東方幻想記 THE NOVEL(休載中)   作:転寝

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地底異変の始まり

「…状況を整理しましょう」

 博麗神社。

 博麗霊夢が管理する、幻想郷の中核とも言える場所で、オレ達は湯呑みを片手に話し合っていた。

「貴方は紫に連れられて、ここに来たのね」

「その通りだ…出来れば今すぐ帰りたいが」

「でも、幻想郷がピンチなんだろ?帰しても良いのか?」

「…それを考えているのよ」

 霊夢は難しい顔になり、思考を巡らせている様だった。

「紫のセリフといい、彼の迷い込むタイミングといい…偶然とは言えないわよね」

 確かにそうだ。何かしらが起きたから紫はオレを幻想入りさせた…それは確実だろう。だが、この場にオレが介入した所で何が変わるというのだろう?

 能力も持ってないのに…あ、そうだ。

「そう言えばオレの能力って何なんだろうな…紫は右手と言った…まさか幻想殺し(イマジンブレイカー)的なものじゃないよな?」

「なんだそれ?」

「気にするでない」

 説明した所で理解してくれるかは怪しいし、まさか本当に幻想殺しな訳ないだろうしな…。

「しかし、これからどうしようか…」

「悩む所ね…」

 場の空気が停滞した。

「…少し外していいか?」

 この空気に耐えられなくなったという事は無いが、何となく気分転換がしたかった。

「どうして?」

「…ただ風に当たりたくなっただけだが。お前らもオレ抜きで話したい事があるだろ?」

 それもそうねと霊夢は言い、あっさりと了承してくれた。

 立ち上がり、鳥居の方へと歩き出す。

 

 

 さて、本当にこれからどうしようか。

 オレとしちゃこんなバケモノだらけの世界なんて嫌なんだが…まあすぐ死ねそうだから居てもいいんだけど。あれ?何か矛盾してるぞ。

 そんな事を考えながら階段の下を見た時、それが目に入った。

「うう…」

「……!お空、大丈夫か!?」

 階段の下で倒れているのは霊烏路空(れいうじうつほ)…地霊殿に居る筈だが…まさか。

「霊夢と魔理沙は…?」

 ボロボロのお空が弱々しく訊いた。本当に何があったんだ…。

「おいお前ら!こっちこい!」

 直ぐに霊夢と魔理沙が来て、お空を見て目を丸くした。

「お空!?大丈夫!?」

「さとり様が…」

 呟くような小さな声で、それでも必死に自分の身に起こった事を伝えようとする。

「さとり様だけじゃない…こいし様、お燐まで…」

「あいつらがどうしたのよ!?」

「わからない…急に皆おかしくなって…」

「…お空、道案内頼む」

 オレは既に走り出していた。身体が自然に動いたのだ。

「待てよ!」

 魔理沙が慌てて引き止めようとする。

「無理だぜ!まともな能力も無いのに…」

「オレの命は捨てるためにあるもの…その命で誰かが助かるならいい事だ」

「君…どうして…」

「さて、道案内してくれ」

 どうしてなのか?

 そんな事、決まってるじゃないか。

 目の前で困っているやつを見捨てる訳にはいかない…ただ、それだけだ。

「待ちなさい」

 今度は霊夢が言った。また引き止めるつもりかと思ったが…。

「私も行くに決まってるでしょ」

「それくらい、わかってる」

 異変解決は博麗の巫女の務め…だもんな。

「…私が逃げろと言ったら逃げなさい。でないと本当に死ぬわよ」

 霊夢の目は既に戦う者のそれへと変わっていた。その目が、本気である事を示している。

「…考えておく」

 言って、お空を背負う。

 そして彼女の道案内に従い、地霊殿へと向かった。

 

 

 何が起きているのかは分からない。

 今は―オレがやるべき事をやるだけだ。

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