ドラクエは5か6までしかしていません   作:send

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慣れない事をした

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 魔物を忌避していそうな場所なのでゆっくり姫様と王と待っていようかと思ったのだが、昼食を取ってエイトさん達を見送った後、数分と経たず王がそわそわし始めた。

 

「わしがこのような姿でなければすぐに話を聞き出せようものを……」

「もう少しすれば戻って来ますよ。それまで錬金の候補について考えてみませんか?」

「む。それもそうじゃな。リツは次のものを考えておるのか?」

 

 とりあえず誤魔化せた。さすがにこの中へ王を突撃させるわけにはいかない。宗教は人の拠り所であるのと同時に異物に対して過敏反応を起こしやすいものだ。そうではないものもあるとは思うが、用心に越したことはない。

 

「さしあたり、やくそう系のものを試してはどうかと考えています。まずは今試している上やくそう同士の掛け合わせで出来るものをもう一度同じものと掛け合わせて、後は毒消し草同士、まんげつ草同士をやってみてはどうでしょう?

 他にも掛け合わせ方はいろいろとありますが……パターンを書きだしておきましょうか。駄目なら駄目で書き記しておけば同じ事は繰り返さないでしょう」

「おお、それは良い考えじゃ。しかし他には無いのか? もっとすごいものは」

 

 すごいって一言で言われてもな。やくそうとやくそうで上やくそうが出来るだけでも相当すごいのだが……製造工程説明しても納得しないだろうなぁ。

 

「すごいものですか……」

 

 道具系ですごいものとか言われたら世界樹のしずくとか、世界樹の葉とかだろうか。あんなものがやくそうから出来るとは思えないので、このままやくそうを錬金していれば出来ますよとは言えない。

 そもそも錬金自体、どのような力が働いているのか全くわからない。等価交換で有名な錬金で考えるならば、分子レベルで分解再構築していると考えると上やくそうがやくそう二つで出来るという事実が不自然だ。分解再構成するならやくそう一つで上やくそう一つが出来上がる。下処理で薬効となる物質を変化させるのだが、それを強制的に錬金でやってしまえばいいだけだ。だが、現実にはやくそう二つで上やくそう一つ。全く解らない。今回は上位の品が出来上がったが、場合によっては下位の品が出来上がる事もあるだろう。

 

「まぁ釜の大きさは決まっていますから、あまり大きなものは出来ないでしょうね」

 

 すごいものが思いつかなかったので話をすり替えると、王は胸を張った。

 

「見くびってもらっては困る。この錬金釜は見た目以上のものが入るんじゃ。大きな剣でも入ったと聞いておるし、鎧も出来たと聞いておる」

「剣ですか……」

 

 それって出来上がった時、やくそうの時みたいに飛び出てくるのだろうか。そうだったら、めちゃくちゃ危ない。今度から鍋の蓋でも構えて開けるようにしよう。そういう事は先に説明してほしい。

 

「消耗品だけでなく武具も可能となるとかなり入れるものが広がりますね」

「そうじゃろそうじゃろ。何せトロデーンの宝の一つであるからな」

 

 金品だけでなく、あの釜も盗まれないように一応注意しよう。アノ形状の釜を好んで持って行く物好きは少ないと思うが。

 

「他にどんなものが出来たかご存知ですか?」

「他か? そうじゃな……女神の加護を受けた装飾品も出来たと聞いておる」

「女神の加護ですか。それはすごそうですね」

「うむ。戦いに役立つ道具も出来たようじゃ」

 

 エイトさん達の助けになるなら頑張りたいところだが、一つずつ組み合わせを検証して錬金のパターンを組み立てないと出来上がるものを予測できない。

 今の所の推測はやくそうからやくそう系が出来たことから同種系統の物が出来上がるのではないか、といったところ。武器防具も出来るなら、それは武器、防具から生まれる可能性が高いのではないだろうか。

 考えながらメモ帳代わりに使っている紙の束に推論を並べていく。間違っていたら斜線を引いて再度考察だ。

 あーでもないこうでもないと、王と組み合わせを考えているとエイトさん達がようやく戻ってきた。

 

「もう何よあれ!」

 

 何故かゼシカさんが半ギレなのだが、一体中で何があったんだろうか。

 

「まったくでげす!」

 

 ヤンガスさんも怒ってた。状況説明を求めてエイトさんを見ると困った顔をしてドニの町に行こうと言われた。道中説明するという事だな? 了解だ。

 修道院から離れると、ずんずん前を行くゼシカさんとヤンガスさんに聞こえないよう、エイトさんがこそっと教えてくれた。

 

「実はゼシカもヤンガスも中で注意されちゃって」

「注意?」

「神聖なる祭壇に土足で上がるとは何事かって」

「上がっちゃったんですか?」

「いえ、話を聞こうと近づいたら注意されてしまって」

「なるほど……ちょっと厳格なところなのかな」

「そうみたいです。トロデーンの教会よりも厳しい感じがしました。奥は警備も厳重みたいで城よりも厳しいかもしれないです」

「城よりって……それは流石に言い過ぎじゃないですか?」

 

 無いだろうと思って言ったら、いやいやと手を振られた。

 

「騎士団の人に話を聞こうとしただけで追い払われたので」

「話を聞こうとしただけで?」

「はい。取り付く島もないという感じでした。邪魔したこちらも悪かったので仕方ないですけど、実力行使で追い払われかけたのでヤンガスがいきり立ってしまって慌てて引き返したんです」

「ははは……それはまた、ご苦労さまでした」

「リツさんは陛下と何を話していたんです?」

「錬金の事を。何が出来るのかとあれこれ話していました」

「あぁ押し付けちゃいましたが大丈夫そうですね」

「押し付けた自覚はあるんですね」

 

 じと目で見つめたら目を逸らされた。

 

「錬金自体は面白いと思いますが……その、陛下がその気になっているので僕の手には負えないかなぁ……と」

 

 横にずれて後ろから馬車の御者台に居る王を覗いてみると、さっき書いたメモ帳代わりの紙を捲ってみてはニヤニヤしている姿があった。そっと元の位置に戻ると『ね?』と言わんばかりのエイトさんの顔。その爽やかな顔が小憎たらしかったので笑みを浮かべてサムズアップ。

 

「出来たものはエイトさんに処分してもらいますから」

「え! ちょっ!?」

「ほらほら騒いだら気付かれますよ。それより日も暮れてきましたから先を急ぎましょう」

「行きますけど………えー……」

 

 後ろで悲愴な顔になっているエイトさんに満足。

 足取り軽く進むと少し坂になった先に町の姿が見えた。坂下の立札には『巡礼さんようこそ。ここは宿場町ドニです』とあった。固く訳したが、雰囲気的には『巡礼さんいらっしゃ~い』という感じだ。ゆるい。田舎の山にある手書き立札並みに書き方がゆるい。

 こちらにもこういう立札あるんだなぁと思いながら町に入る。自然の壁に守られた場所に家屋が建てられたような町で、リーザスとは趣が異なる。畑とか家畜の姿があんまり見えないのは宿場町として生計を立てているからであろう。

 

「ドニの町は山ん中のちっぽけな町でげすが、酒場はけっこういい感じなんでがす」

 

 だだだっと一番大きな建物に走って行くヤンガスさん。扉の前でくるりと振り返って手を振っているが、残念ながらそこは宿では無い。王まで行きたそうにしているが、それは阻止させて頂く。

 

「陛下、姫様もお疲れかと思います。先に宿を取りましょう」

 

 王の横に張り付いて視線を宿へと誘導、ついでにエイトさんへ目配せしてヤンガスさんの方を見てもらう事にする。

 

「ゼシカさんはどうします? この町の人に話を聞くならヤンガスさんと一緒に行った方がいいと思いますが」

「そうね、そうするわ」

 

 ではゼシカさんの事もよろしくとエイトさんに頷いて、こちらは王を抱えて宿へと入る。一声かけてから抱えたが、居心地悪そうだ。

 

「のうリツ、抱える必要はないんじゃないのか?」

「対策はやってやり過ぎという事はあまりありません」

 

 軽い抗議は受け流して入ってすぐのカウンターで固まっている男性に声を掛ける。

 

「こんばんわ」

「こ、こんばんわ……」

「宿に泊まりたいのですが、部屋は空いていますか?」

「部屋……」

 

 視線が王に固定されてしまっているので、苦笑しながら慣れてきた遣り取りをして、無事に部屋を借りる事が出来た。姫様も隣の小屋に入ってもらったが、ずっと王が一緒に付いてきて意味ありげな視線を寄越してくる。

 仕方ないかと諦め、姫様にこそっと王に息抜きをさせてくると言ってヤンガスさん達が入った建物へと連れて行く。

 

「ん? なんじゃ騒がしいな」

「酒場のようですから――」

 

 ね。と、繋げられなかった。

 扉を開けたら椅子が吹っ飛んで皿が吹っ飛んでテーブルまで吹っ飛んでいた。吹っ飛ばしているのが柄の悪い男達と、ヤンガスさん。だった。

 をいをいをい。何やってんだと思った矢先、奥でゼシカさんがメラをぶっ放そうとしているのが見えて咄嗟にマホトーンを唱える。

 ゼシカさんの手の中に生まれた火が掻き消えてホッとしたが、見知らぬ青年がゼシカさんの腕を掴んで裏口に行こうとしたので慌てて飛び交う物品を避けて追いかける。と、エイトさんまで連れて行かれている。何やってんだあんたまでと思いながら裏口を出ると、勢いよく出たせいかゼシカさんエイトさん見知らぬ青年に注目されてしまった。

 とりあえずその視線を無視してゼシカさんに近づき、その腕を掴んでいる青年の腕を掴む。

 

「状況がわからないのですが、とりあえずこの手を離していただけますか」

 

 青年は目を瞬かせ、すんなりとゼシカさんの腕を離してくれた。

 

「あんたら何なんだ? ここらへんじゃ見かけない顔だが……。ま、いいや。とりあえずイカサマがバレずに済んだ。一応礼を言っとくか」

 

 軽い調子でエイトさんに握手をして、青年はひらりと腰までのマントを翻した。途端、そこからバサバサとカードがいくつも落ちてきた。

 

「あんまりいいカモだったから、ついやり過ぎちまった。おっと、グズグズしてたらあいつらに見つかっちまう」

 

 言って去ろうとした青年だったが、何かに気付いたように振り返ってゼシカさんをじろじろと見始めた。それはセクハラだろと思って横にずれてゼシカさんを背に隠す。今度ゼシカさんには普通の服を買ってもらおう。などと考えていると私もじろじろと見られていた。

 

「……何か」

 

 後ろに隠した筈のゼシカさんが、今度は私を引っ張って背に隠した。庇われたようだが……あの、今貴女マホトーン掛けられて魔法使えないから危ないんですよ。と、思っても不利になる情報なので言うに言えない。

 

「オレのせいで怪我をさせてないか心配でね。大丈夫かい?」

「あいにく平気よ。じろじろ見ないでくれる?」

 

 青年は肩を竦めグローブを取ると指から指輪を抜き取った。

 

「助けてもらったお礼と今日の出会いの記念に」

 

 ゼシカさんの手を取り指に――嵌めず、持たせた。流石にそれは無かったか。

 

「オレの名前はククール。マイエラ修道院に住んでる」

 

 ゼシカさんは即行手を振り払ったが、青年は気にした風もなくグローブを戻している。

 

「その指輪を見せればオレに会える。……会いに来てくれるよな?」

 

 いやぁ、ゼシカさん相当嫌そうな顔をしているのでそれは無いかと。

 

「じゃ、また。マイエラ修道院のククールだ。そちらのお嬢さんも忘れないでくれよ!」

 

 スチャっと手で華麗な挨拶をして行ってしまった。

 マイエラ修道院に住んでいるという事は修道士になるのだろうか。それにしては剣を腰に佩いていたりと様相がそれらしくない。

 

「もう、リツは前に出ちゃダメよ」

「え?」

「あんな軽薄な男に近づいちゃダメ。危ないわ」

「えっと……どうもすみません」

 

 どちらかというとゼシカさんの方が危ないと思うのだが。まぁそれは済んだ事なのでよしとして、触るのも嫌だと言わんばかりにエイトさんに指輪を押し付けているゼシカさんを見ると本気で嫌がっていたんだなと思った。

 わりと見た目が整っている青年だったのでモテるだろうと思っただけに、この反応は面白い。面白いといえばあの青年のキザと呼ぶに相応しい仕草も面白かった。あんな如何にもという言動を取る人が本当に居るとは。世の中奥が深い。

 

「おぉ~い! 兄貴! ここにいたんでげすか!? ずいぶん探しましたでがす。あいつらこてんぱんにとっちめてやりましたでがす。へへへっ」

 

 建物をまわり込んで来たらしいヤンガスさんが駆け寄ってきて自慢げにエイトさんに結果報告をし始めた。エイトさんは相変わらず乾いた笑いを浮かべてこっちに視線を寄越してくるが、私は何があったのか経緯も何も知らないので口の出しようが無い。というのは嘘で、大方あの青年がカードゲームでイカサマをやったとばっちりを受けたのだろうと推測はしているが、でもまぁ褒めて褒めてと言わんばかりに報告しているヤンガスさんの対応はやっぱりエイトさんがやるべきだろう。

 

「エイト! そんな指輪受け取っちゃダメ。マイエラ修道院まで行ってあのケーハク男に叩きかえしてやるんだから!」

 

 ゼシカさんからもせっつかれて、エイトさんの顔が引き攣り始めた。両方から畳みかけられたら流石に対処出来ないようだ。仕方が無い。

 

「何があったのか、宿に戻ってからゆっくり聞かせてもらえますか?」

「はい! そうしましょう!」

 

 助け舟にすぐに乗ってきたエイトさんに笑いが出る。

 

「ちょっと、そんなものいつまでも持っていたくないわ! 早く叩きかえしましょ!」

「ゼシカさん、夜も更けてきましたから明日の朝にお願い出来ませんか? なるべくなら安全に休めるところで休みたいんです」

 

 真面目な顔でお願いすると、ゼシカさんは言葉に詰まりしぶしぶという顔で唸った。

 

「…わかったわ………でも、朝になったらすぐに行くわよ!」

「はい」

 

 ドスドス地面を踏みつけながら宿に向かうゼシカさんにヤンガスさんが「何があったんでげす?」と首を傾げている。エイトさんは押し付けられた指輪を見て溜息をついていた。

 

「私も何が何だかなんですよね。陛下とお店に入った途端椅子が飛んで……あ」

 

 王を忘れてた!!

 

「エイトさん、先に行ってください。陛下を回収していきます」

「回収って……」

 

 エイトさんが何やら呟いているが無視。最近王の扱いが雑になっている自覚はあるが、あの人は周りへの影響を考えずに突っ走る事が多いのでいい加減こっちも疲れてくる。多少雑になっても自業自得だと言いたい。というか、一度怒られるのを覚悟で話し合いをするか?

 表に回ってお店を覗くとカウンターの端っこでグラスを傾けている姿があった。バーテンは王を凝視しているので、さっさと抱えて宿へと戻る。

 店を出る時にちらっと見たが、物品がかなり壊れていた。あれをヤンガスさんがやったのなら幾らか請求されるかもしれない。安全なところで宿は取りたいが払えない額を言われたら是非とも逃げたい。ヤンガスさんとも話し合いをするか。

 

「リツ、わしはまだ飲み足りんのじゃ!」

 

 王のストレス発散したいという気持ちもわかるが、容姿の自覚だけはしてほしい。ヤンガスさんよりもこっちの方が危険度が高いかと判断し、私は人気のない道に王を降ろし膝を折って視線を合わせた。

 

「陛下。陛下はトロデーンの王でございますね?」

「う、うむ」

 

 唐突に態度を改めた私に王は面食らったように頷いた。

 

「では今もトロデーンの民が茨に囚われている事実をお忘れではありませんね?」

「もちろんじゃ!」

「それでは陛下がその姿を見咎められ、捕らえられ、魔物と断じられてしまったら、誰がトロデーンの民を助けるのですか?」

「このわしを捕まえるじゃと!?」

「客観的に判断して、その姿を『普通』だと陛下はお思いでございますか。もしそうお考えであれば、私は姫様を連れて陛下から離れます」

 

 ぎょっとしたように王は目を見開いた。

 

「人は未知のものや、自分よりも強いものに恐れを抱きます。ですから陛下の姿を見て恐怖するのは生存本能を持つものとして仕方のない事だと私は考えています。それを責めたてたところで陛下の姿が元に戻るというわけでも、周囲の見る目が変わるわけでもありません。であれば、陛下自身がそれを自覚し行動しなければ余計な時間を取られます。時間ばかりか、場合によっては私達を含め命を取られかねません。そうなったら誰がトロデーンの民を助けるのですか。

 何の被害も受けなかった私がこのような事を言っては気に障ると思いますが、言わせていただきます。

 トロデ王。あなたはトロデーンの民の事を本当にお考えですか?」

 

 ぱかーんと口を開けて目を見開いていた王は、やがて身体をぶるぶるとふるわせてキッと私を睨みつけた。

 

「馬鹿にするでない! わしはトロデーンの王じゃ! トロデーンの民を助けるのはこのわしに決まっておろう!」

「それはトロデ王一人で為し得る事ですか?」

「なっ……」

 

 今度こそ王は言葉を無くして固まった。

 元々命令する事が仕事だという人に、酷な事を言っている自覚はある。が、もし私が抜けてしまうような事があってもエイトさんに負荷が集中するような温床は残しておきたくない。あの青年は真面目だ。命じられれば困りながらも受けてしまうだろう。

 

「トロデ王は指示をする側の人ですから、エイトさんに指示する事は自然な事だと思います。ですが今は人が極端に足りない状況なのです。希望全てをエイトさんに命じてはエイトさんが潰れてしまいかねません。それをどうかご理解いただきたいのです。

 ドルマゲスの事に関して私は然程お役に立てる事がありませんが、お酒を嗜みたいと言われるのであれば出来る限りお供致しますし、それ以外でもなるべく希望に添えるよう致します。ただ、それが叶わない時はご自重ください」

 

 抑えた声で、高圧的にならないよう注意しながらゆっくりと話す。内容が既に気に障るであろう内容なので無駄かもしれないが。

 じっと目を見て話していると、王は目を伏せ肩を落とした。

 

「……そうじゃな………今のわしに付いて来てくれるエイトには礼を言わねばならんな。お主にも……」

「私に礼は不要です。私はトロデ王がトロデーンの王として民を助ける為に行動されるのであれば、私の目的である恩人の薬師を助ける事にもつながるので、利害一致と判断して付いてきているだけです。もし、トロデ王が民を見捨てるような言動を取られれば、私は私の目的のために動く。ただそれだけの事です」

 

 本当はエイトさんも恩人なので、エイトさんの役に立ちたいとも思っているがそれはここでは伏せておく。果たして私がどれだけ枷になれるのかは不明だが、多少なりともなってくれれば幸いだ。

 

「はぁ……お主には敵わんな。もしやどこかの国に仕えておったのではないのか? こうも説教されるとは…」

「無礼な物言いをして申し訳ございませんでした」

「いや、もう構わぬ。お主に言われると腹が立つよりも自分が情けなくなってきたわい……わしも出来る事をせねばならんな」

 

 神妙な顔をして呟いた王の姿は、城から町の様子を見ていたあの時の姿と似ていた。

 説教と捉えてくれたのなら一先ず成功だろう。これで収まってくれればいいがと思いながら、王を宿へと促した。

 あー……めちゃくちゃ冷や汗掻いた。

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