空の向こうへ   作:アナタ

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長くなったので分けます


プロローグ1

1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くそっ!?」

「..............」

 

「ヴィント選手っ!圧倒的スピードで翻弄!セカンドブイにタッチ、これで15対0です!」

 

 

ソニックブースト、メンブレンを全身に感じそれを幾度となく加速させ上空へと一気に加速する。

肌に、全身に感じる風。

突き抜けていくように感じる風が何よりも好きで、この技が使えるようになった頃は連発のし過ぎで全身筋肉痛になったりしていた。

 

サードブイにショートカットし待ち構えている相手選手が忌まわしそうに此方を見上げているのが見える。

 

ローヨーヨーをするように一気に下へと加速しシザーズ、サードブイに向う俺を邪魔するように相手選手は進行方向へ割り込んでくるが関係がない。

螺旋を描くように俺はメンブレンを操作して一気に抜き去る。

追い縋るように手を振るってくるがそんなお粗末なディフェンスでは俺を捉えることは出来ない。

ぐんっと加速を付け、そのままブイにタッチ。

これで16点目。

 

 

「おおっと、ここで試合終了のブザーがなりましたっ!16対0という圧倒的大差での勝利!大空の覇者、絶対王者の名は伊達ではない!」

 

 

達成感も多少の疲労感もある。

でも何かが決定的に足りてない。

湧き上がる歓声が会場全体を包むが俺は何処かその空気についていけていなかった。

まだ飛べる、まだまだ足りない。

でも試合は終わりだ。

何処か不完全燃焼気味でも終わりは終わり、ピットへと降りたってグラシュを脱ぐ。

 

「相変わらず不機嫌そうだねぇ」

「そうかよ」

「そんなに昔の女が忘れられないのかい?」

「ラウ、それ以上言うとメンブレンの膜ぶち破る勢いでぶっ飛ばすぞ」

「おぉ、怖い怖い」

 

そんじゃ一応メンテしとくねー、と俺の脱ぎ捨てるように置かれたグラシュを持っていく相棒を横目に俺は空を見上げるように地面に寝転がる。

 

昔の女が忘れられないとラウに言われるとどうしても思い出してしまう。

別にそういう関係でもなんでもないがそれでも俺は忘れられなかった。

 

綺麗だったんだ。

初めて他人が飛ぶ姿を本気で綺麗だと思った。

ただ最初は見蕩れていて、ラウにつつかれるまで見上げていた程彼女の飛び方は綺麗で何よりも楽しそうだった。

そんな彼女と飛ぶのが好きだった。

俺がどれだけスピードを付けてフェイントを掛けても喰らい付いてくるガッツ、ドッグファイトでも彼女は守りは硬く一筋縄ではなかった。

 

そして常勝無敗だった俺が初めてドローにまで持っていかれた相手だ。

 

障害物のない空を自由に真っ直ぐに飛んできた俺にとって彼女という存在は初めての壁だったという訳だ。

空を飛ぶのは嫌いじゃなくて大好きだけど、何よりも彼女と競い合っている時が何よりも楽しかった。

あぁ、本当に楽しかったんだ。

 

 

「ちくしょうが」

 

 

イラつく感情のままに壁を殴りつけて吐き捨てる。

唐突に現れて唐突に消えた、いや元の場所に帰ったと言うべきか。

簡易デバイスをポケットから出してそこから空中に投影されたのは1つの記事。

なんて事のない記事の1つで時空管理局がイメージupを狙って色々と特集を組んだりしたある局員の記事だ。

 

あのスカリエティというテロリストが起こしたテロで最前線で戦いそれを止めた英雄。

空中に投影されたディスプレイの中で自在に空を飛んで桃色の魔力光を撒き散らし砲撃を放っている彼女。

 

 

お前はどうしてそこにいるんだ?

 

 

届かない星へと手を伸ばすように。

俺は日が沈んだ空に浮かび上がるディスプレイを苛立ちと共に乱暴に書き消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――

 

 

 

 

フライングサーカス。

通称FC。

 

グラシュと呼ばれる専用のデバイスを用いて空を飛びポイントを競い合うスポーツ。

空を飛び競い合う様子がまるでサーカスをしているかのように鮮やかな事からフライングサーカスと名ずけられたらしい。

 

その派手で鮮やかなFCはミッドチルダだけでなく全次元世界において大人気のスポーツだ。

適正という狭き門さえ抜ければ空を飛べた、でも今はグラシュさえ使えば誰だって空を飛べる時代だ。

それでもグラシュを使えば反重力の膜を張り空を飛ぶ魔法しか使えなくなるので、適正持ちとは色々差別されているのは確かでもあるが。

 

グラシュ、正式名称アンチグラビトンシューズを履いて行うスポーツだ。

グラシュは履くことによって全身に反重力場を纏うことが出来、自由に空を飛ぶことが出来る靴もとい専用デバイスの事。

適正によって反重力の膜、メンブレンを感じる感度が違ったりもしてくるがほぼ全員がこのグラシュをつかえば空を飛ぶ事が出来る夢のようなデバイスだ。

 

それを使い空を飛び各ポイント4つに配置されているブイか対戦相手の背中をタッチする事でポイントを稼ぎ制限時間までにポイントが多かった方が勝ち、という全次元世界でも大人気のスポーツ。

 

誰もが空に魅せられその彼方に飛んでいった。

何処までも遠く、何処までも高く飛んでいく。

そうやって多くの人を魅力し、俺もその空に魅せられた人の1人だ。

あの頃は親に我儘言って買って貰ったグラシュで、誰かが呼びに来るまで日が沈んだ後でもずっと空を飛んでいた。

何よりも空を飛べることが楽しくて、嬉しくて堪らなかった。

それは今でも変わらない。

飛ぶのは楽しいし、嬉しい。

風を切る感覚も肌に張り付くメンブレンの感覚も全てが俺の中で切っても離せないぐらいに大切で大好きなものだ。

 

でも足りない。

FCを始めた頃は勝ち負けなんて興味なくてただ無限に続く空を誰かと飛べるのが楽しかったんだ。

それでもやるからには勝ちたかったから練習もしっかりとやっていたし、その成果が出て勝てた時は勿論飛び上がるぐらいには嬉しかった。

あと少し何か違えば負けていたかも知れない試合は何度もあったし、珍しい飛び方をしている人と飛んだ事もあった。

楽しくなかったなんて事なんてなくて、ドキドキしたし最高に楽しかったと言える。

でも違うんだ。

そうじゃない、あの時はこんなもんじゃなくてもっと熱くて熱くて、身体が、心がどうにかなってしまうぐらいの何かがあったんだ。

 

あの時感じた感覚は一体なんだったのか。

それが今でも身体が、心が覚えていて物足りなく感じてしまう。

 

アイツの楽しそうに飛ぶ姿。

俺のスピードにも喰らい付いてくる強さ。

 

本気で楽しかった。

もうこのままずっと飛んでいたいって思うぐらいに。

でも居なくなった。

アイツは俺の飛んでる空から居なくなって、正確に言えば元いた場所に帰って行ってしまった。

なんで、と思ったしこんなにも楽しいと思っていたのは俺だけだったのかと思うと悲しいよりも、裏切られたような気持ちになるようだった。

 

 

「あー、ちくしょう」

 

 

大体大会の次の日の目覚めは最悪だ。

夢の中でアイツが出てくるから。

いつもいつも変わらない楽しそうな笑顔を振りまいて空を飛ぶアイツが出てくるから。

辺りを見渡し散らかった床から簡易デバイスを取って起動すると時刻は既に昼過ぎだ。

まぁ休みの日はいつもこんなもんで空を飛んでいない俺はこの散らかった部屋のように自由な男だ。

 

憂鬱な気分になりながらデバイスを見ていると上の方に未読メッセージが来ているアイコンが付いているのに気が付いた。

ささっと操作してメッセージを開く。

メッセージの送り主は彼女、だなんて事はなく妹で内容は、今日はそっちに行くから夜は家にいてくれって事と、食材は作って欲しい物があるなら食材を買っといてくれという要約するとその2点。

 

相変わらず素っ気ないメッセージしてんなぁと思いつつ律儀に昔言っていたことを今でもしっかりと覚えてくれているんだなぁと若干嬉しくもある。

 

妹、と言っても血の繋がりはない。

いわゆるダチの忘れ形見で、ソイツから妹の話は散々聞かされていて何なら知り合ってもないのにスリーサイズが分かるレベルで妹の事に関して知っていたと思う。

そんな妹大好きでいつもふざけてるようなアイツがある日突然、自分に何かあれば妹を頼むだなんて真剣な顔して言うもんだから俺は分かったと流されるように頷いた訳だ。

 

そしてそれから程なくしてダチは死んだ。

 

親戚関係で色々とゴタゴタしていて、当時かなり参っていた妹そっちのけで誰が引き取るかの押し付け合いをしていたのを見てられずならばと俺が引き取った。

ダチとの約束もあったんだ、迷いはなかった。

ていの良い厄介払いが出来たと思ったのか親戚達からなんの文句も出ず、正直どうぞどうぞと言う空気まで出ていて吐き気がしたのを覚えている。

 

引き取ったのは良いがてんで心を開かない妹に俺もどうしたもんかと頭を悩ませた。

でも結局俺は何もしてやれなかった。

妹は俺が何もしなくても職場、管理局の仲間のおかげで立ち直ったんだ。

俺がしてやれた事なんて一緒にいる、家族の時間を大切にしようと思いどれだけ練習や大会が長引いたとしても必ず夕食までには家に帰り、一緒にご飯を食べるようにした事ぐらい。

 

俺達はもう家族だ、だから出来るだけ傍に居てやりたかったしやれる事は何でもしてやりたかった。

まぁ逝っちまったダチと同じ管理局に入りたいって言ってきた時はどうしようかと思ったが、その目が妹を頼むと言ってきたダチそっくりだったもんだから思わず頷いちまった。

全然似てないと思っていたがやっぱりアイツらは血が繋がってんだと思った。

 

そんで出した条件が家からまず管理局の学校を卒業するまで家から通う事、そして夕食は必ず一緒に食べる事。

 

そう言うと目を丸くしていたが、分かったと頷く妹はしっかりと俺の浅知恵で考えていた事なんて見抜いていたんだろうな。

それを今でこそ週一になったが守ろうとしてくれているからこそ、妹も俺を家族だと思ってくれているんだと思う。

俺はアイツの兄をちゃんとやれてはいないかも知れない。

でも帰る場所があるとそう思ってくれているだけで俺は十分だった。

 

 

「少し買い足しておくか」

 

 

めんどうだが冷蔵庫の中身を確認すると心もとなかったので買い出しに行く事に。

男の外出に掛かる準備なんてそれこそ一瞬で済む。

外出用の見苦しくない軽装に軽く身嗜みを整えて外に出る。

勿論靴はグラシュ、競技用ではないがそれでもラウに頼んで色々と融通を利かして貰っている特別なデバイスだ。

普通のグラシュであれば速度制限があるが俺のにはない。

ラウに言って外して貰ったからな。

 

何処でもグラシュで飛んで行ける訳ではなく、飛行禁止区域と停留所がありそこから飛んだり止まったりする訳だ。

 

住宅街は基本禁止区域だが少し抜ければ停留所があってそこから飛んで行ける。

昔、空を飛べるのはほんのひと握りの適正がある人間だけだったが今は違う。

誰だってこの無限に続く空を飛んでいける。

 

「空へ」

 

起動キーを言えばグラシュが反応し見えない反重力の膜が俺を覆い空へと飛び立つ。

一気に加速し上へと突き抜ける、余りスピード出し過ぎると怒られるので程々だがそれでもやはりメンブレンを通して全身に感じる風が心地いい。

 

俺は一応空戦の適正を持っている。

普通に飛べなくないのだが普通の飛行魔法はどうにも飛んでいると言う気持ちになれないのだ。

どうしても操作しているという感覚が大き過ぎて、飛んでいると言うよりも操っているに近い感覚。

飛ぶのに必要な感覚が第三者的な視点で自分を見て飛ぶ通常の飛行魔法。

 

でもグラシュによる飛行は違う。

反重力の膜を発生させ空を飛ぶグラシュでの飛行は通常の飛行とは違い感覚的な飛行となる。

身体全身を使うしメンブレン、反重力の膜の事なんだがそれを操り色々な軌道を取る事が可能になるのだが、感覚的な部分が大部分になる。

これは操作する、というよりも新しく自分に出来た器官を操るような感覚に近い。

それぐらいグラシュの飛行は感覚的な飛行なのだ。

通常飛行とは違い、疲労がダイレクトでやってくるがその感覚が空を飛んでいるんだと思わせてくれて俺は大好きだ。

 

普段空を飛んでいる空戦の魔導師でもグラシュでの飛行は慣れるまで振り回されるだなんて事はよく有る話で、誰だって最初は自由に飛べるって訳ではないのだが。

 

公園内にある停留所に降り立つ。

面倒臭いがここからは徒歩になる、人口密度が高くなる場所は基本的な飛行が禁止になっていてグラシュは使えない。

 

見上げれば誰かが飛んでいる、もうそんな時代だ。

この公園でもワイワイと楽しそうに子供たちが空を飛んでいるのが見える。

ああやって楽しそうに飛んでいる姿はこっちまで見ていて楽しくなってくるもんだ。

俺も昔はああやって何も考えないで自由に空を飛んでいたものだ。

そうやって空に憧れ、焦がれて。

そして今も飛んでいるんだ。

 

「きゃっ!?」

「おっ?」

 

空を見上げているもんだから前から来る人に気が付かなかったようで誰かとぶつかってしまった。

悪い、と条件反射で謝りながら前を見るとそこには赤くなった鼻を摩りながら俺を見上げる左右で色が違う瞳。

 

「あっ!ヴェントせん.......」

「ストップだ、よし落ち着け。おーけー、おーけー?落ち着いたな?分かったからそれ以上言うなよ?絶対だぞ?」

 

咄嗟に女の子の口を塞いだ俺の判断は英断だったと思う。

そう言えば俺、割と有名人だった事を忘れていた。

知名度が高いスポーツの王者なのだから当然っちゃ当然なのだが自分がそうだという自覚がどうにも。

こくこくと頷く金髪の小さな女の子、そっと抑えていた手を離す。

 

 

「ほんものだぁ」

「あー.......まぁ本物だ」

 

 

わぁ、と目をキラキラさせてじろじろとこっちを見てくる女の子に俺はたじろぐ。

あれほどラウにもバレるなって言われてたのにこれじゃまた怒られてしまう。

以前ちょっと外に出た時にファンの人に見つかってしまって、それを皮切りに次から次へと野次馬が出来てしまって管理局が出てくるぐらいの大惨事になってしまったことがある。

あれ以来ラウにキツく身バレだけはするなと言われていたのだがこれは不味いかもしれない。

 

 

「.......ん?どうしたいきなり辛気臭い顔して」

「ううん。なんでもないの」

 

 

あれほど目をキラキラさせていたというのに何かを思い出したかのように、打って変わってしゅんと落ち込む女の子にどうしたものかと目線を合わせるようにしゃがみ込む。

 

 

「子供が遠慮なんてしてんじゃねぇよ。ほら、言いたい事があるなら言ってみな」

「..............みんながね、私の事を殿下、殿下って呼ぶの」

 

 

落ち着くようにぽんぽんと頭を撫ででやりながらそう言うと、ぽつりぽつりと溢れ落とすように話し始めた。

 

「確かに私は殿下だよ?でもあの人達が言ってる殿下はきっと私の事じゃないの。ヴィヴィオはヴィヴィオなのに.......」

 

人に誰かを重ねるのは悪い事だとは言わない。

けれど今の女の子、ヴィヴィオのように本人を蔑ろにして自分じゃない誰かを見られているのは悲しい事だ。

結局そうやって見ているのは本人ではなく、そこを通して全く別の誰かを見ているのだから。

目尻に涙を溜めて俯く女の子。

 

俺は女の子、ヴィヴィオの頭に乗せた手で乱暴に髪の毛をわしゃわしゃと掻き乱す。

わーわー、と騒ぎ立てる女の子。

 

「取り敢えずその辛気臭い顔やめろ、見てるこっちまで気が滅入ってきやがる」

「か、髪の毛がぁ〜。せっかくママに綺麗にして貰ったのに」

「ははっ、悪かったって」

「絶対思ってない」

 

目線でいっちょ前に抗議してくるヴィヴィオ。

何となくその目線が反抗的だったのでまだ乗せてある手で再びわしゃわしゃする。

わーわー、と再び騒ぎ立てるヴィヴィオを盛大に笑ってやる。

 

「お前は殿下でもヴィヴィオなんだろ?なら、そうやってそいつらに言ってこい。伝えたい事は言葉に、形にしねぇと伝わんねぇからな」

「形に.......」

「そうだ。お前は自由に飛び立てる翼を持ってる。殿下だきゃなんだか知らねぇがそんな何かに縛られたままじゃ空も自由に飛べねぇ。いいか、ヴィヴィオ。俺達は翼は持っちゃいるが翼を使って羽ばたかないと飛べねぇし、ましてや鳥籠に入れられてちゃあ窮屈で仕方がない。だから.......」

「殿下っ!?」

 

突然大きな声でそう聞こえてきたもんだからか、ヴィヴィオはビクッと身体を跳ね上げ素早く俺の後ろに隠れるように顔を出す。

声がした方向を見ればシスターや騎士だろうか、そんな奴らが6人程俺を、いやヴィヴィオを見ていた。

 

「殿下探しましたよ。さぁ帰りましょう」

 

おい、俺の事は無視かよ。

 

「.......やだ、帰りたくない」

「我儘言わないで下さい。貴方は殿下で大切なお方なのです、さぁ行きましょう」

 

殿下、そう言われたヴィヴィオは俺の服をキュッと力強く握り締める。

なるほど。

これは逃げ出したくもなるわけだ。

それぞれ立場というのは存在するし、役割だってある。

社会に出て何もかもが自分の思い通りになるわけじゃないのは嫌という程分かっているし、そうやって大人になっていくにつれて色々なしがらみが糸のように絡まって自由を奪っていく。

 

でもだからと言ってまだこんな小さなガキの自由に飛んでいける翼さえも奪っていい理由になるのか?

 

 

「なぁヴィヴィオ。空、飛んでみたくないか?」

「えっ?」

「お前.......」

 

俺のしようとしている事を察してかデバイスを取り出す。

それを見てヴィヴィオは不安そうに俺を見上げるが俺は務めて冷静に柔らかくヴィヴィオに問掛ける。

 

「空を見てみろよ。あの無限に続く彼方まで行ってみたくないか?」

「.......でも」

「お前が飛び出さないと何も変わんねぇよ。俺は王子様じゃない、そこからお前自身で飛び出すんだ」

「私は.......」

 

俺は決して誰かを助ける王子様でもヒーローでもない。

でも誰かの代わりに空へと飛び立つ手助けをする翼には成りたいと思う。

この空には色々なものがあるから、こんなちっぽけな世界で満足して欲しくないから。

もっともっと、すげぇもんがあるんだって皆に知って欲しいから。

 

だからもっと彼方へ。

 

「私を空へ連れてって!」

「よく言った!」

「くっ、取り押さえろ!」

 

 

俺の伸ばした手をヴィヴィオは掴み取った。

ヴィヴィオは飛び出したんだ。

ならば次は俺が飛ぶ番だ。

デバイスを起動しセットアップする騎士やシスターにも目もくれず、俺は大きく息を吸い込み叫んだ。

 

「空へ!」

 

 

 

 

 

 

 




主人公
カナライ ヴェント
飛ぶことしか脳がない奴。
今回は幼女を拉致。

ラウラ アヴァロン
主人公のセコンドにして相棒、そして幼なじみ。
緑の長い綺麗な髪がチャームポイントなボクっ娘。
蒼かなのあの人とは全く関係ないよ、ホントだよ。
主人公の作中最大の幸運は彼女と幼なじみだったことで早期にスポンサーがついたこと。

高町 ヴィヴィオ
凄まじいヒロイン力にエピローグにてヒロインムーヴを決め込んだ幼女。
今作の彼女は少しアグレッシブです。
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