「……」
1人の女の子が公園のブランコに俯いて座っていた。
周りには同じ歳ぐらいの子ども達が追いかけっこをして遊んでいた。彼らは彼女に見向きもしなかった。
その女の子が私だ。私は友達を作るのが苦手だ。小学校に入学した後、私はまともに友達を作れず一年半を過ごした。
私はそんな自分がみっともなく、許せなかった。でも、それとは裏腹に人と会話する回数はどんどん減っていく一方だった。そんな時だった。
「一緒に遊ぼう。」
私に1人の女の子が手を差し伸べた。
その時、私に天使が舞い降りたと思った。あの時の彼女の容姿がまるで天使のように美しかった…
「名前はなんていうの?」
彼女が聞いてきた。私は最初怖かった。何かされるんじゃないかと。でも
「…忍…八代忍…」
恐る恐る言うと、彼女は満面の笑みで答えた。
「私は、ミカ。よろしくね。」
私も彼女の笑みに絆され、つい笑ってしまった。
「うん!」
私と美唯は好きなアニメが一緒だったり、有名な戦国時代の人物の血を引いていたりと何かと馬があった。
私は次第に彼女だけでなく他の人とも話せるようになった。学校は違うけど、いつもそばに居てくれる、そんな気がした。
あれから半年、私達を引き裂く悲劇が起きた。
その日は私の誕生日だった。だが、親はそんな事はお構いなしで仕事に向かった。
私は気にもしなかった。いつもの事だから、そう思い公園に行くと彼女はいつも通り遊んでいた。
「ミカちゃん!遊ぼう!」
「忍!」
私が彼女に近寄ろうとしたその時、地面が揺れた。
あの感覚は未だ夢に出てくるぐらい忘れられない。
「忍、逃げよう!」
彼女は私の手を握りしめ、走った。
周りの大人達は逃げ惑う者もいれば、腰を抜かし倒れている者もいたが、私達はとにかく走った。
「忍、もうすぐで町を出られるよ!」
ミカはそこで足を止めた。
「ミカ、どうしたの?」
「私、パパとママが心配、ちょっと見てくるから先行ってて。」
「ミカ!」
「じゃあね!必ず追いつくから!」
必ず追いつく、その言葉は叶わなかった。
私は1人森を出た。しかし、一向にミカは姿を見せなかった。
そのうち、街は一溜りもなく消え去った。彼女と共に…
「私は、ミカに会えなかった事が悲しくて仕方なかった。」
私の目の前には先程の森ではなく、今ー山田康介がいる。康介は暗い顔をして私の話に聞き入っていた。
「…そんな事が。」
「それが、私が白夜総三を憎む理由。私はこの事を本人に謝られても許せない。」
「…」
「このお陰で、私は二度も同じ友人を目の前でなくしたからな。」
「二度も?」
彼は疑問を浮かべた。
「西園寺美叶。クラスに居ただろう。そいつが、私が亡くしたと思っていた…唯一の親友。」
「西園寺さん、ちょっといい?」
私がその事実に気づいたのは入学直後だった。
西園寺美叶、かつてこの一帯を収めていたとされている槍の使い手西園寺美ノ介の子孫であり、私と同じアニメが好き、そして何より名前が同じ、私は確信していた。彼女はミカであると。
「西園寺さん、私のこと、覚えてない?」
「…前に会ったことあったっけ?」
それが彼女の返答だった。風の噂で、彼女はある時期の記憶が全くないらしい。その時期が私と出会った時…私は悲しみで胸が一杯だった。せっかく出会えたのに、私を覚えてない。「今までずっと心配していた」そう言いたかったが言うに言えなかった。
二度目、それはこの世界に来てからの事。彼女は仮面ライダーシキブとして私とコンビを組んでいた。
「忍!そっちにホッパーが!」
「承知!」
私達は最強のコンビだった。
それも終わりを告げた。
私の親友は目の前で八つ裂きにされた。
私を庇い、彼女は死を迎えた。
2本の剣と2丁の銃と2つの姿を持つ仮面ライダーに…
「私は弱い人間だ。2回も大切な人を亡くすなんて。」
「…俺も、目の前で仲間を失った。気持ちは分かる。」
康介は私を見た。
「だけど、それで止まるわけにはいかない。この世界は、誰かを殺さないと生きていけない。だからこそ、死んでいった者達のために俺は戦い、生き残る。仮面ライダーウォーズとして…」
「…私も、康介の道に付き合わせてくれ。美叶のために…私も生き残る。」
康介はあの時の美叶と同じような笑顔で頷いた。
「ぐっ…待ち伏せ!」
「とにかく…変身!」
[open!][Lightning goddess!KAMEN RIDER ERE-X!]
[Sky calamity!KAMEN RIDER WHETHER!]
[Fight master!KAMEN RIDER BAIHU!]
「数が多い…」
「みんなで手分けして戦おう!」
同時刻、一美達はホッパーの大群に襲われていた。
剣で、銃で、拳で薙ぎ払うがそれよりも早く次のホッパーが襲いかかる。
無限に続く戦いに、3人も疲労が蓄積していた。いくら雑魚であっても数が多ければ多いほど苦戦を強いられる。
「キャッ!!」
「ぐはっ!!」
「うっ!!」
3人にもはや戦う気力はない。その時、
「無様だな。清宮一美。」
彼女達の目の前に現れたのは悪道と絶王だった。
「ここで終わりだ。」
絶王は槍を構えた。
「地獄で苦しみなさい…」
「地獄から御迎えだ…」
2人はその言葉と共に3人目がけ走り出した。
避ける術もない3人は死を覚悟した。その時!
[Re open!][WAR-Z drop!]
[Re open!][KUNOICHI assassin!]
「「はぁっ!!!!」」
二つの閃光が、悪道と絶王の背後に迫った。
咄嗟の攻撃に2人は回避した。
「ウォーズ!!」
悪道が声を上げた。
一美が顔を上げると、ウォーズとクノイチの姿があった。
「ここは撤退だ。」
「忍法、煙幕の術!!」
クノイチは球体のようなものを地面に投げつけ、破裂させた。すると、周りが煙に覆われた。
[Mach key!]
マッハキーを使ったウォーズはエレクスとウェザーを、クノイチはバイフーを担ぐと、風の如く煙から脱出、逃亡した。
「待て!!」
悪道は剣を蛇腹剣にし、煙を追い払った。が、煙が晴れたら先にはライダーは1人も居なかった。
「くそっ、逃した。」
「早苗、焦るな。まだ機会はある。今は報告が先だ。」
2人は撤退した。
その様子を山の上から1人の男が見下ろしていた。あの時、一美に接触した男だ。
「一安心だ。ありがとう、ウォーズ。」
そう言うと、バイクに跨り、後にした。