「──これ以上続けても意味が無いのではないかしら」
「っ」
「お、おいルイ……」
「事実を言ったまでよ」
そう言いながらるいさんは楽器を下ろす。
「どうするの。まだ続けるのかしら」
私の方に視線を──いや、きっと向けているだろう視線を私は目を逸らすように俯きながら首を横に振る。
「……そう。それじゃあ今日は解散ね」
「え、え……?」
淡々と事が進むのに着いていけてないつくしちゃんの慌てる声が聞こえる。「それじゃ」 と短く聞こえると同時に部屋の扉が開き、閉まる音が後に聞こえ、るいさんがアトリエから出ていった事が分かった。
アトリエに残されたのは私、つくしちゃん、透子ちゃん、七深ちゃんの四人。るいさんの行動に驚いているが、そんな中で透子ちゃんが続けて口を開いた。
「悪いなシロ、本当はシロをかばいたいんだが……今回はあたしもルイと同意見だ。今のシロは練習しない方いいと思う。……練習は調子が戻ってからにした方がいい。……ふーすけもそう思うだろ?」
「え、あ……う、うん……」
「そういう事だ。それじゃあなシロ。……柄じゃないけど、早く元気になれよ! 何か出来ることがあるなら手伝うからさ!」
「あ、ありがと透子ちゃん」
そう言い透子ちゃんもアトリエから出る。
「ごめんねみんな……」
「ましろちゃん……」
「私の、私のせいで……っ」
涙が滲む。後悔だけが胸に広がる。謝罪の言葉しか思い浮かばない。
天から突き落とされた気分だった。今まで夢幻に過ぎなかったんだ。私なんかが浮かれていたから、何も持たない私が浮かれていたから罰が下ったんだ。
「──ましろちゃん、柊くんなんだけどね」
つくしちゃんが何か言ってる。
……柊くんがどうしたのだろう。なんでつくしちゃんが柊くんについて話すのだろう。こんな、こんなタイミングで。
「あの時の柊くんはきっと何か考えて──」
その時、何かが私に触れた感じがした。
「つくしちゃんに柊くんの何が分かるの!?」
「ひっ……。ま、ましろちゃ……」
駄目だ。
「あの時柊くんは私を拒絶したの! 変わったから、変わっちゃったから! 柊くんの期待に応えれなかったから……!」
止まらない。
「それを知ったような口で話さ──」
「──しろちゃん!!」
「ぁ」
ななみちゃんに手を捕まれ我に返る。顔を上げた先には、珍しく怒りっぽい顔をした七深ちゃんと目を丸くするつくしちゃん。
「……一回落ち着いてしろちゃん。ここで声を上げても良い事は起きないよ」
ななみちゃんに目を合わせられる。まるで何かを見透かされているかの様な不思議な感覚。
ゆっくりと握っていた手を離す。手が離れると私はフラフラと背後の壁に寄りかかる。
「ま、ましろちゃん」
「…………」
……なんだろう。どうすればいいんだろう。
心配そうに私を見下ろす二人。何かを失った私はただただ困惑するのだった。