※☆で視点が変わります
「…………」
「紫ー、そろそろ決まったかー?」
「まだだからもう少し藍をモフっておきなさい」
「うむ」
少女の名前を決め始めて早数時間が経過していた。始めは二人霊峰でうんうんと唸っていたのだが、紫が寒いと言い出したので仕方なく紫の家に上がり込んだのだ。後少女が藍と言う九尾の尻尾に埋もれてるかと言えば、簡単に言うと「名は体を表す」である。自分で付けた名前よりも他人に付けてもらった名前の方が良いと少女が思ったからだ。紫自身もそれに反対するつもりはなく、ちゃぶ台に肘を立てて一人物思いに浸っているのだ。
「うーむ、お主の尻尾は柔らかいのぅ、妾のとは大違いじゃ」
「それはもう十四回程聞きました、何時までこうしてるつもりなんですか…」
「だってお主の尻尾をモフモフする以外にすることないじゃんか此処」
「いや、私にも仕事があるので…尻尾を触られながらだと集中できなくて…」
「それは仕方ないな…紫ー!何か退屈しのぎになりそうな物はないかー?」
「日向ぼっこでもしてなさい、寝てしまってもそれはそれで時間潰しになるわよ」
「それ名案、妾陽に当たってくるわ。九尾よ、感謝するぞ」
「紫様の命令なので、お気になさらず」
紫からの提案に少女は嬉々として頷き、縁側へトタトタ走っていった。こうして少女から開放された藍は、紫がいる場所とは別の場所に向かった。大方紫がいてはおちおち集中して仕事が出来ないからだろう。紫は変わらず肘を立てて考え込んでいる。
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☆
思いっ切り引き上げられる様な感覚と共に、妾の意識が覚醒する。おそらく日向ぼっこをしていたらそのまま寝てしまったのだろう。ならば今は縁側にいるはずだが…
(柔かい…何かの上に乗っておる?それにさっきから誰かが妾を撫でておるし…)
まぁ、何はともあれ目を開けてみなければ分からない。急な光に目をやられないように、妾はゆっくりと目を開けた。
「ん…」
「あら、ようやく起きたのね。もう名前決め終わっちゃったわよ」
「おぉう!?紫、何をしておるのじゃ?!」
「何って膝枕よ、ひ・ざ・ま・く・ら」
「いやそうじゃなくて………やっぱええわ」
理由を聞いてもはぐらかされるだけじゃろうし、と妾が付け足すと、紫はそう言うと思ってたと言わんばかりに笑みを浮かべる。こういうとこがあるから妾あんまり紫が好きじゃない。
「して、どの様な名になったのじゃ?」
「今から言うわ…貴方の名前は、
「ふむ…妾は文字の事は余り存じないが良い響きじゃ、気に入ったぞ」
「そう言ってもらえて幸いよ」
「うむ、妾の為に時間を割いてくれたこと、感謝するぞ」
「そんなにかしこまらなくて良いわよ、帰りはそこのスキマからね」
「またの、紫」
「またね、
紫と挨拶を交わした後に、気味の悪い隙間に入って霊峰に帰る。最後に呼んでくれた妾の名前は、とても心地よく感じた。
主人公ちゃんの名前は、「天津風披靡」で決まりました。天津はアマツマガツチから取って天津(某1000%社長は関係ありません)、風は披靡だけじゃ何か物足りなかったので増やしました。名字と合わせるとかの名句にも使われた天津風になって、「空高く、天を吹く風」という意味になります。アマツマガツチが上空で嵐を纏いながら飛ぶ姿にも合致しますね。披靡は、「草木が風に吹かれてなびき伏すこと」で、まぁ言葉の通りです。名前は最初神奈備をもじろうとしたのですが、それだと神奈子様とモチーフがダダ被りな上に余りいいのが思いつかなかったので風に関連したワードをチョイスしました。蛇足ですが天高くにある高天原に住む神のことを天津神と言います。
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