戻ってくる者が居なくなった財団の構成員達の拠点に、新たな人物達がやってきた。
「いやー、案外短かったな。アイツらの天下。」
最初に話したのは、黒髪で根暗そうな男だ。彼は能天気そうな声で言った。
「あの2人は、どちらも弱い。悪道は、弱さを受け入れ、前へ進もうとしない。絶王は、弱さを受け入れず、ただ鍛錬しただけ。そんな奴らが天下など取れるわけがない。必要なのは、我々のような、完璧かつ、臨機応変に変えられる者…」
その隣にいるのは、茶髪でロングの女。彼女は、早苗が残した翠と紅のキーを手に取った。
「悪道、ちゃんと役目は終わらせていた見たいね。私達のキーが完成している。」
「へぇ、俺は翠がいいぜ。俺の好みだ。」
「そんなことは聞いていない。」
そう女は言うと、翠のキーを渡した。
「やはり、互いに偽りの姿だと違和感大有りね…豪災。」
女は男の名を言った。
「俺はそんなことないぜ。誰とでも違和感なく話せるぜ。なんならこいつの真似もできるし。『俺に構うな。』なんつって。」
男は、乗っ取っている男の声を一瞬真似てみせた。
女はふふっと笑った。
「あいも変わらず面白い男ね。貴方は。普通の男と女なら惚れていただろうね。」
男は意外そうな顔をして彼女の顔を見た。
「へぇ、奇遇だね。俺もさ。」
「…冗談よ。」
彼女は、拠点の窓を開けた。そこには綺麗な月が浮かんでいた。
「私はいずれ財団を継ぐ者、仮面ライダー怪駕。これより、作戦を開始する。」
その眼差しは、鋭いものだった。
「本当、お前さんは名乗るの好きだね。」
「悪い?」
「いいえ。そういうカッコつけるの、俺は好きだぜ。」
「別にカッコつけてる訳じゃ…」
女と男は、再び、窓の外を見た。
風が窓から吹いてくる。その一瞬で2人の姿は仮面ライダーへと変わった。
1人は、2つの剣を持つ紫色の仮面ライダー、シキブを討ったライダーだ。
1人は、風のような姿をしている青の仮面ライダー。
月光が2人を照らす。その影にはその姿とは違うライダーの影が2つある。
2人が見据えているのは、未来。財団の頂点に立ち、全てを司る存在になる。その為にこの世界での実験を成功させるという未来が。
「私の覇道か、貴方の道、どちらが未来になるのかしらね。」
「そうだな。悪いが、こう見えても俺は道を譲るつもりはないぜ、嬢さん。」
「それはこちらの台詞よ。私が未来を掴む。」
彼女達は、地平線に沈む月を見ながら、決意を新たにした。自分が全てを手に入れると…