塊の様な連中にそんなことをしてしまえば「告げ口をした」とし、より状況が悪化してしまうであろう事は想像に難くない。
「そこからはまあ、別段珍しくもない経過よ。イジメはエスカレートしその後学校側に露見、それで沈静化したわ。私の光輝への恋心と一緒にね」
すべてを話終え、自嘲するように笑う雫。
「……なんとなぁく思ってたけど、どことなく似てるよなぁ俺等。いじめられたり、悩み抱えて自分押し殺したり……」
「……似てないわよ。貴方の障害に比べれば私の悩みなんて……比べるのもおこがましいでしょ?」
「アホか」
雫としては“障害を抱えたタケルに比べれば自分の悩みはちっぽけなモノである”、そういう意味を込めた言葉だったのだが、タケルにとっては違ったらしい。
「悩みの重さなんか人それぞれや、他人に推し量れるようなもんやない。お前にとってその出来事は自分を騙すようになるくらい重いトラウマなんやろ。やったら他人と比較なんぞするな」
「木場君……」
「しかしまぁ……嫉妬に狂った女っちゅうんは怖いのぅ」
「そうね。私も痛感したわ……」
暗くなった雰囲気を吹き飛ばそうと軽めに言ったが、雫の表情は晴れない。どうしたものかと思案し、あることに思い至る。
「それやったら、今度その元いじめっ子共に会ったら言うたったらええんちゃうか?」
「え?」
「自分は二大女神言われるくらい綺麗になったぞ!お前等はどうぞ下らん種馬の尻追いかけとけぇ!……ってな?」
「そ、それはどうなの?」
タケルの提案に軽く引いた様子で返答する雫。タケルはそれに対し、ケラケラと笑いながら返す。
「ええやろぉこれくらい別に~。そのくらいの事したかってバチ当たらんって!なんやったら何発かド突いても──」
「嫌それは流石にやり過ぎだから!もう……フフッ」
タケルとの問答に思わず笑みがこぼれる雫。それを見て「ホッ……」と息を吐くタケル。
「ようやく笑ったか……」
「あら?元気づけてくれたのかしら?」
「は、はぁ!?アホ言うな!いつまでも辛気くさい顔されたらコッチの気が滅入るんじゃ!」
そう言ってそっぽを向くが、頬には僅かに赤みが差していた。
「……ありがとう」
「……ん」
お互いに短く言葉を交わす。
先日のタケルの件を合わせても、似たもの同士の傷の舐め合いと一蹴されればそれまでだろうが……それでもこの瞬間、2人の間には何者も踏み入る事のできない繋がりが生まれたのは明白だった。
(子供っぽくて……目を離したら何をするかわからないくらい手がかかるのに……其の内に秘められた強さ……確かな意志……それが見え隠れする度に、目で追っている……)
「全く……不思議な人ね(ボソッ)」
「ん?なんか言うたか?」
「何でもないわ!それより、新しく作った武器について説明してくれる?」
「──ほう?聞くか?聞くんか?良えやろう!聞かせたるわ!」
「ふふっ、はいはい」
その繋がりは、少女にそれまでとは違う感情を生み出させたが……その全貌を知る者はまだ居ない──
はい!如何でしたでしょうか?
2週間待たせた割にはそこまでクオリティ高い物でもないでしょうけども……取り敢えず今回は雫とタケルに関係を前進させました!
タケルは思った事はズバッと言います。その為不器用ながら気遣いはできるがお世辞は言えません。
つまりそう言う事です。
雫の中に新たに生まれた感情とは一体なんなんだー(棒)
後ゼロワンの今後の展開も超期待!(関係ない)
とまあ本編も後書きも纏りがありませんが、今後ともよろしくお願いします。
改善点なども有れば送っていただければ幸いです!
それではまた次回、チャオ〜