東方幻想記 THE NOVEL(休載中)   作:転寝

6 / 27
お待たせ致しました。
なお、今回から始まる「姉妹逆転紅魔異変」は動画版と内容が少し変わります。
どこがどう変わったのか…是非見比べてみて下さい。
(なお、プロットは赤蜥蜴826氏が書いたものです。私の独断という訳ではありませんので予めご了承下さい)


姉妹逆転紅魔異変

 夜。

 梟が鳴いている様な静かな森の中を、オレは歩いていた。後ろには鈴仙と彼女の師匠である八意永琳、そして偶然居合わせた白玉楼の庭師である魂魄妖夢が居る。

 霊夢や魔理沙は治療が終わったとはいえ鈴仙からドクターストップが掛かり、渋々といった感じで永遠亭に残ったし、彼処には地霊殿組もいる。お空には彼女達の護衛を任せる事にした。襲撃をかけられる事は無いと思うが、念の為だ。

「紅魔館の図書館に行くのよね?何を調べるつもりなの?」

 永琳が訊いた。まあそうなるよな。オレは集まった連中には「何かあると拙いから着いてきてくれ」としか言っていないのだから。

「急に凶暴化するこの現象、もしかしたら一柱の神が関わってるかもしれない。あくまで憶測だけど……」

 ゾロアスター教という宗教がある。

 善悪二元論のゾロアスター教において、最高善とする神である「アフラ・マズダー」に対抗し、絶対悪として表されるもう一人の神…それが今回の異変に関わっているとオレは睨んでいた。

 普通なら有り得ないと一蹴するだろうが、ここは幻想郷なのだ。何が起こってもおかしくない。

 何せ、この場所では常識にとらわれてはいけないのだから。

 

 

 暫く歩くうちに、全員がある事に気付いた。

「空が…」

「紅くなってます…」

 紅魔館を起点として発生した紅い霧が空を覆っている。

「紅霧異変の再来か…!」

 やっぱり、ここも…!

「急ぎましょう!」

 鈴仙の声で我に返ったオレは、行く手に聳え立つ紅魔館を睨んだ。

 

 

 入口に居る筈の門番は居なかった。

 嫌な予感がして館内に駆け込むと、ロビーに二つの人影があった。

「ハァ…ハァ……落ち着いて下さい咲夜さん!」

 紅魔館の門番である紅美鈴が焦燥した様子で言う。それに相対するのは十六夜咲夜、紅魔館のメイド長だ。

 同じ館で働くこの二人が、何故争っているのか…声を掛けようとした時―。

「!?」

 …一瞬にして時が止まった。咲夜の能力か…!

 動けるのはオレだけだ。直ぐに美鈴と咲夜の間に割って入る。

「やめろ!」

「…退きなさい」

 咲夜が呟くように言った瞬間、銀色の輝きが視界に飛び込んで来た。すんでのところでそれを叩き落とす。

 それに動揺した素振りも見せず、咲夜は新たなナイフを構える。

 クソっ!やっぱりこうなるのかよ!

 オレは咲夜に飛び掛る。急な動きに対応しようとしたのか、咲夜は時止めを解除してからナイフを投げてきた。紙一重で躱すが、頬に刃物の冷たさを感じた。

「これはどういう事だ!」

 オレが怒鳴ると、美鈴は我に返った様子で言った。

「妹様が暴走して…館内のみんなもおかしくなって…!」

「フランが?」

 フランドール・スカーレット。この館の主であるレミリア・スカーレットの妹だが…そうか、フランなら真っ先に狂気に当てられてもおかしくない!

「レミリアさんもおかしくなっているんですか?」

 鈴仙の問い掛けに答えたのは咲夜だった。

「お嬢様は地下牢に居るわ」

「閉じ込めたんですか!?従者が、主を…!」

 妖夢が怒りの篭もった声で言う。咲夜はそれを「貴女には関係のない事よ」と受け流し、オレ達に敵意の籠った視線を向けた。

 その時、

「なんの騒ぎかしら?」

 当初の目的だった図書館から、パチュリー・ノーレッジと小悪魔が出て来た。

 ―どうする?ここに居る全員でこいつらを抑えるか?

 オレが判断に迷っていると、それまで事態を静観していた永琳が口を開いた。

「優曇華、そして魂魄妖夢…貴女達はフランの元に行きなさい」

 それからオレの方を見て、

「貴方は地下牢に行ってレミリアを助け出しなさい」

「でも師匠は……」

 鈴仙を制し、永琳は余裕の表情で言った。

「私一人でも、三人の相手は出来るわ」

 美鈴も口を挟む。

「出来れば私のことも忘れないで欲しいですけどね」

 それでも鈴仙は逡巡していた様だったが、妖夢が「鈴仙さん。ここは任せましょう」と言うとやっと決心がついたのか頷いた。

「無銘さんも…」

「ああ、分かってる」

 オレは永琳と美鈴を見る。

「…任せたぞ」

「早く行きなさい」

「ここは私達で抑えます!この紅美鈴、鼠一匹たりとも通しませんよ!」

 オレは頷き、地下牢へ向かった。

 後ろから聞こえてくる戦闘の音が、背中を押した。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。