[完結済み] この素晴らしい田舎生活に祝福を!   作:Rabbit Queen

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四話です。

田舎生活にも慣れてきたカズマさん。

れんげ、一穂、このみと知り合いを増やしていく彼にまたもや新たな出会いが……?




ちなみにこの作品、作中にも書かれてますが時期は夏休み入った頃です。


この大人な妖精に溢れ出る魅力を!

 

 長い道のり。見渡す限りの田んぼ。

 雲ひとつ無い空。道路を歩く牛。

 この田舎生活も、俺の日常となってきた。

 

 そんなある日のこと。

 

 いつも通り宮内家に向かおうとしていた俺は、長く続く道の先に見慣れない少女を見つけるのだった。

 

 

 「うぅ、なんでこんなところで転ぶかなぁ……蛍の家に行かないといけないのに、これじゃ行けないよぉ……」

 

 道端に座り込んでいる少女は膝を抱えていた。

 どうやら転んで怪我をしたらしい。

 大変だ。

 俺は少女に駆け寄った。

 

 「お嬢ちゃん?どうしたんだい?」

 

 「ちょっと転んじゃって……って、あれ?」

 

 少女は俺を見るなり何かに気付き、そして言った。

 

 「このみちゃんの彼氏さんだ!!」

 

 「おっふ」

 

 まさかの発言に、俺は変な声を出した。……え?彼氏?本当に?

 いやまぁ?そう思ってた事は間違いではないけど?

 そ、そうか。やっぱり、周りからはそう見られていたのか!

 

 つ、遂に!この俺にも彼女がっ!!

 

 ついつい嬉しさで高笑いしようと思ったけど、紳士な俺は自分を落ち着かせクールに対応した。

 

 「えっと、君はこのみさんを知っているのかな?」

 

 「知ってるも何も、このみちゃんの隣の家が私の家なので……」

 

 このみんの隣の家?はて、どこかで聞いたことあるような……なんだったっけ?

 いやでも、そうすると俺がこのみんの家に入った事も知っているのでは?

 

 困っちゃうなぁ。これ以上噂されたら困っちゃうなぁ!

 

 「ふふふ、これがリア充か……っ!」

 

 「え?」

 

 「あぁいや、なんでも!なんでもないよ!」

 

 危うく暴走するところだった。

 クールになれ、平常心平常心。

 

 「いたたっ……」

 

 「怪我、結構痛いのか?」

 

 「あ、はい。あ、でも!大丈夫です!私も大人ですから!」

 

 「ん?」

 

 はて?大人と言ったか?

 俺の目の前に居る少女はどうみても小学生。

 れんげちゃんよりちょっと上かな?くらいと思っているのだが……

 見た目が幼いだけで実際は大人か?

 いやしかし、うーむ……ちょっと聞いてみるか。

 

 「え、えーと、いきなりだけど君って年齢は……?」

 

 「なっ!急に女性に歳を聞くなんて失礼ですよ!」

 

 「ご、ごめんなさい!その、とっても素敵な大人の女性に見えたので……」

 

 「お、大人の女性!?」

 

 彼女はその言葉を聞くと驚き、勢い余って立ち上がる。

 そして痛みが遅れてやってきては、再びその場にしゃがみ込んだ。

 

 「いたたた……」

 

 「だ、大丈夫ですか?」

 

 「大丈夫です……多分……そ、それより!私!大人の女性に見えますか!?」

 

 「え?あぁまぁ……見えるんじゃないかなぁー」

 

 本人が大人って言ってるし、そうなんだろう。

 見た目はアレだけど……。

 

 「わぁ……っ!夏海やこのみちゃんにいっつもバカにされてるけど、やっぱり分かる人にはわかるんですね!」

 

 「うぇ?そ、そうだね!俺からしたらそりゃもう立派な女性だよ!」

 

 「そっかそっかー♪でも参っちゃうなぁー!中学生の時点で大人の魅力溢れ出しちゃって大丈夫かなー♪」

 

 

 

 「はい?」

 

 「え?」

 

 

 あれ?今この子なんと言った?

 中学生?大人ではなく?

 あれれ?

 

 「一回整理しよう」

 

 「え?な、何をですか?」

 

 「まず君は大人の女性なんだよね?」

 

 「そうですよ!」フンス

 

 「実年齢は?」

 

 「14ですけど」

 

 「大人の女性?」

 

 「大人の女性です!」フンス

 

 「……」

 

 「ふふん」フンスフンス

 

 

 

 「子供じゃねぇか!!!!」

 

 「ふぇ!?」

 

 

 おかしいと思ったんだよ!なんか話し噛み合わないなって思ったんだよ!

 あれか?俺は子供相手に大人の女性だー!なんて褒めてたのか?

 こんな小さな子供を?大人だと担ぎ上げて?

 こ、こんなの他の人が見たら間違いなく……

 

 

 「変態じゃねぇか!!!!」

 

 「へんたい!?」

 

 

 正直小学生だと思ってたから中学生と聞いて更に驚きだわ!!

 いやでも待てよ?今この場には俺たち以外誰も居ないし、この子に他の人に言わないように秘密にしてもらえばいいんじゃね?そうすれば誰にもバレないし。変に誤解もされない!よしこの手で行こう!

 

 「えーと……あれ、君の名前なんだっけ?」

 

 「え?越谷小鞠ですけど……」

 

 「そうかそうか、越谷小鞠ちゃん……って、あれ?君もしかして夏海ちゃんの、えーと、い、お、お姉さんかな?」

 

 「そうですけど、夏海の事知ってるんですか?」

 

 「このみさんから聞いていてね。そっかそっか、小鞠ちゃんね。俺は佐藤和真。よろしく!」

 

 「あ、はい。宜しくおねがいします……」

 

 「それでね小鞠ちゃん。君が大人の女性だってことは俺は分かってるけど、小鞠ちゃんの言う通り分かる人にしかわからないんだよ」

 

 「そ、そうなんですか?」

 

 「うんうん!このみさんも夏海ちゃんも本当は小鞠ちゃんが大人の女性だってこと分かってるんだよ。でもね、分かる人ってのはあまり口に出さないもんなんだ」

 

 「え、な、何でですか?」

 

 「ふ、それが……大人だからだよ」

 

 「はっ!?」

 

 

 そうだったんだ……そう呟く小鞠ちゃん。

 

 

 よっしこれでなんとかなる!!騙されやすい子でよかった!!

 

 

 

 

 

 

 「あ、あの、本当にいいんですか?」

 

 「大丈夫大丈夫。おんぶするのも慣れてるから」

 

 そんなこんなで、転んで怪我をしていた少女越谷小鞠に出会った俺は、このままでは放っておけないので彼女をおんぶして家に送り届けることにした。

 そんなの悪いです!って最初は断られたけど、流石にそのままにするのも気が引けたし。

 

 「しかし軽いなぁ。ちゃんと食べてる?」

 

 「た、食べてますよ!ただその、成長しないだけで……」

 

 「ふむ」

 

 うーん、どうやらこの子は見た目と身長にコンプレックスを抱いているらしい。

 まぁそうだよな。こんな見た目で、身長も低ければ、弄られるのも仕方ないのかな。

 せめて俺だけは彼女に優しくしてあげよう。うん。

 

 

 「かずまさんって、本当にこのみちゃんの、か、彼氏なんですか?」

 

 「んー?まぁ、そんなもんかな」

 

 家に上げてもらったし?呼び名付け合う仲だし?

 小鞠ちゃんからもそう見られているってことは、やっぱりそうなんだろうか。

 いやぁ、なんだか恥ずかしいなぁ!

 

 「そっかぁ……やっぱり彼氏さんなんだ……」

 

 「いやー照れるなぁ」

 

 「そ、それで!このみちゃんとはその、て、てててててを!」

 

 「てててて?」

 

 「手を!繋いだんですか!?」

 

 「え?」

 

 「あれ?」

 

 そういえばまだ繋いでいない。

 そうか。恋人と言えば手を繋ぐもんだよな。

 俺は適当に小鞠ちゃんを誤魔化しながら、どうやって手を繋ごうか一人作戦を考えるのであった。

 

 

 

 「ごめんくださーい」

 

 無事越谷家にたどり着いた俺はおんぶしていた小鞠ちゃんを玄関に座らせると、家の奥に居るであろう人物に声をかける。小鞠ちゃん曰くお母さんが台所に居るはずらしい。

 

 そのお母さんに傷の手当をしてもらおう。

 

 そう思って声をかけたのだが、出てきたのは予想もしていなかった人物だった。

 

 

 「うーい。……あれ?ねぇちゃん?それと……このみちゃんと一緒に居た人だ!!」

 

 いかにも元気いっぱい!な感じをした少女が現れた。多分この子が夏海ちゃんだ。

 

 「こんにちは。えっと、夏海ちゃんかな?」

 

 「え、なんでうちの名前知ってるの?変態?」

 

 「変態じゃねぇよっ!!」

 

 「ちょっと夏海!失礼でしょ!」

 

 「ごめんごめん。許してね?」テヘッ

 

 

 なんだこの子。どことなく嫌な感じがする。

 なんだろう。関わったら俺にまで被害が出そうな、そんな感じが。……うん。ここは早めに退散しよう。ちょっと不安はあるけど、一応妹だから姉の面倒は見てくれるだろう。

 

 小鞠ちゃんには悪いが俺はこれで……。

 

 

 「そ、それじゃ小鞠ちゃんも届けたことだし!俺はこれで」

 

 

 「こんにちはー!小鞠ちゃんに本貸しに来たよ―……ってあれ?カズマくん?」

 

 

 帰ろうと思いドアに手を伸ばそうとした時、先にドアは開かれ、その向こうからこのみんが現れた。

 

 

 「奇遇だねー、小鞠ちゃんのお家で会うなんて。ひょっとしてもうお友達になったの?」

 

 「え?あ、まぁね!このみんのお隣さんって聞いてたからいい機会だし仲良くなろうと!」

 

 「ふーん?」

 

 

 まずい!まさかこのみんとここで出会うとは!

 流石にこの状況で帰るのは気が引ける!というか、俺が帰りたくない!!

 どうしよう……何か、何か打開策を!

 

 

 「ふぅ、ただいま。って、あれ?このちゃん?それと……どちら様?」

 

 

 再びドアが開けられ、見知らぬ女性が玄関に入ってきた。

 あれ、ひょっとしてこの人……?

 

 

 「あ、お母さん」

 

 「あら、小鞠も帰ってきてたのね。……って、アンタ、怪我してるじゃない!?」

 

 「あれ、本当だ。小鞠ちゃん大丈夫?」

 

 「え、姉ちゃん怪我してるの?」

 

 小鞠ちゃんの怪我に気付いた三人の女性が一斉に小鞠ちゃんに駆け寄る。

 あぁ、やっぱりお母様でしたか。

 幸いな事に重症ではないから、消毒して絆創膏貼って終わりだろう。

 

 このお母様は頼れそうだし、後は任せて退散退散っと。

 

 

 「それでね、そこのかずまさんに助けてもらったんだ」

 

 「そうだったの。あの、和真さん」

 

 「はいカズマですが」

 

 やべ、つい反応しちゃった。

 

 「うちの娘がご迷惑をおかけしてすみません」

 

 「いえいえ!全然大丈夫ですよ!!大したことしてないですから!そ、それじゃ僕はこれで」

 

 「あ、お礼するのでちょっと待っててください」

 

 「いやお礼なんて!……本当に大したことはしてないですし、困ってるみたいだから助けただけで、全然、大丈夫ですから!」

 

 「でも……」

 

 「カズマくーん?雪子さんもこう言ってるし、お言葉に甘えてみたら?」

 

 「うっ……このみんが言うなら……」

 

 本当は貰うつもりはなかったけど、このみんがこう言うし、ありがたく貰うとしよう。

 

 「よかった。それじゃちょっと待っててね。今取ってきますから」

 

 雪子さんと呼ばれたお母様は靴を脱いで台所に向かう。

 このみんは夏海ちゃんに消毒液と絆創膏を持ってくるように頼み、夏海ちゃんはそれを取りに行こうとした。俺は雪子さんの言う通り、玄関で小鞠ちゃんとこのみんと話でもして待とうとした。

 

 そして、そんな小鞠ちゃんは自分の怪我した足を見ながら言った。

 

 

 「でも良かったぁ。かずまさんに会えて。優しいし、お話も面白かったし、さすがはこのみちゃんの彼氏さんだね!」

 

 

 

 「「「え?」」」 

 

 

 「ん?」

 

 おや?何か反応がおかしかったぞ?

 夏海ちゃんとお母様の雪子さんが驚くのはわかる。うん。

 でも、あれれ?何故このみんも驚いているんだ?

 あぁそうか、きっと照れてるんだ。そうに違いない。

 

 

 「えーと、小鞠ちゃん?どういうこと?」

 

 このみんが言った。あれ?困惑してない?

 あれー?あの顔、どう見ても照れてる感じじゃないぞ?

 ……ちょっと待てよ?

 

 「え?このみちゃんの彼氏さんって、かずまさんだよね?」

 

 「え?」

 

 

 またも困惑するこのみん。

 

 

 

 

 

 あ、これ、俺が勘違いしてたやつだ。

 

 

 

 

 やべぇじゃん!!!!

 ちょっ、これやばいやつじゃん!!

 俺が勝手に勘違いして皆にバレて引かれるやつじゃんかこれ!!

 

 え?マジ?本当に??

 いやでも駄目だ、このみんの顔がマジで困惑してる!

 やばい!超やばい!!このままじゃ俺、物凄い恥ずかしい思いをしてしまう!!!

 

 

 「えっと、カズマくん?私達って、恋人だったっけ?」

 

 「え?な、なんのことでしょうね!?いやー、小鞠ちゃんは何を言ってるんだい!」

 

 「ふぇ?で、でもかずまさんがそうだって」

 

 「そうなの?」

 

 「違います!言ってないです!もうー!小鞠ちゃんは困った子だなー!」

 

 

 チラリと夏海ちゃんを見る。明らかにニヤニヤした顔をしている。

 チラリと雪子さんを見る。明らかに苦笑いをしている。 

 

 

 もうダメかもしれない。か、神様!どうか、どうかこの状況を打開出来る策を!!

 

 

 

 

 「そうだよねー。わたしとカズマくんが恋人なんておかしいよね。ただの友達なのに」

 

 

 

 

 その後の事はよく覚えていない。

 気がついたら俺はこのみんと一緒に宮内家に向かっていた。

 右手には雪子さんからもらったお礼の品が入った袋を握っていた。

 身体に異常はなかった。

 

 しかし心には確かに、苦く恥ずかしい思いをしたということだけは残っていたのだった―。

 

 

 

 

 「カズマくんも男の子だもんねー。仕方ないよね、そういう妄想しちゃうの」

 

 「もうやめて!!」

 

 

 このみんが天然ドSだって事は、この時初めて知った。

 

 

 

 

 

 

 

 「っていうことがあってねー」

 

 「なるほどなるほど。カズマ君は勘違いをしていたと」

 

 「このみ姉とかずにぃは恋人なん?」

 

 「違うよ―れんげちゃん」

 

 「あのもう勘弁してもらっていいですかね……!」

 

 

 宮内家に着いた俺とこのみんは、一穂さんとれんげちゃんとテーブルを囲みながら話していた。

 雪子さんからもらったお礼の品は大きなスイカだった。

 なんでも、このスイカも貰い物だったらしい。

 2つもらったらしく、その一つを頂くことになったのだ。

 

 そして俺は、せっかくなのでこのスイカを宮内家に譲った。

 いつも遊んでもらっているお礼にと。

 そうして、一穂さんが切ったスイカを持ってきたので、皆で食べながら雑談をしていたのだった。

 

 

 

 「……という感じかな。以上、越谷家の事情でした♪」

 

 「なるほど」

 

 何となく気になったので、俺はこのみんから小鞠ちゃんの家の事を聞いてみた。

 小鞠ちゃんと夏海ちゃんには中学三年生のお兄さんが居るらしい。

 なにやら個性的というか、ユニークな存在というか。

 このみんが楽しそうに話すので、俺は少し嫉妬した。

 ……でも俺、振られてるんだよなぁ。

 思い出しただけで涙が出そうになった。

 

 

 「シクシク」

 

 「かずにぃどうしたのん?」

 

 「れんげちゃん……俺はまた一つ、大人になったよ……」

 

 「そうなん?かずにぃも大変なんなー」

 

 よしよしとれんげちゃんに頭を撫でられる俺。あ、悪くないかも……。

 

 

 「何をやっとるんだい。君たちは」

 

 幼女に頭を撫でられてる俺を見て、呆れながら一穂さんは戻ってきた。

 実は一穂さん、先程電話が鳴ったので一人席を外していたのだった。

 

 「かずにぃが大人になったらしいん」

 

 「それはそれは。このみちゃん、真相は?」

 

 「わたしもよくわからないけど、大人になったみたいですよ?」

 

 「なるほどわからん」

 

 そう言いつつ、一穂さんは自分の席に戻った。

 そしてれんげちゃんに告げた。

 

 

 「そうそう、れんげ。今週には帰ってくるって」

 

 「本当なのん!?」

 

 「あ、やっぱり帰ってくるんだ」

 

 三人が楽しそうに話す。はて、誰が帰ってくるんだ?

 

 「あの一穂さん、誰か帰ってくるんですか?」

 

 「うん?あぁそっか、カズマ君は知らないもんね。夏休みにはいつも帰ってくるんだよ」

 

 

 

 

 「うちのもうひとりの妹、ひかげがね」

 

 

 

 新たな出会いが、俺を待っていた。

 

 

 




お疲れさまでした。

勘違いしちゃっただけなんです。思春期の男性なら仕方ない事。

でもこのみんってそういうの笑って受け入れてくれそう。

このみんマジ天使。

この作品はこのみんの為にあるようなものと見せかけて僕は蛍ちゃんが好きです(半ギレ)



そうそう、ラストにひかげの名前出しましたが。



残念だったな!まだ出るのは先のお話じゃい!!


ではでは。
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