あれからどれぐらい山中を歩いただろう。
ひたすら進んでも木々が俺を邪魔するように生い茂っている。
怪物の子…
俺は…そんなはずはない…父さんが…怪物な訳…
「まさかあの攻撃を喰らって生きてるなんてな…」
その時、どこからか女の声がした。
俺は当たりを見回し、木々の間にいる女を見つけた。
東雲早苗だ。
「お前…」
「山田康介、ここで倒す。」
[施錠…][悪魔ノ覇道…仮面ライダー悪道…]
早苗の姿は炎の使者、仮面ライダー悪道に姿を変えた。
「…変身。」
[open!][Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]
俺はウォーズにその身を変え、拳を構えた。
悪道は剣を構え、刀身を光らせた。
「はあっ!」
悪道は一瞬で間合いを詰め、斬り込んだ。
俺はそれを避け、左脚で蹴り上げた。
悪道はその攻撃に反応する事なく、再び剣で切り裂こうとした。
俺も剣を取り出し、防いだ。
飛び上がり、悪道と距離をとった。
「これで終わりだ。」
[再施錠…][悪道炎舞!]
[full open!][WAR-Z slash!]
悪道とウォーズは必殺技を発動、紅と翠の刃が、木々ごと相手を切り裂いた。
木々が次々と倒れた。
ウォーズは地に膝をつけた。
悪道は、何事もなく立っていた。
「光司、悪いがウォーズを倒すのは私だ。」
その時、木々を掻い潜り、クナイ型のエネルギー弾が悪道を襲った。
悪道は腕で攻撃を防いだ。
「なっ!」
悪道の目の前には、クノイチの姿があった。クノイチはウォーズを庇うように立ち尽くしていた。
「…お前…」
ウォーズが上を見上げた。
「先程の詫びだ。」
そう言うと、クノイチは剣を逆手持ちし、構えた。
「…俺も行く。」
ウォーズも立ち上がり、剣を構え直した。
「ニ対一、無謀だな。」
悪道は、剣を蛇腹状に変え、2人に振り下ろした。
ウォーズとクノイチはさっと左右に避け、悪道向け走り出した。
悪道はそれを防ごうと再び剣を振り下ろした。その攻撃は2人に激突。しかし…
「「そっちは偽物だ!!」」
ウォーズとクノイチは悪道の上方にいた。
「何!」
悪道は、剣で防ごうと構えたが、それよりも早くウォーズとクノイチの剣が激突、火花を散らした。
「ぐっ…私は確かに攻撃したはず…」
悪道はふらふらしながら、聞いた。
「変わり身の術よ。」
「ダミーキーの力さ。」
2人はそれぞれ答えた。
「ぐっ…私は、負ける訳にはいかない…」
悪道は立ち上がった。その身体からは漆黒の炎が湧き上がっていた。
「なんだ…この力は…」
すると、その炎は悪道を包み込んだ。
「ぐっ…ああっ!!」
「なんかやばいぞ。」
ウォーズは身構えた。
クノイチもこの光景に釘付けになっていた。
しばらくすると、漆黒の炎は消えた。しかし、そこに悪道の姿はなかった。代わりに悪魔の形相をした『怪物』がそこにいた。
「ゥグ…ウギャァァ!!」
悪道の意思はそこにはなく、純粋に獣が立ち尽くしていた。
怪物は、ウォーズとクノイチに飛びかかった。
2人が身構えるよりも早くウォーズに飛び付き、剣で切り裂いた。
「うがっ!!」
ウォーズが吹き飛ばされ、変身が解けた。
「なっ、1発で!」
クノイチはこの状況に動揺していた。
しかし、だからといってこの状況が止まるわけではなく、怪物は今度はクノイチに、尾を突き刺した。
クノイチも変身を解かれ、地面に屈した。
怪物は遠吠えをあげ、ウォーズの息の根を止めようとした。その時、バイクの走行音が鳴り響いた。
その音で怪物は動きを止めた。
しばらくすると、怪物の背後から、漆黒の戦士が現れた。
怪物はそのことに気がつき、振り返った。
その戦士は左胸に『Z』の文字が浮かび上がり、頭部には黒いアンテナが2本立っていた。それを一言で表すなら『漆黒のウォーズ』。
漆黒のウォーズは剣を振り下ろし、怪物と康介を引き剥がした。
「俺の…に手を出すな。」
漆黒のウォーズは剣を銃に変えると、何か薬品のようなものを怪物に投与した。
すると、怪物はもがき苦しみ始め、悪道、そして早苗の姿に戻った。
その隙を見て、漆黒のウォーズは康介と忍を抱えて立ち去った。
しばらくすると早苗は意識を取り戻した。
「なんだ…今のは。」
自分の腕を見た。確かに人間のものに戻っていた。
早苗はあの強大な力を操ることはできなかった。
漆黒のウォーズは、小川の辺りで2人を下ろした。
「ここまでこれば安全だろう。」
そう言うと、漆黒のウォーズはスマホぐらいのサイズのスイッチを押した。
すると漆黒のウォーズの身体は光に包まれ、その場から消えた。
それからすぐ、康介と忍は目を覚ました。
「…ここは…」
忍は当たりを見回した。
「とりあえず、あの森からは出たのか。」
康介が言った。
「ここならしばらくは安全だろう。」
忍はそう言うと、康介の方を向いた。
「さっきは、あんな呼び方をして済まなかった。」
忍は頭を下げた。
康介はしばらく考えた。そして、拳を振り上げようとした。
それを見た忍は警戒をした。
が、その必要はなく、康介は握りしめた拳を開き、差し出した。
「さっきの戦いで、無かったことにする。」
忍の顔に笑みが浮かんだ。
「そのかわり、教えてくれ。なんでさっきはあんな呼び方を…?」
忍は一瞬躊躇ったが、すぐに覚悟を決めた顔になり、口を開いた。
「それは…」