さて、4話です。早くも前書きで喋る内容が無くなってきましたが…取り敢えず今週のゼロワンの感想でも(全く関係ない)
119之助が炎と煙に巻かれながら瓦礫を支えるシーン、或斗が物言わぬ身体となってしまった119之助を労い運び出すシーン、穂村隊長がそんな119之助を讃えるシーン、僅か30分の間でこんなに泣けるシーンが満載とかどうなってんだ!(泣)
とまあだいぶ逸れましたが…第4話です。
それでは、Ready GO!
王宮内にある工房、そこにタケルはいた。
先日の件の後、宝物庫にある武器やらが運ばれ、生徒達は各々自分にあった武器を選んだ。
だがタケルはどれもしっくり来ず、ならばと自身の技能を磨く傍ら武器を製作して見たいとメルドに進言した。流石に2つ返事とはいかなかったが、タケルの意志を感じ取ったのか比較的簡単に許可を貰えた。
それから約二週間程、この工房に入り浸り作業をしていのだが、“創作者”という天職の者にとってはこうして技術を覚えるだけでも経験値が貯まるらしく……
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木場タケル 17歳 男 レベル:5
天職:創作者
筋力:45
体力:40
耐性:100
敏捷:100
魔力:110
魔耐:110
技能:思考具現化[+思考速度上昇]・火属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇]・雷属性適性[+発動速度上昇][+効果上昇]・複合魔法・属性耐性[+火属性効果上昇][+雷属性効果上昇]・気配感知・言語理解
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良い感じにステータスが上がっていた。特に技能の伸びが凄じく、四六時中工房に入り浸っているせいか派生技能が幾つも増えていた。
「──フ、フフフフ!!ウヒヒヒヒヒ!!遂に……遂に完成したァ!現時点での最高傑作がァ!ヴェハハハハハハハハハハ!!!!」
人がいない事を良いことに普段見せないテンションで喜び震えている。もしこの光景を見ている者がいたならば、きっとドン引きするレベルだ。
それから暫く恍惚とした様子で出来上がった代物を眺めるタケルの姿があったとか……
◇
「全くタケルの奴……僕に食事の事アレコレ言う割には自分だって熱中したら気にしないんだもんなぁ……」
その日ハジメは少し怒った様子で廊下を歩いていた。理由はタケルが殆ど食事も取らずに工房で作業をしている事。
周りをが気にならなくなる程の集中力を発揮するという自閉症の典型的な特徴であるが、長所でもあり短所でもある。こんな風に食事を取ることすら忘れてしまう事は流石に無視できず、苦言を申そうと工房に向かっている最中だ。
「あっれ〜?南雲じゃん。何してんだよこんな所で?」
「っ!……檜山くん。」
が、その道中いつもの様に取り巻きを引き連れた檜山がハジメに絡んできた。
ハジメも正直相手にはしたくないが、ここで無視すれば後々面倒な事になりそうなので返答する。
「あ〜、ちょっとタケルに用があって……」
「木場ぁ?そういやここ最近は一緒にいる所見ねえなぁ?」
「う、うん。ずっと工房に篭ってるみたいだから……じゃあ、そういう事だから行くね?」
早々に切り上げて立ち去ろうとするハジメ。
「まあ待てよ。お前さぁ?訓練してるのに全然強くなんねえじゃん。どうなってんだよなぁ?」
「えっと……それは……」
去ろうとするハジメを引き留めニヤニヤしながら質問してくる。ハジメはその問いに歯切れ悪く返答に困る。
ずっと工房にいるタケルと違い、訓練にも参加しているのだが、それでもハジメのステータスはというと──
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南雲ハジメ 17歳 男 レベル:2
天職:錬成師
筋力:12
体力:12
耐性:12
敏捷:12
魔力:12
魔耐:12
技能:錬成、言語理解
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──見事に均一に増えている。しかもお世辞にも伸びが良いとは言えない状態で。
ハジメも自身の成長率の悪さには頭を抱えており、訓練の休憩の合間を縫って図書館に足を運んでいる。訓練には座学も含まれてはいるのだが、それだけでは補いきれない知識を貪る為だ。
因みに勇者様である光輝は既にレベル10に達しておりステータスも当初の倍になってるそうだ。
と、ハジメが答えあぐねている隙に取り巻き集団が周りを取り囲む。
「しっかしまあ、お前も不憫だよなぁ?」
「え?」
「学校では針のむしろだわ。異世界に来てみりゃゴミみてえな天職だわでよぉ〜。流石の俺も可哀想になってきたぜ。」
微塵もそう思ってないであろうニヤケ顔でハジメを嘲笑う。そもそもハジメが学校でそんな状況になっているのは自分達のせいだというのに……
それでもこれくらいならば幾ら言われても大したダメージにはならない。そう思っていた矢先──
「しかもあんなキチガイ野郎といつも一緒だもんなぁ?俺なら怖くて寄り付かねえぜ?あんな気持ち悪い奴。」
聞き流せない一言を、近藤が呟いた。
「……は?」
「いつも一緒」、そんな言い回しをされる仲の人物など、1人しか浮かばなかった。
「それ……どういう事?」
感情を抑え込みながら聞き返す。そんなハジメの様子に気付いていないのか続ける近藤。
「俺のダチにアイツと同じ小学校の奴がいてよ?其奴から聞いた話がえげつねえの何のって。何でも授業中もボーっとしてて喋りかけてもあんまり話さねえし、意味不明な行動したり、かと思えばいきなり怒って机やら椅子やら投げつけてたらしいぜ?」
「うわぁ、何だそれ!完全に頭イカれてんじゃん!」
何が面白いのか昔の話を持ち出してゲラゲラと笑っている。
確かに、今の話は真実だ。だがそれらは全て障害からくるものであり、そもそもタケルは理不尽に当たり散らすなんて事は絶対にしない。タケルが暴れたのは周囲からの心無い言葉で傷付いたからだ。ただ単に加減がわからず、一気にメーターが振り切れてしまっているだけなのだ。
(耐えろっ!今は怒るべき時じゃない!)
ハジメは一言物申したい気持ちで一杯だったが、ここで騒ぎを起こせばタケルの耳にも入り、そうなれば彼は深く傷つくかも知れない。
拳を握り締め耐えるハジメ。だが檜山は、決定的な一言を口にしてしまう。
「もしかしたら将来人も殺しちまうかもなぁ?いや、もしかしたら既に……頭イカれてるような奴ならあり得るかもなぁ!ギャハハハハハハハハハハハハ!!!!!」
その言葉をを聞いた瞬間、ハジメの中で何かがキレる音がした。
「──黙れ。」
「……あぁ?」
「お前達がタケルの何を知ってるっていうんだ!何も知らない癖に!知った風にアイツの事を語るな!」
檜山達はタケルの障害については知らない。だが、それで許される範疇は優に越していた。
檜山は普段とは違い声を荒げて怒鳴るハジメに一瞬怯んだが、すぐに持ち直して不愉快そうに顔を歪ませる。
「雑魚の癖に口答えしてんじゃねえぞ!コラァ!」
──ドカッ!!
「がはっ!?」
格下と断じていたハジメに口答えされた事が気に食わなかったのか、勢いよく蹴り飛ばす。ステータスの差もあり、壁まで吹き飛ぶハジメ。
「おいおい、威勢のいいこと言った割にはこの程度で終わりかよ!」
「弱っちいにも程があんだろ!ヒャハハハハハ!!!」
そんなハジメを嘲笑う小悪党集団。その中から斎藤がある提案をする。
「なあ大介ぇ?コイツこのままじゃ弱すぎるしよぉ?俺たちで鍛えてやろうぜ?」
「おお?良いねぇ?まあ、勿論やり方は……俺達流だけどなぁ!」
そう言うと何やら詠唱を始める檜山。
「ここに風撃を望む──」
不味いっ……そう思い逃げようとするも蹴られた時のダメージが残っており上手く動けない。
「──“風球”!」
そんなハジメに風を纏った球状の物体が飛んでくる。檜山が最も得意とする風属性の初級魔法だ。
「ぐあっ!?」
まともに食らってしまい蹲るハジメ。
しかし攻撃の手が緩む事はなく……
「ほらほら何寝てんだよ!ここに焼撃を望む──“火球”」
「うぐっ!!」
今度は中野の放った火属性の初級魔法がヒットし、既にハジメは満身創痍であり立つ事もできない様子。
「ここに風撃を望む──“風球”」
お次は斎藤が檜山と同じ魔法で追撃してくる。
もはや身動きが取れないハジメは覚悟したように目を瞑った──
──だが
待てど暮らせど衝撃が襲ってくる事はなかった。
ハジメは恐る恐る目蓋を持ち上げる。するとそこには……
「──これはちょっと度が過ぎるんとちゃうんかぁ?」
自身を守るように立つ、旧知の友の姿があった。
「タ、タケル……」
「よう。なんか久しぶりな気ぃするけど……えらいボロボロやな。」
「まあ、確かに数日ぶりだけど……ていうかそれ!」
久方ぶりの快諾の余韻に浸るでもなく、ハジメはタケルが
緑を基調とした何処かとあるフルーツを連想させるデザインの盾。その名は──
「……メロン、ディフェンダー」
ぽつりと呟くハジメ。
特撮ヒーロー『仮面ライダー』のシリーズの1つに登場する武器であり、その概要はハジメもよく知っていた。
「何で……そんな物がここに……」
「作った!」
「作った!?タケルがこれを!?」
「おう!“思考具現化”で見本を作って、それを元に忠実に再現したんがこのメロンディフェンダーや!どう?凄いでしょ!最高でしょ!天才でしょ!」
ハイテンションで見せてくるタケルに「えぇ…」と声を漏らして愕然とするハジメ。
確かに昔から興味を持った事への熱中の仕様は凄まじかったが、まさかこんな物まで作るとは思ってもみなかったようだ。
と、ふとタケルの手に細かい切り傷が幾つもある事に気付く。
「ちょっ!?どうしたのこの傷!」
「え?ああ、刃も再現しようとして何べんか切ってしもて……」
「そんなトコまで再現したの!?間違っても人間相手に使わないでよ!?」
「使うかアホ!何処ぞの悪魔の科学者やあるまいし、人間で試すような事せえへんわ!…………多分(ボソッ)」
「最後ので台無しだよ!ていうかさっきその悪魔の科学者みたいな台詞言ってる時点で信用できないからね!?」
いつの間にか傷の痛みも忘れていつものようにタケルと掛け合いをするハジメ。
その様子を見てポカーンとしていた檜山達だが、少ししてようやく再起動した。
「おぉいこらぁ何普通に駄弁ってんだ!!無視すんな!」
その声でパッと振り返るハジメタケル両名。
「「……あ、忘れてた。」」
2人そろって完全に思考の彼方へ追いやっていたらしい。それでも再度認識するとメロンディフェンダーを構えるタケル。
「ていうかまだ居ったんか……もうええからどっか行けよ。これ以上手出しするようやったら──」
ハジメとのやり取りで怒る気が失せたのか投げやり気味に言い放つ。その様子にイラッとしながら煽ってくる檜山。
「するようだったらなんだよ?どうせお前が何しようが--」
「お前ら全員実は男色家で、ハジメに対して鼻息荒しながら迫って性的暴行を加えようとしたって大声で吹聴するぞ!」
「--ってオオイコラァ!!テメェなんて事考えやがる!」
「その話題はやがてトータス全土まで広がって、街を歩けば指を差され笑われる……良かったな?注目の的やぞ?」
「悪い意味でな!?」
物凄く悪い顔で檜山達を煽るタケル。もはや側から見たらどちらが悪役かわからず、助けられたハジメですらちょっと引いている。
そんな事が暫く続き、終わる頃には檜山は肩で息をして疲れ切っているのに対し、タケルは余裕そうに耳垢をほじっていた。
「はぁはぁ、テメェ……とことんおちょくってやがるな……だったら!実力行使で目に物見せてやるよ!お前ら!」
そう檜山が取り巻きに呼びかけると皆一斉に詠唱を始める。
「さっきのは防がれたが、同時攻撃ならどうだぁ!」
タケルはメロンディフェンダーを構え防御の姿勢をとる。そして、今まさに魔法が放たれようとしたその時!
「何やってるの!?」
そう叫ぶ声が聞こえそちらに目をやると必死の形相で此方に駆けてくる香織の姿があった。その後ろにはいつもの面子も揃っており、その瞬間目に見えて狼狽しだす檜山達。
「いや、これは……勘違いしないで欲しいんだけど、俺たち南雲の特訓に付き合ってて──」
「っ!?南雲君!」
香織は言い訳する檜山を無視して、ハジメに駆け寄り傷を癒す。後から来た雫達は檜山達に事の顛末を追及する。
「特訓……ねえ?その割には随分と傷のつき方が一方的だけれど?それに、木場君が彼を守る様に立っていたのはどう説明する気?」
「そ、それは勘違いした木場が割って入って来ただけで……」
「言い訳はいい。いくら南雲が戦闘に向かないからって、同じクラスの仲間だ。二度とこういうことはするべきじゃない。」
「全くだ。くだらねえ事してる暇があるならテメェ等自身の特訓でもしてろってんだ。」
クラスカーストトップの面子から非難されればさしもの檜山も何も言えず、そのままそそくさと取り巻きを引き連れて去っていった。
「あ、ありがとう。白崎さん。」
どうやら治療が終わったらしく、ハジメが香織に礼を言う。
「ううん、このくらい何でもないから。それよりもいつもあんな事されてるの?何だったら私が──!」
「だ、大丈夫だから!別にいつもこんな事されてる訳じゃないし……気にしないで?」
「でも……」
香織が介入すれば話が拗れると考え、要請を拒否するハジメ。香織も食い下がるが、再度明確に拒否され渋々引き下がる。
「南雲君、何かあれば遠慮なく言ってちょうだい。香織もその方が納得するわ。」
渋い顔をする香織を見かねた雫が苦笑いしながら折衷案を出す。ハジメも同じく苦笑しながら了承する。
「まあ、どうしても気になるようやったら団長にでも話して処分下してもらえばええやろ。裁かなアカン問題はしっかり裁いてももらわな──」
「いや、その必要はないだろう。」
「……はあ?」
「檜山達だってきっと反省してる。告げ口の様な事はするべきじゃない。第一今回のことだって不真面目な南雲の態度をどうにかしようと尽力しようとしただけかも知れないだろう?訓練のない時は図書館で本を読み漁ってるだけ……そんなんじゃいつまでも弱いままだ。俺なら訓練がなくとも自主的にトレーニングする。南雲、いくら弱いからと言っても努力を怠るもんじゃない。そんなんじゃ君のためにもならないぞ。」
あまりにも無茶苦茶な理論を振りかざす光輝に、もはや開いた口が塞がらないというような表情で固まるハジメと香織。雫も頭を抱えている。
(駄目だ……この人には何を言っても無駄なんだ……)
改めてそう判断しその場から立ち去ろうとするハジメ。だが──
「……軽いねん、お前の言葉は。」
そう呟く声が聞こえる。小さな声だったが、それは全員の耳にしっかりと届いた。そして皆の視線が声の主……タケルに集中する。
「どういう意味だ?木場。」
光輝が発言の意味を問う。
「努力すればアイツ等の態度が変わるとでも?あの性根まで腐りきってる連中がそんなことでコイツへの態度を改めるとでも思ってるん?アホ抜かせ変わるわけないやろ。そもそも上に言うかどうかを何でお前が決めんねん。それを決めるのは被害者であるハジメやろ。」
「だが、檜山達だって話せばわかってくれる!それに何ださっきから!クラスメイト相手に処分だの何だのと軽々しく言うな!人の人生をなんだと思ってる!」
「話す態勢も作る気のない奴に何話せっちゅうんじゃ。半端に注意したところで聞き流すんが関の山やろ。むしろイジメがひどなる可能性のが高い……そうなる前に相応の処分を下した方が良いって俺は言うてんねやろうが。そもそも……お前人の人生云々なんか気にもとめてへんやろ。」
「そんな事はない!俺はいつだって皆のことを考えt「ホンマに考えてるんやったら、軽々しく“戦争に参加する”なんぞと言うかい。」──!?」
「お前日本史の時間何聞いてんねん。戦争=殺し合いやろうが。我が国が経験し今なお世界各地で繰り広げられ、大勢の人間が死に残されたモンが悲しみに暮れる……そんな事にお前は安っぽい正義感擬きで首突っ込んだんや。しかも俺等を巻き込んでなぁ。」
「そ、それは……だが!君だって結局参加を表明したじゃないか!」
「そらそれ以外に選択肢がなかったからや。あったら参加なんぞするかい。」
吐き捨てるように告げるタケル。その態度に光輝は怒りを隠さずに問いただす。
「なら君は!この世界の人々がどうなっても良いのか!」
こう言えば流石に考え改めるだろう……光輝はそう思いタケルの返答に期待を抱く。
だが──
「ええよ別に。どうなろうが知ったことか。面倒な事に巻き込まれてこっちは良い迷惑や。」
吐き捨てる様に出た言葉に光輝は信じられないモノを見る目で責める。
「な!?それでも人間か!?どうしてそんな酷い事が言える!?」
「酷い?俺に言わせりゃお前のがよっぽど酷いけどなぁ。」
「何だと!?」
「言うたやろ、安っぽい正義感擬きでクラス中巻き込んだって。いつ死ぬかもわからへん様な事に軽々しく返事なんぞしよって、お前一体何様や?」
「そんな事させない!俺が皆を守ってみせる!」
「どういう根拠があってそう言えんねん。自惚れんのも大概にせえよ。お前1人にできることなんかたかが知れてんねん。」
「そんなのやってみなければわからないだろ!」
ヒートアップする言い合い。ハジメ、香織、龍太郎はハラハラしながら様子を伺っており、雫は何を考えているのか、ジッとタケルの方を見つめていた。
そして光輝は、突如何かを確信したかのように「ハッ!」と声を上げほくそ笑む。
「そうか……わかったぞ。何だかんだと理由をつけてはいるが、結局お前は怖いんだ!自分が死ぬのが!それで訓練にも参加せずそんな盾なんか作って自分の身を守ろうとしている!自分の事ばかり考えて、とんだ臆病者じゃないか!」
合点がいったとでも言うように、メロンディフェンダーを指さしここぞとばかりに責め立てる。
これにはさしものタケルも動揺し──
「当たり前やろ、そんなこと。」
──てなどいなかった。
「……え?」
「何ビックリしてんねん。死ぬのが怖くて何が悪い?ここはゲームの世界やないねん。死んだら残基が減るだけとか、コンティニューできるとかないねん。死んでまえばそこで終わり……土に還って人生終了や。それが怖くて何が悪い?」
「そ、それは……」
その返答に光輝が逆に動揺する。いつも自己主張しないタケルにここまで返されるとは想像していなかったようだ。
それでも今更引き下がれないのか、尚も食い下がってくる。
「だが……それは──!」
「そこまで!」
と、そこで雫が2人の間に割って入り静止させる。
「光輝、もうやめなさい。これ以上貴方が何を言おうと無意味よ。」
「で、でも!」
「でもじゃない。木場君……ごめんなさい。光輝にはよく言っておくから、ここは任せて貰えないかしら?」
そう言いタケルに承諾を求める。
「別にどうでも良いし、好きにせえや。」
「……ありがとう。」
その言葉を最後に踵を返してその場から立ち去るタケル。ハジメも慌ててそれに続く。
後方では光輝が尚も喚いていたが、その全てを無視してさっさとその場を後にした。
因みにメルド団長への直訴は「騒ぎを大きくしたくない。」というハジメ当人の意見で、タケルも渋々納得した。
その後、流石に一度も参加しないのはまずいと思いタケルもハジメと一緒に訓練に参加した。訓練後、メルド団長から今後についての知らせを告げられる。
「明日から、実戦訓練の一環として【オルクス大迷宮】へ遠征に行く。必要なものはこちらで用意してあるが、今までの王都外での魔物との実戦訓練とは一線を画すと思ってくれ! まぁ、要するに気合入れろってことだ! 今日はゆっくり休めよ! では、解散!」
そう言って伝えることだけ伝えるとさっさと行ってしまった。タケルとハジメは溜息を吐きながら明日からの訓練に思いを馳せていた。
◇
──翌日──
一行は【オルクス大迷宮】へ遠征する道中にある宿場町【ホルアド】で、新兵訓練の際に利用する王国直営の宿泊施設にて一夜を過ごしていた。
「とうとう明日、大迷宮突入か……」
「うん、どうやらこの世界には【七大迷宮】と呼ばれる迷宮があり、【オルクス大迷宮】はその一つらしい。階層は全部で100層。魔物の強さがはかりやすくて、新人冒険者にも人気らしいよ。」
「ふ~ん。」
タケルとハジメは同室であり、明日挑む迷宮について情報をまとめていた。そんな時、ハジメが不安そうに声を漏らす。
「……大丈夫かな。」
「わからん。けどここまで来たら、やるしかないやろ……ふわぁ~……」
「寝不足?昨日も遅くまで調整してたもんね。もう寝ちゃったら?」
「悪いけど……そうさせて貰うわ。」
そう言ってベッドに潜るタケル。
「お休み、不安なんもわかるけど……はよ寝ろよ。」
「うん、お休み。」
挨拶を交わし、しばらくすると意識を手放すタケル。
その後自室に2人の女性が訪ねてくるのだが、熟睡していたタケルは知る由もなかった。
その部屋を見つめる、濁った視線にも……
如何でしたでしょうか?ぶっちゃけ詰め込みすぎたかなぁっと思いながらも、ここまでやりたかった所存です。
さて、今回出てきた武器について軽く説明しますと……
名称:メロンディフェンダー
概要:平成ライダーシリーズ15作目『仮面ライダー鎧武』に登場する4号ライダー『仮面ライダー斬月』の装備しているメロンの皮を模した大型の盾。先端には『ハサイシン』、側面には『ソクトウエン』と呼ばれる刃がついており、敵に押し当てて斬りつけたり、投擲武器としても使用可能。
こんな感じになってます。因みに作者お気に入りのライダーの1人です。
こんな物作るくらいのめり込むって、あり得ない様であり得るんですよねこれが。特に自閉症の様な人は自分の興味のある事はとことん極めるんです。
これからもドンドンこういうのは出していきます。
それではまた次回、チャオ〜