2020年、卒業式目前で集められた生徒達。彼らに襲いかかった飛蝗の怪人。次から次へと生徒達は命を落とす中、一人の戦士が誕生した。仮面ライダーウォーズ。
ウォーズー山田康介ら生徒達は謎の異界へと連れ去らた。康介は相棒のエレクスー清宮一美と共に行動する。これまで、敵として現れたかつてのクラスメイト達を葬り、仲間を失いながらも前へ進んできた。
そんな彼らに立ちはだかる新たな壁が…越えなければならない過去が迫っていた。
第21話 ロスト・ライダー
一台のバイクが森林を爆速していた。
青いボディをしたそのマシンは、赤いテールランプを砂埃のように巻き晒し走っている。
乗っているのは男、ヘルメットをしていて顔は分からないが、身長が高い方であることは容易に分かった。上は青のライダースジャケット、下は黒のレギンスで装飾がなく動きやすい格好をしていた。
「もうすぐか…」
その男が呟いた時、一つの弾丸が、そのマシンを追いかけるように放たれた。
その弾丸はマシンに激突、しかし甲高い音と共に地面に落ちた。
「刺客か…」
彼はバイクを止め、後ろを振り返った。
そこには、黒の仮面ライダーがいた。腰にはボロボロのローブが巻かれ、顔にはパイプの様な物が巻かれている。その狂気な姿を見れば、誰しもが怯える筈だ。
しかし、男はライダースジャケットの前を開け、相手に何かを見せた。
「そのベルト…ようやくお出ましか…」
黒の仮面ライダーは言う。確かに彼のベルトにはウォーズ達が使うサバイブバックルでも、悪道達が使うαタイプのものでもない新たなベルトが巻かれていた。
その見た目は青と金で構成されており、左側がロッカーのような形になっていた。
「お初にお目にかかれて光栄です…ロスト-Yさん。」
「お前…幹部の一人か…」
男は初めて口を開いた。その声は若々しいが厳しくも聞こえる声だ。相手を威嚇しているような。
「よくご存知で…さ、あんたの実力…見せてもらおうか。」
黒の仮面ライダーは、両手の銃を構えた。
「悪いが、お前に構う暇はない。本当なら今ここで倒してやりたいが、こっちにもやる事がある、1時間待っていろ。またここにくる。」
そう言い残すと男は再びバイクで走り出した。
「え、あ、ちょ!なんだよ…逃げ足早いな…まぁ、待ってやるか…」
そう言うと黒の仮面ライダーはベルトからキーを引き抜き変身を解いた。
「康介、遅いな…」
その頃、拠点では一美が玄関の扉の修復をしていた。
この拠点、前回の戦闘で滅茶苦茶になってしまい到底住めるような環境ではなかった。そのため康介は、必要な材料の調達の為拠点を開けていた。
その時、バイクの音が森の方から鳴り響いた。
「康介!」
一美はそのバイクが止まっているであろう方へ走った。
「お帰り!どう、だった…?」
そこに止まっていたのは青いバイクだった。乗っているのは康介とは別人の男で一美は困惑していた。
「あのーどちら様?」
「実の兄にどちら様とは…残念だ。」
「は?」
男は、ヘルメットを取った。そこには、ほんのりと一美に顔が似ている凛々しい男の顔があった。
一美はその顔でピンときたらしく、顔が驚きのものに変わっていた。
「もしかして…」
「そう、そのもしかして…」
「…兄さん…?」
「覚えていてくれたのか…一美。」
男はバイクから降り、彼女の頭の上に手をポンと優しく置いた。
「本当に…?」
「ああ、本当さ。ごめん、今まで会えなくて。」
「なんで…死んだ筈じゃ…」
一美は半泣きだった。
「とりあえず、今日は話があって来たんだ。」
彼は優しい声で言った。
一美は、扉すらない家に彼を入れた。
「玄関、直していたのか?」
「うん、前の戦いでボロボロになったからね…」
男は、懐かしそうな顔をしていた。
「懐かしの我が家が…」
彼女に聞こえない程度にそう言った。
「それで、話って?」
リビングで彼女は彼の目を見た。
「…ここまで生き残った二人には、真実を知る必要がある。俺について来てくれないか?」
男は真剣な声で話す。
「二人って…康介も?」
「ああ。まぁ、その彼は居ないようだけどな。」
同刻、森林では先程の男が大人しく待っていた。
「後10分、果たしてくるかな。夜逃げされたりしてな。」
大きな声で独り言を喋っている。
すると、木々の合間から何かが動く音がした。
「よお、本当に戻って来たんだな。」
「なんの話だ?」
そこにいたのは、康介だった。
「ん?康介じゃないか。久しぶりだな、分かるか?俺のこと?」
男は見せびらかすように立った。
「見た目は神谷昭彦だな。でも、声や喋り方は明らかに違うな。」
康介はそう言った。確かに、真面目そうな見た目からは有り得ないような軽口の多さだ。
「ご明察、まぁ、あんたに隠し事しても意味ないか、本当の名前は」
「南条翔、無駄口しか脳にない馬鹿だ。」
康介は冷静な口調で遮った。
「はぁ…相変わらず俺には冷たいね。まぁ、せっかくだし付き合ってよ。退屈凌ぎにさ。」
そう言うと神谷はサバイブバックルを装着した。
「変身。」
そう言いながら黒紫のキーを構えた。
そしてベルトに装填、開いた。
[Dominate key!]
[open!][Darkness sword!KAMEN RIDER DUALITY!]
すると、先程とは違う、黒の姿へと変わった。姿から狂気さは消え、代わりに騎士のような姿へと変わる。籠手、アーマー、マント、その全てが黒に染まっている、一言で表すなら、『影の戦士』。
ドゥアリティは2本のサバイブソードガンをソードモードにし構えた。
「その二刀流…まさか西園寺をやったのも…」
康介の脳裏には、彼女の顔と、その時の話を辛そうにする八代忍の姿が湧き上がった。
「そういえばそうだったかもな…」
彼はそう茶化すような声で言った。
「…やはり、俺はお前の事が嫌いみたいだな…見ているだけで気分悪い。神谷の体から出て行ってもらうぞ。変身!」
康介もキーをベルトに装填、回転させた。
[open!][Masked warrior!KAMEN RIDER WAR-Z!]
二人は、互いに睨み合う。
少しずつ距離を縮め、剣を構える。
少しの静寂が続く。
先に動いたのはウォーズだ。剣をドゥアリティに振りかざす。
ドゥアリティはそれを左側の剣で押さえ、右から攻撃を仕掛ける。
ウォーズは、それを防ぐ為に、新たなキーをベルトに装填する。
[Fang key!]
右からやってくる刃を手刀で抑える。
ウォーズは更に右足で蹴り上げる。
ドゥアリティは、その攻撃で少しノックバックした。
「やるね、中々面白い。」
ドゥアリティは首を鳴らす。
「こっちも燃えてくるよ。」
ドゥアリティはそう言うと、2本のキーをそれぞれ剣に装填した。
[Dominate key!][Death key…]
[[full open!]][Dominate slash!][Death slash!]
同時に必殺技を発動させ、漆黒の剣撃をウォーズ向け放つ。
ウォーズはそれを抑えようと、剣を前に出す。
しかし、ドゥアリティの剣撃は通常の2倍、押し切られるのも時間の問題、そう思われた。
[Grade up!][Prism lightning star!]
その時、青の剣が攻撃を弾き飛ばした。
「一美!」
「大丈夫?康介。」
そこにいたのはサファイアエレクスだった。
「ほう…エレクスか。」
「待たせたな。」
ドゥアリティの後ろから現れたのは先程の一美の兄だった。
「時間通りに来たぞ。」
「へぇ、逃げずに来るとは、関心関心。」
男は、新たなベルトを巻いた。先程彼に見せたものだ
「俺の名は仮面ライダーローディ。失われしYの名を持ち、未来を創り変える者。」
そう言うと、青色のキーをベルト左端に装填した。
[ROAD-Y key!][set up!]
機械的な待機音と共に左腕を空気を切るように左に動かす。
「変身!」
その左手はベルトのキーへと行く。そして、そのキーを回転させる。
[大展開!]
その音声と共にベルト左側の箱が右に展開、中から彼が変身するライダーの姿が浮かび上がる。
[Remake the future![未来を創り変える!]仮面ライダーローディ!!]
その音声と共に、道路のようなパーツが彼の身体に巻きつく。
それが素体を形成する。更に、ベルトからアーマーが召喚され、胸、肩、足、そして頭部へと装着される。胸には大きく『Y』を思わせるようなラインが迸り、ボディのカラーが青色に染まる。
ライダーヘルメットのような頭部から金色の複眼が現れる。まさに近未来感のある仮面ライダーの誕生だ。
「あれが…仮面ライダーローディ。」
ドゥアリティに限らず、その場にいた3人はその様子に目を奪われていた。
仮面ライダーローディ、ここに爆誕。