仮面ライダーWAR-Z[ウォーズ]   作:津上幻夢

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第17話 ディスパレット・デスティニー

「一緒に、学校行こう。」

 

俯く私に彼女は手を差し伸べた。彼女の顔には、一片の曇りなき笑顔だった。

 

そうじゃない、私を連れ出して欲しいんじゃない。そう思った。私がして欲しかったのは…

 

 

 

 

 

「…ん…いつのまにか、寝てたのか。」

 

清宮一美は、過去の記憶から目を覚ました。その顔には、悲しみがあった。

 

「康介…なんとしても私が。」

 

隣には、虎山恵理の姿がある。彼女は未だ寝ている。

 

「…レイ…」

 

彼女は寝言で帰らぬ人の名を呟いた。

 

 

「…恵理。」

 

 

 

 

 

 

 

「これで俺達の勝ちも同然だな!」

 

そう勝ち誇った声で言ったのは、北川光司だ。

 

その隣でウォーズspは立ち尽くしている。一切動く事なく、康介の意思は全くない。

 

「このままコイツを使ってめちゃくちゃにしてやる。」

 

光司は肩を鳴らした。

 

「そう油断は出来ないわよ。まだエレクスがいる。」

 

光司の後ろから東雲早苗が現れた。

 

「エレクス、確かにな。でも、コイツと同じように、サファイアキーを壊して…どうのこうのすれば良いんじゃないのか?」

 

彼はウォーズの肩をポンポンと叩いた。

 

「…サファイアキーには、その装置を付ける前に盗まれた。」

 

「そうか…ま、その方がアイツとの戦いがあるしな。なら早速、アイツをぶっ叩きに行こうぜ!」

 

光司はウォーズを連れて出ようとした。

 

「待て、私も行く。」

 

その道を早苗が遮った。

 

「ほう、いいぜ。」

 

「エレクスは、もう1人仕留め損ねた仲間がいる。恐らくそいつと行動している。」

 

彼女の脳裏にはバイフーが思い浮かんだ。

 

「私がそいつを引き受ける。お前はエレクスを始末しろ。」

 

「それってつまり、俺に勝ちを譲るって事だよな?いいのか?」

 

「いいのよ。サファイアエレクスに勝てる見込みがあるのはあなたしかいないから。それに…」

 

それに、私は財団ライダーの中でも最低ランク、ここで始末できたところで、この実験が終わったら始末されてしまう。それなら有望な光司の方がいい、そう喉まで出かかった。

 

「それに?」

 

光司が聞く。

 

「なんでもない。」

 

早苗は、光司から目を逸らした。

 

 

 

 

早苗は10年前、財団に保護された子供の1人であった。

保護は聞こえが良すぎる、実際はモルモットにされたというのが正しい。

彼女ら他3名、計4名は、財団のモルモットとして、様々な実験に加担させられた。

 

早苗はその中でも、一番低い成績だった。彼女らの長官はいつもこう言っていた。

「お前がここに居られるのは数合わせの為、全てが終わればどうなるかわかるよな。」

早苗は、その言葉で全てを理解した。自分は所詮数合わせでしかない。それなら、どれだけ頑張ろうが意味ない、いずれ消されるのだから。

 

 

 

 

 

「…恵理、起きてる?」

 

夜闇に包まれた森の中で、一美は恵理と共にいた。

 

「…うん。」

 

恵理は頷いた。

 

「私、康介を助けたいと思ってる。いや、私は康介を助ける。」

 

一美は恵理の方を向いて言い切った。

 

「…私は、反対よ。」

 

恵理は、そっぽを向いてない呟いた。

 

一美は予想だにしない回答に目を見張った。

 

「なんで?」

 

「…」

 

「…私は、康介に救われたから。康介はあの時の私に、同じ目線になって寄り添ってくれた。だからこそ、今度は私が救いたい。」

 

恵理が一美の方を見た。

 

「恵理にも、もちろん感謝はしているよ。でも、私にとってあの時欲しかったのは、手を差し伸べる事じゃなかった。」

 

一美に無言の視線が突き刺さる。

 

「…怒らせちゃった?それならごめん。でも、本当のことだから。親友だからこそ言っておきたい。」

 

「…別に、怒ってなんかないよ。むしろ言ってくれて嬉しい。」

 

恵理は、いつもの優しい声で言った。

 

「…分かった。私も行くよ。」

 

彼女は力強く言った。

 

「えっ…?」

 

「親友の為なら、行くしかないでしょ。康介だって、10年以上の付き合いなんだし。何より、そういうことなら、2人は一緒の方がいいよ。なんというか、生涯のパートナー、みたいな。」

 

「生涯のパートナー…要するに、相棒、みたいな感じ?」

 

「そ、そうね…」

 

恵理は、「夫婦みたいな感じだねって言ったんだよ。」という言葉を奥にしまった。

 

一美は、ふふって笑った。

 

「恵理、ありがとう。それなら早速行動よ!」

 

「行こう、一美!!」

 

 

 

 

翌朝、朝日昇る平原には、一美と恵理が。月が沈む平原には早苗、光司、ウォーズの姿があった。

 

「奇遇ね、こんなところで会うなんて。」

 

早苗が言う。

 

「康介を返してもらう!」

 

一美が言うと、一美と恵理はバックルをつけた。

 

 

「「変身!!」」

 

[Blue flame!Brave fire!KAMEN RIDER Sapphire ERE-X!]

 

[Fight master!KAMEN RIDER BAIHU!]

 

 

サファイアエレクスとバイフーの身体は朝日に照らされ、輝いている。

 

 

「今日で決着だ。」

 

そう光司が言うと、早苗と光司はベルトを着ける。

 

「「変身」」

 

[悪魔ノ覇道…仮面ライダー悪道…]

 

[絶対的烈王…仮面ライダー絶王…]

 

 

月闇から解放された悪道と絶王は武器を構えた。

 

 

平原を暁風が駆け抜け、草木を揺らした。

 

風が止まったその時、4人は一斉に動き出す。

 

エレクスは両手で剣を持ち、絶王に叩き込む。一振り、また一振りと斬撃を与える。

絶王も負け座と槍でエレクスの急所を狙おうと攻撃を仕掛ける。

 

 

バイフーの炎の拳は、悪道の顔面すれすれを突き抜ける。体勢を直すと、すぐさま次の攻撃に転じる。

悪道は、剣を装備、その拳を切り刻まんと迫る。

 

 

 

 

「我々も行こうか。道永。」

 

「はい、博士。」

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