「はぁ、終わった…ガキ共無事か?」
瓦礫の山の中に佇んだザクロがそう言うと、山の一部が爆発し、そこから何かが這い出てきた。
「…た、助かった…瓦礫に埋もれて死ぬところだったわよ!」
「まあまあお姉ちゃん…助かったんだからいいじゃない」
姉妹は埃やらなんやらを被ってかなり惨めな状態になっていたが、とりあえず外傷はないようだ。
「さて、一頻り暴れてスッキリしたし、帰るか」
姉妹の無事を確認すると、ザクロはさっさと歩き出した。その背中にエリスが抗議の声をぶつける。
「ちょっと!私達を置いていくの!?」
「テメェらのお家の事なんざ知らん…そういや、オレのバイクはどうしたんだっけか」
「えっと、瓦礫の下に…」
瞬間、瓦礫の下が爆発した。ザクロが研究所を吹っ飛ばした際にバイクのガソリンに引火したらしい。
「…今、爆発したわよね?」
エリスが唖然として呟く。
「はぁ!?おいふざけんなよ!オレのバイクゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!」
ザクロは爆発のあった場所へとすっ飛んで行く。その様子を見ながら、エレンが姉と同じく、唖然とした表情で呟いた。
「あのバイク…高そうなやつだったもんね…」
「アイツ…本当に何者なの?」
「……」
エレンが返答に困っていると、ザクロが戻ってきた。どうやら哀れなバイクが主人の手によってスクラップにされてしまったのは確定のようだ。
「クソッタレ…アレいくらしたと思ってんだ…」
ザクロは明らかに落ち込んでいた。まあ表情はさほど変わっていないのだが、雰囲気が何時もよりダウナーなものになっている。
姉妹は苦笑するしかなかった。
*
「さて…テメェらこれからどうするつもりだ?どうせ何も考えていなかったんだろ?」
暫く時間が経過し、ショックから立ち直ったらしきザクロが姉妹に訊いた。
「あ…そういえば…」
「もう家には戻れないしね…」
二人は複雑な表情で俯いた。故郷は遥か遠く、帰る家も無い。
「…」
ザクロは目を閉じ、何かを考えているようだった。エレンは少し迷ってから、彼に訊く。
「…ザクロさん、参考までに聞かせて下さい…あなたは、なんで私達を助けたんですか?」
「何となくだ。理由は無い」
嘘だ。ザクロは自分の意思で、彼女達を助けようと思ったのだから。
「…ザクロさん」
そんな彼の心中を知ってか知らずか、エレンが柔らかく微笑み、口を開いた。
「…私達の、家族になって下さい」
エレンの言葉に、エリスが驚きの声を上げる。
「ちょ、エレン!?」
「…正気の沙汰とは思えんな」
ザクロもまた、信じられないという風にエレンを見る。然し彼女は微笑んだままだった。
「いいえ、私達を助けてくれたあなたなら信用出来ます。それに…あなたも独りでしょう?」
「………」
「独りなら、私達と家族になりませんか?」
そう言って、エレンは無垢な目でザクロとエリスを見詰める。
「…私は支え合っていきたいです。お姉ちゃんも、それでいいよね?」
エリスは暫く驚いていたが、やがてニヤリと笑って言った。
「いいんじゃない?面白そう!」
「テメェら…本気か?」
「お願いします!」
いつの間にか、エリスもザクロを見ていた。
姉妹の願いを受けて、ザクロは…。
「…少し距離があるが、昔住んでいた小屋がある。そこに行くぞ」
姉妹の顔が輝いた。
「ありがとうございます!」
「楽しくなりそうじゃない!」
「はぁ…」
ザクロはいつものようにため息をつく。
だが、心中は晴れ晴れとしていた。
そして、三人は新たな生活へと歩き出す。
空を見ると、曇天から一筋の光が射し込んでいるのが見えた。
いかがでしたでしょうか?
ザクロの物語はこれからも続きます。いつか彼と無銘達が交差する時が来るかも…。
動画版だと次は1.5章なのですが、元の話が視聴者参加型の為、どうなるかはまだ未定です。
また読者参加型として書くのか、或いは全く別の話となるのか…そういった事はこれから赤蜥蜴氏と相談して決めていこうと思います。(読者参加型となった場合、活動報告の方でお知らせする予定です)
そのため暫く休載となりますが、再開したらまた見てくださると幸いです。
よろしくお願いします。